松尾敏男(読み方:まつお としお)は長崎県出身の日本画家である。3歳の時に上京し、中学時代は体操選手として活躍していたが、1943年に堅山南風に師事し日本画を本格的に学ぶ。1949年には再興第34回院展で「埴輪」が初入選する。それ以降も再興第100回まで作品の出品を続けた。作域は幅広く、牡丹などの花々を描いた作品や猫、山水画、ヴェネチアなどヨーロッパの情景を題材にした作品が多い。1994年に日本芸術院会員に任命され、2009年には日本美術院の理事長に就任、2012年には文化勲章を授与されている。
本コラムでは、松尾敏男の日本画の価値や買取相場、買取でのポイントについて詳しく紹介していく。現在、松尾敏男の作品を売ろうか迷っているなら本コラムをぜひ参考にしてみてほしい。
本記事のポイント
- 松尾敏男の有名なモチーフは牡丹で「牡丹の松尾」と称される
- 文化遺産に登録された作品もある
- 晩年の作品の方が高値がつく傾向にある
CONTENTS
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日本画家・芸術家 松尾敏男の略歴について
数々の作品を世に残し、牡丹の日本画で有名な松尾敏男について、ここでは詳しく松尾敏男について解説していく。松尾敏男の歴史や画歴を知っておくことは、松尾敏男の作品の価値を知り、またそれが売却する際に基礎知識として役に立つだろう。
新たなことにチャレンジし続けた松尾敏男
幻想的な作品で有名な松尾敏男。堅山南風の元で日本画の基礎や水墨の表現を学びながらも、当時は珍しい魚の骨などをモチーフにした日本画にも積極的に挑戦した。ヨーロッパやアジアを題材とした作品も多く、ヨーロッパの情景を松尾敏男ならではの色彩豊かなタッチで描き上げた作品も多い。また、「見たものをありのままに描く」ことをモットーにしていた松尾敏男は写生力も大変優れており、数々の名作を残している。
牡丹と松尾敏男
松尾敏男といえば牡丹を思い浮かべる人は多いのではないだろうか。「牡丹の松尾」とも称されていた松尾敏男は、40年以上福島県にある須賀川牡丹園に通いさまざまな牡丹を写生し続けた。牡丹の作品といえば「彩雨」、「赤牡丹」、「玄皎想」などが有名だ。
松尾敏男の受賞歴
ここでは松尾敏男の歴代のさまざまな受賞歴を詳しく紹介していく。
- ・1965年 第50回院展 奨励賞受賞
- ・1966年 第51回院展 日本美術院賞・大観賞受賞
- ・1968年 第53回院展 日本美術院賞・大観賞受賞
- ・1969年 第54回院展 奨励賞受賞
- ・1970年 再興第55回院展 日本美術院賞・大観賞受賞
- ・1975年 再興第60回院展 文部大臣賞受賞
- ・1978年 再興第63回院展 文部大臣賞受賞
- ・2012年 文化勲章受賞
松尾敏男は院展を作品発表の場として数々の作品を出品しており、上記のほかにもさまざまな賞を受賞している。
松尾敏男の代表作品
牡丹などの花鳥画や風景画など、幅広い作品で知られる松尾敏男だが、ここではその中でも有名な作品を紹介していく。
- ・埴輪
- ・火口湖
- ・鳥碑
- ・貧しき人々
- ・風薫る
- ・南風先生像
- ・朧
- ・櫻花富士
- ・牡丹
「火口湖」は、魚の骨を描いた珍しい作品で火口湖にいるはずのない魚が、本当は存在したのではないかという思いを描いた作品となっている。
「貧しき人々」は、インドの農民の人々と牛を描いた作品でその題名から貧しい人々を見下しているのではないかとしばしば誤解を受けたようだが、実際の意味はその逆で物質的にも満ち足りた生活を送っている自分たち(日本の人たち)のほうが実は貧しいのではないかとの思いを込めた作品だ。松尾敏男はこの頃から頻繁に作品に胡粉(ごふん)の白を使う事が多くなる。
「南風先生像」は、松尾敏男の師である堅山南風を描いた作品で、深い緑の中に杖をついた92歳の松尾敏男が佇んでいる印象的な作品だ。松尾敏男の存命中に肖像画をどうしても描きたくて申し出たところ、快諾してくれたという。松尾敏男が肖像画を手がけるのはこれが初めてである。堅山南風は「南風先生像」が完成した4ヶ月後に93歳でこの世を去っている。
松尾敏男の作品の買取価格相場
高い写生技術でさまざまな作品を世に送り出してきた松尾敏男の人気は今もなお高く、中古市場でも高値で買取される可能性が高い。日本画は作者によって買取価格が大きく左右され、有名作家や人気の高い作品ともなると数百万から数千万で取引されることも多い。松尾敏男の日本画は、作品の内容などにもよるが人気作の原画数十万円で取引されている。あまり有名ではない作品や版画でも本物であれば最低でも5,000円程度で売買されているようだ。
松尾敏男の作品の買取相場
では松尾敏男の日本画は、一体どれくらいの値段で買取されているのだろうか。
