ジャパニーズウィスキーの代表格として、世界中で愛されているサントリーウィスキー。その数あるラインナップのなかでも、ウィスキー醸造の理想郷として名高い山崎蒸留所の名を冠する人気ブランドが、サントリーウィスキー山崎だ。
山崎は市場に広く流通しているものだけでなく、限定モデルや特別モデルなどの数が多く、醸造する樽の種類や熟成年数の違いによっても多くの種類がある。今回取り上げるのは、もともとギフト用として期間限定で発売されていた樽出原酒というシリーズで、数が限られているためプレミア価格で取引されることの多い逸品だ。
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山崎蒸留所樽出原酒ピュアモルト12年とは
まずは、山崎蒸留所樽出原酒ピュアモルト12年の特徴を見ていこう。
限定品であり希少なウィスキー
山崎蒸留所樽出原酒ピュアモルト12年は、もともとサントリーがギフト用として発売した限定ウィスキーだ。非常に限られた本数しか作られなかったのだが、かなりの好評だったことから年間を通じて生産されるようになったという経緯がある。といっても実際に出回る量は少なく、希少なウィスキーとして今でもすぐに売り切れてしまうほどの人気モデルだ。
趣のラベルデザインが好評
この樽出原酒シリーズは山崎蒸留所だけでなく、白洲蒸留所で作られる白洲ブランドにも存在する。さらには熟成年数、樽の種類などによっても種類が分かれており、いずれも非常に貴重なウィスキーだ。その特徴をまず外観からあげていくとウィスキーにはめずらしく、明朝体の漢字で樽出原酒酒精五十八度といった表記がされている。
まるで焼酎や日本酒のような趣のラベルデザインは非常に好評で、国際的なパッケージデザインのコンクールで金賞を受賞した実績があるほど。このラベル自体にも人気があるため、買取市場ではラベルの状態が良いかどうかも査定に影響する。
ナンバー表記が手書き
そして、もともと限定発売されていただけあって、その数自体がとても希少となっている。その証拠に、この樽出原酒モデルはボトル1つ1つに製造番号が記載されているのだ。
しかも、ボトルネックの部分にボトルナンバーの入ったシールが貼られているのだが、そのナンバー表記が手書きという、なんともハンドメイド感あふれる作りとなっている。もちろん、中身はれっきとした山崎蒸留所で作られたピュアモルトなので安心してほしい。
12年熟成がシリーズの中で一番人気
樽出原酒シリーズは、熟成年数や樽の種類によってもさまざまなバリエーションがあると紹介したが、大きく分けて、15年熟成・12年熟成・10年熟成がある。このうち、15年熟成の方は生産量が少なく、一般販売ルートでは販売終了となったので、ほぼ入手困難な状態だ。
したがって、その次のグレードに当たる12年熟成が、このシリーズで最も人気のあるものとなっている。ただし、12年も過去のギフト用限定モデルだったころの古いものはかなりのプレミアとなっているので高額で取引されていることが多い。
山崎蒸留所の基本情報を知っておこう
それでは、このウィスキーが生み出されている山崎蒸留所についての基本的な情報を知っておこう。
日本初のモルトウィスキー蒸留所
山崎蒸留所は、サントリーウィスキーの主力銘柄である山崎を生産している蒸留所だ。場所は大阪府島本町にあり、もともと水生野(みなせの)と呼ばれた名水の地だった。現在でもこの山崎のすぐ近くにある水無瀬神宮にある離宮の水という湧水は名水百選にも選ばれている。この山崎の地に1923年、現在のサントリーにあたる寿屋が日本初のモルトウィスキー蒸留所として開設したのが、山崎蒸留所だ。
初代所長・竹鶴政孝の躍進
山崎蒸留所の初代所長となったのは、のちにニッカウィスキーの創業者となった竹鶴政孝である。あの朝ドラ、マッサンのモデルとしても有名だ。彼はこの山崎蒸留所で、日本初のジャパニーズウィスキー白札を1929年に製造、販売した。その後、寿屋の方針と対立した竹鶴は寿屋を退社し、北海道余市町でニッカウィスキーを興すこととなる。
サントリーの主力蒸留所として発展
その後、山崎蒸留所はサントリーの主力蒸留所として発展していくこととなる。その方針は蒸留所開設以降から一貫したものだ。
最大の特徴は、タイプの異なる複数の設備を使い分けることで、同じ蒸留所で作られるシングルモルトでありながら、さまざまな特徴を持った原酒を作り上げることができること。発酵槽に関しても、ステンレス槽と木桶槽を使い分けることで味わいや香りにバリエーションを出すことに成功している。
熟成庫では、ホワイトオークを中心にシェリーやミズナラなど計5種類のカスク(樽)を使用し、これを3段から4段に重ねて長期間保存するダンネージ式という方法が採用されている。とくに今回取り上げている樽出原酒ピュアモルト12年で使用されているカスクは、シェリー樽が多いことで有名だ。
山崎は世界を代表するウィスキーブランドとなる
そんな山崎蒸留所で生産される山崎は、1984年以降、世界中で愛飲される人気ブランドとなった。現在市販されている現行モデルの主なものは、山崎・山崎12年・山崎18年・山崎25年だ。このうち、山崎12年は原酒量の不足によって生産中止であることが2018年にアナウンスされている。
