日本国内だけでなく中国でも人気が急増する金投資には、種類によって異なるメリット・デメリットがある。それぞれの特徴とも言える利点・難点がわからなければ、当然、自分の目的に合った投資方法や金融商品の選択もできなくなる。また金投資の中にはハイリスク・ハイターンの種類も存在するため、大きな失敗防止といった意味でも投資を始める前にメリット・デメリットを確認しておくべきだと言えるだろう。
今回は、将来的に金投資にチャレンジしようと考えている皆さんと一緒に、カテゴリ別と投資方法別のメリット・デメリットを確認していきたい。
CONTENTS
このコラムには、合法的な広告・宣伝が含まれている可能性があります。また、当社のサービスである「ヒカカク!」と「magi」の紹介も含まれています。
金投資には大きく分けて2つのカテゴリがある
金投資と呼ばれる投資方法には、大きく分けて現物取引と証券取引という2つの種類が存在する。これから金投資を始める際には、第一に「現物取引と証券取引のどちらを選択するか?」を決めなければならない。またはじめの一歩とも言えるこの段階で選択を誤ってしまうと、投資によって得られるメリットも大きく変わってくるため、注意をして欲しい。
現物取引とは?
現物取引というのは、投資家が金の現物を保有し、その価値が上がったタイミングで売却をすることで利益を得る方法の総称だ。具体的な方法としては、金貨投資や金地金投資が挙げられる。また中には、積み立てを行った純金を金地金交換できるという理由で、純金積立を現物取引に分類する考え方もあるようだ。
証券取引とは?
金投資における証券取引には、投資家が物理的な金の購入や所有を行うことはないという特徴がある。具体的な種類としては、先物取引と呼ばれることもある金CFD、投資信託、金ETF、金鉱株投資などがある。
金の現物取引におけるメリット・デメリット
現物取引による金投資におけるメリット・デメリットは、投資家する人が金の実物を持つことによってもたらされる多く傾向がある。ここでは、多くの人が注目するその一部を紹介していこう。
金現物取引のメリット1 世界経済の影響を受けにくい
金地金や金のコインを使って投資を行う最大のメリットは、世界経済の影響を受けにくい点だ。こうした特徴のある現物取引の金投資は、証券取引で行う方法と比べて世界の政治経済に対してナーバスにならなくて良い利点もある。また金の場合は、災害や戦争、テロといった社会的不安材料が増えるほど価格が上昇する傾向もあるため、世界的に不安定な要素の多い現代においては、選択するメリットの高い存在と捉えて良いだろう。
金現物取引のメリット2 無価値になることはない
ゴールドバーや金貨といった投資資産は、社会情勢がどんな形になっても無価値になることはない。また世界共通通貨としての歴史を持つ金には、日本以外の国であっても換金や現金化のできる利点もある。こうした形でグローバルな価値のある金は、世界で仕事や生活をしている富裕層の間でも注目度の高い存在となっている。
金現物取引のデメリット1 利子や配当金がない
買値と売値の差額によって利益を得る金の現物投資には、証券取引のような利子や配当金が存在しないデメリットがある。また理想的な売り時が到来するまでの期間については、全く利益のない中で月々の金保管費用がかかってくるため、金地金や金貨を使った金投資はそれなりに資金面に余裕のある富裕層などでなければ実践が厳しい実態もあると言えるだろう。
金現物取引のデメリット2 為替の影響を受けやすい
金の現物投資を行う上で注視すべきなのは、為替相場の影響だ。金の輸入国である日本では、円高ドル安になれば金価格の下落、円安ドル高の場合は金価格の上昇が期待できる。こうした形で為替相場の影響を大きく受ける金地金や金貨の投資については、外貨預金と同じようなイメージで推移する傾向があると捉えて良いだろう。
金現物取引のデメリット3 盗難や紛失のリスクもある