ヤフオクなどネットオークションでの事例
過去にネットオークションで落札された金額は以下の通りだ。
- ・「双鯉」:200,000円
- ・「紅白富貴花」:30,000円
- ・「風立つ」:24,000円
- ・「晨光富貴」:20,000円
買取業者や美術オークションの買取相場・買取価格・落札事例
- ・「牡丹画額」:401,100円(古裂會)
- ・「牡丹」:30,000円(アンシャンテ)
- ・「宵映」:5,000円(MANGAオークション)
- ・「春耀富貴」:5,000円(MANGAオークション)
上記のように松尾敏男の日本画の買取金額はさまざまだ。数万円〜数千円のものは版画だろう。買取業者での買取金額は非公開のことが多く、作品やコンディションなどによっても買取金額は大きく変動するため、上記の金額はあくまで目安としてとどめておいたほうがいいだろう。買取サービスを利用するときはある程度の相場を把握し、査定の際にはぜひ参考にしてみてほしい。
松尾敏男の作品の価値を決めるポイント
ネットオークションなどでは比較的高値で落札されている松尾敏男の作品。しかし作品の内容や作品の状態により買取価格は大きく変わってくる。
ここでは松尾敏男の作品の価値を決めるポイントについて詳しく紹介していく。
人気の高い作品
牡丹や人物画など幅広いジャンルの作品がある松尾敏男だが、その中でも特に有名な作品や人気の作品は需要が高く、その分買取価格も高額になることが予想される。また、希少な作品に至ってはもっと高額で買取されることもあるようだ。
松尾敏男といえば牡丹を思い浮かべるが、そのほかにもさまざまな人気作品が存在し、どれも価値が高いため松尾敏男が手がけた作品であれば高額買取が期待できる。
作品の状態
松尾敏男の作品は、汚れや傷、破れのないきれいな状態の作品であれば高額で取引されている傾向がある。しかし、反対に日焼けやシミなどの汚れがある場合は買取価格がその分低くなってしまう。
日焼けやシミなどの発生原因は保管状態が関係していることがほとんどだ。日本画などの絵画を保管する場合は、日のあまり当たらない風通しの良い場所で保管することでカビの発生を防ぐことができる。理想の室温は22度前後、湿度は55%といったところだろう。また、日を避けることで日焼けなどの変色も防ぐことができる。LEDの種類によっては、紫外線が発生するものもあるため、LEDライトを使用している場合には注意しよう。
また、保管しっぱなしにするのではなく常日頃から作品の状態をこまめに確認することが大事だ。そうすることで作品の状態を保ち高額買取につながる。
松尾敏男のサインや落款がある作品
作品に松尾敏男のサインや落款がある場合は買取価格が高くなる傾向にあるようだ。サインや落款がない場合でもそこまで買取金額に大きく差があるわけではないが、松尾敏男のファンはサインや落款の有無にこだわりが強い場合が多く、それが買取額に影響することがある。査定に出す前にお手持ちの作品を一度確認してみよう。
共箱や共シールがある作品
日本画を売却する際は、共箱(ともばこ)や共シールがあれば高値で売れる可能性が高い。共箱というのは、日本画を入れる桐箱に作者本人がサインや作品名を記載した箱のことだ。
共シールというのも同様で、作品が大きく桐箱に入りきらない場合などに作品の裏に作者がサインや作品名を記載した紙片を貼るがものを指している。共箱や共シールは、作者がその作品を自分のものであると認めた証なので非常に重要だ。この共箱や共シールがあるとないとでは買取金額にも大きな差がでる。
現在松尾敏男の作品の売却を考えていて、共箱などがある場合は必ず一緒に査定に出すようにしよう。そうすることで高額買取につながる。
鑑定証の有無
人気の高い日本画家や有名な日本画家の作品には贋作(がんさく)が多く出回っており、松尾敏男の作品の贋作も例外ではない。作品が本物か贋作かを区別するため、所定の機関が鑑定し本物と認められた証の「鑑定証」がある場合は安心して取引ができる。松尾敏男の作品を売る際は鑑定証も忘れずに一緒に提出するようにしよう。
買取り業者を選ぶポイント
高い写生技術で評価が高い松尾敏男の作品を買取している業者が多く存在するが、その中から一体どのようにして業者を選べばいいのだろうか。ここでは買取業者を選ぶときのポイントについて解説していく。
複数の買取業者を比較
松尾敏男の作品を売る際に、初めから1社だけに絞って査定を依頼するのではなく最低でも2~4社ほどの買取業者に査定を依頼してみよう。最初から1社だけに絞ってしまうと、自分で作品の買取相場がつかめず相場より安値で買い取られてしまう可能性もある。後で後悔しないためにも、複数の買取業者に査定を依頼し、その中でも1番高値を提示した買取業者に買取を依頼するようにしよう。
