なんでも鑑定団で7000万円と鑑定された壺の実態は?

読了目安:6分
更新日:2020/11/20
公開日:2019/06/06
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なんでも鑑定団で7,000万円という超高額な値段をつけられら壺をご存知だろうか。2018年4月10日に放送されたこの回は視聴者の予想をはるかに上回る鑑定結果に話題となった。

結論からいうとその壺の正体は板谷波山の葆光彩磁花瓶である。板谷波山は近代日本を代表する陶芸家だ。当時、日本の陶芸家をリードしたことが評価され文化勲章を授与されたほどの人物である。本記事では板谷波山が制作した葆光彩磁花瓶の詳細について解説していく。

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今野杏南さん

板谷波山とはどんな人物か?

板谷波山(いたやばさん)は1900年代に陶芸界リードした人物であり、日本の近代陶芸の開拓者といわれている。陶芸に制作にあたり手抜きは一切せず、理想の作品を作り上げるその姿勢は映画にもなった。鑑定額7,000万円という前代未聞の価値がついて葆光彩磁花瓶を作成した板谷波山がどのような人物だったのか見ていこう。

さまざまな賞を獲得し、日本の芸術史に名を刻む

板谷波山は1908年におこなわれた日本美術協会展で受賞をして以降、さまざまなコンクールにて受賞を果たしてきた。1917年には同じく日本美術協会展で最高賞にあたる一等賞金牌を受賞した。

板谷波山は当時職人という位置づけだった陶芸家を芸術家へと高めるほど影響力のある存在でもあった。こうした功績が認められ、1953年には陶芸家としては初となる文化勲章を授与された。近代日本における陶芸家の地位を向上させた唯一無二の人物である。

人間国宝も辞退したゆるぎない信念

陶芸家として初となる文化勲章を授与された板谷波山は、その7年後の1960年に重要無形文化財保持者の候補となる。いわゆる人間国宝だ。しかし板谷波山はこの申し出を断り、結局は人間国宝になる権利を放棄してしまった。

その理由について板谷波山は、「自分は単なる伝統文化の後継者ではなく、芸術家である」と語っている。板谷波山自身が芸術家としての信念を強く持っていたため、辞退したと考えられている。

最後まで保たれた優れた技巧

板谷波山は1908年の日本美術協会展に出展して以降、その生涯を終える1963年まで作品を作り続けた。最後の作品は椿文茶碗といわれ、これは没年につくられたものである。椿文茶碗は没年に作られたものであるにもかかわらず評価が高く、その技巧が人生の幕を下ろす直前まで保たれていたことを示している。

信頼していた助手との別れ、その生涯の終わり

板谷波山には現田一松という最も信頼していた助手の存在があった。1910年以降、板谷波山のパートナーとして半世紀以上にわたって作品作りを支えてきた。国の重要文化財に指定されている第57回日本美術協会展出品作「珍果文花瓶」は現田一松もその制作に携わっている。

板谷波山と現田一松の信頼関係は固く結ばれており、文化勲章を受章した際にも「授賞式に現田を同伴したい」との申し出があったというエピソードが残っている。しかし、現田一松は1963年に不慮の事故でその生涯を閉じてしまう。板谷波山は深い悲しみ包まれ、あとを追うように同年10月10日に他界、91歳で人生の幕を閉じることになった。

板谷波山(いたや はざん)陶器の価値・買取相場・査定情報
更新日 : 2019/01/30

葆光彩磁花瓶とはどんな作品か?

板谷波山の制作した葆光彩磁花瓶は、美術館ではなく一般家庭に保管されていた。番組に出演していた鑑定士も「一般家庭にあるのは奇跡」と驚きを隠せなかったようだ。板谷波山の制作した葆光彩磁花瓶とはどのような作品なのだろうか。その詳細を解説していこう。

葆光彩磁とは板谷波山が作り出した技法

葆光彩磁花瓶の名称にもつけられている葆光彩磁とは板谷波山が作り出した技法である。葆光とは「包まれた光、ほのかに内にこもる光」という意味も持ち、彩磁とは磁器の素地に描画・彩色したする技法のことをいう。つまり淡い光を表現するためにおこなわれた技法ということだ。

この葆光彩磁は板谷波山の独創的な作風として有名である。日本美術協会展で一等賞金牌を受賞したときに出店した作品は「葆光彩磁珍果文花瓶」だ。葆光彩磁花瓶と同じく、葆光彩磁によってつくられたものだった。この葆光彩磁によってつくられた作品が板谷波山を名実ともに陶芸界の頂点にたたせたといっても過言ではない

