【まとめ】
2025年の銅市場は、米国の関税政策と世界経済の動向次第で価格が大きく変動する局面にある。高値圏を予測する声と、景気後退・供給増による下落を見込む見方が交錯しており、需給バランスの先行きには慎重な見極めが必要だ。
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こちらのページには広告パートナーが含まれる場合があります。掲載されている買取価格は公開日のみ有効で、その後の相場変動、各企業の在庫状況、実物の状態などにより変動する可能性があります。
2025年の銅価格見通し:専門家予測とその背景
価格は1トンあたり8,300〜12,000ドルの予測幅
2025年の銅価格は、各種マクロ経済要因と政策変動を背景に、広いレンジでの予測が示されている。エネルギー転換やインフラ投資、半導体・EVなどの需要増が追い風となる一方、景気後退や貿易摩擦、供給増などが下押し圧力として働いている。
強気派:構造的な需要拡大が支え
マーキュリアやUBSなどの大手金融・取引機関は、世界的な電動化・AI化の波により、銅の中長期需要は確実に増加すると見ており、価格は過去最高の1トンあたり12,000ドル超に達する可能性を指摘。再生可能エネルギー向け配電網やデータセンターでの銅使用量も急増している。
弱気派:景気減速と供給回復の懸念
一方、J.P.モルガンやINGなどは、2025年の世界経済に対するリスクを重視。米国での景気後退確率を60%とし、中国の不透明な経済対策もあり、銅の実需が思ったほど伸びない可能性を示唆。加えて、ペルーやDRCでの鉱山稼働回復が供給側の余剰を生む懸念がある。
分かれるアナリストの評価
結果として、市場予測は8,300〜12,000ドルと非常に幅広く、平均的には8,800〜9,500ドルの中間値に収束している。これは不確実性が極めて高いことを示す指標であり、各社が異なるシナリオに重みを置いていることを反映している。
米国の関税政策:銅価格を揺るがす変数
通商拡大法232条のインパクト
2025年2月に開始された通商拡大法232条に基づく調査では、精製銅への最大25%の関税適用が検討されている。これは国家安全保障を名目とした措置であり、同様の鉄鋼・アルミ事例では大きな市場変動を招いた実績がある。
「解放の日」関税の重なりと市場混乱
2025年4月の「解放の日」関税では、すでに精製銅が10%課税対象となり、市場では二重課税や制度重複による影響を懸念。これにより、北米プレミアムが高騰し、ニューヨーク在庫は過去6年で最大規模に達した。
関税回避を狙った前倒し輸入
企業はこうした政策リスクを見越して、上半期中に最大50万トン超の銅を前倒しで輸入。「銅ラッシュ」とも呼ばれ、短期間で米国への輸送量が2倍以上に膨れ上がった。これにより中国や東南アジアの現物市場では供給逼迫が起こり、価格の地域差が拡大した。
需給バランスの分岐点:余剰か不足か
ICSGの余剰予測とその根拠
国際銅研究会は、2025年の銅市場が28万トン以上の供給余剰に傾くと予測。これは新規鉱山(カモア・カクラ、オユトルゴイなど)の稼働や、精錬能力の向上が要因とされる。また、米国関税による需要減も加味されている。
供給不足派の反論と想定リスク
一方、BHPやゴールドマン・サックスは構造的な鉱石品位の低下と、新鉱山開発の長期化を重視。特にチリでは過去10年で平均品位が30%以上低下しており、供給の伸びは限定的という見方。これらにより2025年は30万トン〜40万トンの不足が生じるという予測も。
決定打となる中国需要
中国は世界の銅需要の約55%を占める最大消費国。2025年はグリーン電力・EV普及による押上げ効果と、輸出低迷による需要鈍化が同時進行しており、政府の景気対策次第で需給バランスは一変する可能性がある。
2025年最新の銅の買取相場(日本市場)
日本における銅価格も国際相場の影響を受けて大きく変動している。2025年5月時点では以下のような動きが見られる:
- ピカ銅(1号銅線):約1,420,000円/トン(前月比+3.2%)
- 銅パイプ(未使用):約1,350,000円/トン(横ばい)
- 雑銅(ミックス銅):約1,200,000円/トン(やや下落)
国内価格はLME銅価格、ドル円為替レート、東京工業品取引所の先物動向に連動しやすい。特に2025年4月以降の円安基調により、円建て価格は上昇トレンドとなっている。
また、再生可能エネルギー関連工事の需要増により、銅線や銅管の引き合いが強まり、買取価格も高値圏で推移。業者によっては即日査定・全国対応を行うなど競争が激化している。
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結論:不透明感の時代を勝ち抜くために
2025年の銅市場は、地政学、経済政策、技術革新、気候対応のすべてが交差する戦略的資源マーケットとなっている。特に米中関係や米国の保護主義政策、中国経済の減速などが、短期的な価格変動要因として極めて重要である。
一方で、長期的には脱炭素社会への移行が銅需要を支え続ける構造的要因となるだろう。短期的ボラティリティに過度に翻弄されず、ファンダメンタルズに基づく投資・調達戦略が今後ますます問われていく。