必要なくなったものを買い取るリサイクルショップなどを営みたいと思っている人もいるだろう。リサイクルショップなどの古物営業をするためには、古物商取得をしなければならない。
しかし、この古物とはいったい何を指すのか、古物営業の定義が何なのかよくわからないという人も多くいる。古物とはどのようなものを指しているのか、古物営業の定義、古物営業をする際の注意点などについて、詳しく解説していくので参考にしてほしい。
CONTENTS
こちらのページには広告パートナーが含まれる場合があります。掲載されている買取価格は公開日のみ有効で、その後の相場変動、各企業の在庫状況、実物の状態などにより変動する可能性があります。
古物とは?
古物の定義とは、「一度使用された現品」「一度も使用されていなくても、使用することを目的として取引されたもの」とされている。なおかつこれらの現品に手入れを施したものというのが古物の定義となっているのだ。
手入れとは、その現品本来の用途などに影響を及ぼさない範囲で修理などをすることを言う。ようするに、汚れなどをクリーニングしたり、部品の交換などを行ったりすることになるだろう。古物と一口に言ってもさまざまで、法令によって13種に分類されている。
美術品類
美術品類にはその名の通り、古美術や骨とう品、絵画や書画、彫刻や工芸品などが含まれる。またそれだけではなく、刀剣や登録火縄銃というようなものまで美術品類に含まれるとされている。比較的取り扱いや保管、査定の難易度が高いものが多いのが特徴だろう。
衣類
衣類には、着物などの和装から普段着できる洋服まで幅広い古着が含まれている。洋服類だけではなく、テーブル掛けや布団、帽子などの繊維製品、革製品など、主に身につけるものが衣類として分類されているのだ。
時計・宝飾品類
腕時計などの時計類、ネックレスやピアスといった装飾品や貴金属、宝石類、金やプラチナなどが時計・宝飾品類に分類されている。そのほかにも、オルゴールや眼鏡といったものもこちらに含まれている。
自動車
自動車はその名の通り車だ。車本体だけでなく、タイヤやバンパー、カーナビといった車関係の部品類も自動車に分類される。
自動二輪・原付
バイクや原付本体、またはその部品類がこれらに分類されている。
自転車類
自転車本体やタイヤなどの部品類が該当する。
写真機類
写真機類とはいわゆるカメラだ。デジタルカメラや一眼レフカメラ、ビデオカメラなどが含まれている。カメラの部品であるカメラレンズ、望遠鏡や双眼鏡、顕微鏡といったレンズを使用している機器もこの写真機類とされているのだ。
事務機器類
これは、パソコンやその周辺機器、コピー機やFAX、シュレッダーなどの事務所には必須の機器類だ。計算機やレジスターなども含まれている。
機械工具類
医療機器類や工作機械、土木機械といったものを指している。また、ゲーム機器や電話機、小型船舶などもここに含まれているので、比較的幅広いものを指すのが特徴だろう。
道具類
道具類も幅広いものを指していて、さまざまな物が含まれているのが特徴だ。たとえば、家具や日用雑貨といった家庭内で使うものから、スポーツ用品、楽器などの趣味に使うもの、CDやDVD、ゲームソフトなどのソフト類、おもちゃやトレーディングカードなどが含まれている。
皮革・ゴム製品類
鞄やバッグ、靴といった服飾雑貨、毛皮類やビニール、レザー製などの化学製品などがこちらに分類される。主に皮革類またはゴムから作られているものになるだろう。
書籍
マンガや小説、雑誌などの書籍類になる。
金券類
金券類とは、商品券やビール券、乗車券や航空券、各種入場券や郵便切手類、収入印紙などが含まれている。主に、金銭の代わりとして使えるものや金銭の代わりに提示することでサービスを受けることができるものを指している。
古物営業とは?
