人が亡くなると、故人が使っていたあらゆるモノをどうにか処分しなければならなくなる。いわゆる「遺品整理」だ。
遺品整理は、非常に手間と時間がかかり、遺族にとって一大作業となるのが通常だ。大切な家族が亡くなり、なかなかすぐには気持ちの整理がつかないだろうが、いつかは手を付ける必要があることだ。
では、遺品整理はいつ行うのが望ましいのだろうか。ここでは、遺品整理を始める上でのポイントとタイミングについて見ていこう。
CONTENTS
このコラムには、合法的な広告・宣伝が含まれている可能性があります。また、当社のサービスである「ヒカカク!」と「magi」の紹介も含まれています。
故人が賃貸住宅や老人ホームに住んでいたならタイムリミットを意識しよう
もしも故人が生前、賃貸物件や老人ホームなどのケア施設に住んでいた場合には、部屋や物件を引き払わなければならないので、それまでに遺品整理を済ませておく必要がある。実際の退去日は契約の内容や、個々の状況に応じて変わってくるが、遺品整理には相当な時間がかかることを見越しておいた方が無難だろう。
もし退去日に間に合わなさそうなら、最近では遺品整理の専門業者もいるので、一度見積もってもらってみるのも一手だ。値段は引っ越しよりも高くつくことが多いが、即日あるいは短期間で片付けたられるメリットは大きいだろう。
人が亡くなった直後は、まずモノを片付ける気にもなれないだろうし、葬儀や諸手続きなどで、あっという間に時間が過ぎていく。そのためにも、退去日はなるべく余裕を持って設定し、しっかりと遺品整理ができるような時間的余裕を確保するのが望ましい。
四十九日の法要を一つのタイミングとする
遺品整理で面倒なのが、どの品物を誰に引き取ってもらうか決めること、つまり形見分けだ。このあたりのことを確認するのに、家族や親族が一同に会する四十九日の法要は割とタイミングが良い。故人の旅立ちからそれなりに時間が経っていることからも、気持ちの整理がついていることが多く、冷静になって話し合うこともできるだろう。
ただ、誰が何を引き取るか具体的に決めるとなると、その日までに、どんな遺品があるのか整理してリストアップしておく必要があるので、四十九日の法要の1週間前には整理に着手するのが良いだろう。
また、四十九日を目途に遺品整理を始めるのは、道理としても適っている。仏教において四十九日とは、死者の魂が現世から来世に行くまでの期間、あるいはお釈迦さまのもとに到達するまでの期間であって、その間遺族は冥福を祈るのが習わしとなっている(宗派によって若干解釈が異なる)。そのため、ひょっとしたら四十九日に遺品整理を始めてしまうのは好ましくなく(亡くなった方がまだ現世を漂っているため)、四十九日の納骨をもって、遺品の整理をすべきと考える方もいることだろう。
このあたりは宗派などによっても変わってくるので、何を大切にすべきか、ケースバイケースで決めるのが良いだろう。
四十九日の次の法要では遅い?
四十九日を逃すと、次は百か日または一周忌の法要となる。ただ、百か日の法要は、四十九日に比べるとあまり執り行わないことが多く、また執り行ったとしても近い身内だけというケースも多く、親族が集まりづらい欠点がある。そして一周忌、つまり1年先となると、今度は時間が経ちすぎていて、もはや片付けのタイミングを失ってしまっているように思える。
遺品整理は、いつやらなければならないという決まりこそないが、あまり間延びしてしまうと、整理するタイミングを失ってしまうので、なるべくならあまり引き伸ばさないようにしたいところだ。
また、相続には期限があり、とくに相続放棄は相続開始を知った日から3か月以内に手続きをしなければならないので、早いうちに処理するに越したことはないだろう。
四十九日では早すぎるのなら
四十九日は、前述のとおり、何かとタイミングがよく、これを軸に遺品整理を進めるのがおすすめではあるが、事情や心情というのは人によって異なり、やはり四十九日ではまだ早いと思う方もいることだろう。この場合、後々トラブルにならないように、次の点を確認するようにしておこう。
・退去日に余裕がある、あるいは退去する必要がない
・相続について、相続放棄や申告を含め、クリアしている
・形見分けでトラブルにならないように、家族や親族としっかり話あっている。
なお、相続税というと、現金だけが課税対象と勘違いする人もいるが、金銭的な価値があればモノであっても対象となるので、忘れないように注意したいところだ。
また、形見分けといっても、価値あるモノを分ける場合には、親族や家族であっても敏感になるので、なるべく具体的に話ができるように、最低限の形見の選別は済ませておくのが望ましいところだ。
早ければ早いに越したことはない?
では、遺品整理は早すぎて何か困ることはないだろうか。
これに関しては、一般的にあまり困るようなことはないが、できるだけ心の整理がついてから始めるのが良いだろう。というのも、家族が亡くなると、当然のことながら喪失感は大きく、人によっては自暴自棄になることだってありえる。そんな状態では、捨てるべきモノも捨てられないだろうし、ひょっとしたら捨ててはいけないモノをヤケになって捨ててしまうかもしれない。
ただ、場合によっては、四十九日を執り行わないこともあるだろうし、通夜や告別式には顔を出してくれるが四十九日には来られないという親族がいても何ら不思議なことではなく、通夜や告別式のときまでに形見分けをしなければならない状況だってありえる。ただ、身内が亡くなってから葬儀までの流れは、実に慌ただしいのも事実なので、無理しない程度におさえておいたほうが無難ではないだろうか。
また、蛇足の感も否めないが、あまりドライに遺品整理を行っていると、周りから白い目で見られないとも言い切れないので、注意したほうが良いかもしれない。
まとめ
遺品整理というのは、通常の片付けとは異なり、なかなかタイミングが難しい側面がある。そのため、四十九日のような法要のタイミングをうまく活かせるのが望ましいとは言われるが、もちろん遺族の心情を重視しておこなおう。
遺品整理をしてみると、きっと故人の思い出の品がたくさん出てくるだろう。遺品整理は、故人を想いかえすことのできる有意義な作業と思っていただくと、着手しやすいのではないだろうか。