2020年1月17日、日本で最初の新型コロナウイルスの感染者が確認された。同年4月7日には緊急事態宣言が出され、全国的に緊急事態宣言が解除されたのが5月25日のことである。世界的にもいまだ新型コロナウイルスによる経済普及が遠のいているのが現状だ。それにより、未だ先行き不透明なコロナ禍の日本において、不動産業界も多大な影響を受けている。
当コラムでは、新型コロナウイルスが都内マンションの相場にどのような影響を与えるのかについて考察していく。なお、この内容は2020年12月現在のものとなるため、今後情勢や相場などが変動する可能性があることを留意いただきたい。
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東京都中古マンションの相場の推移
東京都のマンションの価格は、2013年のアベノミクスから右肩上がりに長期上昇傾向にある。まずは、昨年から今年にかけての東京都の中古マンションの価格の推移と、新型コロナウイルスとの関係を見ていこう。
最近の相場の推移
国土交通大臣指定 公益財団法人 東日本不動産流通機構レインズデータライブラリーマーケットデータ「2020年9月度月例速報Market Watchサマリーレポート」によれば、東京都の中古マンションの成約㎡単価(平均値)の推移は、2019年9月から2020年1月までは、東京都も東京都区部も概ね上昇傾向だったが、新型コロナウイルスの蔓延の兆しが見え始めた2020年2月以降は、東京都も東京都区部も東京都多摩も前年同月比、前月比と下降傾向に転じた。
それでも、2020年5月からは上昇傾向に転じ、2020年9月の東京都区部の中古マンションの成約㎡単価は、82.61万円/㎡と前年比で5.2%の上昇、東京都多摩は43.16万円/㎡と前年比で8%の上昇で、双方とも5か月連続で前年同月を上回っている。
出典:REINS TOWER(http://www.reins.or.jp/)
新型コロナウイルスとの関係
東京都中古マンションの相場の推移からもわかるように、不動産業界もコロナ禍において、緊急事態宣言などにより営業自粛が広がり、不動産売買が急減した影響が出た月があった。緊急事態宣言が解除され、不動産業界においても、ほかの業界と同様にオンラインによる打ち合わせなど、コロナ禍における業務スタイルの変更を余儀なくされたのが事実だ。
それでも、なんとか日常業務もできるようになり、それに伴い東京都中古マンションの相場も徐々に回復の兆しを見せた。意見が分かれる現状分析、東京都中古マンションの相場の推移は先述した数値のとおりだ。これとは別に、住宅市場の現状分析に関しては、不動産業者ごとに意見が分かれるところである。
「住宅市場はすっかりコロナ前に戻った」、あるいは「溜まっていた需要が吹き出し活況だ」という人もいれば、「売手も買手も様子見している人が多く、先行き不透明感からファミリー層の購入ニーズは少ない」という人もいる。
現状を堅調だと捉える見方
現状を堅調だと捉える見方としては、リーマンショック時と今回のコロナショックとの違いを論拠にしている方が多いようだ。リーマンショック時は、金融システムの破綻であり、デベロッパーの手元資金が枯渇した。その結果、在庫マンションの投げ売りが起こり、大幅な価格下落から底なしの市場を招き、多くのデベロッパーが破綻に追い込まれた経緯があった。
それに比べて今回のコロナショックは、金融システムが破綻していないため、積極的な財政出動や無制限金融緩和、金融機関による無利子融資などにより、デベロッパーに手元資金が潤沢にあることと、リーマンショック時に比べて、マンションデベロッパーの大手寡占化が進んだことで資金体力があることなどの違いがある。
今回は、自粛期間中こそ売主・買主ともに様子見をしていて、需要が落ち込んだが、緊急事態宣言解除後は、新築・中古ともに動きが活発となっていると見ている不動産業者もいる。
また、このように考えている業者は、リモートワークの進展による「郊外志向」になるという予想に対しても、「通勤時間による蜜を避けるため」や「通勤時間は無駄であるため」という考え方から、むしろ「都心・駅近志向」のニーズが強まっていると考えているようだ。
現状を堅調ではないと捉える見方
