金投資は、資金力やリスク、リターンといった幅広いポイントから自分に合った投資方法を選択できるといった意味で多くの人から注目される存在だ。特に金融商品の種類が非常に多い今の時代は、初心者から資金力の高い富裕層まで、いろんな方々がチャレンジできるカテゴリとして金投資への話題性がアップしている。また近頃では、金投資の種類について徹底比較するサイトも増えているため、それぞれの違いがわからないビギナーの皆さんでも自分のライフスタイルに適した手段を選びやすい時代と捉えて良いだろう。
今回は、金投資を代表する7つのパターンについて、タイプ別の特徴やリスクを皆さんと一緒に確認していきたい。
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金投資とは?
金を投資対象とする投資方法の総称を、金投資と呼ぶ。
金投資には現物取引と証券取引の2種類がある
多彩な投資方法で知られる金投資には、金地金、金貨、純金積立といった実物によって行われる現物取引と、投資信託、ETF、先物取引、金鉱株投資などの証券取引という2つのパターンがある。これだけ豊富な投資方法のあるカテゴリは大変珍しいとも言えるため、同じ品目で金融商品の比較検討ができるといった意味でも、初めて投資にチャレンジする皆さんだけでなく将来的なステップアップを考えている方々にとっても金投資はメリットの多い存在と捉えて良いだろう。
現物取引の金投資1 金地金
ゴールドバーの購入によって行われる金地金の金投資は、投資初心者の皆さんでもその仕組が理解しやすい存在だ。田中貴金属工業や徳力本店といった金地金商や、三菱マテリアルや住友金属鉱山などの鉱山会社で購入すれば、投資資産となるゴールドバーの実物を手に取ることもできる。
金地金とは?
金地金というのは、いわゆる金の延べ棒のことだ。さまざまなサイズが用意されている金地金は、基本的に純度99.9%のものを使って投資を行う形となる。表面にはブランド(商標)、品位表示、金塊番号、重量などが書かれており、ロンドン国際的金市場などの刻印のあるものゴールドバーについては、安全性と信頼性によってより高い需要があると考えられる。
金地金の保管について
現物資産の典型とも言える金地金には、最大のリスクとも言える盗難を避ける保管方法が求められる。また金の実物ならではの盗難リスクを予防する方法としては、金の所有権を販売会社に移す消費預託や、取扱い会社が金を現物で保管・管理してくれる特定保管といった選択肢もあるようだ。
金地金の売買や保管にかかる手数料
金地金を使って投資を行う際には、小売価格と買取金額の差とも言えるスプレッドや購入手数料、保管手数料、売却手数料といったたくさんのコストがかかる。特に自宅以外でゴールドバーの保管をする場合は、月々保管料もかかってくるため、金地金投資におけるリターンの低さはこうした要因も大きく関係していると捉えて良いだろう。
現物取引の金投資2 地金型金貨
金地金と比べて投資単位の低い地金型金貨は、リターン・リスクともに低い存在だ。
金貨における2つの種類
金貨の投資や収集を考えているなら、地金型金貨と収集型金貨という2つのカテゴリについて知っておかなければならない。高純度の金を使った地金型金貨は、ゴールドバーと同じように材質そのものに高い価値がある。これに対して歴史的価値や希少性により非常に価値がアップする収集型金貨によっては、アンティークコイン投資という形でさまざまな人に注目されているようだ。
金地金投資とコイン投資の違いとは?
造幣局による製造コストや企画料、デザイン料、輸送費といった多くの諸経費のかかる地金型金貨は、シンプルな形状のゴールドバーと比べて割高な存在だ。またスプレッドについても重量によって約7%〜12%も割合でかかってくるため、効率的な転売や投資を考えるなら地金型金貨はメリットの少ない存在と位置づけて良いだろう。また見た目も大事な価値となるコインは、どんな種類であってもゴールドバーよりも遥かに丁寧に扱う必要がある。
現物取引の金投資3 純金積立
現物取引の中で最も少額で始められる純金積立は、金投資の中で最も初心者向けの存在として注目されている。
純金積立とは?
