前田青邨（まえだせいそん）は岐阜県出身の日本画家だ。1885年に食料品屋を営む両親の元に次男として誕生し、本名は廉造という。幼い頃から絵を描くことが得意で1898年に上京し京華中学校に入学したが、体が弱く翌年の1899年には京華中学校を中退し故郷に戻ることになる。
前田青邨は、歴史画や肖像画が特に高く評価されており、数々の賞を受賞している。鎧兜を細部まで細かく描いた武者絵では日本絵画協会の三等褒状を受賞。1950年には東京芸術大学の教授に就任し、1958年には日本美術院常務理事を務めるなど1977年に老衰でこの世を去るまでに幅広く活動してきた。
今回は、前田青邨の歴史や作品の価値、買取相場について紹介していく。前田青邨の作品の売却を考えている方は本コラムを参考にしてみてはいかがだろうか。
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こちらのページには広告パートナーが含まれる場合があります。掲載されている買取価格は公開日のみ有効で、その後の相場変動、各企業の在庫状況、実物の状態などにより変動する可能性があります。
前田青邨の歴史
前田青邨の歴史を知ることは前田青邨の作品の価値を知る上でとても重要だ。ここでは前田青邨の生い立ちなどについて、さらにくわしく紹介していく。
梶田半古の画塾に入門
1899年に体を壊し一度は故郷へ帰った前田青邨だったが、1901年に絵に対する想いを捨てきれず再び上京を果たす。その際に当時の人気画家・梶田半古の画塾に入門。そこで出会った小林古径とともに日本画について学びを深めていった。そのかいあってか翌年の1902年には日本絵画協会共進会に出品した作品「金子家忠」で三等褒状を受賞し、半古から「青邨」の雅号を授かる。
しかしこの頃、日本画界では西洋画の要素を日本画にも取り入れようと模索していた時期で迷い悩んだ前田青邨も西洋画の画材一式を買いそろえた。しかしその迷いは作品にも現れてしまい、そこから3年間苦悩の日々は続いた。
1910年には当時の新派の美術団体である国画玉成会の幹事に就任。同年に故郷にある南林寺から依頼を受け13点の天井画を描いた。1918年には大阪府の高島屋で初の個展も開催している。
ヨーロッパへの留学
1922年、日本美術院留学生として小林古径とともにヨーロッパのローマ、フィレンツェ、パリに1年間留学することになる。その際に出会った宗教画のジョットの壁画に感銘を受けた前田青邨は日本画の技法にとらわれるのではなく、自分の描きたいものを描くと決心。その後、無事帰国した前田青邨は日本中の兜をスケッチして回った。
そして1930年、「洞窟の頼朝」で第１回朝日賞を受賞することとなる。「洞窟の頼朝」は戦いに敗れた源頼朝一行が洞窟で敵陣から身を潜めている状況を描いた作品で、源頼朝と6人の武将の大鎧を前田青邨ならではの繊細な筆使いで見事に描きあげている。また、表情も敵兵の足音をじっと聞きバレないように息を潜める様子を忠実に描いておりその緊張感がこちらにも伝わってきそうな迫力がある。この「洞窟の頼朝」は名画として重要文化財に指定されている。
壁画にも多く携わる
晩年の前田青邨は、日本画家・安田靫彦とともに法隆寺金堂壁画再現のために総監督として再現壁画を制作。前田青邨率いる近藤千尋、守屋多々志、平山郁夫ら前田班は十号大壁(薬師浄土)、三号小壁(観音菩薩)、十二号小壁(十一面観音)を担当した。
また、1970年には皇居新宮殿の石橋の間の壁画として元々あった「石橋」の両サイドに「紅牡丹」と「白牡丹」を新たに書き加えた。1972年には高松塚古墳壁画模写事業の総監修者に就任し精工な模写を制作。陶板画による模写は日本で初めてのことだ。
前田青邨の功績
晩年まで活躍し続けた前田青邨だが、ここでは前田青邨の代表作や受賞歴を紹介していく。
前田青邨の代表作品
日本画の技法にとらわれない作風で、ほかとは一線を画した存在の前田青邨は数々の作品を世に送り出してきたが、その中でも有名な作品や代表作は下記の通りだ。
- ・洞窟の頼朝
- ・大物浦
- ・白頭
- ・細川ガラシア夫人像
「大物浦」は、義経記に出てくる一場面を描いた作品で兄の源頼朝に追われた義径一行が大物浦から船出。その際に大きな嵐に遭遇し、荒れ狂う波風に船が揺れている所を画面いっぱいに描いている。