現状を堅調ではないと捉える見方としては、昨年秋の消費税増税の影響により、日本経済が大幅なマイナス成長に陥ったことに加えて、今回のコロナショックにより更なる実質経済の停滞があると見ている。
労働者は今後の雇用に対する不安も重なり、住宅購入のニーズ自体が減っているのが現状であると捉えているのだ。決して買主の様子見ではないという捉え方である。
このように考えている不動産業者は、現状は不動産価格の変化の遅効性により、経済停滞の影響が東京都中古マンションの相場の推移に影響しておらず、今後一気に影響が加速すると考えている。さらに働き方の変化による郊外志向の影響も加味し、東京都のマンション価格の下落につながるのではないかと危惧している。
今後の展望
不動産においても、そのほかの業界においても、大切なのは今後の展望を予測して行動することである。そこでここからは、今後新型コロナウイルスの影響により不動産業界全体がどうなっていくのか、それにより東京都内のマンション相場がどのような影響を受けるのかについて、論理的に考察していく。
想定されるいくつかのシミュレーション
今後の展望を予測する上で、1つだけはっきりとわかっていることがある。それは、誰にも「今後このようになる」というはっきりとした確定的な未来予想図は描けないということだ。
新型コロナウイルスのワクチンがいつ完成するのか、本当に新型コロナウイルスを封じ込めることができるのか、コロナ以前の社会は戻ってくるのか、世界経済や日本経済はいつ回復するのか、東京オリンピックは開催されるのかなど不透明な部分が数多くある。
したがって、これら複数のことを組み合わせて、あらゆる事態をシミュレーションすることが大切だ。
今後をシミュレーションする上でのいくつかの前提
今後をシミュレーションする上ではいくつかの前提がある。シミュレーションするためには、要因(ファクター)が必要だが、ファクターには変動するものと変動しないものがある。たとえば、東京オリンピックが開催されるかどうかは変動するファクターだ。
ここでは、変動しないファクターを先に確認しておこう。1つ目は、不動産価格の変化には遅効性があるということだ。過去の事例から数ヶ月から半年、1年後にその影響が出ることがある。2つ目は、不動産の購入に影響を及ぼす住宅ローン金利については、金融緩和政策の維持が日銀総裁から宣言されていることから、引き続き低金利状態が維持されるだろう。
たとえば、今後も都心志向が変わらないのか、それともコロナ禍におけるリモートワークなど、新しい働き方改革による郊外志向になるのかは変動するファクターであると考えるべきである。
また、東京都のマンション価格を考える上で、やはり大きな影響を及ぼすと考えられる、海外や国内の投資家による投資物件の購入事情に関しても、今後の世界経済や日本経済及び金融市場の動向により変わってくるので、やはり変動するファクターであると考えるべきだ。
なお、東京都の新築マンションの価格の相場については、売主である大手不動産会社などが、良好な資金調達環境下において、既に土地購入・建築などの費用を投下していることから、新型コロナウイルスによっても、発売戸数が減るなどの影響はあるものの、価格の下落などの影響はそれ程ないものと予想される。
今後を左右するいくつかのシナリオ
今後の展望を予想する上で、シナリオは無限に想定できるが、1つの基軸として、新型コロナウイルスのワクチンの開発の時期により、今後を左右する良いシナリオと悪いシナリオの両方を考えていこう。
新型コロナウイルスのワクチンが早期に開発された場合
今後、新型コロナウイルスの終息時期に大きく影響を及ぼしてくると思われるのが、ワクチンがいつ開発されるのかどうかだ。たとえば、日本の経済や不動産の価格に大きな影響を及ぼすことの1つとして、東京オリンピックがある。世界中の人々が注目するスポーツの祭典であり、自国で開催できれば大規模での経済効果が見込めるため、これが開催できるかどうかが重要になってくる。
早期にワクチンが開発されれば、通常通りとはいかなくても開催される見込みは高い。すぐには難しいかもしれないが、ワクチンによりコロナの影響が収まってくることもあり、中長期的に考えれば海外からの訪日客の増加も見込めるはずだ。そうなれば、経済に復調の兆しを見せ、不動産業界にも活況が戻ると考えて良いだろう。
新型コロナウイルスのワクチン開発が遅れた場合
