1980年代のスコッチウイスキー冬の時代、惜しまれつつも閉鎖した蒸溜所で造られていたバンフ。その後もしばらくは貯蔵されていたものを利用した商品が販売されていたが、現在ではかなり流通量は減少している。
このバンフ、閉鎖系のウイスキーとして今なお世界中にファンが多く、買取市場では比較的高額で取引されることも珍しくない。本稿ではバンフの特徴や買取の方法、そして買取相場などについて紹介する。
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UDバンフについて
すでに閉鎖された蒸溜所で製造されていたバンフ。バンフの蒸溜所はなぜ閉鎖されてしまったのか、そしてバンフはどのような味わいや香りのお酒なのだろうか。以下で見ていこう。
バンフの蒸溜所はすでに閉鎖されている
1980年代はスコッチウイスキーが不況だった時代で多くの蒸溜所が閉鎖された。とくに1983年には、11箇所もの蒸留所が一斉に閉鎖に追い込まれてしまった。閉鎖された蒸溜所中には、ブローラやポートエレンなどの人気のあった蒸溜所もあれば、グレンモール、グレンアギーなどの比較的マイナーな蒸留所などもあった。
UD(ユナイテッド・ディスティラーズ)は、複数の蒸溜所を所有する巨大ウイスキーメーカー。80年代のウイスキー不況の影響はやはり避けがたく、一部の蒸溜所の操業停止やブランドの廃止などもやむをえなかったのだろう。
グループ全体での生産調整の一環として、設備の古い蒸溜所ややや売れ行きの芳しくないブランドなどを閉鎖していったと考えられる。その中でバンフを製造していた蒸溜所も閉鎖されることになった。
ただし、バンフ蒸溜所は原酒の貯蔵量が多かったため、閉鎖後もしばらくはUDレアモルトシリーズなどの各種リリースがそれなりに流通していたようだ。しかし2019年の今、バンフの流通量は激減している。もし手元にバンフをお持ちであれば、そこそこの希少価値がある。閉鎖系のウイスキーとして、一定の人気があるからだ。
UDバンフの味わいの特徴は麦感と程よいスモーキーさ
バンフの味わいは麦感が主体だ。そして程よいスモーキーさと蜂蜜のような甘み。アメリカンホワイトオーク系のドライなオークフレーバーと華やかさがある原酒だ。あまり癖は強くなく、バランスが良いウイスキーといえる。
アルコール度数は40度から50度ほどなので、飲んだ最初は舌がピリっとする。少し水で割って飲むと香りに華やかさが増すかもしれない。製造から年月を経た長熟なので、酒質が整えられている。それほど強い味わいではないので余韻の広がりを感じつつ、しみじみと飲みたいお酒だ。
UDバンフの種類
すでに述べたとおり、バンフの蒸溜所は1983年に閉鎖された。ウェブ検索でバンフをさがしていくと、21年と37年が多かった。現在残っているものが多いということは、当時の流通量が多かった種類ということなのだろう。
UDレアモルト バンフ 21年1982-2003 57.1%
1982年から2003年の21年間に樽に入れられていたもの。シェリーらしい甘みとハーブらしい苦味が交互に訪れるような味わいで、徐々に熟成した独特の味わいがとなる。樽由来の奥深い甘い香りに、苦みのある柑橘類や干し草の香りが加わっており、さらに黒蜜の甘さも徐々に出てくるという重層的な味わいが特徴。
UDレアモルト バンフ 37年 1975-2013 MOSダイヤモンド 42.9%
バンフらしい麦系のフレーバーに加え、ややドライだが、オークらしく華やかな口当たり。その後はクリーミーな麦芽風味がある。ナッツやパイナップルと、ドライな柑橘感のアクセントがありフルーティー。殻付きの麦芽、華やかなオーク、そしてピートのほろ苦いフレーバーがじわじわと長く残る余韻。口につけてから余韻まで、味わいや香味が変化するのを楽しめるだろう。
バンフの買取方法
すでに蒸溜所が閉鎖されてしまったため、新たな製造はおこなわれていないバンフ。もしその稀少なバンフが手元にあり、もう飲む予定がないのなら買取を検討してみてもいいだろう。意外な高値での買取が期待できる。
さて、買取の方法には買取店に買い取ってもらう方法と個人間取引を利用する方法の2通りが考えられる。以下、それぞれの方法の特徴を見ていこう。
買取店に買い取ってもらう方法
ウイスキーのような嗜好性の高い商品の買取は、そのウイスキーの価値を把握している人でないと正確な買取価格をつけてもらうのは難しい。買取店には経験豊富な買取査定のプロがいるので、その点は信頼できるだろう。
ただし、買取もビジネスだから、本来あるべき買取価格よりも安く買い叩こうとする店も残念ながらあるだろう。そういった買取店でないかどうかを見分けるため、買取店を選ぶ際は、買取実績やクチコミ情報を可能な限り確認しておくようにしよう。