古物営業とは、古物営業法第2条より「古物を売買もしくは交換すること、または委託を受けて売買もしくは交換する営業を繰り返し行うこと」と定義づけられている。
ようするに、上記で紹介したような古物を買い取ったり交換したりして、その買い取ったものなどを売りに出す、人から頼まれて売買や交換をして利益を出す営業をしているということだ。これを1号営業と言って、これとは別に2号営業、3号営業がある。
2号営業は、古物客間の売買、交換のための古物市場を経営する、3号営業はインターネットオークションサイトの運営などが含まれている。古物営業をするためには、都道府県公安委員会の許可を取得する必要がある。
公安委員会から許可を受けて「古物商」として登録して営業しなければならない。しかし、古物を取り扱っていても、古物営業に当たらない場合もあるので注意しよう。
古物営業に当たらないケースの一つ目は、「古物の買取を扱わずに、売却だけを行う場合」である。買取業務を行わず、古物の売却だけを行っている場合には古物営業とはみなされない。
二つ目は「外国で古物を買い付けて国内に輸入し、売却する場合」である。基本的には、自らが外国に行って古物を買い付けてそれを日本国内で売却する場合には古物営業には当たらないとされている。
最後は「自分が売却したものを売却した相手から買い受けることのみを行う場合」である。つまり、自分が何かしらの物品を売ったとして、その売ったものを売却した相手から買い戻す場合には、古物営業には当たらないということだ。
古物営業するために必要なもの
古物営業をするために必要なもので重要なのは、古物商許可だ。厳密にいえば1号営業と2号営業をする場合には古物商許可が必要になる。3号営業については許可は必要としておらず、届け出を提出すればOKだ。
1号営業を行う場合には、営業所がある都道府県の公安委員会の許可が、2号営業を行う場合には、古物市場のある都道府県の公安委員会の許可が必要になる。
営業所がないという場合には、居住地や所在地のある都道府県の公安委員会に申請しよう。どちらの場合も、複数の県で店舗を展開したいという時にはその県ごとに古物商許可を取る必要があるので注意が必要だ。
ひとつの県でのみ展開する場合には、一度古物商許可を取るだけでいい。古物商許可はどのように取ればいいのかよくわからないという人もいるだろうから、どのように許可を取るのか、許可を取れないケースもあるのかといったことを見ていこう。
警察署で申請を
古物商許可は公安委員会から受けることになるが、申請は営業所や古物市場があるところの所轄警察署で行おう。どこの窓口で申請するかは、それぞれの警察署によって違う場合があるので、問い合わせてみてほしい。
具体的な申請方法については、警察のホームページで公開されているので確認しよう。「○○県古物許可証」というように検索するとすぐに出てくる。法人か個人かで提出書類が異なるので、しっかりと確認してほしい。
申請のためには、「許可申請書」「住民票」「身分証明書」「成年被後見人・被保佐人に登記されていないことの証明書」「略歴書」「誓約書」といったものが必要になるので、これらの書類の入手方法も調べておく、入手しておくとスムーズに申請が進む。また、許可申請には手数料もかかるのでそちらも注意してほしい。
必ず許可が取れるわけではない
古物営業許可は誰しもが必ず取れるわけではない。欠格要件に当てはまっていると、古物商申請をしても許可してもらえないので、自分が当てはまっていないか確認してみよう。
欠格要件は、「成年被後見人、被保佐人または破産者」「禁錮以上の刑、または特定の犯罪によって罰金の刑に処せられていて、なおかつ5年を経過していない」「住所不定」「古物営業の許可を取り消されていて、5年を経過していない」「未成年者」などがある。これらに該当していると申請しても許可は取れないので、要件を満たしてから申請しよう。
古物営業する時の義務
古物営業をするには、古物商許可を取るだけではいけない。古物営業をするためには、いくつかの遵守事項があるのでそれをしっかり守って営業するようにしよう。まずは、「古物商許可プレート」を店内や事務所などのわかりやすい場所に掲示することだ。
古物商許可プレートは自分で作ることになるので、忘れずに作って掲示しなければいけない。古物商許可の番号、会社名、主に取り扱っている品物の名前、美術品類なら美術品商というように入れてプレートを作る。
これ以外にも、営業所ごとに責任者を一人ずつ置く、買取や委託の場合には相手方の身分を確認して取引内容と一緒に記録しておく、行商や競り売りの場合には古物商許可証を携帯する、といったことが定められているのだ。
扱う品目によってはもっと細かく規定がある場合もあるので、古物商許可を取るだけでなくきちんと内容を把握して、実行していくことが重要だ。
まとめ
古物営業をするためには古物商許可を得なければいけないのだが、これは古物営業法というもので定められている。なぜ、これが必要なのかというと古物には窃盗品などが混在するおそれがあるからだ。
盗品の売買を事前に予防する、被害品の早期発見によって犯罪を防止するというようなことを目的としているのである。つまり、どこかで宝飾品や絵画などが盗まれた、窃盗品が売られた可能性があるという時に、警察が迅速に古物の取り扱いをしている店舗を調べるため、営業所や責任者、商品の保管場所などを把握しておく必要があるのだ。
盗みを行う人の中には、換金目的という人も多い。そのようなことから、換金のためのルートである古物商を許可制にして、警察が売買を把握できるようにしているということになる。犯罪の抑制や予防、早期発見という観点からもきちんと古物商許可を得て営業するようにしよう。
店舗などを運営せずに、せどりを行っているという人も少なくないが、この場合にも古物商許可を得ておくほうが無難だろう。
せどりの場合には古物商許可は不要というような噂もあるが、万が一警察からの捜査要請などがあった場合に無許可営業だったということでトラブルになる可能性も考えられる。せどりを行う場合にも、古物商許可を得ておけば安心して行える。