現行モデルでも限られた生産量であることから、その派生や限定モデルはいずれも入手困難なものとなっているのが現状だ。主力モデルの方は2003年以降、世界的なウィスキーコンテストで最高賞を獲得する常連となっていて、シングルモルトウィスキーとしては日本だけでなく、世界を代表するウィスキーブランドとなっている。
シェリー樽に関する豆知識
山崎蒸留所樽出原酒ピュアモルト12年では、シェリー樽で貯蔵された原酒から作られている。このシェリー樽は、ウィスキー樽として主に使用されるホワイトオークと違って、果実の生み出す甘い風味をウィスキーに加えることができることで有名だ。では、シェリー樽についての基本的な情報も押さえておこう。
シェリー酒の熟成に使用された樽
シェリー樽とは、シェリー酒の熟成に使用された樽のことを指す。そのため、他の樽と違ってシェリー樽といっても、その名は樽の材質を指すものではない。
シェリー酒はスペインのアンダルシア地方で生産される酒であるため、シェリ-樽の多くはスペインから入手することが多い。この樽を使用することで、シェリーの濃厚で甘い味わいをウィスキーの風味として生かすことができることから、ウィスキーの熟成樽としても広く利用されるようになった。
ファーストリフィルとセカンドリフィル
一口にシェリー樽といってもその種類は、さまざまにあるのだが、1つだけ要点を押さえておくとシェリー樽にはファーストリフィルとセカンドリフィルというものがある。ファーストリフィルとは、シェリー酒の熟成に使用した後、はじめてウィスキー原酒が入った樽のこと。
セカンドリフィルは、1回目以降のウィスキー樽ということになり、当然ファーストリフィルの方がシェリーの風味を色濃く出すことができるのでグレードは高い。ただ、セカンドリフィルでもファーストの半分ほどはシェリーの影響が残るとされていて、果実の甘味との調和バランスの点でセカンドリフィルの方が人気となる場合もある。
山崎蒸留所が本格的に良質のシェリー樽を入手できるようになったのは1980年以降のことで、この時期以降は樽の材質や熟成させるシェリー樽のタイプなどを細かく指定できるようになったといわれている。そのため、1990年~2000年代以降に生産されている山崎ウィスキーでは、シェリ―樽で熟成されたタイプも主力商品の1つとして数多く生産されるようになった。
樽出原酒ピュアモルト12年の買取状況
山崎蒸留所樽出原酒ピュアモルト12年は、かつてはギフト用として期間限定で発売されていた。このギフト用は600mlで製造番号入り、しかもヴィンテージウィスキーとしても評価が高いため、買取市場では比較的高値で取引されているのが現状だ。
買取相場・落札相場
たとえば、ヤフオクなどのオークション相場では、未開栓で状態のよいものであれば1本5万円~6万円で取引されている。さらに近年になって、このシリーズはブレンダーが使用するサンプル瓶150mlのモデルでも発売されている。こちらも買取市場では1万5,000円~2万円弱ほどの値段の値が付くことが多い。
オークションなどでも1本につき数十件の応募数がつくことが普通で、その人気は安定したものだといえるだろう。樽出原酒モデルは熟成15年や熟成12年、シェリー樽使用など種類も多いが全体的に高値で取引されているので、ある一定の種類のみが希少価値があるということはないようだ。買取専門店などでも樽出原酒は買取に力を入れているため、査定を申し出れば喜んで応じてくれるだろう。
査定時の注意点
査定に関して注意しておきたいのは、やはりそのボトルの状態だ。当然未開栓の方が査定額は高くなる。また、樽出原酒シリーズはヴィンテージウィスキーとしての価値もあるので、製造番号入りのシールが付いているか、液面の低下がほとんどなく、ラベルや外はこの状態がよいかどうかも高額査定のための重要なポイントとなる。
サントリーウィスキーは箱やラベルの人気も高いので、箱ありとなしでは1,000円近く査定額に差がついてしまうこともあるようだ。今回の樽出原酒シリーズはラベルのデザイン人気が高いモデルなので、ラベルが大きく破損している、あるいははがれてほとんど残っていないなどの状態だと、査定に大きく影響することも考えられるだろう。
まとめ
今回は、サントリーの誇るシングルモルト山崎から発売されている樽出原酒ピュアモルト12年についての基本情報を説明してきた。もともとギフト用の限定モデルだったものが、人気が高まったことで通年で発売されるようになったという経緯がある。ただ、その生産量は少なく、買取市場では軒並み高値が付いているのが現状だ。
特に限定発売時代だった製造番号付きの600mlボトルは、1本5万円以上の値が付くプレミア商品となっている。サンプル瓶モデルの150mlボトルであっても、1本1万円~2万円台で取引されているので、状態が良いものであればしっかりと買取先を検討した方がいいだろう。ヤフオクやメルカリなどのオークションでも高額で売れる可能性がある。
しかし、その場合でも、まずは相場を確かめる意味で酒類専門の買取業者から複数の見積もりを出してもらうことも得策だ。山崎は限定モデルの種類の数も多く、発売終了となったシリーズも数多くある。専門知識を持った業者に査定してもらうことで思わぬ希少価値の高い掘り出し物である可能性もある。買取を検討しているのであれば慎重に吟味することが重要だ。