複数の買取店に査定を依頼
査定を申し込むときは複数の買取店に依頼するとよい。査定結果が複数あれば、比較検討する材料になる。査定だけであれば無料という買取店が多いので、手間を惜しまずやってみてほしい。その一手間をかけるかかけないかで手取りが大きく変わってくる可能性もあるからだ。なお、複数の買取店の一括査定ができるところもある。
その他のポイント
その他、買取店に買い取ってもらうときのポイントは、なるべくきれいな状態で、箱などの付属品をそろえて査定に出すこと、他の商品とまとめて売ることなどがある。また買取額増額のようなキャンペーンがおこなわれているタイミングもある。せっかくのバンフなので、なるべく高い査定になるようにしたい。
個人間取引を利用する方法
個人間取引とは、いわゆるネットオークションやフリマアプリを利用して、出品者と購入者が個人同士で取引する方法だ。ネットオークションでは開始価格や即決価格をフリマアプリでは売値をそれぞれ自分で決めることができる。これらの価格を適切に設定すれば、買取店の買取額よりもネットオークションやフリマアプリで売ったほうが手取りが多くなる可能性が高い。
手間がかかる
ただし、出品の際には商品に関する情報を集め、写真を撮影し、出品物の説明文章を書くというような手間がかかる。購入希望者からの質問や値下げ交渉などに対応する必要もある。落札や購入があった後には、割れないように厳重に梱包して発送する手間もかかる。
トラブルに巻きこまれる可能性も
このように個人間取引にはさまざまな手間がかかる。しかも、必ずしも買い手がつくとはかぎらないし、買い手とトラブルになる可能性もないとはいえない。買取店に買い取ってもらうのに比べると手取り金額は多くなりそうだが、その分自分の作業や責任が増えるため、なかなか大変ではある。
手数料がかかる
なお個人間取引といっても、ヤフオクやメルカリを利用すれば一定の手数料を徴収される。買取の目的や自分自身の適性などを考慮した上で、買取店と個人間取引のどちらがよいか決める必要がある。
バンフの買取・取引相場
バンフを扱っている買取店はあまり多くなく、買取実績がほとんど見つからなかった。生産が終了してからかなりの時間が経ったため、取引が可能な状態で残っている本数がかなり少なくなっているのだろう。
そういう意味ではバンフはもちろん稀少な商品だが信じられないようなプレミアがついているわけでもなく、価格的にはそこそこ高価というくらいだ。
大黒屋での買取相場
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
時計、宝石、ブランドバッグなどのさまざまな商品の買取をおこなっている大黒屋。ウイスキー、ブランデー、ワインなどを中心に、お酒も高く買い取ってくれることで有名だ。高く買い取り、安く売るをモットーにしており、他の買取店よりも高額での買取が期待できる。
LINE査定やメール査定があるので、まずはここで査定してもらおう。査定価格に納得できたら宅配買取キットを送ってもらい、実際に買取りに出せばよい。大黒屋ではバンフの買取実績はなかったが買取上限価格が見つかった。
UD バンフ 21年 1982 レアモルト セレクションで、買取上限価格は40,000円だ。ぜひ参考にしてほしい。
買取センタージーピーでの買取相場
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
買取センタージーピーは千葉県を中心に多数の店舗がある買取店。買取対象には貴金属や時計、金券などもあるがお酒も取り扱っている。店頭買取と出張買取のほか、メール査定とLINE査定とスカイプ査定に対応している。
パソコンやスマホで手軽にできるメール、LINE、スカイプでの査定は無料で最短10分で回答がある。もし手元にバンフがあるなら、試しに査定に出してみてもいいだろう。その結果を見て本当に買い取ってもらうかどうか決めても遅くはない。
買取センタージーピーでは、UD レアモルトセレクション BANFF バンフ 21年 スコッチウイスキー 700ml 57.1% 箱つきの買取実績が見つかったが買取金額は掲載されていなかった。
メルカリでの取引相場
日本でのダウンロード数やユーザ数が最大のフリマアプリ、メルカリ。利用者は多いはずだが、バンフの取引実績はたった1件しか見つからなかった。新品、未使用のバンフ 21年 UDレアモルトセレクションが87,000円だった。
メルカリでは販売手数料が10%かかり、さらに送料が出品者負担だったので、出品者には77,000円前後が入ったと思われる。買い手がつきさえすれば、買取店に買い取ってもらうよりも手取りが多くなりそうだ。
ヤフオクでの取引相場
