NTTドコモが打ち出したスマホの新しい料金プランが、この5月25日から導入された。その名称は「ベーシックパック」と「ベーシックシェアパック」。利用したデータ量によって自動的に料金が変動するというこのプランは、auが先行してサービスを開始した「auピタットプラン」と似た料金プランとなっている。
ここではこの新料金プランのシステムを説明するとともに、ユーザーはどのタイミングで買い替えをすべきか、考えていきたい。
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ドコモ新料金プランとは
ドコモの新料金プラン、「ベーシックパック」、「ベーシックシェアパック」とは、使用したデータ通信量によって料金が4段階に変動するプランのこと。
ということは、定額パックに比べて料金を払い過ぎているということがなくなるため、特にデータ利用量が少ないユーザーにはメリットのあるプランになっている。
1人で使うのが「ベーシックパック」
1人でドコモのスマホを使用しているユーザーに向けたプランが、「ベーシックプラン」だ。料金が月ごとのデータ量に応じて、以下の4段階で分けられている。
ステップ | データ量 | 料金 |
---|---|---|
ステップ1 | ~1GB | 2900円 |
ステップ2 | ~3GB | 4000円 |
ステップ3 | ~5GB | 5000円 |
ステップ4 | ~20GB | 7000円 |
※料金は税別
つまり、いつもはデータ量5GB以上は必ず使っているという人も、「財布がピンチだから節約しておこう」と思ったとき、スマホのゲームをやめたり、動画を見たりSNSを楽しむのはWi-Fiの飛んでいる場所のみに限定しようといったような努力をして、データ使用量をとにかく抑えるようにすれば、最大で4,100円節約できることになるという、フレキシブルなプランとなっている。
家族で分け合える「ベーシックシェアパック」
「ベーシックシェアパック」は、家族でデータ量を分け合うことができるというプランだ。やはり4段階で分けられているが、こちらは家族全体でのデータ利用量に応じて、以下のように分けられている。
ステップ | データ量 | 料金 |
---|---|---|
ステップ1 | ~5GB | 6500円 |
ステップ2 | ~10GB | 9000円 |
ステップ3 | ~15GB | 12000円 |
ステップ4 | ~30GB | 15000円 |
※料金は税別
ドコモの公式サイトの説明では、家族の人数の制限等は書かれていないため、ステップの幅がやや大きい。
家族の人数が多ければ、より割安感が感じられるケースもあるように思われる。逆に家族全員がデータ通信を使うタイプの場合、家族の人数によってはデータ量を少なく感じるケースも出てくるだろう。
既存のデータパックは新規受け付けも終了
「ベーシックパック」と「ベーシックシェアパック」が提供開始したことに伴い、これまでのデータパックサービスである「シェアパック5/10/15」、「ビジネスシェアパック5/10/15」、「データSパック」、「データMパック」は5月24日で新規申込の受付が終了している。
もちろん、これらプランを契約している既存ユーザーは、そのままのプランで継続して利用することができるし、変更することも可能だ。
継続利用期間に応じた「ずっとドコモ割プラス」などと併用が可能
「ベーシックパック」および「ベーシックシェアパック」は、利用年数に応じて自動的に料金割引(もしくはdポイントが進呈)される「ずっとドコモ割プラス」や、月額980円の「シンプルプラン」、さらには機種限定の割引プランである「docomo with」などと組み合わせることができ、これまでよりも割安な料金でスマートフォンを利用することができる。
「ベーシックパック」の「ずっとドコモ割プラス」の割引額
ちなみに、「ずっとドコモ割プラス」でdポイント進呈を選択したら、料金割引額の1.2倍のdポイントが進呈されるという。とはいえここでは、わかりやすく料金割引を選択したケースで考えてみよう。
「ずっとドコモ割プラス」を使った場合のベーシックパックの割引額
1st | 2nd | 3rd | 4th | プラチナ | |
---|---|---|---|---|---|
