ブランパン（BLANCPAIN）は、現存する世界最古の時計ブランドとして知られるブランドである。創業はなんと1735年。日本に置き換えると、江戸時代中期、8代将軍徳川吉宗の時代にまで遡ることになる。以来20世紀半ばまで200年以上に渡り、時計、そして腕時計を作り続けてきた。
ところが、クォーツショック＆オイルショックの影響もあって、1970年代には会社が休眠状態となるまで追い込まれる。この窮地を救い、ブランパンを高級時計ブランドとして復活させたのが、後にウブロを大躍進させ、2014年からLVMHグループでウブロ、ゼニス、タグ・ホイヤーを統率するジャン・クロード・ビバー氏である。
ブランパンを譲り受けたビバー氏は、当時絶望的と考えられていた機械式時計の復権を掲げてこれに注力し、見事にそれを成し遂げる。奇跡とも思えた復活を遂げたブランパンは、時計界最大のブランドグループ、スウォッチグループに買収され、同グループの中核ブランドとして現在に至っている。
ブランパンの腕時計の最大の魅力とは、クォーツ時計を作らないことを宣言し、機械式時計の革新を次々に成し遂げてきた、機械式時計にかける技術力と熱意に他ならない。ここでは、機械式時計の魅力を知り尽くしたブランパンの型番（＝リファレンスナンバー）とモデル名との関連性、型番の考え方について調べてみたので、説明していこう。
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ブランパンの型番について
まず、ブランパンの各モデルの型番について、コレクション毎に確認していきたい。なお、ブランパンの各モデルの型番については、ブランパンの日本版公式サイトを参照している。
ル・ブラッシュ各モデルの型番
「ル・ブラッシュ」とは、ブランパンが工房を置いている村の名前である。つまり、そこから生まれる最高級腕時計のコレクションを意味している。各モデルともに、マスターピース、グランドコンプリケーション、控えめなデザイン、高級素材といった特徴を持ち、現在ではブランパンが現代に復活させたメカニズム「カルーセル」が中心になっている。
【ル・ブラッシュの型番】
- （1）00225-3434-53B：ワン ミニット フライング カルーセル
- （2）00235-3631-55B：カルーセル ミニッツリピーター、ワン ミニット フライング カルーセル
- （3）00232-3631-55B：カルーセル ミニッツリピーター
- （4）4286P-3642-55B：パーペチュアルカレンダー、スプリットセコンド フライバッククロノグラフ、ムーンフェイズ
- （5）4225-3642-55B：トゥールビヨン パーペチュアルカレンダー
各型番の右側に記したのは、各時計に実装されたコンプリケーションの名称で、各製品のモデル名は存在せず（あえて挙げると「ル・ブラッシュ」がモデル名）、型番自体がモデル名を兼ねているようだ。各型番はハイフンによってつながれているが、冒頭は4ケタ数字かプラスしてアルファベット1字が入る場合があり、あるいはゼロがアタマに加わって5ケタ数字の場合がある。
真ん中の数字4ケタは、各モデルとも共通。全て「3」で始まっていて、中には「3631」や「3642」で共通しているモデルが存在する。「3631」はケース素材が18Kレッドゴールドで、文字盤が『ホワイト グランフーエナメルダイヤル』で共通している。
一方「3642」は、ケース素材は同様で文字盤が『オパリン（乳白色）ダイヤル』という点で共通している。ケースの大きさやムーブメントの種類といった共通性は見られなかった。
末尾3ケタは「53B」だと『プラチナステッチを施したラバー裏地付きアリゲーターレザーストラップ』で、「55B」の場合は『アルザベルカーフスキン裏地付きアリゲーターレザーストラップ』。わずかな違いではあるものの、型番の数字が変わったようだ。
ヴィルレ各モデルの型番
「ヴィルレ」とは、ブランパン発祥の地の村名である。このコレクションの各モデルは、ブランパンのルーツや美意識を体現するというものである。純粋なシルエット、明瞭な文字盤、スレンダーなダブルステップ･ ベゼルのケースといった特徴を擁する。製品の数が非常に多いコレクションでもある。
【ヴィレルの型番】
- （1）00888-3431-55B：トラディショナル チャイニーズ カレンダー、 ムーンフェイズ
- （2）6033-1542-55：ミニッツリピーター
- （3）6104-2930-55A：ウルトラスリム
- （4）6106-2987-MMB：ムーンフェイズ
- （5）6223C-1529-55A：ウルトラスリム
- （6）6263-3642-55：コンプリートカレンダー／ムーンフェイズ
上記にて数多くあるモデル群の中の、ごく一部をピックアップした。型番の右側は、やはりモデル名ではなく、その時計のコンプリケーションを示しているようだ。ブランパンは、ムーブメントがより薄く作られることも、コンプリケーションの1つとしている。
（1）の『トラディショナル チャイニーズ カレンダー』とは、中国歴のことである。2時間刻みの時刻、曜日、閏月を含む月表示、十二支、5大元素と天干からなる、中国暦の主要な指標が表示されている。
