Appleから発売されているMacのデータ消去は、パソコンライフを安全かつ快適に楽しむためにも、多くのシーンで行うべき作業となる。またデータ消去を行う際には意外とさまざまな注意点も存在するため、そのポイントをきちんと抑えた上で作業に臨むことも、Macユーザとして欠かせない心掛けとなるだろう。
今回は、意外と知られていないデータ消去に関する用語の意味や、その作業が必要となるシーンや方法について、Macユーザの皆さんと一緒に詳しく確認していく。
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Macなどパソコンにおける3つのデータ消去の概念
Macを中心としたパソコンでデータ消去と呼ばれる作業には、その名のとおり「HDDやSSDに入ったデータを消す・削除する」という意味がある。また一般的にデータ消去について解説するブログ記事などでは、関連用語としてフォーマットや初期化、リカバリといった下記のキーワードを使って更にわかりやすく解説する実態もあるようだ。
フォーマット
データ消去とほぼ同義とされるフォーマットには、ハードディスクなどの記憶媒体に書き込まれたデータの全てをきれいに消し、白紙の状態に戻すという意味がある。
またMacと並んで人気の高いWindowsパソコンの場合は、管理ツールの中にフォーマットを行うメニューが設けられているため、日本国内ではデータ消去ではなくフォーマットという言葉を使って情報収集を進めていくユーザも少なくない実態があるようだ。
初期化
また日本国内では、Macなどのパソコンが工場出荷された初期の状態に戻すという意味で、初期化という言葉が使われることもある。Macなどのコンピュータの世界におけるフォーマットと初期化は、基本的に同じ意味と捉えて良い。しかし海外では初期化という言葉にinitializeという単語を使う実態があるため、このキーワードは日本ならではのものと捉えた方が良いかもしれない。
リカバリ
Macなどのパソコンを工場出荷状態に戻すといった意味では、リカバリという言葉が使われることもある。動作の不安定さやソフトウェアトラブルなどで使用不能になったパソコンに用いられることの多いリカバリは、データ消去とは少し異なる概念となるようだ。
しかし日本人の中にはリカバリと初期化を同義と捉える方々も少なからず存在しているため、厳密な考え方は違っても国内では広義の意味としてこの3語を使うケースが非常に多いと言えるだろう。
Macにはどんなデータが入っているの?
Macにおけるデータ消去やデータ保存の重要性は、パソコンの中に入っているデータを具体的にイメージすることで、その理解がしやすくなる。また特にMacBookなどのノートPCを持ち歩く機会の多い人は、その重要性への意識を高めることが、パソコンの紛失などのトラブルを防ぐ心掛けに繋がると言えるだろう。
Macに入っていることの多い個人情報
データ消去の行われていないMacには、ユーザ本人の氏名や生年月日、性別、住所、メールアドレスなどの個人情報が残っていることが多いとされている。また年賀状作成や確定申告といった少し高度な作業にパソコンを使う方々の場合は、友人知人の住所や電話番号、マイナンバーなどの個人情報がMacに入った状態となるのだ。
IDやパスワードも立派な個人情報
住所や氏名以上にデータ消去が必要と考えられているのが、WEBサービスに使用するIDや口座番号、パスワードといった金融情報だ。こうした個人情報を残したままの状態でMacを手放せば、次のユーザが容易にログイン可能となってしまう。またネットショッピングをする機会の多い人の場合は、クレジットカード情報もログイン中のWEBサイトに登録されている可能性が高いと言えるだろう。
企業には更に多くの情報資産が入っている
Macパソコンを会社の中で使う場合は、財務情報・人事情報・顧客情報・技術情報といったたくさんの情報資産が入っていると考えられる。企業の情報資産と個人情報における最大の違いは、前者のデータが社外に漏洩した時に、会社の信用が失われるトラブルに発展することが多い点だ。また1台のMacからお客様の情報が流出すれば、社会問題として報道されるだけでなく、その謝罪のために多くの従業員が奔走せざるを得なくなるだろう。
Macのデータ消去が必要となるシーンとは?
