遺産相続というのは、自分は関係ないと思っている人でも、人生のうちに必ず経験するものの一つでもある。祖父母が亡くなった時、両親が亡くなった時、または人生のパートナーが亡くなった時など、あなたが遺産相続人に該当する時には、遺産の相続「する」「しない」に関わらず関与しないといけないものになるのだ。そんな遺産相続こそが親族関係のトラブルの原因となる場合も多く、事前に遺産相続について知識をつけたり、手続をするなどの方法を取らないと後になって調停や裁判などの厄介事に関わるようになるのである。
遺産相続について流れや手続、注意点などいざという時に知っていると慌てる心配がないように説明したいと思う。
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被相続人が亡くなったらすぐにやらないといけないこと
遺産相続の手続というのは、誰しも慣れていないものだ。一度経験があれば、ある程度の流れはわかるかもしれないが、最初はまず何をしたらいいのか手順を踏んで手探りで行うことになる場合が多い。一つ一つの手続に時間がかかる場合もあるので、手順の計画書などを準備して抜けがないように遺産相続の準備を行いたいものである。
死亡届を提出する
まず人が亡くなると、死亡して7日以内に、「死亡届」を区役所や市役所に出す必要がある。故人である被相続人が亡くなったことを証明するものになり、「死亡診断書」や「死体検案書」などと一緒に死亡届を届け出る本人の印鑑や身分証明書を持って手続を行おう。
この手続ができるのは基本的に親族または同居者になり、その他の人間が行う場合には「委任状」が必要になる。こういった遺産相続に関する手続関係は、基本的に「相続人本人」が行うものが多く、故人が亡くなると仕事やら忙しいこともあるかもしれないが時間を多めにとって準備を行うようにしたいものである。
葬儀の準備を行う
次に葬儀の準備が必要になる。葬儀をせずに「火葬」だけを行う場合は死亡届と一緒に「火埋葬許可申請書をセット」を提出する必要がある。市役所や市役所によっては交付申請書を作ってくれる場合もあるので、その場合は準備は簡素化され「署名」「捺印」のみで手続ができる。葬儀を行う場合は、葬儀社の方でこういった手続をすべて行ってくれるので手続に関してはそこまで心配することもないだろう。
葬儀社を選ぶ
葬儀社の選び方だが、故人がもともと会員になったりして、葬儀費用を積み立て葬儀場が決まっている場合もある。本来なら生前にこういった確認もできるといいのだが確認できない場合の方が多いだろう。その場合は、故人の遺品を確認し、葬儀場が決まっているのかどうかを確認してから手配をするようにしよう。大抵の場合が家から近い葬儀社に依頼する場合が多い。家族だけで行う家族葬か知人や会社の人も呼ぶ葬儀になるのかは予算によって検討するといいだろう。
葬儀の費用相場は100万円以上
「家族葬」の場合、10万~30万程度、「葬儀」になると100万以上のお金がかかるようになる。葬儀場によっても異なるのでしっかりと確認しておくといいのではないだろうか。葬式やお通夜の日程が決まったら参列者に案内を送ったり、出家席の確認、実際に葬儀当日に喪主を勤めるのかどうかによってやることの多さは変わってくるものである。葬儀当日に受付などのお手伝いを誰かにお願いできないかなど連絡を取り合い調整することも多い。
ここまでの作業は故人が亡くなり、7日以内に行うことになる。故人との別れで寂しい気持ちもあるが、準備をしないわけにはいかないので計画的に進めていけるようにしよう。
被相続人がなくなり3ヶ月以内に行うこと
葬儀も終わると、葬儀に足を運んでくれた方々に対して香典返しを用意することになる。 大抵、四十九日が終わるぐらいの時期に用意するパターンが多く、この時に遺産相続に関する動きが多くなってくるのだ。故人の形見分けを行う必要がある。さらに、ここで確認しておかないといけないことがたくさんあるのでメモしておこう。
- ・遺言書(ゆいごんしょ・いごんしょ)の確認
- (本人が直筆で残したもの・公正証書など種類がある)
- ・法定相続人の確認
- ・故人の遺産相続の調査
をまずははっきりさせる必要がある。
遺言書の確認
遺言書に関しては、故人の部屋のタンスや金庫などに入っている場合もある。遺言書があるかどうかも事前に確認しておくとトラブルになることが少なくなるのでおすすめだ。
公正証書を確認する
公正証書は公正役場や本人が信頼できる人間に託している場合がある。遺言書が複数枚ある時は痴呆症などの特例を覗いて、新しい方の遺言書が有効になる場合が多い。ただし、遺言書を見つけたからといって中身が気になる気持ちはわかるのだが、勝手に開封してしまうとその遺言書は無効になってしまうこともあるのを忘れずに。
遺産相続人が複数人いたり、故人名義の建物や土地、資産がある場合、どんなに仲の良い兄弟だとしても遺産相続に関してはトラブルになる場合が多い。生前から、土地は○○に、遺産は△△になどといったように生前分与しておくのがいいだろう。