純金積立には、投資家に所有権のある金を販売会社に預けるサービスと、所有権が販売会社にある金の返還請求権を投資家が持つサービスの2種類がある。後者については、投資金を所有会社が運用することで投資家にとっても一定のリターンが得られるメリットがある。しかし万が一、会社が倒産した場合は、投資金の全額保護が難しくなることもあるため、この部分が純金積立におけるリスクのひとつと考えて良いだろう。
純金積立のシステム
純金積立の申し込みを行うと、指定口座から毎月自動で引き落としが行われる。一般の会社ではスポット購入と呼ばれる追加購入法もあるため、普段は少額で投資を行い、ボーナスなどの臨時収入や金価格が下がったタイミングで多くの金購入することもできるのだ。
純金積立における受取方法
純金積立の受取方法は、意外と多彩だ。販売会社で売却注文を行うと、当日の金相場で希望の分だけ現金化をすることができる。また中には、金の現物を実感した上で継続的に投資を行うために、ゴールドバーや地金型金貨に交換をする人達も存在するようだ。この他に若い女性の間では、積立金を同じ価値のジュエリーと交換する方法も人気となっている。
証券取引の金投資1 投資信託
投資単位が小さい投資信託は、金投資の証券取引の中でも比較的ハードルの低い存在だ。
金投資信託とは?
証券会社が投資家から資金を集め、そのお金を元手に運用会社が運用を行う金融商品を投資信託と呼ぶ。ここまで紹介したとおり、現物取引の金投資には紛失や盗難といったリスクがあるため、金の直接投資にハードルの高さを感じる皆さんにとっては間接投資とも言える金投資信託などの利用がおすすめとなるだろう。
金投資信託における手数料
証券取引となる金投資信託は、現物取引の金地金などと比べて手数料が安い特徴がある。基本的にかかる手数料は、口座開設手数料、売買手数料、保有期間中の手数料の3つがかかる。その中でも注意すべき信託財産留保額と呼ばれる手数料は、解約時に発生することもある存在となるため、契約時にはかならず確認を行うようにして欲しい。
金投資信託におけるリスクとは?
投資信託と呼ばれるカテゴリは、「どの商品を選ぶか?」によって元本割れなどのリスクが変わってくる。純金投資信託よりもリスクが高い商品としては、新興国や先進国、日本などの株や、不動産などが挙げられる。これに対して国債権の多くは純金よりもリスクの低い存在となるため、これまで他品目で投資信託を行ったことのある人はその経験から金投資信託のイメージをしてみても良いだろう。
証券取引の金投資2 金ETF
有価証券化によって証券市場に上場させ、株と同じように証券会社で取引できるようにした金ETFは、リターン・リスクともに中程度となっている。安いもので4,000円〜5,000円ほどで始められる金ETFは、金投資信託よりも気軽に始められる存在として注目度を高めている。
中リスク・中リターン
金の現物を裏付けした取扱会社を利用した場合は、カストディアンと呼ばれる保管会社に金が保管されることで、これらの会社が破綻した場合であっても投資分の保護が行われる。しかし現物の裏付けのない銘柄を選んだ場合は、投資したお金が戻らない可能性も出てくるため、リスクについては中程度と捉えて良いだろう。これに対して株式のような利回り位のない金ETFについては、売買タイミングにおける個人の判断によってリターンも変わってくる仕組みとなっている。
日本国内の金ETFとは?