こうした形でどんな状況下でも非常に重要な位置付けとなるMacのデータは、下記のようなシーンで必ず消去するのが理想となる。
愛用のMacを友達にあげる時
新しいパソコンの購入などの理由で古いMacを友人にプレゼントするときも、データ消去は必要だ。その友人がパソコンに詳しい場合、多くの人に「彼にMacを渡せば全ての作業をやってくれるだろう」といった楽観的な考えが生まれる。
しかし自分が保存していた写真やメールといった個人情報が友人に見られてしまうリスクを考えると、フォーマットなどの正しい方法を使って自分でデータを消してから相手に手渡すのが理想となるだろう。
Macを買取業者に持ち込む時
買取業者でMacを売却する時にも、Macのデータは消しておくのが理想となる。買取市場のサービスが充実する今の時代は、特殊なソフトを使って全データを消す店舗も少なからず見受けられる。
しかしそのパソコンに年賀状印刷に使っていた家族や友人の個人情報や、会社の情報資産が入っている場合は、そのままの状態で見ず知らずのショップ店員にMacを手放すことによりさまざまなリスクが生まれると捉えた方が良いだろう。
Macを廃棄処分する時
一般的な自治体のサイトでは、資源有効利用促進法にもとづきMacなどの家庭用パソコンは、各メーカーによる回収・リサイクルを利用するように案内を行なっている。しかしこのルールを知らない人の中には、不燃ゴミの日などにMacパソコンを出してしまうケースも少なからず見受けられるようだ。
こうした形でゴミ置き場に放置されたパソコンは、誰もが簡単に持ち帰れる状態でもある。そのため、万が一のトラブルを考えると、どんな手段での処分であってもデータを消すことがMacユーザのマナーになると言えるだろう。
Macの調子が悪い時
Macの動作が遅い、動きがおかしいといった問題が生じたときにも、リカバリやフォーマットといった方法でデータが消される。パソコン内のクリーンアップを目的とするこのケースでは、今後もMacを使い続けるといった意味でも上記の3事例と比べて気軽に実践できると言えるだろう。しかし初期化の手順を誤ると正常動作しなくなることもあるため、後述する注意点と正しい方法を守って作業を行うようにして欲しい。
友人からMacをもらった時
友人からMacをもらった場合も、やはりデータ消去をしてから使用するのが理想となる。信頼できる友人の愛用品だった時には、多くの人が「このまま使っても問題はないのでは?」と感じる傾向がある。しかしネット接続などのタイミングで友達の個人情報や私生活が露呈してしまう可能性を考えると、今後の関係を保つためにもデータを消してからパソコンを使っていくのがおすすめとなるだろう。
Macのデータ消去にはどんな方法があるの?
Appleから発売されているMacには、下記のように意外とたくさんのデータ消去の方法が存在する。
ファイルを削除する
Mac初心者でも簡単にできるのは、Finderというアプリケーションからデータを直接削除する方法だ。Windowsのエクスプローラーに位置付けられるこのアプリ内でCommand+deleteのショートカットを使えば、今作成したばかりのデータも容易に削除ができる。しかしFinder使用時には自分で対象データを見つける必要があるため、長きに渡って愛用していたMacの全データを消去するには難しい選択肢となるだろう。
不要ファイルをゴミ箱に入れる
デスクトップ上などに存在する不要ファイルをゴミ箱にドラッグ&ドロップしても、データの消去を行える。またFinderのメニューバーには、ゴミ箱を空にするというメニューも存在するようだ。しかしこの方法とCommand+deleteコマンドを使ったFinderからのデータ削除が同じ意味合いであることから考えると、やはりソフトウェアなどを含めた大量データの消去には不向きな存在となるだろう。
初期化・フォーマット
友達にMacをあげる、買取専門店に売却するといった場合は、やはりフォーマットという方法でパソコン内のデータを一気に削除を行うのが理想となる。この方法を行なえば、Finderを使った時のような削除し忘れなどのミスが起こることもない。またユーザが自分自身でファイル選択を行わずに済む特徴から考えると、少しでも早くMacを手放したいと考える皆さんへのおすすめ度も高いと言えるだろう。
ゼロ消去
MacOS10.10までには、ディスク内に存在する全データをゼロにする「ゼロ消去」という機能が搭載されていた。
一般的なパソコンのフォーマットでは、ディスク内にあるディレクトリのみを削除する形となる。これに対してハードディスクの中にある全てのデータに0(ゼロ)で書き込み・上書きをするゼロ消去には、特殊なアプリを使ったデータ復元が行われるリスクが下がるメリットがあるようだ。しかしこの機能については比較的古い限られたOSのみで使用可能となっているため、注意をして欲しい。
店頭でデータ消去をしてもらう
上記の方法で作業の難しい人におすすめとなるのが、家電量販店やパソコンショップで提供されているデータバックアップ&データ消去の有料サービスだ。専門店にこの依頼をすれば、USBメモリなどの専用メディアに消去データの保存もしてもらえる。また近頃では、専用の梱包キットを使ってMacを業者に送付すれば、作業後のデータのみを返送してもらえる大変便利なサービスも登場しているようだ。
Macにおけるデータ消去(初期化)の流れと注意点
Macのデータ消去法として一般的な初期化は、下記の流れで行う形となる。
iTunes認証の解除
