20世紀または第二次世界大戦後から現在までに制作され、様々なところで目にする現代アート。抽象表現主義の流れの中で生まれたものもあり、素人目では魅力的でも難解な作品も多い。
現代アートに限らず、全搬的に美術品の買取は、事前に知識や情報を身に付けておかなければ失敗をしてしまい、大きな損をしてしまう可能性が高い分野である。そのため、基礎的な知識や相場などの情報は押さえておかなければならないだろう。
なかには、悪徳な業者も存在しており、本来の価値よりも低い金額で買取査定を提示するケースも少なくない。
それだけ、美術品の買取では高値がつくものがあり、鑑定自体も非常に難しいものが多いのである。売却を考えているのであれば、ここでしっかりと買取についての知識や情報を身に付けておくべきだろう。
そこで本コラムでは、現代アートの買取相場や査定情報などを紹介していく。
admiring modern art / BPPrice
CONTENTS
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現代アートとは
ここでは、現代アートの買取事情について述べていく。しかしその前にまず、この現代アートについて説明したい。買取事情に進む前に現代アートがどのようなもので、どれくらいの価値があるものなのかについて先に知っておくべきだろう。
通常、美術品の買取といえば近代美術や古美術などが挙げられ、現代アートは少々特殊なものとも言える。そのため、現代アートについて知っておかなければ、売りたくても売れないものや、売りに出しても意味がないものを売ってしまう恐れがある。そうなってしまっては二度手間だろう。
このコラムの読者の皆様には、そのようなことは避けていただきたい。ここでは、現代アートの基礎知識を紹介していくので、この機会にある程度の知識は押さえておくといいだろう。
現代アートの作品は多種多様
まずは、現代アートについて紹介してくわけだが、この現代アートには様々な形態の作品がある。中には近代美術や古美術と同じように、絵画や彫刻作品もある。
だが、絵画や彫刻という枠に現代アートは収まるものではない。インスタレーションやパフォーマンス、テクノロジー・アートなどその表現方法は多様化しているのが特徴だ。
つまり、非常に多くの表現方法でのアート作品があり、その作品も絵画、彫刻、音楽、イラスト、造形物、ビデオ、写真、と作品の種類は多種多様である。
多種多様の作風があることが、現代アートの象徴
現代アートでは、ポップアートを代表するアンディ・ウォーホル、小便器にサインをした作品「泉」で知られるマルセル・デュシャンなど、従来のアートの概念を大きく変えた人物が多く存在している。
このアート表現は、現在もまだ模索しているアーティストは多くいると言っていいだろう。
特にこの現代アートという分野は、ポップなものもあれば、一見意味のわからない難解なものもある。その多様性こそが現代アートというものなのである。
現代アートは、富裕層向けのマーケットが主流
近代アートと現代アートの境界については諸説あるようだ。
現代アートの始まりは20世紀初頭から第二次世界大戦後までのどこかに位置づけられることが多い。つまり1900年代頃から1945年以後とその幅は広く、近代アートと現代アートの定義は曖昧になっている。
ただし、特徴的な違いもあり、それはパトロンに現れる。近代アートが主に教会や貴族を中心にシーンが展開していたのに対して、現代アートは富裕層を中心にマーケットが動いているという傾向がある。
現に現代アートのオークションでは、数十億円のオークションなどは多く、現代アートの相場は上がっている。
この背景には作品に対しての評価ももちろんあるが、それだけではない。現代アートを所持することで財力や権力を誇示し、ステータスになるという考え方が働いているという風に分析をしている專門家もいるようだ。
それだけ、現代アートの相場は高いということだ。
現代アートは一向に括れない
また、1950年代の前衛、1960年代の反芸術といった過激なキーワードに象徴された時代の作品も現代アートの特徴の一つだろう。
