世界で始めてクロノグラフを製品化し、高性能かつ高精度の時計作りを現代でも続けているブライトリング(BREITLING)。もともと航空機用の計器や航空時計の名門企業として発展を遂げたブランドでもあることから、航空業界とのつながりが非常に強いことでも知られる。企業自らエアロバティックス・チームを運営し、ブライトリング=パイロットウォッチというイメージを強固なものとしてきた。
こうしたプロフェッショナルの使用に耐えうる時計作りは多くの時計ファンからも共感され、伝統のクロノグラフを中心に、非常に人気が高い。ここでは、そんなブライトリングの型番とモデル名の関係について説明していきたい。
なお、現在ブライトリングが採用しているリファレンスナンバーシステムは、1990年から採用されている。ここで説明するのは、1990年以降に販売されたブライトリングのリファレンスナンバーについてであることを予めご了承願いたい。
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ブライトリングの型番について
ブライトリングの型番=リファレンスナンバーは2つある。少々わかりにくいが、いわゆる商品のリファレンスナンバーは9ケタの英数字で、保証書等に記されているはずだ。もう1つが、本体のケース裏に刻印されている6ケタの英数字があり、こちらは簡易ナンバーなどと呼ばれている。
ケース裏の6ケタの英数字の意味
ケース裏に書かれている6ケタの英数字は、ケースの素材とムーブメントの種類をコード化したものだ。そこには文字盤の種類や色、あるいはストラップ(ブレスレット)の素材等のコードが含まれていない。一方で9ケタのリファレンスナンバーではどういう型名かは判明してもムーブメントの種類まではわからない。まずは、この6ケタの英数字のコードから説明していこう。
6ケタの簡易リファレンスナンバー
6ケタのリファレンスナンバーがわかれば、その時計のケースの素材とムーブメントの種類がわかることになる。つまり、本体の裏のコードでケースの素材はともかくとして、中身のムーブメントが判明することになる。そのコードの見方は以下のとおりだ。
- 【A68362という簡易リファレンスナンバーの場合】
- ①A……ケース素材を表すコード。アルファベット一文字で表される。
- ②68……ムーブメントのコード。49以下が機械式で50以上がクオーツ。ただし自社製ムーブメント搭載の場合は別途表示あり(後述)。
- ③3……COSC認定か否か。
- ④62……簡易モデル番号を表したコード。
ケースの素材を表すコード
ここでは上記①の、簡易リファレンスナンバーの1ケタ目、素材を表すコードについて説明する。このコードはアルファベットで、以下のように表される。
- A ステンレススティール(SS)
- B SS+18Kイエローゴールドライダータブ
- C SS+18Kローズゴールドベゼル
- D SS+18Kイエローゴールドベゼル
- E チタン
- F チタン+18Kイエローゴールドライダータブ
- H ソリッドローズゴールド
- J ソリッドホワイトゴールド
- K ソリッドイエローゴールド
- L プラチナ
- M ブラックスティール
- P SS+プラチナベゼル
- R ソリッドレッドゴールド
- T パラジウム
- V ブラックチタン
- W SS+タングステンカーバイドベゼル
- X ブライトライトケース
- Y SS+セラミックベゼル
上記で特に表記がなければケースとベゼル部分も同じ素材ということ。「ライダータブ」とは、かつてブライトリングのクロノグラフについていた目盛りのことだ。
ムーブメントのコード
簡易コードの2ケタ目と3ケタ目は、内蔵するムーブメントの種類を示すコードだ。10~49までが機械式のムーブメントで、50以上がクオーツを使用していることを意味しており、78まで確認されている。10~78の全ての数字で使用しているムーブメントが判明しているが、ここでは省略する。ちなみにブライトリングのムーブメントは、機械式もクオーツもほとんどがETA社製を使用している。
なお、ここに「B01」、「B14」といったような3ケタの英数字が入る場合がある。このBで始まる英数字は、自社開発・製造のキャリバーを意味する。ブライトリングは2009年に自社製の機械式クロノグラフ・ムーブメントの開発に成功し、世界でもわずかな自社製ムーブメントを所有するメーカーとなったことでも知られ、その高度な技術力を証明した。そして、この3ケタの英数字が入る場合、4ケタ目の表示はその必要がなくなり(後述)、表示が省かれる。従って、6ケタであることに変更はない。
- 【ブライトリング自社製キャリバー】
- キャリバー01 自動巻きクロノグラフ(※コードはB01)
- キャリバーB02 手巻きクロノグラフ(24時間表示)
- キャリバーB04 自動巻きクロノグラフ(GMT/第2タイムゾーン機能)
- キャリバーB05 自動巻きクロノグラフ(UNITIME/24都市時刻表示)
- キャリバーB06 自動巻きクロノグラフ(30秒クロノグラフ機能)
- キャリバーB14 手巻きシングルプッシュボタン・クロノグラフ
- キャリバーB35 自動巻きノン・クロノグラフ
COSC認定コード
COSCとは、「スイス公式クロノメーター検査協会」のことで、機械式時計の精度を計測する検定を行う公的検査機関である。COSCの認定が得られたということは、その精度が保証されたことを意味し、非常に厳しい検査に合格しないと認定が得られないことから、ロレックスやオメガ、そしてブライトリングなど一部のメーカーしか利用していない。
