DELLはアメリカに本拠地を置く世界的に有名なパソコンメーカーだ。受注してから生産を開始するBTO(Build to Order)方式を採用していることで広く知られている。販売店を経由せず直接ユーザーに売却するため、手頃な価格でPCを購入できるのが魅力だ。
そんなDELLのパソコンを買い取りや回収に出したいなら、注意しなくてはならないことがある。DELLは、ハードディスクなどに残ったデータについて一切の責任を持たないことを公式サイトで明記している。データ流出などが起こっても、ユーザーが自分の責任で対処しなくてはならないのだ。そこで、ここではDELLのPCのデータ消去方法について詳しく解説する。
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そもそもDELLとはどんなメーカーなのか
DELLでは、基本的に受注を受けてから生産を始めるため、在庫をかかえることが少ない。また、最低限度のソフトウェアしかプリインストールされていないことも、低価格化を実現している理由の一つといえるだろう。自作PCに近い雰囲気があるため、特定の層から高い支持を得ている。
そんなDELLのPCのメインブランドが「Inspiron」だ。かつては、個人向けデスクトップが「Dimension」、ノートパソコンが「Inspiron」とブランド分けされていた。ところが、2007年からは低価格帯のデスクトップとノートパソコンが「Inspiron」に統一されたのだ。一方、ハイエンドユーザー向けの製品は、「XPSシリーズ」としてそのまま残った。
2003年10月1日から、いわゆる「資源有効利用促進法」が施行され、これ以降に販売された個人向けPCについては、メーカーの責任において回収および再資源化処理をすることが義務付けられた。これを受けてDELLは、自社製品に限って回収に当たる方針を打ち出したのだ。
ところが、ハードディスク等に記録されたデータについては、DELLは一切の責任を追わないことを明らかにしている。ユーザーが自己責任で対応しなくてはならないのだ。国内のPCメーカーの場合、専用のデータ消去ソフトウェアを添付しているケースが多いことを考えると、対象的な対応だと言わざるを得ない。
また、買い取りについては2018年時点の公式サイトには明記されていない。使用済みのシステムを再販売したい場合には、その価値を判断するため一度DELLが回収する。もし、価値がないと判断されたらリサイクルに回されることになる。
そのため、DELLのPCをより確実に買い取りに出したいなら、認可を受けた買取業者を利用するのも一つの方法といえるだろう。ただし、買い取りと回収のどちらを選んでも、ハードディスク内の情報は自己責任で消去しなくてはならない。
パソコンの初期化ではデータは完全には消えない!
ハードディスクなどの内部ストレージには、多くの個人情報が記録されている可能性がある。氏名や生年月日等の基礎情報はもちろん、GPS情報がひも付いた写真が残っていれば住所まで特定できる。また、銀行口座やクレジットカードの情報を記録している人も少なくないだろう。証券やFX取引をしている場合も要注意だ。
特殊なソフトウェア等を使えば、内部ストレージに残ったデータは容易に抜き取られてしまう。こうした個人情報が外部に流出すると、金銭的な被害にあったり犯罪にまきこまれたりするリスクが高まる。認可を受けていない業者に回収や買い取りを依頼した場合、業者によってデータが流出する可能性もあるため注意しよう。
PCを回収や買い取りに出すとき、初期化しておけば安心だと考える人が少なくない。ところが、PCを初期化したりフォーマットしたりしただけでは、データを完全には消去できないのだ。
パソコンのデータはインデックス部分と実データとに分けて管理されている。初期化やフォーマットを行うと、インデックス部分からはデータが削除されるが、実際のデータはそのまま消えることなく残ってしまう。個人情報が読み取られないようにするためには、別のデータで上書きするしか方法がない。そのために使われるのがデータ消去ソフトウェアだ。
データ消去ソフトウェアとは
データ消去ソフトウェアは、内部ストレージの実データを強制的に別のデータに書き換える機能を持つ。00やランダムな数字によって上書きしていく方法が一般的だ。メーカーが専用ソフトウェアをシステムに添付して配布しているケースも少なくない。このほか、有料ソフトウェアからフリーソフトウェアまでさまざまな種類がある。
DELLのPCでは情報管理は完全に自己責任
DELLのPCでは、専用のデータ消去ソフトウェアを提供していない。そればかりではなく、特定のデータ消去ソフトウェアを推しょうすることはもちろん、ユーザーのセキュリティ・ニーズ対して助言することもないとしているのだ。
公式サイトでは、個人のデータはユーザーが責任を負うべきものだということが明記されている。回収に出したシステムにUSBメモリなどがセットされていたとしても、返ってくる保証はないと考えたほうが良い。
DELLのPCを回収してもらう方法とは
DELLにPCを回収してもらうとき、費用がかかる場合と無料になる場合がある。基本的に、2003年10月1日以降に販売されたパソコンやモニターには、「PC リサイクルマーク」が付いている。これは、メーカーが無料で製品を回収する責任があることを表す。正常に起動しなくなったPCでも問題なく回収してもらえる。