「白頭」は、眼鏡をはずしてジッと絵を見つめる自分自身を描いた唯一の自画像だ。白髪頭の前田青邨が印象的な作品となっている。
「細川ガラシア夫人像」は、ローマ法王庁からの依頼でガラシア夫人を描いた作品だ。ガラシア夫人とは明智光秀の娘の明智玉子のことで「本能寺の変」の後にキリスト教を信仰し、ガラシャの洗礼名を受けた。この作品は92歳で人生の幕を閉じた前田青邨の最後の作品として知られている。
前田青邨の受賞歴一覧
紅児会に入ってから内国勧業博覧会や内国絵画共進会などに作品を出品し続け、長きにわたり、さまざまな賞をいくつも受賞してきた前田青邨。主な受賞歴は下記の通りだ。
- ・1902年 第12回日本絵画協会日本美術院連合共進会 「金子家忠」で三等褒状を受賞
- ・1912年 第6回文展 「御輿振」で三等賞を受賞
- ・1930年 第16回院展 「洞窟の頼朝」で第1回朝日文化賞を受賞
- ・1955年 文化勲章を受賞
上記はほんの一部に過ぎず、ほかにもさまざまな賞を受賞している。
前田青邨の作品の価値
大正から昭和にかけて日本画壇を風靡した前田青邨だが、そんな彼の作品は数多く存在する日本画家の中でも特に人気があるようだ。
作品の内容や使われている技法、作品の状態などにも価値は多少左右されるが、前田青邨が手掛けた作品は最低でも数万円～数十万円の値が付くことが多い。高額なものになると数百万以上はするような作品もあるようだ。
近代日本画の巨匠ともいわれる前田青邨の作品はそれだけ価値が高く、買取に出す際も買取金額は高額になることが予想される。
前田青邨の買取相場
前田青邨は歴史画や花鳥画、人物画などさまざまなジャンルで傑作を生んでいるが果たして買取相場はどれくらいなのだろうか。具体的な値段は下記の通りだ。（2019年5月29日時点）
- ・「千羽鶴」→1,800,000円（買取業者）
- ・「菊」→301,000円（ヤフオク）
- ・「獅子」→159,000円（ヤフオク）
- ・「科の木」→61,000円（ヤフオク）
買取業者では日本画などの美術品の買取価格を非公開にしている場合が多い。上記の価格は一例で、作品の内容や真作かどうか、市場価値の変動などによっても日々変わってくるが前田青邨の作品は価値がとても高く多少状態が悪くても高値で買取されている。
現在前田青邨の作品を売ろうか悩んでいる方は、上記の買取価格、落札相場などを参考に検討してみてはいかがだろうか。
前田青邨の作品を高値で売却するには
前田青邨の作品を売る場合、相場よりも少しでも高値で買い取ってもらいたいと思うのは普通のことだろう。売却方法は自分でネットオークションやフリマサイトに出品する方法と買取業者に買取を依頼する2つの方法が主流だ。ここでは、前田青邨の作品を少しでも高値で売却する方法を紹介していく。
複数の買取業者に査定を依頼
前田青邨の作品を買取業者に買い取ってもらう場合は、1社だけではなく複数の買取業者に査定を依頼して買取金額を比較するようにしよう。1社だけに査定を依頼すると自分で作品の現在の相場がつかめずに後から後悔してしまう場合もある。
複数の買取業者に査定を依頼することは値段交渉の際にも役に立つので、最低でも2～4社の買取業者に査定を依頼し、その中で一番の高値を付けてくれた買取業者と交渉してみよう。お住まいの地域にいくつも買取業者がないという場合は、宅配買取や出張買取をおこなっている買取業者を賢く利用しよう。
手元から作品がなくなるのが不安という場合はLINE査定やメール査定を利用するという手もある。作品の写真と詳細を記載してLINEかメールで送信すればおおまかな査定金額を教えてくれるので、こちらも合わせて利用してみてはいかがだろうか。
日本画に詳しい買取業者に依頼
買取業者とひと口にいってもそれぞれの買取業者ごとに得意としている分野がある。古着や日用品を多く扱う買取業者に前田青邨の作品を持って行っても相場より安く買いたたかれてしまう可能性が高い。
前田青邨の作品を売却する際は、日本画などの絵画の過去の取引が豊富な買取業者に依頼するか、前田青邨の作品を買取したことのある買取業者に依頼するようにしよう。
なかには日本画・絵画を専門としている買取業者も存在する。日本画の価値に詳しい鑑定士が在籍しており、市場を読んで適切な査定額を提示してくれるので安心して取引できるだろう。