つまり、社会的メッセージの強い作品が多いのも現代アートの特徴と言える。例えばヒトラー政権下のドイツでは抽象画を恐ろしいものとし、退廃美術展を開いていた。
そして、そのような嗜好のもの以外でも、現在では企業とのコラボレーションも積極的になされる。村上隆がLoius Vuittonと行なったコラボーレションで作られた作品、「Sphere」はその一例である。
そういった、作品の作られる背景でも、現代美術は一つに括れない。
現代アートの買取を行っている業者やサービスとは
次は、この現代アートが売れる業者やサービスについて紹介していこう。
絵画や現代アートを専門に扱っている業者で売れる
この現代アートは、美術品としての価値が当然ある。
そのため、絵画を専門に買い取っている業者で売ることができる。また現代アートをメインで買い取っている業者も多いようだ。なので、そういった専門業者を利用すると、美術品に関する知識もあるので高い金額で売れる可能性は高いと言える。
このような業者では原画から少数複製されている絵画なども非常に高い金額となるだろう。
大きな絵画や重くて壊すのが怖い彫刻など、業者の元に持って行くのは不安があるかもしれない。しかし心配は無用だ。こういった買取業者には出張買取というシステムがある。業者の方から査定・買取にやってきてくれるので、動かしにくい現代アートをお持ちの場合は、そのような方法を利用するといいだろう。また、美術品の写真をメールやLINEで送る画像査定を行なっている業者もあるので、活用してみて欲しい。ちなみに査定は無料で行なっている業者が多い。
ここでいくつか、上記のような買取業者を紹介する。
総合美術買取センター
買取価格
スピード
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許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
総合美術買取センターは、現代アートはもちろんのこと、絵画や骨董品など、幅広い美術品の買取専門業者である。著名な絵画作家は買取強化中のため、他社とよりも高額査定に期待できるのではないだろうか。買取方法は宅配・店頭・出張買取の3つであり、宅配と出張は全国対応、店舗は品川区にある。出張・店頭買取の場合はその場で現金が支払われ、宅配の場合は振込対応となる。査定料や送料、出張費などすべて無料なので気軽に査定依頼してみよう。
アート買取協会
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ポリシー
ウイルス
対策
絵画、骨董品、アンティークと、様々なアート作品を扱う専門買取店。全国に店舗を構え、年間30,000点以上の買取を行なっている。作品を本物かどうか見極める鑑定、買取金額を決める査定は原則無料。出張査定・店舗持ち込みの場合は買取になれば現金で支払われ、宅配買取の場合は振込対応となる。
ギャラリーボヤージュ
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ウイルス
対策
銀座で「信用第一」をモットーに絵画の買取を行なっている業者。貸しギャラリーと美術品販売も行なっている。取り扱いのある現代アートのアーティストは50名ほどリストに上がっているが、この他でも対応できる場合があるとのこと。ギャラリーは銀座だが、全国に出張可能で、査定無料、買取の場合は振込対応となるようだ。
ギャラリーホープ
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ウイルス
対策
こちらは絵画の他にも彫刻や陶芸も扱う買取業者。東京・大阪・名古屋を拠点とし、全国に出張する。専用フォームまたはフリーダイヤルから査定依頼できるようだ。アートの写真を送ることでも査定可能となっている。手数料無料。
藍玉堂
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ウイルス
対策
絵画や掛け軸、現代アート等を扱う。費用は一切無料。買取方法は出張・宅配・持ち込みから選べる。出張・持ち込みの買取の場合はその場で現金が支払われ、宅配の場合は振込対応となる。関東を中心に全国へ出張可能。扱っているアーティストは日本人が多いようだが、ベルナール・ビュッフェやピカソといった海外の作家の現代アートも扱っている。