ステップ1(~1GB/2900円) | - | - | - | - | 200円 |
ステップ2(~3GB/4000円) | - | - | - | - | 600円 |
ステップ3(~5GB/5000円) | - | 100円 | 200円 | 600円 | 800円 |
ステップ4(~20GB/7000円) | - | 100円 | 200円 | 600円 | 800円 |
上記表の1st、2nd、3rd、4th、プラチナというのは、dポイントクラブの会員ステージのこと。表示している額がマイナスされる金額を意味している。
会員ステージはドコモ回線継続利用期間か、6か月間のdポイント獲得数に応じて毎月決定するというシステムだ。要するに長年ドコモを使っている人ほど割引率が高くなるということ。
ステップ1やステップ2ではドコモを継続して15年以上使用しているプラチナステージの人じゃないと割り引かれない。逆にデータ量をたくさん使う人の場合は、ドコモ通算4年以上の2ndステージの人から割引が始まるということになる。
「ベーシックシェアパック」の「ずっとドコモ割プラス」の割引額
各ステージの決まり方は後述するとして、先に「ベーシックシェアパック」の割引額を確認しておこう。
「ずっとドコモ割プラス」を使った場合のベーシックシェアパックの割引額
1st | 2nd | 3rd | 4th | プラチナ | |
---|---|---|---|---|---|
ステップ1(~5GB/6500円) | - | 100円 | 200円 | 600円 | 900円 |
ステップ2(~10GB/9000円) | - | 400円 | 600円 | 800円 | 1000円 |
ステップ3(~15GB/12000円) | - | 600円 | 800円 | 1000円 | 1200円 |
ステップ4(~30GB/15000円) | - | 600円 | 800円 | 1000円 | 1200円 |
1stステージの人の場合はどれほどデータ量を使おうとも割引はしてもらえない。逆にプラチナ会員の場合の割引額は非常に手厚く、長い期間ドコモユーザーだった人に対して手厚くサービスしたいという意図がよくわかる。なお、ドコモ割プラス各ステージの要件は以下のとおりとなっている。
ドコモ会員ステージの決まり方
ステージ | ドコモ回線利用期間 | dポイント獲得数 |
---|---|---|
1st | 4年未満 | 600ポイント未満 |
2nd | 4年以上 | 600ポイント以上 |
3rd | 8年以上 | 1800ポイント以上 |
4th | 10年以上 | 3000ポイント以上 |
プラチナ | 15年以上 | 10000ポイント以上 |
継続利用期間か、dポイント獲得数の両方のステージ判定基準を満たした場合はどちらか上位のステージが適用される。
ドコモの契約年数がまだ短いという人が「ずっとドコモ割プラス」を使用する際は、期間と用途は限定されるものの、料金割引額の1.2倍のポイントを受け取る形にしたほうがなにかとお得かもしれない。
シンプルプランにベーシックパックを組み合わせたケース
ここからは具体的にベーシックパックを組み合わせた例を見ていこう。ひとりでベーシックパックを利用した場合の月額料金は、様々なセット割の要素を取り除いて考えたとき、以下のようになる。
- 基本プラン:シンプルプラン(スマホ)……980円
- パケットパック:ベーシックパック・ステップ1……2,900円
- インターネット接続サービス(spモード)……300円
合計4,180円
上記がもっともデータ量が少ない人(1GB未満)向けのベーシックなプランとなると思われるが、ここに各種割引プランが加わる。
- 「ずっとドコモ割プラス」プラチナステージなら……-200円
- 「docomo with」対象機種購入…… -1,500円
「docomo with」とは対照機種購入で毎月必ず1500円割引というプラン(端末購入サポート等との併用は不可)。
先の4,180円から差し引くと、2,480円だ。長年ドコモユーザーでデータ使用量がほとんどないという人は、毎月2,480円というMVNO並みの料金で利用することができることになる。
ただこの料金にはスマホの割賦代金等は含まれていないので、必ずしも毎月の支払いがここまで安くなるとは限らないので注意してほしい。