モデル数が多いコレクションだけあって、冒頭4ケタの数字を共通して使用するモデルが見られた。（1）を例外ととらえると、ほぼどのモデルも「6」で型番が始まるのが「ヴィルレ」の特徴と言える。また、（1）も含め（2）も（3）も（4）も同じ冒頭ナンバーを持つモデルが他に存在する。
基本的には、ムーブメントの種類を含む同じ内部機構で針やインデックスのデザイン等が一緒であれば、同じ冒頭ナンバーでカテゴライズされている。たとえば（3）の「6104」を持つモデルは7つあるが、共通するのはケースの直径等に関係なく『ウルトラスリム』で『センターセコンド（中央に秒針）』ということが挙げられるだろう。
基本はどのモデルもムーブメントのキャリバーの数字も同じだが、直径の小さな女性仕様のモデルにも同じ「6104」のモデルがあり、こちらにはキャリバーが記載されていない。ムーブメントの共通性が条件とはなっていないかもしれない。
末尾3ケタのMMBとは、『ミルマイユブレスレット』を意味している。末尾数字「55」は、『アルザベルカーフスキン裏地付きアリゲーターレザーストラップ』で変わりなく、「A」がついたとしても素材自体に変化はなかった。
フィフティ ファゾムス各モデルの型番
このコレクションは、1953年にフランス海軍の依頼により製作された潜水時計に端を発するモデル群で、すなわちダイバーズウォッチのコレクションとなっている。
【フィフティ ファゾムスの型番】
- （1）5000-1110-70B：バチスカーフ
- （2）5000-1230-B52A：バチスカーフ
- （3）5015-1130-52：オートマティック
- （4）5200-0130-B52A：バチスカーフ フライバッククロノグラフ
- （5）5100-1127-NAH ：バチスカーフ
「バチスカーフ」とは潜水艇のことで、この名称がつくモデルとつかないモデルがある。それ以外は、やはりその時計の複雑機構を記入している。（1）と（2）の違いは、ケースの素材。中央部分の型番「1110」がスティールで、「1230」はチタンを使用していた。
さらに（4）の「0130」はセラミックのケース。「1127」と「1130」もスティール製だ。一方、冒頭4ケタ数字の型番「5000」と「5015」の違いはベゼルの形状や目盛りの違いで、キャリバーは同一のものを使用している。
末尾の「70B」はスティールブレスレット。「52」は、キャンバスストラップを意味していて、「B52A」になると、「ピンバックル」というバックルの形状の記載があった。
「NAH」の「H」の部分は色を示していて（薄緑色）、他に「NAJ」（薄青色）、「NAT」（ターコイズ）、「NAV」（薄紫色）、「NABA」（黒）などがある。なおカッコ内の色は見た目での判断のため正式な色名ではない。「NA」はテキスタイルのストラップを意味していると思われる。
ブランパンの型番の特徴
前章でいくつかの例を紹介したように、ブランパンの型番にはいくつかの明確な特徴が見られた。
冒頭数字はコレクション毎でだいたい分けられる
ブランパンの型番の冒頭の4ケタの数字は、基本的には時計の内部機構も含めた特徴によって変化することがわかった。各コレクションによって冒頭の数字もだいたい決まっていて、モデル数の少ない「ル・ブラッシュ」を除くと、「6」で始まる「ヴィルレ」、「5」で始まる「フィフティ ファゾムス」、前章で紹介した以外のコレクションで、「2」で始まる「レマン」、「8」で始まる「L-エボリューション」ということで特徴づけられる。
コレクションの1つとして紹介されている「ウーマン コレクション」も主に「3」で始まる型番のモデルが多かった。もちろん、それぞれのコレクション毎に例外も多数あり、また「00」で始まるモデルは、本数限定のスペシャルモデルのようだ。
冒頭4ケタの数字は時計の特徴を示す
各モデルの冒頭4ケタの数字は、主に内部機構を含めた時計の特徴によって変化する。同一の内部機構、同一の表示形式であれば、同じ冒頭の型番となるようだ。末尾にアルファベットがつく場合もあるが、4ケタの数字が同じであれば、基本的な概要に変わりはなかった。
すなわち、この冒頭4ケタの数字がいわゆるケースナンバー、あるいはモデルナンバーと言われる数字で、気に入ったモデルがあったら、この冒頭4ケタの数字を押さえておくと間違いないだろう。
型番中央の4ケタの数字はケースの素材と文字盤の種類の組み合わせ
型番のハイフンに囲まれた中央の4ケタの数字は、各モデルのケース素材と文字盤の色や素材等の組み合わせによって、4ケタの数字が決められているようだ。組み合わせは多種多様なため4ケタの数字から素材までは特定しづらいが、基本的には「1」で始まるとケース素材はスティールやチタン等の素材が使われていて、「2」あるいは「3」で始まると、ケース素材は18Kレッドゴールドやプラチナなど高級素材が使われているようだ。
型番末尾はストラップやブレスレットの種類を示す
ブランパンの型番の末尾2ケタ数字、あるいはこの数字の前後に加えられたアルファベット、さらにはアルファベットのみ3〜4文字が意味するものは、各製品のストラップ、あるいはブレスレットの素材のようであった。