日本・中国骨董品買取協会
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ウイルス
対策
茶道具や香木、版画などいかにも東アジアの美術品を中心に買取している業者だが、アンディー・ウォーホルら西洋美術の扱いもある。買取は出張・宅配・持ち込み可能。LINE査定もあり、どの方法でも査定は無料、出張費用もかからない。
北岡技芳堂
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ポリシー
ウイルス
対策
創業65周年、現在の代表は三代目だという名古屋のギャラリー。絵画・美術品・骨董品を取り扱っている。代表の北岡淳はテレビ番組などでも鑑定を行なっている。扱いのあるアーティストは国内・国外問わず多数いる。買取方法はこちらも出張・宅配・持ち込みの三種となっており、現金または振込で支払われる。
ここでは以上の簡単な紹介に留めるが、上記の買取業者に関しては当サイト「ヒカカク!」の別コラムに詳細があるので、詳しくはそちらを見ていただきたい。
ネットオークションやフリマでも売れる
また、現代アートはこのような専門業者だけではなく、ネットオークションやフリマアプリでも売れる。
安価なものや人気がある現代アートの作品は、ネットオークションやフリアアプリで多く出品されている。その売れ行きも悪くないようだ。印象としては、このような場では比較的安価な現代アート作品が多く売れている。
この状況から見らるにように、ネットオークションやフリマアプリでも現代アートを探しているユーザーは多い。しかし市場価値などを把握していないと損をしてしまう可能性も多い。そのため、販売する前に現代アートの知識や相場は把握しておくべきなのだ。
また、ネットオークションやフリアアプリでは、個人交渉となる。やりとりの仕方次第で、安価なものでも高く売れる傾向にあるようだ。
現代アートの買取査定ポイント
次は、現代アートの買取査定ポイントについて述べていく。高価買取を目指すためにも、最低限のポイントは知っておくといいだろう。
事前に確認しておきたい情報
鑑定・査定に出す時に必要となる事柄がいくつかある。それは作品名・作家名、作品が作られた技法(油絵なのか水彩画なのか、など)、そしてサイズである。元々の購入時に入ってきた箱で、作品名やアーティスト名が入ったものもあれば、それも準備しておきたい。これらの情報は業者から求められることなので、しっかり確認しておこう。
美術品では特に状態が厳しく査定される
現代アートに限らず、このような美術品では特に状態の良さが厳しく査定されるので、保管方法には気を配っておくべきだろう。
絵画などでは、傷、シミ、ホコリ、カビ、損傷などがあるものは、マイナス査定となることは間違いない。それだけ、状態の良し悪しは買取金額に影響するということだ。
傷やシミはついてしまったものは仕方ないが、査定に出す前にホコリはしっかりはらっておこう。また普段から紫外線対策や湿気対策をしておくと、いざ買取に出そうという時に損をする可能性は減らせるだろう。
高価買取になる作家一例
現代アートは、作家やアーティストによって買取金額が大きく変わる。ということで、高価買取となる作家をここで紹介しておこう。参考にするといいだろう。
【海外のアーティスト】
アンディ・ウォーホル、トム・ウェッセルマン、ジュリアン・オピー、アレックス・カッツ、アントニ・クラーベ、コスタビ、ドナルド・サルタン、ジャスパー・ジョーンズ、フランク・ステラ
ジム・ダイン、タピエス、バスキア、ダミアン・ハースト、サム・フランシス、キース・ヘリング、デイヴィッド・ホックニー、モンドリアン、ラウシェンバーグ、リキテンシュタイン、リー・ウーハン、ソル・ルウィット、エドワード・ルシェ
【日本のアーティスト】
会田誠、今井俊満、オノサトトシノブ、河原温、菅井汲、草間彌生、タカノ綾、高松次郎、堂本尚郎、奈良美智、松井冬子、ミスター、ミヤケマイ、森山大道、村上隆、ロッカクアヤコ、岡本太郎、横尾忠則など
数千万円になる作品もあるかも?