悪いシナリオとしては、新型コロナウイルスのワクチン開発が2021年後半から2022年になるか、またはワクチン開発の目処が立たないなどの事態になれば、いよいよ世界的に不況が蔓延してしまうことだ。不況の程度はリーマンショックを上回るとも言われている。
そうなれば、日本でも東京オリンピックが開催されないばかりでなく、企業の倒産が増え、労働者の雇用の確保も不安定となり、不動産も含めた購入ニーズは減少して、不動産の取引量が減少し価格も下落するかもしれない。
短期的展望と中期的展望
以下では、いくつかのシナリオを前提として、今後1~2年の短期的展望と今後3~5年の中期的展望に分けて考察していく。なお、今後5年以降の長期的展望は予測が難しいので、言及しないことを了承していただきたい。
短期的展望
不動産業界における短期的展望としては、予断を許さない状況であることは確かだ。東京都の中古マンション価格に関しては、新築マンションが値下がりしておらず、景気低迷による収入面の不安から、購入ターゲットを新築から中古に変更される可能性もある。
また、都心駅近志向から郊外志向への変更により郊外や地方の中古マンションが再評価される可能性もあり、低金利の住宅ローンが利用できて購入ニーズは堅調になる可能性もあるだろう。
中期的展望
不動産業界における中期的展望としては、東京オリンピックが開催されれば、過去の開催国のオリンピック後の景気後退を例にとっても、マンション価格は下落すると予想される。また、東京オリンピックが開催された場合、選手村の事後利用の「晴海フラッグ」が4,000戸以上売りに出される予定であり、このことも東京都の中古マンション市場に影響を及ぼすことが予想されるだろう。
仮に東京オリンピックが開催されなければ、景気後退が長引き、株価や地価の下落がマンション価格にも影響を与える。
おすすめの都内マンション買取業者
最後に、都内マンションの買取におすすめの業者をいくつか紹介していく。コロナの影響により相場の変動が読みにくいため、信頼できる業者を探しておくことが大切だ。マンションの売却を考えている人は、ぜひ参考にしていただきたい。
ムゲンエステート
買取価格
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許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
ムゲンエステートは、東京に新宿に支店を構えている業者だ。不動産事業全般をおこなっている業者であり、都内マンションに関する詳しい知識を生かした上で、相場に見合った価格を提示してくれる。接客においても丁寧な対応で、はじめての人でも不安なく相談が可能だ。
インテリックス
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ウイルス
対策
インテリックスは、東京を中心に日本全国に事務所を展開している不動産業者である。マンションの買取だけでなく、一戸建てや土地、賃貸人付きの物件、法人所有の物件など、ありとあらゆる不動産を買取している。買取依頼すれば迅速に出張査定に来てくれるため、すぐに査定額を知りたい人にもおすすめだ。
アクロスシティ
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対策
アクロスシティは、東京の新宿にある不動産業者だ。マンションや戸建ての再生事業から賃貸まで幅広く業務をおこなっている業者であり、不動産関連のことなら何でも対応してくれる。専門スタッフがしっかりとマンションの価値を見極めてくれるため、適正な価格で売却できるだろう。
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まとめ
当コラムでは、新型コロナウイルスが都内マンションの相場にどのような影響を与えるのかについて、さまざまなシミュレーションを基に未来予想図を描いてきた。未来予想図は、シナリオの数によりいくつも描ける。重要なことは、未来予想図が当たるかどうかではなく、良いシナリオも悪いシナリオも想定した上で、自身のライフプランをプランを複数準備しておくことである。
常に世の中の動向を観察しながら、不動産価格の変化には遅効性があるということも念頭に置き、自身に合った適正な不動産に関するプランを構築していただきたい。