ハイジュエリーブランドとして知られるハリー・ウィンストン(HARRY WINSTON)。後に「キング・オブ・ダイヤモンド」と称されるハリー・ウィンストンが、自らの名を冠した宝飾品の製造・販売会社をニューヨークに設立したのは、1932年のことだった。

Harry Winston Opus 12 / Johnson Watch
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時計メーカーとしてのハリー・ウィンストン
以来、世界中のセレブリティが競って使用するジュエリーブランドとして、その地位を確立してきた。一方、時計製造に参入したのは1989年。以降は最高級ジュエリーの製作とともに、複雑時計製造の世界でも実績を積み上げ、時計製造の拠点をスイスに置く、自社で一貫製造が可能なマニュファクチュールとしても知られる時計メーカーとなっている。
2013年にスウォッチグループの傘下に加わると、そのラグジュアリーなモデル群にさらに磨きがかかった。ここでは、そんなハリー・ウィンストンの腕時計における型番=リファレンスナンバーとモデル名との関連性について説明していく。
ハリー・ウィンストンの人気モデル3>
ハリー・ウィンストンからは腕時計についても多数のモデルが展開されている。中でも人気が高いのは、「オーパス14」、「HW ミッドナイト・ダイヤモンド スタラクタイト オートマティック 36mm」の2つだ。それぞれの特徴は、下記のようになっている。
オーパス14
「オーパス」シリーズは、2001年から続くハリーウィンストンの時計技術を結集した超高級シリーズだ。オーパス14は2015年10月に発表されたモデルで、簡略化されつつも遊び心のあるデザインがインパクトとなっている。直径54.7mmの18Kを使用した、「ゴールド製ケース」も魅力のひとつと言えるだろう。このモデルのシルエットには、サファイアのクリスタルの下にたくさんの見所が隠されている。数字の14にちなんで盛り込まれたバイカラーの標章や、レコード盤調の各ディスク、フォントとブルーが魅力的なインデックス、アーチ型のレトロな分表示といった、ファンにはたまらない魅力的な特徴を備えた1本になっている。世界限定50本という希少なモデルだ。
HW ミッドナイト・ダイヤモンド スタラクタイト オートマティック 36mm
「スタラクタイト(Stalactites)」とは鍾乳洞の中につらら状に形成される、いわゆる鍾乳石のこと。これをモチーフとして、鍾乳石をモチーフとした華麗な宝飾技術を駆使した名作が「ミッドナイト・ダイヤモンド スタラクタイト オートマティック 36mm」。千変万化の輝きと言われるマザーオブパールをダイヤルのベースに使用され、その美しさが魅力のひとつになっている。 マザーオブパール上には161個のラウンド・ブリリアントカットダイヤモンド。他にもベゼルやラグ、リューズ、インデックスなどにダイヤモンドがあしらわれており、なんと合計245個(約1.61カラット)にもなるダイヤモンドが使用されるた、ゴージャス感たっぷりな1本に仕上がっている。ちなみに定価は、3,950,000円だ。
ハリー・ウィンストンの型番について
ハリー・ウィンストンのリファレンスナンバーはどういう構造になっているのか、まずは現行モデルの中からいくつかピックアップして確認してみよう。
各モデルのスペックは、内部機構/ケースサイズ/ケース素材+装飾/文字盤(+装飾)の順で表記している。なお、各リファレンスナンバーは、ハリー・ウィンストンの日本版公式サイトに記載のものを参照している。
HWプルミエール・コレクション
PRNQHM31WW003:HWプルミエール クオーツ/31ミリ/ホワイトゴールド+ブリリアントカットダイヤモンド75個/ホワイトMOP。
ハリー・ウィンストンが1989年に初めて発表したタイムピース・コレクションが、「HW プルミエール・コレクション」である。ラグにデザインされた3つのアーチは、ニューヨーク5番街にあるハリー・ウィンストン本店のファサードから着想を得ているという。
HWエメラルド・コレクション
EMEQHM18WW001:HWエメラルド クオーツ/17.75 x 24ミリ/ホワイトゴールド+ブリリアントカットダイヤモンド67個/ブルー・サテンサンバースト仕上げ。
創始者ハリー・ウィンストンが愛したダイヤモンドのフォルムとエメラルドカットにインスパイアされたコレクションのモデル。
HWミッドナイト・コレクション
MIDAMP42RR003:HWミッドナイト・デイト ムーンフェイズ オートマティック 機械式自動巻/42ミリ/ローズゴールド/シルバー・サンレイ仕上げ+ブリリアントカットダイヤモンド1個。