また機種変更をしなくても、これまで2GBまで使用できる「ドコモデータパック」=月額3,500円で契約していた人が、「ベーシックパック」にプラン変更し、データ使用量が1GBに満たないというケースでは、パック利用料が3,500円から一気に2,900円まで下がる。
プラチナステージの資格があれば、-200円で利用料はさらに下がって2,700円だ。
一方で1GB未満はありえないが、2GB まではいかないという人の場合。これまで3,500円で済んでいたデータパック料金が、ベーシックプランに変更するとステップ2適用で4,000円が必要になる計算に。
ただし、ここでプラチナステージの人ならステップ2の割引額が600円なので、パック料金は3,400円になり、旧データパック料金に比べると100円安くなり、なおかつ3GB まで使用できることになる。
このように、割引プランのステージの違いや、「docomo with」のような他の割引プランと併用できるため、人によってプラン変更したほうがいいのか、あるいは旧データプランのままのほうがいいのかは変わってくる。
プラン変更する際は、ドコモショップやドコモの公式サイトで、果たして料金が安くなるのかをしっかり確認したうえで行うことをおすすめしたい。
シンプルプランにベーシックシェアパックを組み合わせたケース
次に、基本のシンプルプランにベーシックシェアパックを組み合わせたケースで考えてみよう。父・母・子の家族3人で使用していると仮定する。
- 基本プラン:シンプルプラン(スマホ)……980円×3(2,940)
- インターネット接続サービス(spモード)……300円×3(900)
- パケットパック:ベーシックシェアパック・ステップ1(父)……6,500円
- シェアオプション(母・子)……500円×2(1,000)
合計11,340円(※1人あたり3,780円)
ベーシックシェアパック・ステップ1は家族3人で5GBまでデータ通信が使用可能なプラン。ここに各種割引プランが加わる。たとえば父が「ずっとドコモ割プラス」のプラチナステージならば、-900円の割引となってパケットパック代は5,600円。1人あたり3,480で済むことになる。
またこのプランのいいところは、パケットパックのステップはそのデータ量を超えてしまったとしても、その料金分を払えばよいので、たまに5GBを超えることになっても、年間を通じて考えると、料金が安くなっているというケースもある。
無理にデータ通信の利用を制限するのではなく、年間トータルで比較して考えるようにすれば、節約もしやすくなるのではないだろうか。
データシェアパックが15GB未満の契約ならばプラン変更で安くなる可能性
家族全体でデータ通信量をシェアする旧データシェアパックと新しい「ベーシックシェアパック」では、通信量の区切りが似ているため、月のデータ使用量が15GB未満の人なら、料金はプラン変更で安くなることが多そうだ。
たとえば現在家族で10GBまで使用できる「シェアパック10」に加入している家族が、プラン変更を想定するとどうなるか。
「シェアパック10」の月額料金は9,500円。同じ条件のベーシックシェアパックがステップ2にあたり、月額9,000円。すでに500円安くなる計算だ。そこでさらに父が「ずっとドコモ割プラス」のプラチナステージならば、-1,000円が適用されて月額8,000円になる。
同じように15GBまで使用できるシェアパック15(12,500円)で契約していたら、「ベーシックシェアパック」ステップ3の適用で月額は12,000円。
プランを移行するだけで、そのまま500円安くなる計算になる。ただデータ量の少ないシェアパック5(6,500円)とステップ1は同じ料金設定なので、プラチナステージの人以外はプラン変更しても月額料金はあまり変わらない計算となる。
さらに、30GBまで利用可能なウルトラシェアパック30(13,500円)の場合は、プラン移行するとステップ4の適用となり、月額は15,000円と逆に値上がりしてしまう。ステップ4は15GB以上30GB以下の設定でデータ量の幅も大きい。
家族設定人数が多く、データ使用量も多いという場合には、現状の料金プランのままのほうがよいということになるだろう。
大容量を使用するユーザーにはプラン移行は必要ない?
