古物商の許可を受ける人は年に1万人程度と言われているが、ここ最近では古物商が爆発的な人気を得ているように感じる。特にヤフオクやメルカリといったフリマアプリが普及してからは、副業で古物商をおこなう人も増えてきている。
最近は、合わせて月収20万、50万などを謳いコンサルも増えてきているが、本当に古物商で儲けることができるのだろうか。ここでは、古物商の実態とともに儲かる上で必要となることや商品の選定基準について触れていく。また、年収や利益についても、明確となっている範囲で確認していく。
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古物商を営む上で扱える商品とは
古物商をおこなう上では、古物商とはなにかを把握しておかなければならない。そこで、はじめに基礎的事項を簡単に確認していく。
古物とは
古物商は、古物を扱うことになっているが、以下のように定義されている。
- ・1度使用された物品
- ・新品でも1度消費者に渡った物品
- ・これらのものに幾分の手入れをした物品
この上記の3つに当てはまるものを言う。
古物営業法施行規則による古物の分類
古物商許可申請にあたっては、扱う品目を記載する必要がある。したがって、古物商の品目に関する知識も必要不可欠だろう。品目は以下の13種類で分類されている。
- 1. 美術品類
- 2. 衣類
- 3. 時計・宝飾品
- 4. 自動車
- 5. 自動二輪車及び原動機付自転車
- 6. 自転車類
- 7. 写真機類
- 8. 事務機器類
- 9. 機械工具類
- 10. 道具類
- 11. 皮革・ゴム製品
- 12. 書籍
- 13. 金券類
これら13品目は昭和24年当時を基準にしたものであるため、現代のスマホなどの最新機器の場合は分類が難しいとされる。事前に警察署で要確認が必要だ。
古物営業法の目的
古物営業法は古物商の許可を受けるために必要な条件や古物商が守らなければならない義務などが規定されている。目的としては、古物の流通過程に窃盗の被害品などがまざらないようにするためで、もし混ざってしまった場合に警察が直ぐにこれを発見できるようにするためである。
古物商が古物を買い受けるための3大義務
古物商は許可を受けた段階で3大義務が発生し、これを守らなければ刑に処される。ここでは、3大義務の詳細について確認していく。
本人確認義務
古物商が古物を買い受ける場合、原則として相手の本人確認をしなければならない。しかし、買取価格が1万円未満であれば不要である。身分証明書の提示を受け、相手が未成年の場合は、保護者に確認する。
確認を怠れば、6ヵ月以下の懲役又は30万円以下の罰金を課せられるおそれがある。古物商許可が取り消される場合もあり得る。
不正品の申告義務
古物商が古物を買い取る場合、その古物に不正品(盗品の可能性があるもの)の疑いがあるときは、すぐに警察官にその旨を申告しなければならない。
この義務を怠ると古物営業上の罰則はないが、古物商許可が取り消される可能性がある。また盗品であることを知って買い取った場合は、盗品保管罪・盗品有償譲受罪(刑法256条2項)として10年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられるおそれがある。
取引の記録義務
古物商が古物取引をおこなった場合、その都度古物台帳と呼ばれる帳簿に取引内容を記録しなければならない。記録内容内容は、取引の年月日、古物の品目及び数量、古物の特徴、相手の住所、氏名、職業及び年齢となる。
古物商の業態
古物商許可を取って古物商を営むには、さまざまな形態がある。開業計画をする上で知っておいた方が良い知識だろう。そこで、古物商の主な業態についても確認していく。
せどり
せどりとはお店やネットショップで商品を安く仕入れ、ネットで高く売ることである。主に大手チェーン店などから買入れて、ネットオークションで販売するのが一般的である。
ネットオークション
個人が私物を単発的にネットオークションに出品するのは簡単で古物商許可を取る必要はない。今の時代はネット環境が充実しているので、このような形態で古物をネットオークションで売買するようになってきている。
フリーマーケット
フリーマーケットのルーツは、フランスでおこなわれていた蚤の市(のみのいち)を指す。日本で初めて登場したのは1979年に開催した、第一回フリーマーケットである。主催は日本フリーマーケット協会であり、大阪でおこなわれたとされている。
その後大阪中心に各地に拡がり、今では馴染みのあるものとなっている。フリーマーケットも営利目的ではなく単発的におこなうのであれば、古物商許可は必要ではない。営利目的で継続しておこなうのなら古物商許可を取得しなければならない。
最近ではフリーマーケット・アプリというものが注目され、つまりフリマアプリのことであるが、若い人達中心に人気を集めている。フリマアプリは即決価格で購入でき、オークションのように値段が上がっていくことはない。よく活用されているのがメルカリとラクマである。
リサイクルショップ
リサイクルショップも古物商の業態の1つで、一般家庭や企業、店舗などで使用されていた家電製品や衣類、家具などを再利用するために清掃や整備のし直しをおこなう。盗品の売買又は交換を捜査・検査するために古物商許可を取得するのは必須である。大手のリサイクルショップで有名なのは、ブックオフやセカンドストリート、ゲオなど数多く存在する。
古物商は儲かるのか?儲かる商品とは?