時計製造の伝統を取り入れたクラシックなデザインが特徴のコレクションのムーンフェイズモデル。時分、ムーンフェイズ、ポインター式日付カレンダーがダイヤル上に別々にオフセット表示されているデザインが特徴的なモデル。
HW アヴェニュー・コレクション
AVEQHM21WW001:HW アヴェニュー・クラシック クオーツ/21x36ミリ/ホワイトゴールド+ダイヤモンド/ダイヤモンドフルセット。
洗練されたニューヨークの雰囲気を表現したコレクション。ブリリアントカットダイヤモンドを307個使用している。
HWオーシャン・コレクション
OCSACH44ZZ003:HWオーシャン スポーツ・クロノグラフ 機械式自動巻(クロノグラフ)/44ミリ/ザリウム/ブラック(立体的なスモークサファイアガラスのダイアル)。
回転ベゼルを擁する20気圧防水のクロノグラフ。ザリウムとは、ハリー・ウィンストンが開発したジルコニウムを主成分とする合金のこと。
イストワール・ドゥ・トゥールビヨン
HCOMDT51WW001:イストワール・ドゥ・トゥールビヨン7 機械式手巻(ダブルトゥールビヨン)/51ミリ/ホワイトゴールド/スケルトン加工+ロジウムメッキのアルマイト。
超複雑機構を搭載することを目的としたコレクション。ダブルトゥールビヨン搭載。
ハイジュエリー・タイムピース
HJTAHM36PP001:HW ツイスト・オートマティック 機械式自動巻/36ミリ/プラチナ/61個のバゲットカット・ダイヤモンド、50個のマーキース・ダイヤモンド、60個のマーキース・ルビー。
ハイジュエリーの美しさや輝きを時計をモチーフに表現したコレクション。腕時計ではないものもあり、時計というよりジュエリーやアクセサリーと言うべき製品が多いなか、恐らく唯一の機械式腕時計をピックアップした。なお他の製品に関しても型番の構造は共通している。
プロジェクトZ
OCEABI42ZZ001:プロジェクトZ10 機械式自動巻(レトログラード・セコンド)/42.2ミリ/ザリウム/ブルーアルマイト加工スケルトンダイヤル他。
特殊合金ザリウムを利用したコレクション。オフセンターの時分表示、レトログラード式秒表示、レトログラード式曜日表示、6時位置の小窓ルーペを備えた日付表示を備える。
オーパス・シリーズ
OPUAHM38PP004:オーパス ワン(レゾナンス・クロノメーター) 機械式手巻/サイズ不明/プラチナ/アンスラサイトグレー。
独立時計師とハリー・ウィンストンのコラボレーションから誕生したコレクション。これまで14モデルが出されているが、その1作目。フランス人時計師フランソワ-ポール・ジュルヌと共同開発したモデル。2つの独立したムーブメントを持つレゾナンス・クロノメーターを搭載する。6本限定。
ハリー・ウィンストンの型番を読み解く
前章で各コレクションからピックアップしたモデルの型番を紹介したが、それだけでも、型番のだいたいの構造が見えてきたので、部分毎に説明していこう。
最初のアルファベット3文字が時計の所属コレクションを表す
最初のアルファベット3文字は、それぞれ各コレクション名(カテゴリー名)を略したものになっており、すなわちこれは各モデルの所属コレクション(カテゴリー)を表していると言えよう。各カテゴリーの英字は以下のようにコレクション名を指している。
- PRN:プルミエール・コレクション
- EME:エメラルド・コレクション
- MID:ミッドナイト・コレクション
- AVE:アヴェニュー・コレクション
- OCE:オーシャン・コレクション ※「プロジェクトZ」も含む
- OCS:オーシャン・コレクション(オーシャンスポーツ)
- HCO:イストワール・ドゥ・トゥールビヨン
- HJT:ハイジュエリー・タイムピース
- OPU:オーパス・シリーズ
オーシャン・コレクションには、「オーシャン」と「オーシャンスポーツ」2つのカテゴリーがあり、モデルによって使い分けられていた。一方「プロジェクトZ」の製品はオーシャン・コレクションのカテゴリーに属するようで、「プロジェクトZ」固有のカテゴリーはなかった。
アルファベット4文字目はムーブメントの種類を表す
冒頭3文字の後の4文字目は、各製品のムーブメントの種類を表しているようだ。基本、ムーブメントは以下の3種類となっている。当然「M」はマニュアルの「M」。「A」はオートマティックの「A」ということだろう。
- Q:クオーツムーブメント
- M:機械式手巻ムーブメント
- A:機械式自動巻ムーブメント
アルファベット5、6字目は時計の機能を表す
ハリー・ウィンストンの型番5、6字目は、その製品の代表的な機能を示していると思われる。
コンプリケーションモデルには、その種類が英字2字で表されている。頻出する「HM」は、すなわちアワー&ミニッツのことであろう。基本的な時計表示のみのモデルは、どんな装飾が施されていようとも、全て「HM」で表現されていた。