「55」の場合は基本的にアリゲーターレザーで、加工の具合によってアルファベットがついたり、「53」に変化する場合もあった。しかしこれが「52」になると、キャンバスストラップになる。他には60台だとカーフレザー、70台になるとスティールブレスレットになり、さらに特殊な素材になるとアルファベットでの表記になるようだ。
ブランパンの型番・リファレンスナンバーを把握しておくことのメリット
ブランパンの型番やリファレンスナンバーについて本記事では紹介してきたが、ここでその重要性や活用方法を紹介したいと思う。特に売買などでは必要不可欠となるので是非確認して欲しい。また、ブランパンの場合、モデル名がなく、型番のみとなるので数字など間違えないように記憶するようにしよう。一文字違うだけで違う商品になる、または存在しない商品となってしまうからだ。
ネットでの検索で便利
まず、先ほども記載したようにブランパンはモデル名が存在しない。そのため、ネットで検索をしたり、欲しい商品の情報を得るためには必ず型番が必要不可欠となる。あらかじめ把握しておくようにしよう。
また、口コミなどを検索したい場合口コミサイトやブログ以外にツイッターやインスタグラムなどのSNSもおすすめだ。特に近年流行しているため多くの人が利用している。おすすめな理由が、口コミサイトなどはサクラも多く存在し、投稿者本人のプロフィールもないため信用し難い。また、ブログも依頼されて投稿していることもあるため、本当の口コミかどうか判断しづらいだろう。
もちろんインスタグラムやツイッターの情報も全て信用できるというわけではないが、気軽に主観的な内容を投稿できることから生の声を聞くのに最適とも言えると考えられる。もし検索したいのであればハッシュタグと呼ばれる「♯」の記号を型番の前につけて検索することで投稿を見つけることができるだろう。
修理に出す時に必要
また、修理に出す時も型番は必要となってくる。特に、ブランパンはモデル名がないため型番でしか判断ができない。また、ネット上などで修理にどのくらいのお金がかかるかあらかじめ確認したい場合も型番で調べると便利なため、是非行ってみるといいだろう。
中古で売買する場合
また、中古で売る場合ももちろん必要となってくる。中古で売るとなるとほとんどの人が中古買取業者に買取に出すか、またはメルカリやヤフオクなどの個人間での売買の方法を選ぶことになると思われる。
中古買取業者に出す場合は、査定時にまず型番を伝える必要がある。また、ここで一つアドバイスが、買取業者に査定に出す場合1社ではなく、複数の企業に査定に出すことがおすすめだ。1社飲みてあるとそこでの査定金額が果たして一番徳であるのかが判断できず、他の企業に査定に出していれば高額で買い取ってもらえたという事態もあり得る。必ず複数の企業に査定に出すようにしよう。その際におすすめなのか一括査定サイトである。
一括査定サイトでは5社から10社など、複数の企業を無料で一回で査定に申し込むことができるので、1社1社申し込む手間や企業探しの作業を削減することができる。しかし、一括査定サイトで申し込んだ際業者によってはしつこく営業をかけられることもある。そういった電話を未然にこないようにしたいのであれば、あらかじめ営業の電話を断ることができる一括サイトを選ぶといいだろう。
また、個人間での売買となるメルカリなどのフリマアプリやヤフオクなどのネットオークションの場合必ず商品内容に型番を記載するようにしよう。その他情報もなるべく多く、自分が買う側になった場合を考えて記載するとより良いスムーズな売買へと繋がることができるだろう。
また、中古でそういった個人間のネットでの購入を行う場合は売る側とは逆に、型番や必要最低限の情報が記載されていない商品は怪しいと考えるようにして欲しい。しかし、こういったサイトは個人間でのやりとりとなってしまうため、何か問題があったとしても自分で対処しなければならない。買う側も売る側もそのリスクを承知で売買のやりとりをするようにして欲しい。
ブランパンの型番まとめ
ブランパンには各製品毎の名称＝モデル名称がないため、製品の判別はリファレンスナンバーで行うしかない。つまり、型番自体がモデル名となるので、気に入ったモデルがあった場合には、しっかりそのナンバーを確認しておきたいところだ。
ただし、リファレンスナンバー自体はそれなりに長いものの、ハイフンによって3つに分割されている型番のうち、冒頭の4ケタの数字は時計そのものの特徴を示しているモデルナンバーと見られることから、まずはこの数字を押さえておきたい。
ブランパンで人気な商品はは「ヴィルレ」のウルトラスリム、そして「フィフティ ファゾムズ」のバチスカーフが挙げられる。前者のモデルナンバーで考えると「6100系」、後者なら「5000系」といったところだ。そのうえで、ケース素材や文字盤の形状等をチェックしつつ、気に入ったモデルを見つけるといいだろう。なお、ブランパンの腕時計は全て機械式なので、プレゼント等で選ぶ際にはその旨を相手に説明することも忘れずにしておくと良いだろう。