上記が、高価買取となりやすい現代アートのアーティストになる。
最近では村上隆やアンディ・ウォーホルの作品はオークションで数十億円の落札がされていたりする。
買取業者に売ると、オークションほどの高値は付かないことも考えられるが、数千万円の買取金額を提示されることもあるかもしれない。
現代アートの買取金額相場について
ここまで、現代アートの買取において知っておくべき情報として、基礎知識や査定ポイントなど現代アートの買取事情を詳細に紹介した。
上記で紹介したポイントは、現代アートの買取において役に立つものでもあるので、この機会に押さえておこう。
最後に、現代アートの買取金額をリサーチした結果を紹介しておくので、参考にしてみてほしい。
現代アートの買取金額一例
- ●アンディ・ウォーホル Flowers,1970…250~350万円
- ●アンディ・ウォーホル ミック・ジャガー(Mick Jagger),1975…200~250万円
- ●アンディ・ウォーホル ミッキー・マウス(Mickey Mouse),1981…500~700万円
- ●アンディ・ウォーホルドルサイン[9]($[9]),1982…400~500万円
- ●アンディ・ウォーホル 絶滅の危機に瀕した動物(Endangered Species),1983(10点組)…2,000~2,500万円
- ●アンディ・ウォーホル キク(Kiku),1983…45~60万円
- ●キース・へリンググローイング単品…100~120万円
- ●アンディ・ウォーホル 絶滅の危機に瀕した動物(ジャイアントパンダ),1983…200万円
- ●アンディ・ウォーホル 絶滅の危機に瀕した動物(ゼブラ),1983…200万円
- ●チャック・クロース ジョージア(Georgia),1984…330万円
- ●村上 隆 Sphere…40万円
- ●キース・ヘリング グローイングIV…120万円
- ●奈良美智 Untitled(ドローイング)…60万円
現代アートでは有名なアーティストの買取金額は高い
上記が現代アートの買取金額一例となる。ご覧のように現代アートの買取金額は安価な金額で売れるものと、高価な金額で売れるものの格差が大きい。しかし現在安価な金額で買取されているものも、買取の方法や時期によっては多少なりとも金額が上がる場合もある。その方法・時期について以下で紹介する。
まとめ売りすると高額になることも
現代アートの場合、存命しているアーティストも多く、希少価値が付いているものは少ないと言える。
もともと市場で販売されている現代アートはそこまで高価にならず、数万円で売れるものが多いだろう。そのような場合には、いくつかの作品をまとめて売るとそれなりに高い金額となるようだ。
何かのきっかけで急激に価値が上がることもある
ただし、現代アートでも有名な画家やアーティストとなれば、その作品は非常に高価な金額で売れるようになる。
特に限定のシリアルナンバーが入っている現代アートや、何かの記念で作られているもの、またオークションで高額買取され評価が急激に上がったものなどは、数百万円になる可能性があるようだ。
また、売りたい作品のアーティストに注目が集まる時期には買取価格も上がりがちである。そのアーティストの作品展が行われている時期や、ドキュメンタリーが上映されている時期など、アーティストが脚光を浴びるタイミングがある。このような時期に合わせて査定に出すというのも、高額買取を得る手段だと言えるだろう。
現代アートは現在価値がないものでも、急激にその価値が上がることがある。そのため、このような情報はまず自分でもチェックすることをおすすめする。その上でしっかりとした鑑定ができる業者、高い金額で売れる業者を選んで売るように心がけるべきだろう。
まとめ
ここまで、現代アートの買取事情や査定情報や、どのような価値があるのか、どのような現代アートが売れるのかなど、詳しく紹介してきた。
美術品としての価値がある現代アート
まず、この現代アートは価値が非常に高い。それは、現状富裕層向けのマーケットになっているからだ。もちろん、現代アートの作品は美術品としての価値が十分にある。そのため、勝手な判断で捨てたり、譲ったりするのは避けたほうがいいだろう。
買取査定はプロの鑑定ができる業者で
また、その時点で価値がないものでも、急に価値のあるものになる場合もある。
現代アートの作品によっては、数百万円〜数千円万、なかには億単位の作品もある。そして、そのような現代アートをメインに買い取っている業者も多く存在しているので、鑑定ができるプロの査定で金額を比較検討したほうがいい。
とにかく美術品の買取は非常に難しいものなので、リサーチは入念にして、現代アートの買取では損をしないようにしよう。