株式会社バンクからリリースされたアプリケーション「CASH(キャッシュ)」。質預かりともフリマアプリとも違う、今までの概念を覆すような新しい“買取りアプリ”として2017年6月28日にサービスが開始された。だが、リリースされてからわずか16時間で査定中止になってしまったのだ。
どうして24時間も経たないうちに「目の前のアイテムが一瞬でキャッシュに変わる」という、まるで魔法のような画期的なアプリが査定中止になってしまったのだろうか。今回はCASHが査定中止になった全貌を紐解いていく。
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話題のCASH(キャッシュ)ってどんなアプリ?
そもそもCASH(キャッシュ)というアプリについて知らない方もいるだろう。ここで簡単に同アプリのサービスについて紹介しておく。
側近が欲しい時、目の前のアイテムを現金に変えられるアプリ
CASHとは、身近にあるアイテムを一瞬で現金に変えることができるアプリケーションサービスだ。「アイテムが瞬時に現金になる」と聞いただけでは想像がつかないかもしれない。では即金が欲しいと思ったとき、どのような手段があるか考えてみよう。
一般的には、お金を借りるか品物を売って現金化する人が多いのではないだろうか。このCASHというアプリはその両方の要素を兼ね備えた画期的なアプリなのだ。
少額の現金が欲しいときにとても便利
金融業者からお金を借りる(借金する)となると長い審査や面倒な手続きが必要となる。しかし、即金で欲しているのは数千円から数万円程度の少額であるため、金融業者で借りるほどでもない。借金するまでもないし、手続きを踏むのは面倒と思ってしまうものだ。
そこで便利なのが、目の前にあるアイテムを査定してもらい、その査定額をすぐに現金として出金できるCASH(キャッシュ)だ。質屋のように高級ブランドや貴金属だけが買取りの対象となっているわけではなく、ファッションブランドやスマートフォンも査定の対象となっている。
利用方法とは?使い方は意外と簡単
CASH(キャッシュ)の利用方法はとても簡単。「現金に変えたい」と思っているものをアプリ上で査定してもらうだけ。
ちなみに現金化できるアイテムは、CASHでカテゴリー一覧化されているブランドに限られるため、ノーブランドやファストファッションは売ることができない。一部のファストファッションブランドの買取りに対応していたようだが、このタイミングで査定基準が改善されるため利用できない可能性が高いだろう。
アイテムの状態を入力し写真を撮るだけ
まずは無料のアプリをダウンロードし、現金化しようと思っているアイテムのブランド、カテゴリー、状態などを入力する。そして商品の全体が写るように写真を撮って、あとは査定結果が表示されるのを待つだけだ。
瞬時に査定結果が表示されるので、その金額に納得した場合は「キャッシュにする」をタップ。するとアプリ内にあるウォレットにキャッシュがたまるので、そこから金額を引き出すことができる。ちなみに査定金額は1,000円〜20,000円となっているようだ。
現金化したら瞬時に引き出せる
現金は、手数料250円が差し引かれた金額を即時に受け取ることができる。銀行振込とコンビニ受け取りから選べるため都合に合わせやすいのも特徴だ。場合によっては数十分程度で出金できるとのこと。
ただし、銀行振込は平日の14:30以降、祝日休日の場合は翌営業日となる。コンビニ受け取りでは時間が7:00~21:30と決まっており、1万円未満の換金のみ選択可能だ。
実際に利用したユーザーによると、アプリをダウンロードしてから現金を手にするまでわずか数十分だったそうだ。特にコンビニ受け取りにすると時間も長いため、出先でも現金を受け取れるだろう。
キャッシュを返すかアイテムを送るか
CASH(キャッシュ)で現金化したあとは、現金を返すかアイテムを送るかを選ぶ。もちろんすぐに返金したり送ったりする必要はなく、2ヶ月という期限が決められているので都合のいいときに選択するといいようだ。
アイテムを送る→現金は返さない
現金を引き出した後でアイテムを送る場合、受け取ったキャッシュを返す必要はない。 CASHのアプリのアクティビティから「アイテムを送る」を選択し、集荷に来てもらう住所を登録する。そして集荷を希望する日時を選択すると集荷依頼が完了する。
アイテムの送料は無料で伝票を用意する必要もない。ただし、宅配キットの用意はないため集荷予定までにあらかじめアイテムを梱包する必要がある。アイテムに傷がついたりしないよう、緩衝材を詰めたり、ビニールで梱包しておくことが推奨されている。
また、そこまで大きいものを送ることはないかもしれないが、梱包した荷物は最大160サイズまでとなっている。そしてガジェットを送るときは初期化と充電がされている状態であることが条件となるため、きちんと確認して送る必要があるようだ。詳しくはこちら(https://cash.jp/guide/packing/)を参考に。
キャッシュを返す→アイテムは送らない
引き出したキャッシュを返す場合はアイテムを送る必要はない。ただし、受け取った現金にキャンセル手数料の15%を上乗せして返金しなくてはならない。アイテムの買取金額が5,000円だったとしよう。その場合は合計で5,750円を返金することになるのだ。
2017年8月23日時点では、公式サイトで返金方法については記載されていなかった。今後返金方法が変わる可能性があるため注意しておこう。
正確には質屋アプリではない
CASH(キャッシュ)は、いわゆる“質屋アプリ“のようだが、実際に品物を担保にして融資を受けているわけではない。そのため正確にいうと質屋アプリではない。
現金を受け取って返金したくない場合は品物を送り、品物を手放したくないときは現金に手数料を上乗せして返金するというシステムになっているせいか、質屋アプリと表現する方がしっくりくるのだろう。利用規約を見ても「甲が乙から目的物を買い取るサービス」と記載されており、買取り時に必要な古物営業法上の許可を取得しているので買取アプリといった方が適切だ。
質屋ではないなら手数料は違法?