オークションなどに出品
上記では買取業者に買取を依頼する方法を紹介したが、そのほかの方法としては自分でネットオークションやフリマサイトなどに作品を出品するという方法もある。その場合、相場を自分で調べる必要があるがヤフオクなどでは過去にいくつも前田青邨の作品が落札されているので、過去の落札価格を参考にしているのもいいだろう。
日本画などの美術品はオークションなどでも数多く取引されており、意外な値段で売れることも珍しくないので1円でも高く前田青邨の作品を売りたいと考えている方は出品してみてはいかがだろうか。
オークションやフリマサイトのメリットは、自分の好きな値段設定ができるところだ。自分が決めた値段に届かなけれな売らないという選択肢もあり、前田青邨の作品を売るかどうかまだ迷っている人などにもおすすめだ。
デメリットは買取業者に比べると手間がかかるという点だろう。作品の写真をキレイに撮って状態などを詳しく記載し出品してもすぐに売れるとは限らないし、もしかしたら思っていた値段には届かないかもしれない。売れた場合は梱包して発送するなどすることも多い。
すぐに売ってしまいたい場合や時間のない場合は買取業者へ、時間や手間はかかっても自分の納得のいく価格で売りたい場合はオークションやフリマサイトを利用するなどして、自分にあった方法で納得のいく買取金額を目指そう。
前田青邨の作品を売却する際の注意点
前田青邨の作品を売却する際に気を付けるべきポイントはいくつかあるが、一番はその作品が真作であるかどうかという点だろう。前田青邨などの知名度の高い日本画家の作品には贋作が出回っていることが多い。贋作である場合は価値がないとみなされ買取不可となってしまうので注意が必要だ。
最近は贋作も非常に精密に作られており、素人目には真作か贋作かを見分けるのは不可能に近い。入手経路などを明確にしておくことで真作か贋作かを見分ける1つの判断材料にもなるが、作品の真贋を知りたい場合は東京美術倶楽部といった機関で鑑定をしてもらうのもいいだろう。
また、共箱や共シールといった作者が署名した箱や紙シールがある場合は必ず一緒に売却するようにしよう。共箱や共シールは作者が作品を自分の作品であると認めた証拠となるものなので、共箱や共シールの有無だけでも査定額に差が出ることがある。
前田青邨の作品を買い取っている業者一覧
日本画の買取を得意としている買取業者は数多くあるが、そのなかでも特におすすめの買取業者を紹介していく。前田青邨の作品をどこに売ればいいか迷っている方はぜひ参考にしてみてほしい。
総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
総合美術買取センターは、日本画などの絵画はもとより、さまざまなジャンルの美術品を取扱う買取業者だ。それぞれのジャンルに精通した鑑定士が鑑定をおこなってくれるので高額買取が期待できる。
LINE査定も取り入れているので、とりあえずどれくらいで売れるのか知りたいという場合は利用してみよう。宅配買取もおこなっているので、お近くに店舗がないという方でも全国どこからでも買取が可能で査定料は無料となっている。
八光堂
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
八光堂は、骨董品や美術品の買取を専門とする買取業者だ。40年以上の実績と経験があり、過去には前田青邨の作品の「千羽鶴」を180万円で買取している。買取方法も豊富で店舗買取のほかに出張買取やLINE査定、メール査定もおこなっている。査定料や出張料はすべて無料だ。
また、頻繁に買取アップキャンペーンなどを開催しているのでこまめにホームページなどからチェックしてみよう。
まとめ
本コラムでは前田青邨の生い立ちや数々の受賞歴を紹介するとともに、前田青邨の作品の価値や買取相場についてもくわしく解説してきた。前田青邨は日本画の技法にとらわれない独特の色使いや表現力で今もなお評価が高く、その分買取金額も高額になることが予想される。
前田青邨の作品を売ろうと考えている場合は、本コラムで紹介した実績豊富な買取業者を参考に、納得のいく買取金額を目指してほしい。