先に述べたように古物商の業態は色々あるが、年々業者の数は増え競争が激化している。今までは店舗ありが通常であり、営業を始めるには資金の調達が難しかったと推測できる。それが今の時代は古物商の許可も簡単に取得でき、営業もネット環境さえあれば商売として成り立つようになってきたのである。
このようなことから、さまざまな業態で古物商を営む人が増え、リサイクルショップの店舗数も増え続けている。よってリサイクル業全体の売上高は伸びているが、1店舗あたりとなると収益は低くなっている。そして、ある程度の知識がなければ古物商を営むのは難しいとされてきた。
だが、オークションなどの参入によって売れ筋や価格なども容易に知ることができるようになっている。骨董品やアンティークなどといった目利きが必要なものを除いても古本や雑貨、家電などの売れる価格が分かるようになってきているのである。
しかし安易に古物商を始めても、次第に商品の知識や資金不足、又在庫量の不安定などにより数年で廃業するお店が少なくなく、新店舗ができても即廃業というパターンに陥っているのである。結果として閉店するリサイクルショップは多いということから収益を上げる、つまり儲けるのは難しいという現状である。逆に知識やセンスがあれば可能性の広がる業である。
儲かっている古物商とは?
古物商で収益を上げるのは難しいという現状でも、儲かっている人がいるのも確かである。それではそのような古物商はどのようにして収益を上げているのだろうか。ここでは、儲かっている古物商の特徴を確認しながら、儲かる商品などを確認していく。
仕入れの方法
儲かる古物商の秘密は仕入れ先にあるとされており、その仕入先は古物市場であると言われている。古物市場には掘り出し物が多く眠っていて、ネットでは決して見つけることができない。その上この古物市場に参加できるのは、古物許可を取得しているものに限られている。特に車などは法人でないと参加できないところもあると言われている。
流通量が少ない商品は売れる
あまり出回っていない商品はねらい目で、海外限定のブランドのバッグなどは需要が大きい。最近ではニッチな商品も人気があり、アニメ関連商品は注目されている。頻繁に売れるものではないが、売れたときには利益が大きく見返りがある。ニッチな商品の知識を得ることで、その分野を自分の専門的なものとすることも可能である。
骨董品と呼ばれるものは需要が高く、特に絵画には注目が集まり日本画は多くの人に親しまれている。海外における洋画や中国の山水画も同様である。ただ、見極めるのは非常に難しく、鑑定には高い能力が求められる。希少価値の高いものであれば買取価格はかなり高額になる。
また日本の伝統工芸も人気があり、茶道具には数百万から数千万の値が付くものまである。100年近くを経過した家具などはアンティークと呼ばれ、国内や海外のものがある。家具だけでなくアンティークものはコレクションする人も多いため、非常に価値のあるものとされる。
ネットオークションは儲かるのか
ネットオークションは個人が不用品などを売るには適した場所で、古物商の許可を取る必要もない。しかし、副業として始めるなら古物商の許可は必要不可欠である。
ネットオークションでの稼ぎ方
このネットオークションで稼ぐには、安い商品を仕入れて相場で販売するというのがメジャーである。ネットオークションの面白いところは、必ずしも同じ商品が同じ価格でで販売できる訳ではなく、相場以上になったり相場以下になったりするところである。それはオークションに参加している人のニーズによって変わるということである。
