近年、ロードバイクやクロスバイクといったスポーツサイクルで出勤・通学する人が増えている。これは東日本大震災の際に感じた「公共交通機関への不安」の影響が大きい。“自分の足を使って移動する手段”として、自転車がブームになったのだ。
また、運動不足解消などの健康面でも自転車が再注目されている。2017年は国土交通省によって自転車活用推進法も制定されたこともあり、自転車人口がますます上昇することが予想される。
ママチャリやマウンテンバイクなど、自転車の車種はいくつかある。最近ではその中でも「ロードバイク」「クロスバイク」といったスポーツタイプの自転車に人気が集中している。これにはロードレースものの漫画やそこから転じたアニメや舞台の人気も影響していると思われる。
そこで今回は、ロードバイク購入を検討されている人にむけてPINARELLO(ピナレロ)の型番・モデル名について紹介していく。ぜひ参考にしていただきたい。
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PINARELLO(ピナレロ)について
PINARELLO(ピナレロ)は、1953年イタリアで生まれた自転車メーカー。コルナゴ、デローザと並び、「イタリア御三家」と呼ばれており、国内外問わず知名度が高い。
創設者のジョバンニ・ピナレロは従兄弟の工房で自転車製作を行いながら、自身もプロのレーサーとして活躍した男だった。1952年にレースで5勝した後に引退し、自転車メーカーピナレロの創業となった。レーサー生活で培った彼の不屈の精神はメーカーとしても継がれている。
ツールドフランスなどの大型レースで、ピナレロに乗ったレーサーが好成績を残したことから、ピナレロの人気は1990年代から爆発的に広まっていった。最近では2012年、2013年、2015年のツールドフランスでピナレロのサポート選手が優勝している。
また姉妹ブランドとして、OPERA(オペラ)がある。
ホリゾンタルフレームを採用
ピナレロのフレームの研究と開発は全てイタリアのトレヴィーゾにある自社工場で行われている
特徴的なのはそのフレームの種類だ。多くのメーカーが「スローピングフレーム」を採用しているのに対して、ピナレロはホリゾンタルフレームを採用している。
ここでそれぞれのフレームについて紹介しよう。
スローピングフレーム
フレームのトップチューブ部分が、後方へ進むに連れて地面側(下側)の方へ下がっていく形になっている。
特徴としては、フレーム全体が小さくなることで剛性が強くなる。これによりシートの上げ下げ幅が広くなるのでサイズの自由度が高くなることが挙げられる。
ホリゾンタルフレーム
スローピングとは対象的に、トップチューブが地面に対して水平の設計となっている。構造上、トップチューブが長くなる。そのため地面から伝わる振動の吸収性に優れているデザインだといえる。
その昔ながらの見た目は自転車愛好家(ロードバイクファン)に高く評価されている。彼らにとってはピナレロを選ぶ一つの理由となっているようだ。性能だけでみると、スローピングフレームの方が良いと考える人が多いものの、好みとしてホリゾンタルを選ぶ人も多いのだとか。
独特なデザインのフォーク
ピナレロを語る上で欠かせないのが、独特な形状の「フォーク」部分だ。
一見すればわかるように、通常のロードバイクとは異なり“うねり”のある形状となっている。これは、ピナレロ社が独自開発した技術で「ONDAフォーク」と呼ばれている。左右非対称の形にすることで、通常よりもバランス力に優れたフレームになると言われている。
なぜ左右非対称なのか?
ロードバイクのパーツ(部品)は主に右側についている。例えば、チェーンは右側についているのはわかりやすいだろう。両足でペダルを漕いでも、その影響は右側にしかないチェーンに行く。
ピナレロの有限要素分析法を用いた計算のデータがある。最大の力が加わったフレームのたわみは右には1〜2mmとなるのに対し、左には2〜3mmと、差が出るのがわかる。
そのため、フォークを左右対称にしてしまうと自転車全体で左右のバランスが意外にも取れていないことになる。こういったことから、右側よりも左側のフォーク部分を分厚く設計してバランスを取り、しなやかながら剛力を強くしているのだ。
実際に、ピナレロのロードバイクに乗った人に感想を聞くと「振動をほとんど感じない」「スムーズな乗り心地」といった声が多数挙がる。またピナレロのホームページによると、左右対称のフォークよりも16%バランス力がアップしている。これらのことからも、独自技術「ONDAフォーク」の性能は確かなものと言えそうだ。
進化するONDAフォーク
さらにその性能も進化している。レースでスピードを出すには、空気抵抗をなるべく抑えたい。サイクリストが感じる空気抵抗を発生させているのはフォークとフレームだ。そのため、FlatBack形状を利用した「ONDA F8フォーク」は「ONDA 2フォーク」よりも54%も空気抵抗を軽減するよう作られている。
人気漫画の主要キャラが愛用したことで注目
ピナレロは、ロードバイク好きの間では昔から知名度が高い。「一度は乗ってみたい」と言われるような憧れの対象となっていたブランドた。しかしながら、一般層の間では「ビアンキ」「ルイガノ」などに比べてあまり認知度が高くなかった。
しかし、昨今の「自転車ブーム」により、この状況が一変したのだ。
自転車ブームの火付け役となったのは、自転車漫画「弱虫ペダル」。この漫画の主要登場人物鳴子章吉が愛用していることから、普段ロードバイクに乗っていなかった一般層にまでブランドネームが普及し始めたのだ。