国内で代表的な金ETFには、ETFS 金上場投資信託、純金上場信託、国内金先物価格連動型上場投信、SPDRゴールド・シェア、金価格連動型上場投資信託といった5つの種類がある。国内現物保管型として日本で初めて東証上場した純金上場信託は、現物に対する100%の裏付けによって安全性と信頼性の高い商品となっている。これに対してETFS 金上場投資信託については、保有期間中に常にかかってくるコストとなる信託報酬が最も低くなっている。こうした形でそれぞれに特徴のある金ETFは、しっかり比較検討を行った上で取引を始めるべきだと言えるだろう。
証券取引の金投資3 先物取引(CFD)
豊富な取引経験のある皆さんには、商品取引会社に先物取引口座を開設することで始められる先物取引(CFD)もおすすめだ。
手数料の安さ
金の先物取引は、手数料やコストを抑えたいと考える人たちの間でも注目度の高い存在となっている。現物を実際に扱わないさきは、地金型金貨や金地金などと比べると手数料が非常に安い利点がある。またレバレッジをきかせることで取引を最大1/20にするのも可能となるため、少額で取引開始できるといった部分でもメリットは高いと言えるだろう。
レバレッジとは?
レバレッジは、先物取引を行う上で必ず知っておくべき専門用語だ。取引会社に対して自分のお金を証拠金として預け入れるレバレッジを行うと、証拠金の数倍〜数百倍もの高値で取引が行えるようになる。しかしレバレッジには、その金額に比例して損益も高まるデメリットがあるため、この部分が先物取引における高いリスクであるとも言えるだろう。
レバレッジを効かせない取引も可能
リスク管理を高めるために、レバレッジをかけずに先物取引を行う方法も選択できる。業者によっては金100g単で行うミニ取引を可能とするところもあるため、こちらの方法を選ぶことで必要資金の負担やリスクを軽減できると言えるだろう。
先物取引の税金における繰延効果
先物取引における差金決済は、利益がでている時に行うことで税申告の必要性が生じる。これに対して現物購入をした場合は利益確定しなくなるため、その結果として税金の繰延が可能となるのだ。逆に金の先物取引などにおいて損失がでている場合は、早い段階でこの金額を確定させた方が税申告におけるメリットも得られやすくなりそうだ。
証券取引の金投資4 金鉱株投資
最後に紹介する金鉱株投資は、金投資の中では珍しく配当金や利子の受け取れる方法だ。
金鉱株投資とは?
金に関連する事業を行う金鉱山会社の株を買う方法を、金鉱株投資と呼ぶ。この投資法には、実物商品となる金だけでなく企業の株式を買うという2つの側面がある。例えば、金関連事業を行う会社の生産性が高まれば、当然利益率もアップする。またこの利点は金価格に変動がない場合においても生じる期待があるため、企業価値への投資といった意味でも他の金投資にはない魅力があるのだ。
ギアリング効果
金鉱株の株価が金価格と同じ値動きになることを、ギアリング効果と呼ぶ。例えば、金価格が上昇傾向にある近年では、その動向に合わせた形で金鉱株の価値も高まる可能性が高いと捉えて良いだろう。また採掘コストがほぼ一定している金鉱会社にとっては、金価格の値上がり分が収益となるため、金そのものに投資を行うよりも遥かにダイナミックな動向が期待できると言えそうだ。
日本に金鉱会社は存在しない
金鉱株投資を始める上で注意すべきなのは、現在の日本に金鉱山会社が存在しないことだ。この現場によって南アフリカ、カナダ、オーストラリア、アメリカなどの企業に外貨で投資を行なえば、為替変動の影響により金投資で儲かっていても結果的に損をすることもある。また日本国内の住友金属鉱山などは金関連企業となるため、海外の金鉱山株と比べると金価格の動向による影響は受けにくいと捉えた方が良いだろう。
まとめ
今回紹介しただけで7つもの種類が存在する金投資には、現物取引・証券取引の特徴に合ったメリットやリスクがあると捉えて良いだろう。またこれらのリスクは投資方法をきちんと確認した上で注意点に沿った形で選択や取引を行なえば、大損を含めたトラブルを最小限に抑えられると言えそうだ。
ちなみにこの7商品を紹介するサイトの多くは、低リターン・低リスクとして純金積立と地金型金貨、高リターン・高リスクの投資方法として金CFD(先物取引)を挙げている。しかし金CFDのリスクについてもレバレッジを使わなければ回避できるため、金投資を行う際には慎重さや工夫も必要であると捉えるようにして欲しい。