まずデータ消去を行うMacで、iTunesを立ち上げる。ITunesの画面が開いたら、メニューバーにあるStoreを選択し、「このコンピュータの認証を解除」を選択する形だ。その後に開いた画面内でApple IDとパスワードを入力し、「認証を解除」のボタンをクリックする。
MacアカウントとApple IDの関連付け解除のチェック
iTunes認証の解除が済んだら、次はデータ消去を行うMacのアカウントとAppleIDが関連付けされていないかのチェックをしなければならない。この作業は、林檎マークのAppleメニューから「システム環境設定」を選択肢し、開いた画面の中でシステム内にある「ユーザとグループ」をクリックする。
その後、画面内のAppleID:の隣にある設定ボタンを押し、何の記載もなければ解除が完了していると判断して良い。
HDDドライブの再フォーマット
インターネットに接続された状態で、Command+option+Rを押しMacを再起動する。その後に表示された画面でディスクユーティリティを選択し、続けるボタンを押す。次の画面の左側に表示されているMacintosh HDを選択し、右上部にある「消去」のタブを選択。その後、下方に出てくる「消去」をクリックする流れだ。
すると「パーティーションMacintosh HDを消去してもよろしいですか?」というメッセージが出るため、ここで再び「消去」を押す。
最後にMacOSを再インストールする
ここまで作業を行うと、Macの起動に欠かせないOSを含めたデータの全てが消去される形となる。そのため、データを消したパソコンの売却などを考えている場合は、最後にMacOSの再インストールをしなければならない。
この作業は、「OSを再インストール」を選択するだけで処理が進み、インストール完了後にコンピュータが自動で再起動される形だ。その後、「ようこそ」の画面が表示された後は、Command+Qボタンを押してMacパソコンのシステムを終わらせる流れとなる。
Macのデータ消去する前にやっておく準備
上記の方法でMacのデータ消去を行うと、これまでそのパソコンに登録されていたアカウントなども削除されてしまう。そのため、Macの売却や友人などへの贈与目的でフォーマットの処理を行う際には、その準備として下記のポイントについて確認をしておかなければならない。
Mac内のデータバックアップ
データ消去をする時には、必ずMac内に入っている情報のバックアップをしておく必要がある。一般的にMacのバックアップは、Time Machineというアプリを使って行う形となる。Time Machineを使ったバックアップをする際には、データ退避に使用するUSBメモリや外付けハードディスクといった外部ストレージの用意をしなければならない。
データが少ない場合はiCloudを使ったバックアップもおすすめ
写真、書類、音楽といったファイルが少しだけ入っている場合は、AppleのオンラインストレージサービスiCloudを使って5GB分のデータを無料でバックアップする方法もおすすめとなる。バックアップにiCloudを用いると、インターネットさえ繋がっていれば外部ストレージの購入をする必要はなくなる。
「Macを探す」の解除
Macのバックアップが終わったら、次はさまざまなアカウントのサインアウトを行っていく流れとなる。数ある設定の中で多くのユーザが忘れやすいのは、Apple製品の紛失時にその効果を発揮する「Macを探す」の解除だ。特にMacパソコンを売却する際には、次のユーザにパスワード要求などのトラブルを生じさせないためにも、必ず「Macを探す」機能の解除をするようにして欲しい
サインアウトすべき機能は他にもたくさんある
下記の機能についても、Macのデータ消去や売却前にサインアウトしておく必要がある。
- ・iCloud
- ・iMessage
- ・Bluetooth
- ・FaceTime
- ・AppleCare
こうした形でサインアウトが必要な機能を並べてみると、Macの売却目的でデータ消去をする際には、単なるデータバックアップだけでなく入念な準備が必要となるだろう。
Macのデータ消去で多い質問
ここまで紹介した方法を使って実際にMacのデータ消去を行った方々の中には、この処理に下記のような疑問を抱く人が非常に多い実態がある。
処理時間が非常に長いこと
多くの人が実感するのは、データ消去にかかる処理時間が非常に長いことだ。いつまで経っても処理が終了しないといった状況に陥ると、ユーザの多くが「自分のMacが壊れてしまったのではないか?」などの疑問や不安を抱く傾向がある。しかしデータ消去の確実性の高いMacでは、この処理を一度流すことで7回ものフォーマット処理を繰り返している実態があるようだ。
BootCamp利用時の設定がわからない
Macの中にBootCampの領域が存在する場合は、まずパーティーションの一覧が表示されるMacintosh HD画面の中で「パーティーションタブ」を選択する。その後、BootCampをクリックした後、「?」のボタンを選択し削除する流れとなる。
まとめ
比較的シンプルな流れでフォーマットや再インストールの行われるMacは、Windowsと比べてデータ消去のしやすい商品だ。しかしさまざまな機能がApple IDと繋がっているMacの場合、そのアカウントのサインアウトという少し面倒な作業が必要となる。また前述のとおり安全性を高めるためにフォーマットが7回も行われる実態を考えると、時間的余裕のある時に入念な確認をしながら作業を進めることも大事な注意点になると言えるだろう。