ただし、故意に破壊した場合や、部品を抜いた機器については対象外となる。ディスプレイの画面が割れている場合も同様なので注意しよう。
一方、「PC リサイクルマーク」が付いていない場合でも、2003年10月1日以降に購入したことが明白であれば、無料での回収が可能だ。DELLのPCは受注生産品なので、それぞれにサービスタグナンバーが付いている。一元管理されているため、ナンバーが分かれば購入時期も確認できるのだ。しかし、これ以外の場合は無料では回収してもらえない。
回収にかかる費用とは
気になるのが、回収が有料になった場合の費用だろう。PC本体についてはディスクトップ・ノートパソコンとも回収に3,000円かかる。このとき、マウスやキーホードなどの周辺機器も同時に回収してもらえる。一方、モニターについては、CRTディスプレイなら4,000 円、 液晶ディスプレイでは3,000 円の料金が発生する。
回収の手続きの流れを知ろう
DELLにPCを回収してもらうときの流れは下記のようになる。
- 1.DELLへ回収の申し込みをする
- 2.振込伝票・請求書が郵送されてくる
- 3.料金を支払う
- 4.エコゆうパック伝票が郵送されてくる
- 5.郵便局に回収に来てもらうか自分で持ち込む
- 6.再資源化センターでリサイクル処理
まずは、DELLの公式サイトから回収の申請をする必要がある。無料回収の対象になっていれば、エコゆうパック伝票が送られてくる。そうでない場合は振込伝票や請求書が郵送されてくるので、まずは支払いを済ませよう。支払いが確認されると、エコゆうパック伝票が郵送される。
次に、製品を自分で梱包して、郵便局に回収を依頼するか自分で持ち込むことになる。梱包の方法には下記のような条件があるため注意しよう。
- 1.厚手で破れにくいポリ袋やビニール袋、または段ボール箱に入れること
- 2.重さは30キログラムまで
- 3.縦横高さの長さの合計が、1.7メートル以内
デスクトップパソコンとモニターなどを複数台数同時に回収してもらうには、それぞれ梱包してエコゆうパック伝票をはらなくてはならない。リサイクル目的であれば、発砲スチロールなどの緩衝材を入れる必要はない。
DELLのPCを買い取りしてもらうには
DELLのPCは人気が高いため、状態や機種によっては高値で売れる可能性がある。とはいえ、DELLのPCはオーダーメイド品なので、相場を見極めるのが容易ではないだろう。個別のパーツを調べて相場を算出する方法もあるものの、手軽なのは複数の買取業者から見積もりを取るやり方だ。これによって、およその相場がつかめる。
DELLに限らずPCの買い取りでは、業者選びが非常に重要だ。認可を受けているかどうかしっかり確認しよう。口コミや評判をチェックすることも大切だ。
PCを売る前にチェックしておくべきこと
PCを売る前には、データ消去ソフトウェアを使ってデータを削除したうえで初期化しておくと安心だ。しかし、その前に大切な情報についてはバックアップを取ったり、パスワードやアカウント情報などを確認したりする必要があるだろう。
また、外部サービスを利用しているなら契約内容を一つ一つ確認して、必要ならログアウトしたり移行手続きを済ませたりすることも忘れてはならない。後で困ったことにならないよう、慎重にチェックしよう。
PCを高く売るために知っておきたいこと
DELL製PCに限らず、PCを高く売るためには押さえておくべきことがいくつかある。その一つが付属品をそろえることだ。購入時に付いてきた説明書や保証書、付属のCDやDVDをはじめとした付属品が、多くそろっているほど高く売れやすい。
また、きれいにクリーニングしておくことも重要だ。PCでは新製品が次々にリリースされるので、将来買い取りに出す予定があるなら、外箱や付属品をきちんと保管しておくようにすると良いだろう。また、手あかやほこりは拭き取っておこう。シールやデコなどもはがしておく必要がある。
PCの買い取りでは、売るタイミングもポイントになる。PCなどのデジタルデバイスでは、新機種がリリースされると人気が落ちて価格も安くなりやすい。できるだけ高く売りたいなら、売ると決めたタイミングで早めに買い取りに出すことが大切だ。
買い取りか回収かしっかり考えよう
DELLのPCを買い取りしている業者は少なくない。しかし、内部に機密情報が入っているような場合は、情報の削除に細心の配慮が求められる。
「資源有効利用促進法」に基づいてPC等のリサイクル業務を推進しているのが「パソコン3R推進協会」 だ。データ流出のトラブルが増えていることもあって、「パソコン3R推進協会」はデータの自己管理を徹底することを広く呼びかけている。
PCでは初期化しただけではデータが消せないことは覚えておく必要があるだろう。情報が流出してしまったら、知らなかったでは済まないのだ。買い取りや回収に出すのか、あるいはそのままディスクを保持するのかについてしっかり考える必要があるだろう。
まとめ
DELLのPCのデータ消去方法をご紹介した。対象のPCであればDELLに回収してもらうのも一つの選択肢であるが、DELLのPCは人気が高いため、状態や機種によっては高値で売れる可能性がある。初期化しただけではデータは完全に消去できないので、データ消去ソフトウェアを使って自分で消去するか、認可を受けた専門の業者に依頼して買取や回収をしてもらおう。