投資家自ら金を所有する場合は、紛失や盗難のリスクにも備えなければならない。こういったトラブルを防ぐためには、保険加入や銀行の貸金庫を利用するといった対策を講じる必要が出てくる。またこうしたサービスの利用にはそれなりのお金もかかるため、金地金やコインで投資を行う際には購入資金以外の費用も必要だと言えるだろう。
金の証券投資におけるメリット・デメリット
投資家自ら金の現物を持たない証券による投資を行う場合のメリット・デメリットは、「どの投資方法や金融商品を選択するか?」によって大きく内容が変わってくる。また同じ金を投資対象とする金先物取引、金EFT、金投資信託、金鉱株投資といった方法には、多くの人が混同しやすい特徴もあるため、それぞれにおけるメリット・デメリットを解説しておいた方が良いだろう。ここからは、現物取引と証券取引の中間的な位置づけとも言われる純金積立を含め、金を所有しない投資方法の利点と難点を種類別に徹底比較していきたい。
純金積立のメリット・デメリット
大まかな分類として現物取引に含まれる純金積立は、給与天引きなどと同じように購入金額が指定口座から自動引き落としされるシステムの金投資だ。
純金積立のメリット
純金積立を行う最大のメリットは、1,000円ほどの少額から始められることだ。例えば、金貨投資で多く購入されるメイプルリーフ金貨については、大変小さな1/10オンスであっても16,000円〜18,000円で購入しなければならない。これに対して純金積立については、1,000円以上・1,000円単位の少額から始められるため、ゴールドバーや金貨を購入する余裕のない皆さんでも気軽にチャレンジできる存在となるのだ。
純金積立のデメリット
純金積立におけるデメリットは、各業者の決めた手数料が発生することだ。企業によっては3,150円もの年会費が請求されることもある。また中には、840円という安価な年会費であっても買い付け1回ごとに購入価格の2.5%の手数料をとる会社も存在するため、業者選定や契約時には「どれだけ金の購入以外にお金がかかるか?」といった部分についてもきちんと確認をするようにして欲しい。
金先物取引のメリット・デメリット
金の現物取引における諸問題を解決できる存在として話題の金CFD(金先物取引)は、金を指標にするだけで、実施に金の現物を売買しない証券取引だ。
金先物取引のメリット
金先物取引におけるメリットは、金購入による投資と比べて遥かに手数料などのコストを節約できることだ。買値と売値の差額であるスプレッドが1円しかない先物取引においては、1kg単位の取引を行った場合についても1,000円前後の差額にしかならない特徴がある。これに対して小売店における金のスプレッドは一般的に約2%前後となっているため、この両者の違いを比較すれば先物取引における手数料の安さも納得できると言えるだろう。
金先物取引のデメリット
金先物取引におけるリスクやデメリットとも言われる特徴は、この投資法特有のレバレッジによって生じるものだ。しかし高額なレバレッジによって生じるリスクは、基本的に使い方次第では防げる存在とも考えられる。またレバレッジを効かせない金投資を行なえば、ハイリスク・ハイリターンを避けた効率的な資産運用も可能になると言えるだろう。
金投資信託のメリット・デメリット
先物取引よりも遥かに投資単位の小さな投資信託は、証券会社が投資家から資金を集め、そのお金を元手として運用会社が運用を勧める金融商品の総称だ。
金投資信託のメリット
プロのファンドマネージャーが運用方針を決める金投資信託は、初めて投資にチャレンジする人達でも安心しやすい存在だ。また運用によって得えられた収益が分配金として還元されるため、売却をしなければ利益が生まれない金地金や金貨投資と比べて短期的でもメリットが生まれる可能性の高い方法と捉えて良いだろう。
金貨投資信託のデメリット
金貨投資信託には、他の投資信託カテゴリと比べるとまだ本数が少ない難点がある。またモーニングスターの金や原油関連のファンドに対象を広げても、やはり選択肢が少ない実態は否めないようだ。また金の投資信託商品の中には、その対象が株式ではなく先物となるものも存在するため、初めてこのカテゴリで投資を始める皆さんにとっては投資先の選択をいった部分で頭を悩ませる部分が多いと言えるだろう。