その商品を欲しい人が多ければ高額になっていき、欲しい人がいなければ売れないということである。古本をネットオークションで売る場合、まず仕入れる為に古本屋で売れそうな本を探す。それには事前に自分自身で売れそうな本をリサーチしておく必要がある。ネット検索をして本の相場価格を確認して仕入れる。
古本屋の多くは本の価値より見た目重視で汚れや傷みのないものほど高値が付けられている。本の価値を知るには知識が必要だからである。となると本の価値を知ることで利益があるということになるだろう。数を熟せば熟すほど儲かると考えられる。そう考えると知識を得るというのはとても大切で、儲けるイコール勉強ということになるのかもしれない。
注目のメルカリで儲ける
古物商の注目点は、フリマアプリであるメルカリの進出である。メルカリは急成長した古物商の業態と言えるであろう。メルカリのメリットは、スマホのみで稼げる点にある。
スマホが1台あれば直ぐに始められ、転売商品があれば資金も掛からない。また、儲かる商品を見つけやすいというのもメリットと言える。他に出品されている商品があれば、販売する予定の商品がいくらくらいでくれるかと言うのも想定しやすい。
さらに初心者でも簡単に始められるため、稼ぎやすいと考えられる。実際、メルカリなどを用いている人の話を聞くと仕入れ値の方が高くなり赤字になってしまう人から、センスのある人だと5万、20万円を稼いでいる人までいるようだ。
しかし、高額な稼ぎである人ほど、メルカリなどでは禁止されている無在庫販売をおこなっている印象があり、アカウントの停止などを受けて稼ぎ続けることができていないことが多いと感じる。メルカリの場合には、電話番号と紐づけられているため、電話番号の用意ができないと新たにアカウントを作ることすら不可能とのことである。
古物商に携わる人の年収の実情
リサイクルショップなどの求人を見ると正社員で月給20万強というのが多いようである。そうなると年収240万強ということになり、決して高給とは言えない。あるリサイクルショップの雇われ店長が年収を公表しているが、30代後半の男性で年収210万は低いと言わざるを得ない。
それもほとんど休みなしで働き、1日でも休めば収入は減っていくということである。しかしこれはあくまでリサイクルショップの内情であって、古物商の業態全てを示しているのではない。1億を稼ぐ人もいるのは実際あることで、雇われかどうか、どういった場で働いているか、扱う古物がなんであるかで変わってくるということでもある。
また、売り方でも利益は大きく変化し、今の時代はネットなしでは営業は難しいのである。その中で躍進しているのがフリマアプリであり、ネットオークションを越える勢いである。古物商で成功して高給を得るには、古物商の業態をしっかり把握し、自分自身で古物の知識を身に着けることがとても大事なことである。
経営者となるには知識と共にある程度の資金も必要であり、社員として働くなら古物商の業態の見極めをしなければならない。フリマアプリの存在がリサイクルショップの低迷の要因であることはよく言われていることであり、この点は否めないだろう。
まとめ
古物商で儲けることができるかどうかは、正直、自身のセンスや知識で大きく左右する。仮に雇われなのであれば、利益を上げた分だけ評価してもらえるところは少なく、さほど高くない年収であることが大半だろう。
また、流通量の少ないニッチな商品は売れやすいと考えられるが、そのニッチな商品を扱えるだけの知識がやはり必要になる。自分のセンスを確認したいのであれば、初心者でも参入しやすいフリマアプリから少しずつ始めていくのも良いかもしれない。
この記事を監修した専門家