前述のように、現状でデータ使用料金をウルトラシェアパックで契約している人が、ベーシックシェアパックへ移行してしまうと、料金は割高となってしまう。
またベーシックシェアパックは30GBまでのプランしか設定がないので、データ量50GBや100GBは必要という人には、ウルトラシェアパック50やウルトラシェアパック100を選ぶしか方法はない。
同様に、1人で利用している人が現状で20GBまでのウルトラデータLパック(月額6,000円)を利用していた場合、同じく20GBまでのベーシックパック・ステップ4に移行すると月額7,000円の設定になるため、割高となってしまう。
ステップ4は5GB~20GBの設定なので非常に幅が広く、これだけのデータ量を使用する人がセーブするのは容易ではないだろう。プランは移行しないほうがよいことになる。
このように、ドコモの新料金プランは主にデータ使用量があまり多くないユーザーに対して、より料金をフレキシブルに設定できるようにしたものと考えられる。
動画閲覧やゲームをWi-Fiのない場所でやっていれば、データ量は軽く10GB近く行ってしまうこともあるため、スマホのヘビーユーザーを自認するような人の場合は、新プランはあまり縁のない話になってしまうかもしれない。
新プランスタートで買い替えにおすすめのタイミングは?
前述したように、ドコモの新料金プランはどちらかというとデータ使用量が少ない人向けになっている。一方で、会社と家庭の往復でほぼWi-Fi環境で使用できているからデータ使用量は思ったほど多くないという人も中にはいるだろう。
このように毎月のデータ使用量はそれほど多くないという人は、新プランへの移行を考えてみるといいだろう。さらに、そろそろスマホの買い替えを考えているという人は、その買い替え方次第で、料金はさらに下げられる可能性がある。
ドコモ指定の機種購入で毎月1,500円の割引
ドコモ指定の機種購入で、その機種を使用している限り毎月1,500円割引いてくれるdocomo withというプランがある。文中でも書いたように、新料金プランと併用可能なので、さらに料金を下げることが可能となる。
ただし、購入時に月々サポートや端末購入サポート等の購入プランとの併用ができない。従って、一括支払いや普通に利用料金に割賦料金を上乗せする形で購入する方にはうれしい割引プランとなっている。
特に、同じ機種を長く使用するという方にはうってつけと言えるだろう。ただ残念なことにdocomo withの指定機種は一部のAndroidスマホのみである。
新プランは買い替え時ではなくても料金が下がるのであればプラン変更しよう
ドコモに導入された新料金プランは、買い替えのタイミング等に関係なく、現状の料金プランを変更することができる。データ通信の使用量があまり多くないユーザーを中心に、ドコモに毎月支払う料金が下がる可能性があるので、もし下がることがわかったらすぐにでも変更すべきだ。
プランを変えたほうがいいのかわからない、あるいはそもそも自分がどういうプランで料金を支払っているのかわからないという人は、ドコモショップで確認するといいだろう。また、新料金プランでのシミュレーション等はドコモのオフィシャルサイトで確認することができる。
まとめ
2018年5月25日よりサービスがスタートしたドコモの新料金プラン(パケットパック)、「ベーシックパック」と「ベーシックシェアパック」は、毎月のデータの使用量があまり多くない、スマホのライトユーザーにとって朗報となるような料金プランだった。
もしあなたがドコモユーザーで、いつもそれほどデータ通信をしないという認識があれば、ドコモショップでプラン変更が得か損かを問い合わせてみるといいだろう。
また買い替えをする際に、docomo withのような割引プランを使用すると、ドコモへの毎月の支払いをさらに抑えることができる。後になって後悔しないよう、プラン変更や買い替えはよく調べたうえで実行しよう。