その他の英字2文字が示す機能は以下のとおり。ハリー・ウィンストンには、ありとあらゆる複雑機構モデルがそろっているようだ。
- HM:時分表示(通常の時計表示)
- HD:日付表示
- SS:スモールセコンド
- BD:ビッグデイト
- CH:クロノグラフ
- MP:ムーンフェイズ
- MR:ミニッツリピーター
- BI:バイレトログラード
- CT:トリレトログラード
- TZ:タイムゾーン
- TG:トゥールビヨン&GMT
- TO:トゥールビヨン
- DT:ダブルトゥールビヨン
- TT:トリプルトゥールビヨン
- TJ:トゥールビヨン&ジャンピングアワー
- TR:トゥールビヨン&ミニッツリピーター
- DH:デジタル表示
7、8文字目の2ケタの数字はケースサイズを表す
ハリー・ウィンストンの型番の中で、アルファベットの並びの後に現れる最初の2ケタの数字は、時計のサイズをおおよその数字で示している。
ラウンドモデルならケース直径の長さ(ミリ)で、スクエアモデルなら横の長さ(ミリ)が表示されているようだ。小数点以下の場合は四捨五入され、必ず2ケタ数字で表示されている。
9、10文字目のアルファベット2文字はケース素材を表す
型番の後方、数字に囲まれた2文字のアルファベット(9、10文字目)は、ケースの素材を表しているようだ。
全体の型番から探してみたところ、ケースの素材として使用されているのは下記の4種類のみ。ハリー・ウィンストンには、いわゆるステンレススチールの時計は存在しなかった。
- WW:ホワイトゴールド
- RR:ローズゴールド
- PP:プラチナ
- ZZ:ザリウム
末尾3ケタの数字はモデル固有の番号
ハリー・ウィンストンの型番の末尾3ケタは、各モデル固有の番号と思われる。
たとえば同素材ケースでベルトとブレスレットのみが異なるモデルでは、末尾001と002となっている場合がある。確かにベルト部分は型番に含まれていないため、末尾の3ケタで差別化する理由は明らかだが、とはいえ明らかに類似モデルがなくても、末尾が001とは決して限らない。
数字に法則性は見当たらず、製品により様々な理由のもとで番号がつけられていると考えられる。
ハリー・ウィンストンの腕時計を高く売るためのコツ
今回、ハリー・ウィンストンの腕時計の型番と、モデル名について触れてきたが、いざ腕時計を売りたいと思った時にモデルを知っているだけでは高く売ることは難しい。ここでは、ハリー・ウィンストンの腕時計をより高く売るためのコツを紹介していきたい。
適正価格を確認しておこう
まず、自分が持っているモデルが市場でどのくらいで買い取られるのかを知っておく必要がある。買取業者によっては、ハリー・ウィンストンに関する知識のないスタッフが査定を実施するため、知識のあるスタッフが在籍している業者と買取価格に大きな差が生じてしまう場合があるのだ。オークションサイトなどを見ておおよその買取価格を把握することもできるが、複数の買取業者に査定を依頼するのもよいだろう。また、買取業者を選ぶ際に、ハリー・ウィンストンの腕時計の買取実績があるかどうかを確認したほうがよい。
購入時の付属品を必ずつけるようにしよう
腕時計を買取に出す際には、付属品を必ずつけるようにしたほうがよい。購入時に時計が入っていた箱はもちろん、説明書や余りゴマも必ずつけるようにしよう。付属品が揃っていない場合は、買取価格がかなり下がってしまう場合がある。特にハリー・ウィンストンのような定価の高い時計では、保証書が有ると無いとでは数十万円もの査定格差が生じることもある。また、過去に正規点でのオーバーホール(分解清掃)をしている場合は、オーバーホールの証明書があると買取価格が高くなることが多い。
腕時計を綺麗に磨いておくようにしよう
買取に出す前に、腕時計を綺麗にしておくことが大事だ。見た目は買取価格に大きく影響するため、乾いた布で本体を拭いておくのはもちろん、隙間の汚れやホコリもできる限り取り除いておくほうがよい。
まとめ
ハリー・ウィンストンの型番は、末尾3ケタ以外は、非常にわかりやすい構造となっていた。全て予想をつけやすいアルファベットや数値が当てはめられており、各コレクションの特徴さえつかんでおけば、型番を見るだけでモデルの姿がある程度は予想できそうだ。
さすがに思いもよらない機構とデザインの「オーパス・シリーズ」は予想しづらいだろうが、逆に冒頭に「OPU」の文字があれば、それは想像もつかないモデルということで理解できる。
ちなみに、新品での購入は非常にハードルが高い製品が多いものの、中古モデルともなれば一生の買い物として購入可能な額のものも見受けられる。中古ショップなどで製品を見かけたら、型番をチェックしてその時計がどんな機能を持つのか確認しつつ、購入を検討していただけたら幸いである。また、売りに出すような場合には自分が持っているモデルの適正価格を把握した上で、買取に出すのがよいだろう。