さらにブライトリングは、1999年にクオーツも含めて全てのモデルのCOSC認定を得ることを発表しており基本的にこのコードは「3」がデフォルトと考えていい。また、前述の自社製キャリバーも全ての製品がCOSC認定を経ているため、自社製キャリバー搭載モデルに関しては、この4ケタ目のコードは省かれることになるというわけだ。
簡易モデル番号
簡易リファレンスナンバーの5,6ケタ目はショートモデルナンバー、あるいは簡易モデル番号のコードと言われる。しかしながら、そのコードがどういう法則性を持つのかは不明だ。
ブライトリングの9ケタの型番
ここからは、ブライトリングの本来のリファレンスナンバーである、9ケタの英数字について説明していこう。9ケタの英数字は、以下のような形で分解して読み解くことができる。
- 【A011B67PAというリファレンスナンバーの場合】
- ①A……ケースやベゼルの素材。コードは6ケタの簡易ナンバーと同様。
- ②011……モデルを表すコード。
- ③B……文字盤の色を表すコード。
- ④67……文字盤の種類を表すコード。
- ⑤PA……ブレスレット(ストラップ)の種類を表すコード。2ケタか3ケタのアルファベットが入る。
モデルを表すコード
上記のリファレンスナンバーのうち、①のコードは前章で掲載したとおりなので、ここでは②のモデルを表すコードについて説明する。モデルを表すコードの中で、代表的なものは以下のとおりだ。この3ケタのコードでモデル名がわかるようになっている。
- 011 クロノマット44
- 131 クロノマット38
- 014 クロノマット41
- 015 トランスオーシャン・クロノグラフ
- 022 ナビタイマー01
- 030 ギャラクティック・ユニタイム
- 033 モンブリラン
- 041 クロノマットGMT
- 050 トランスオーシャン・クロノグラフ・ユニタイム
- 156 エボリューション
- 170 スーパーオーシャン・ヘリテージ42
- 173 コルト・オートマチック
- 177 アベンジャーシーウルフ
- 192 スーパーオーシャンⅡ
- 241 クロノライナー
- 331 スーパーアベンジャーⅡ
- 339 アベンジャーⅡ
- 501 コックピットB50
- 741 コルト36
文字盤を表すコード
5ケタ目のアルファベットが示しているのが文字盤の色だ。そのコードは以下のとおり。MOPとはマザー・オブ・パールの略で、文字通り真珠の母貝となるアコヤ貝や白蝶貝などの真珠層の色のことだ。
- A = MOP、ホワイト、ベージュ、アイボリー、アークティカ(白系)
- B =ブラック、アントラシート、ダイヤモンドブラック、ロイヤルエボニー(黒系)
- C =ブルー、モロッカンブルー、ネプチューンブルー等(青系)
- E = ロジウム(白色シルバー)
- F = スレート、スレートグレイ(石板色)
- G = シルバー、シルバーストーム(銀)
- H = シャンパン、アンバー、デザートデューン
- I = イエロー
- J = スモークグレー
- K =レッド、バーガンディ、サンセット、ローズ(赤系)
- L = グリーン、ターコイズ、ローレルグリーン(緑系)
- M = グラファイト、チタン
- O =コーラル (珊瑚色)
- Q =ブロンズ、ハバナ、グレイバイオレット(茶系)
文字盤のデザインを表すコード
6,7ケタ目の2ケタの数字、あるいはアルファベットは文字盤のデザインを表すコードになっている。インデックスのデザイン等も含まれるが、この部分を表すコードは不明。特に限定モデルの場合は、アルファベットになっていることが多い。
ブレスレット(ベルト)を表すコード
8,9ケタ目、あるいは10ケタ目まである場合も含めて、ここにはアルファベット2文字か3文字が入る。これは、ブレスレット、あるいはベルトの種類を表すコードだ。ちなみに金属のものがブレスレットで、革やラバーのものがベルト、あるいはストラップなどと呼ばれる。代表的なものは以下のとおりだ。
- ATB エアロスペース・ブレスレット
- PA パイロット・ブレスレット
- PFA プロフェッショナル・ブレスレット
- RA ルーロー・ブレスレット
- NP ナビタイマー・ブレスレット
- KB カーフベルト
- KBA カーフベルト・尾錠
- KBD カーフベルト・ディプロインバックル
- WB クロコダイルベルト
- WBA クロコダイルベルト・尾錠
- WBD クロコダイルベルト・ディプロインバックル
ブライトリングのおすすめ買取業社
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まとめ
ブライトリングの型番=リファレンスナンバーにはモデル固有の9ケタ(10ケタ)の型番と、ケース裏に記してある6ケタの型番がある。6ケタの型番はケースの素材とムーブメントの種類を示しており、9ケタの型番はケースの素材やモデルの種別、文字盤の色やブレスレットの種別を示している。以上のことを、ここまで説明してきた。それぞれのコードが意味するところは、上記に掲載したとおりだ。
もちろん、こうしたリファレンスナンバーのコードはブライトリングが公表しているものではないので、あくまでも参考程度にとどめておいていただきたい。しかも、ブライトリングの場合、公式サイトにリファレンスナンバーの記載がないため、部外者にはうかがい知れない部分が多いことも事実。混乱を避けるためであろうが、できれば各モデル毎にリファレンスナンバーの表記を進めていただきたいところだ。