金ETFのメリット・デメリット
有価証券化による証券市場への上場によって証券会社での取引が可能になった金ETFは、前述の投資信託と比較されることの多い存在だ。
金ETFのメリット
金ETFには、株式と同様の取引や手数料の安さといった多くのメリットがある。リアルタイムで取引可能な金ETFを選択すれば、より高いところでの売却や安い価格での購入も可能となる。またこの投資法には指値注文が利用可能な特徴もあるため、損失を少しでも減らしたいと考える皆さんにとってもおすすめ度の高い存在になることだろう。
金ETFのデメリット1 金現物の裏付け
金投資を行う場合は、投資家が投資する額に応じた金地金の購入・保管の仕組みがあるのかを確認しなければならない。例えば、カストディアンという保管会社に購入した金の保管を行う取扱い会社の場合は、裏付けがあるという理由でこれらの会社が破綻しても金の保護は可能となる。これに対して金現物の裏付けのない会社や銘柄の場合は、運用会社の破綻によって投資したお金が戻らない可能性もあるため、注意が必要だ。
金ETFのデメリット2 利回りがない
売買の差額によって利益を得る金ETFについても、現物取引と同じように利回りがない。また利益を生む上での判断は投資家個人に委ねられるため、売り時が到来した時に素早い取引へと移行できない人にとっては、この方法を使った投資は難しい側面があるかもしれない。
金鉱株投資のメリット・デメリット
金に関連した事業や金採掘を行う会社に投資する金鉱株投資は、金投資の中でも少し例外的な側面の多い投資方法だ。
金鉱株投資のメリット
金鉱株投資を行う最大のメリットは、配当金や利子を受け取れる点だ。配当を行う企業の金鉱株を購入すれば、短期的な売買で高い利益が生まれることもある。またこの投資法の場合は、金そのものの価値だけでなく関連事業を行う企業の生産性や企業価値、利益率のアップといった部分も大きく利益に影響するため、ここまで紹介した他の方法と比べると単純な金投資にはない魅力の多い内容と捉えて良いだろう。
金鉱株投資のデメリット
金鉱株投資におけるデメリットは、日本において金の採掘が現在行われていないことだ。そのため、この方法で投資を行う際には、金鉱山会社の存在する南アフリカ、オーストラリア、アメリカ、カナダなどの証券を買わなければならない。こうした国の商品で取引を行う際には外貨を用いる形となるため、為替変動によるリスクがあることを考えると、金の価値だけにアンテナを張り巡らせれば良いというわけではないと言えるだろう。
【まとめ】どの金投資がおすすめ?
ここまでさまざまな投資方法について、メリット・デメリットを挙げてきた。最後に当ページのまとめとして、それぞれのメリット・デメリットから考えられるおすすめの方法やカテゴリについて、3つのパターンをご紹介しておこう。
リスクヘッジの手段の場合
世界的な経済や政治、インフレといった有事のリスクに備えるなら、純金積立や金地金、金貨などの保有といった方法がおすすめとなる。純金積立の場合は安い会社を利用しても、2%前後の手数料がかかってしまう。しかしそれでも社会情勢によって乱高下するリスクが低いと考えると、安定性の高い投資方法としては現物取引が理想的だと言えるだろう。
値上がり益を狙う場合
積極的な投資によって値上がり益を狙うなら、レバレッジを効かせられる金CFD(先物取引)がおすすめとなる。しかし先物取引にはハイリスク・ハイリターンという難点もあるため、投資初心者の皆さんは慎重に購入をするべき存在だと言えるだろう。
保有のメリットを得たい場合
金を保有する満足度も得たい人には、ゴールドバーや金貨などの現物投資がおすすめとなる。多く取引される地金型金貨には、メイプルリーフ金貨やウィーン金貨ハーモニー、パンダ金貨、イーグル金貨といった多彩な種類がある。またインゴット(金地金)についてもさまざまな登録マークがあるため、金の現物取引であれば収集を通してこうした違いを楽しむことも可能と言えそうだ。