日本で最大の利用者がいるネットオークションのヤフオクでは、5件の取引実績が見つかった。平均落札価格としては60,000円ほどになる。10万円を越える落札となる可能性は低そうだ。
結果的に驚異的なプレミアがつくようなブランドではなかったという意味で、ユナイテッド・ディスティラーズ社がバンフの蒸溜所を閉鎖した判断は間違ってはいなかったともいえるだろう。
- ・オールドレア バンフ37年 オールドボトル:92,000円
- ・閉鎖系バンフ1976 25年 55.6% 700mL 土屋守氏 セレクション:60,000円
- ・(スコッチウイスキー)バンフ1977年(オールドモルトカスク) 1977-2002 50% 700ml:59,000円
- ・【未開栓】UD レアモルト セレクション バンフ 21年 1982 ウイスキー 700ml 57.1% 箱あり:58,000円
- ・古酒 G&M コニサーズチョイス バンフ1974年 40%:30,600円
ウイスキーには偽物が多い点に気をつけよう
ウイスキーは買取市場で活発な取引がおこなわれている人気商品だ。しかし、1本でも高額で取引されている人気商品ゆえに残念ながら偽物が多く出回っていることでも知られている。
空き瓶に適当な中身を入れて販売
ウイスキーの空き瓶が、数万円、物によっては数十万円もの価格で取引されていることをご存知だろうか。もちろん、好きな銘柄なので空き瓶だけでも保有したいと考えている人もいるのだろう。ただ現実には、その空き瓶に適当な中身を入れて転売して大儲けしようと考える悪人も多いのだ。
ほとんど市場に出回っていないような古くて稀少なウイスキーでは、実際にそれを飲んたことがある人は少ない。仮に飲んだことがあっても、その味を詳細に記憶している人までとなるとほとんど皆無だろう。転売人はそこにつけこんでくる。似たような味わいの原酒をベースにして、他のウイスキーやシロップ、香料、着色料などを適当に混ぜて味や香りや色を調整すれば、いかにもそれらしい偽物を作れてしまう。
その後は、購入者側がよほどのウイスキー通でもない限り、高いお金を出して買ったんだからと脳内補正して本物と信じてしまうというわけだ。万が一何か疑問を感じても、手間もお金をかけて専門機関に鑑定に出して炭素年代測定や成分分析などの科学的検査までしてもらおうという人は稀だ。
本物の写真を使って販売
ネットオークションやフリマアプリで出品した商品の紹介をしている段階では偽物の写真を使って本物のように見せかけていることがある。悪質なケースでは、商品の紹介をしている段階では本物の写真などを使用し、落札されたり取引成立したりしたときに実際には偽物を送るというやり方もある。
偽物でないかどうかを改めて確認
もちろん、今この記事を読まれている方は偽物のウイスキーを使って一儲けしてやろうなどと考えている人はいないはず。ただ、気をつけていただきたいのは買取を依頼したり出品したりしようとしているお手元のウイスキーが本当に本物なのかどうかということだ。もし実際に買取依頼や出品をするとなったら、本物だと思い込まず、偽物でないかどうかを改めて確認してからにしておいたほうが安全だ。
本物と確実でないなら出品を控える
バンフはすでに公式の製造も流通も終わっているため、公式サイトや店舗などで購入したという確証が持てるものはほとんどないだろう。そのバンフが本物かどうか確実でないのなら、買取依頼や出品をするのは控えておいたほうが賢明だ。
万が一、買取依頼や出品をしたものが偽物であったとしても相手を騙そうとする意図がなければ、詐欺罪にはあたらない。ただし、詐欺罪にあたらなかったとしても、相手方に被害を与えた場合は、民法上の不法行為にあたる。返品や返金に応じるとともに、相手方に対して一定の損害賠償をすべきこととなる。
取り替え詐欺に注意
とはいえ問題がややこしいのは、本物を購入したにも関わらず、落札後に偽物だと言いがかりをつけてくる手口があることだ。このとき、購入した本物でなく、偽物を返品するので、取り替え詐欺と呼ばれている。
このようにして転売益を狙って出品者を罠にはめる落札者もいることに注意しなければならない。ウイスキーにかぎらず、ブランド品などのそれなりに高値で取引される商品に関しては、常にこのような問題に対して警戒することが必要だ。
まとめ
麦感と程よいスモーキーさに特徴のあるバンフ。バンフを製造していた蒸溜所は、1980年代に閉鎖された。ただ、その後しばらくは貯蔵されていたバンフが流通していた。
現在も閉鎖系のウイスキーとして一定の人気がある。驚くような高値ではないが、そこそこの値段では買い取ってもらえる。偽物に気をつけつつ、状態のいいうちに高い査定額を出してもらえる買取店に買い取ってもらうのも有力な選択肢といえるだろう。