鳴子章吉が、漫画初期から登場する重要キャラクターだったということも、人気に拍車がかかった理由の一つだと言えるだろう。彼は大阪から千葉に引っ越して来ており、「浪花のスピードマン」の異名を持つ。ロードバイクには小学生の頃から乗っていたという人物だ。派手好きで、髪とピナレロのロードバイクが赤でコーディネートされているのも特徴だ。
自転車店では、ピナレロのエントリーモデルを中心に購入希望者が多数訪れ、売り切れが相次いだそうだ。
PINARELLO(ピナレロ)の型番・モデル名について
それでは、以下でPINARELLO(ピナレロ)の型番・モデル名についてみていこうと思う。パソコンやスマートフォンなどのガジェット系とは、仕組みが大きく異なるので確認しておいて欲しい。
フレーム名=モデル名が基本ルール
ロードバイクの“核”となる部分は、やはりフレームだ。そのため、ロードバイクの世界では、基本的にフレーム名がモデル名となる傾向にある。例えば、PINARELLO(ピナレロ)であれば「NEOR」「PRINCE」「PRIMA」といったように、各モデルに名前がついている。
フレームのみの販売でも同じモデル名で売られているので、特にネットなどで購入するときは「完成車」なのか「フレームセット」なのかをしっかりと見分けよう。
ピナレロのコンポーネント
ロードバイクはコンポーネントによってモデル名が全て変わるブランドと、「フレーム名+コンポーネント」でモデル名とするブランドの2通りがある。
PINARELLO(ピナレロ)に関して言えば、モデル名が変わる=コンポーネントが変わるというブランドだ。連動させて覚えておくといい。ピナレロは、似たようなモデル名の場合材質が違うなどの変化がある。
ただし、同じモデル名のものでもコンポーネントにいくつか種類がある場合もある。例えば「GAN」と付くモデル名は「GAN」、「GAN S」.「GAN RS」、「GAN DISK」の4つある。しかしこれだけではバイクの種類は分けきれない。
どういうことかというと、同じモデル名のバイクの中にもスペックの異なるモデルが存在するのだ。「GAN」の場合「Centaur 11S完成車」、「105MIX 11S」、「105MIX 11S EZ」の3つに分かれる。
つまりピナレロの場合、モデル名で表されるのはフレーム、メインマテリアル、フロントフォーク、リアステイ、ボトムブラケットまでだ。コンポーネントの一部などその他の違いは、後に続くコンポーネント名で区別される。
モデル名である程度分けたあと、更なる違いはコンポーネント名で示すという仕組みなのだ。ピナレロの正確なモデル名は「モデル名+コンポーネント名」となることがあることを覚えておくべきだろう。
ピナレロのモデル名
- PRIMA
- NEOR
- RAZHA
- PRINCE
- GAN
- GAN DISK
- GAN S
- GAN RS
- DOGMA F8
- DOGMA F10 DISK
- DOGMA F10 Xlight
- DOGMA F10
- Etc……
年代にも注目!中古販売店では要確認
また、ロードバイクにおいて「販売年代」は非常に重要な要素となる。
実は、同じモデル名のロードバイクでも販売年によってスペックが異なることがあるのだ。基本的には販売年が新しいものほど高額で取引される傾向にある。しかし「評判の良かった年代のフレーム」などは最新モデルよりも高値で取引されることも少なくはない。
中古店では「〜2008年」のようにモデル名の後に、年代が書かれてディスプレイされていることがほとんどだ。中古での購入を検討しているのであれば、発売年にもしっかりと目を向けておこう。
PINARELLO(ピナレロ)の型番・モデル名の調べ方とは
以上の情報を頭に入れたところで、「PINARELLO(ピナレロ)の型番・モデル名」の調べ方を紹介していく。
車体で調べるよりも保証書が確実
PINARELLO(ピナレロ)のフレームには、デザインの一部としてモデル名が大きく書かれていることがある。しかし、あくまでもデザインとしてなので詳細まではわかりかねる。
例えばDOGMA F10シリーズは、「F10」と大きく書かれているがDISK、Xlightなど細かいモデル名は書かれていないこともある。
そのため、正確なモデル名を知りたいのであれば、購入時についてきた「保証書」を確認するのが確実だ。保証書には、モデル名や型番だけでなくシリアルナンバーや購入日、購入店舗名にいたるまで必要な情報が全て記載されている。
もしも、自分が持っている自転車の情報が知りたいのであれば、保証書を確認するようにしよう。また、上記のように大切な情報が載っている書類である。自転車を中古販売に出す場合にもこの保証書によって正規品であることを証明できる。自転車を購入したら保証書は無くさないように保管しよう。
ボトムブランケットの下にシリアルナンバー記載
「シリアルナンバー」は型番とは別に、製造された自転車一台一台に付けられた個別の番号だ。
型番・モデル名と並んで大切な番号「シリアルナンバー」は、各自転車のボトムブランケット下部に刻印されていることがほとんどだ。ボトムブランケット部分に記載がない場合はサドル付近にシールとして貼られている可能性もある。
保証書がない状況でシリアルナンバーを調べたい場合は、まずボトムブランケット部分を確認してみるといいだろう。
まとめ
PINARELLO(ピナレロ)の型番・モデル名を調べたいのであれば、保証書を確認するのがもっとも確実な方法だと言える。保証書は、中古品として売却する際に「正規ルートで購入した」ことを証明する大切な証拠となる。修理依頼などでも必須となる大切な書類なので、捨てずに大切に保管しておこう。
人気のあるピナレロは、モデルによってはかなり高額で販売されている。新品は手が届きにくいかもしれないが、そういうときは中古品で探すと手ごろな値段で購入できる場合もある。上記で紹介した内容を参考に、納得のいく買い物をして欲しい。