個物の流通であるため、質屋での預かりのように融資というわけではない。そのため古物商の許可を持ってはいるが貸金業ではないし、質屋業の免許も取得していない。では、返金時にかかる手数料とは一体・・・。そして違法ではないのだろうか。
返金時にかかる手数料の15%は、買取りで得られるはずだった機会損失を補填するためのキャンセル料である。利子でもなければ延滞料でもないため法的にも問題はないようだ。
問題がないなら、なぜ16時間で査定中止に?
多くのユーザーが質屋アプリと思うかもしれないが、CASH(キャッシュ)は買取りアプリであるため、先に品物を送らずに現金化することができる。スマホ一つでアイテムがお金に変わるため、時間も短縮でき、手間も省ける。一応は法律上でも問題がない便利なアプリと言えるだろう。
では、問題がないのであれば、なぜリリースされてからわずか16時間で査定中止になってしまったのだろうか。
16時間で3.6億円以上のキャッシュが動いた
結論からいうと、想像をはるかに上回る数の現金化があったため、一時査定を中止せざるを得なかったのだろう。運営会社である株式会社バンクが出したプレスリリース(https://cash.jp/pdf/cash_press_release_170629.pdf)で公開された情報を一部紹介しよう。
- 査定機能一時停止までの時間 16時間34分
- ダウンロード数 29,241ダウンロード
- アイテムがキャッシュ化された回数 72,796回
- アイテムがキャッシュ化された総額 366,293,200円
- 1アイテムあたりの平均キャッシュ 5,031円
- 「キャッシュを返さない」と選択されたアイテム 7512個
※2017年6月29日 02:34時点
査定機能が停止されただけでサービスは存続
CASH(キャッシュ)を運営する株式会社バンクは社員4名ほどの企業であるため、膨大な数のアイテム処理、キャッシュを供給するには規模が整っていなかったようだ。それもそのはず。予想をはるかに上回る利用者数、そしてたったの数時間で3.6億以上のお金が動いたのだ。
創業者の光本氏もリリース初日からこんなに利用してもらえるとは夢にも思っていなかったそうだ。もちろん査定機能が停止されただけであって、サービス自体が終了したわけではない。査定以外の機能に関しては、キャッシュの引き出しなども含め引き続き利用することができる。また、プレスリリースにもあったように運営体制が整うまで少し時間を置くといったところだろう。
今後、CASH(キャッシュ)はどうなる?
2017年の6月末時点で査定機能が一時停止されたCASH(キャッシュ)だが、7月にもなると「再開はいつ」といったユーザーの声も増え、ネット上では再リリースの目処やリニューアル機能の予想などが立てられている。
CASHは怪しいサービスなのではないかといった声もあるなか、同じくらいに再開はいつなのかという声もあった。同アプリは稀に見る拡散のスピードと画期的なサービス内容だったため、それだけユーザーからの期待値が高いということではないだろうか。
日程は未定だが再開される予定
一時はCASH(キャッシュ)のサービス自体終了するのではと囁かれていたようだが、運営側は「再開に向けて進んでいる」とコメントしている。まだ明確な日程までは決まってはいないようだが、再開され次第、また爆発的にヒットする可能性もあるだろう。
まとめ
2017年8月21日、人気フリマアプリ「メルカリ」の姉妹アプリとしてブランド品に特化した「メルカリメゾンズ」がリリースされた。ガイドにそって撮影し、ブランド品の情報を入力するだけで査定が完了するというものだ。
このように最近ではCASHだけでなく、さまざまな売買サービスが展開されており、ユーザーは簡単に不要なアイテムを売って現金を手にすることができるようになった。高値で売りたいとき、即金を手に入れたいときなど、求めるものによって“売る手段を選ぶことができる”ようになってきたのだろう。
兎にも角にも、ユーザー側からするときちんと自分にあった買取サービスを活用して、最も満足のいく形で取引を完了したいものだ。