厳しい基準を満たしたものだけが作品として発表される

板谷波山は陶芸の作品作りににおいて一切の妥協を許さず、世の中に出す作品についても厳しい基準を設けていた。制作した作品は数多くあるが、板谷波山自身が気に入らないものは全て破棄されてしまうのだ。こうして残った、作品は年間で約20点ほどである。その厳しい基準の中で残った作品の一つが今回紹介している葆光彩磁花瓶というわけだ

板谷波山が作った他の作品

板谷波山は自分の設けた厳しい基準によって限られた作品しか発表されていない。この項目では葆光彩磁花瓶以外の代表的な作品について紹介していく。

葆光彩磁珍果文花瓶

1917年に制作されたものである。この作品は1934年におこなわれた第57回日本美術協会展において一等賞金牌を受賞した。後にこの作品は国が指定する重要文化財に指定された。

現田一松とともに制作した作品であり、板谷波山の評価を非常に高めたものになっている。この作品があったからこそ、陶芸家としての地位を高めたといっても過言ではない。

彩磁禽果文花瓶

1926年に制作されたものである。この彩磁禽果文花瓶は1926年におこなわれた東京府美術館開館記念聖徳太子奉賛美術展に出品された。完成までに長期間の歳月を費やし、かかった時間は3年といわれている。

この彩磁禽果文花瓶を最後に板谷波山は大作から手を引いていくことになったため、非常に重要な作品である。彩磁禽果文花瓶も評価が高く、国の重要文化財に指定されている。

彩磁延寿文花瓶

1942年に制作されたもので花瓶には桃の模様が施されており、これは不老不死を表している。板谷波山らしさがでている代表的な作品だ。

板谷波山の作品が見れる施設

板谷波山の作品はいくつかの美術館で見ることができる。この項目では全国にある板谷波山の作品が展示されている施設を紹介しよう

板谷波山記念館

まず板谷波山の作品が展示されている有名な施設が板谷波山記念館だ。茨城県筑西市にある板谷波山記念館には数多くの作品が展示されている。展示されている作品は以下のようなものだ。

  • ・彩磁藤文花瓶
  • ・彩磁花卉紋香炉
  • ・結晶釉花瓶
  • ・辰砂釉花瓶
  • ・辰砂釉延寿文花瓶
  • ・青磁蓮花文水指
  • ・青磁袴腰香炉
  • ・葆光白磁香炉
  • ・葆光白磁唐草文壺
  • ・梅香合

紹介した作品は一部のものである。時折、板谷波山に関するイベントも開催しているのでぜひ公式サイトで確認してほしい。

茨城県陶芸美術館

茨城県陶芸美術館は茨城県を代表する芸術家の作品が展示されている施設となっている。板谷波山記念館よりは展示されている作品数は少ないが、特設コーナーがあるため十分に楽しめる美術館となっている。茨城県陶芸美術館に展示されている作品は以下のようなものである。

  • ・葆光彩磁葡萄紋様花瓶
  • ・彩磁延寿文花瓶
  • ・葆光彩磁八ツ手葉花瓶
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まとめ

テレビで放送されたなんでも鑑定団で7,000万円の価値がついた壺の正体は板谷波山が制作した葆光彩磁花瓶だ。この壺は通常、美術館に保管してあるレベルの作品で鑑定士も「自宅で保管されているのか奇跡だ」と驚きを隠せない様子だった。

人間国宝にもなった板谷波山は生涯にわたって作品を発表し続け、今ではそのほとんどが美術館で展示されている。陶芸家としてはじめて文化勲章を授与された板谷波山は近代日本における陶芸の価値を高めた非常に重要な人物である。その作品をぜひ、一度目にしてほしい。

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更新日 : 2021/06/07
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運営会社

会社名
株式会社ジラフ/ Jiraffe Inc.
設立
2014年10月29日
資本金
11.6億円(資本金・資本準備金含む)
株主
East Ventures、TLM、アドウェイズ、ドリームインキュベータ、アナグラム、ポケラボ創業者 佐々木俊介、アイ・マーキュリーキャピタル、GREE、アドベンチャー、メルカリ、hey代表取締役 佐藤裕介、Amazon Japan創業者 西野伸一郎、DGベンチャーズなど
E-mail
info@jiraffe.co.jp
代表者
代表取締役社長 麻生輝明
所在地
〒164-0001
東京都中野区中野5-52-15 中野ブロードウェイ218号
企業理念
2030年のスタンダードをつくる
事業内容
インターネットサービスの企画、開発、運営
従業員数
40名
古物商許可番号
東京都公安委員会 第303311606477号
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