法定相続人を確認する
法定相続人とは、本来両親が亡くなった場合、以下のような順位で相続の順番が決まる場合が多い。
- 1.配偶者
- 2.直系の子ども
- 3.直系の尊属
- 4.兄弟姉妹
の順番になる。
実際にこういった法定相続人を洗い出す時になって1度も顔を合わせたことがないような親戚がいたなどがわかることもあるので、法定相続人ははっきりとさせておく必要があるのだ。
相続財産の調査時に借金が無いか慎重に確認する
相続財産の調査の確認も大切。故人の財産があると思っていたら実は借金だらけで財産と呼べるものが全くないと言う場合もある。そんな場合遺産相続してしまうと、借金の支払義務まで相続することになってしまうのでマイナスになってしまうことも十分に考えられるのだ。財産目録を作成しておくことで、後になって取り残しの財産がでてくることもなくなるので安心だ。
遺言書の確認、法定相続人の確認、相続財産の調査などの確認ができたら、今度は法定相続人が集まり、遺産分割協議を行う。ここで遺言書を開封し、故人の意思を確認しながら遺産相続をどうするのか話し合うのだ。ここで揉めてしまうと、司法書士や弁護士に相談したり、家庭裁判所による「調停」や「裁判」などの手続になる。
ここで遺産相続を破棄する場合は、相続開始日から3ヶ月以内に行う必要がある。遺産相続してもそれだけの価値を見いだせなかった場合にこの方法を行う場合が多い。
3ヶ月以内に行わなければいけないこと
遺産相続に関する手続は3ヶ月までである程度の目処ができてくる。「法定相続人」「相続しないのか」も決まり、調停や裁判にならない場合は次の段階に進むことになるのだ。そうなると次は所得税の凖確定申告を行う必要がでてくる。被相続人が死亡した年の1月1日から死亡日までの期間の所得は凖確定申告を行う必要があるので覚えておきたい。この場合、所得税の支払義務は相続人の全員となるので覚えておこう。
特に以下の項目に該当する場合は、凖確定申告は必須となるので注意が必要だ。
準確定申告が必要な場合
- 1 、給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
- 2 、1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
- 3、 2か所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
- (注) 給与所得の収入金額から、雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下の人は、申告の必要はありません。
- 4 、同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
- 5 、災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人
- 6 、源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人
- 7 、退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人
※引用元:国税庁|給与所得者で確定申告が必要な人
この所得税の手続、凖確定申告が終わり、遺産の全体像が見えてきたら遺産分割協議書を作成しておき、誰がどの遺産を相続するのかはっきりとさせ、今後のトラブルを避けるようにしておこう。
自分が引き継いだ「遺産相続」に関するものの名義変更も忘れずに。
- ・相続登記
- ・銀行口座
- ・有価証券
などの名義変更は意外と手間がかかるものになるので、必要な書類や手続などはしっかりと確認しておこう。法定相続人同士の話し合いがまとまらずトラブルになっている場合は、遺留分減殺請求などを行うこともできる。法定相続人にも関わらず1円もお金が入っていない場合に使えるものになるので、1年以内に行い損がないようにしたいものでもあるだろう。
トラブルをできるだけ避けるためには生前から準備を
遺産相続に関するトラブルは想像以上に多く、生前から準備をすることで血を分けた兄弟との確執を防ぐことに繋がる。できるならご両親に「トラブルは避けたいので・・・」と話し、お互いが納得した形で遺言書を準備することが大切だ。法定相続分があるのに、絶縁などのトラブルで調停や裁判をするケースになることも非常に多い。
ただし、故人からしてみれば、亡くなる前から準備することに不快感を示す場合もあるのであくまでも故人の遺産になるので本人の意思を尊重してあげることが大切なのだ。遺産相続だけに目が行きがちになるが、故人の形見なども確認するようにしておこう。
生前にできることは実はたくさんあり、そういった問題をクリアにしておくことはとても重要だ。遺産相続などのトラブルが起きないようにできることから始めてみよう。
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