また、複数の買取業者に査定を依頼するメリットとして値段交渉の際に役に立つことがあげられる。最近はメールやLINEなどで写真と詳細を送るだけでおおよその査定額を提示してくれる買取業者も増えているので気軽に利用してみよう。
日本画の買取実績が豊富な買取業者を選ぼう
松尾敏男の作品を売る場合は、過去に松尾敏男の作品を買取したことのある買取業者に依頼するようにしよう。松尾敏男の作品の買取実績はなくても、日本画や絵画の買取実績が豊富な業者は長年の日本画に対する知識が豊富な鑑定士が在籍しているので安心して売りに出すことができる。
多くの買取業者は過去の買取実績をホームページ上に記載していることが多いので、松尾敏男の作品をどこに売ればいいか迷ったらまずはホームページをチェックしてみよう。
オークションやフリマに出品
上記では買取業者に依頼する方法を解説したが、それ以外ではネットオークションやフリマサイトに作品を出品するという方法もある。過去には数多くの松本敏男の作品が出品されており、どれもなかなかの値段で落札されている。オークションやフリマへの出品に慣れている方は自ら出品してみるのもいいだろう。参考にしてみてはいかがだろうか。
しかしオークションやフリマのデメリットとして、手間がかかってしまうという点があげられる。作品の写真を撮り説明文も自分で考え、質問が来たら返信するなどやることが多い。売れた場合も梱包や発送作業まで自分で行わなければならない。時間がない方や面倒な方には不向きといえるだろう。
LINE査定に対応している買取業者
ここでは日本画や絵画の買取実績が豊富な買取業者を紹介する。松尾敏男の作品を売る際はぜひ参考にしてみてほしい。
総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
総合美術買取センターは美術品専門の買取店でLINE査定や出張買取にも対応している。各分野でそれぞれ20年以上の経験を持つ業界トップの鑑定士が在籍し、特に、著名作家の買取価格に自信をもつ。日本画家の松尾敏男についてはホームページに略歴を掲載するなど買取に力を入れていることが伺える。契約して8日以内であれば返金が可能なクーリングオフ制度の導入が明記されているのも特徴的だ。
アート買取協会
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
アート買取協会は、日本画や洋画、中国美術などさまざまな美術品を取り扱う買取り業者だ。年間の買取実績数は30,000以上で、目の肥えた鑑定士が丁寧に査定をおこなってくれる。専門知識を必要とする日本画の買取だが、アート買取協会では日本画に詳しい鑑定士が丁寧に査定してくれる。買取方法は店舗買取、出張買取、宅配買取の3つで、査定費用や宅配買取の際の送料などはすべて無料だ。そのほかにもLINE査定を取り入れており、LINEで作品の写真と詳細を送ればおおよその査定額を提示してくれるので、まずは相場が知りたいという場合などは賢く利用してみよう。
出張買取に対応している買取業者
美術品・絵画買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
美術品・絵画買取センターでは出張買取やLINE査定に対応している。自社のオークションを毎月開催し買取だけでなく販売にも強みがある。松尾敏男の作品は高価買取の対象となっており、ホームページでは作家紹介や代表作が紹介されている。
花田美術
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
花田美術は日本画などの美術品を取り扱っている買取業者で、東京の銀座に店舗を構えている。ホームページ上で取り扱い作家の一覧を公開しており、その中に松尾敏男も含まれている。日本画の鑑定が得意な鑑定士も複数在籍しており、安心して査定を依頼することができる。また、ホームページ内で売却手順や査定ポイントについても詳しく紹介しているため、初めて日本画を売ろうと考えていて何をどうしていいかわからないという方は参考にしてみてはいかがだろうか。シミやひび割れてしまった作品の修復相談も受け付けているため、ほかではシミなどが理由で買取を断られてしまった作品でも花田美術なら買い取ってくれる可能性が高い。買取方法は「お客様のご希望や個々の作品により最適な売却方法は様々」とある。メールか電話で受け付けているため相談してみよう。
まとめ
今回は松尾敏男の日本画の買取相場や作品の価値について詳しく解説してきた。日本画の買取はほかの分野と比べると特殊で、買取価格を公開していない買取業者がほとんどだ。
松尾敏男は牡丹の作品で知名度も高く、作品の価値も高いので買取市場でも高値で取引されている。松尾敏男の作品を売却しようと考えている方は、本コラムで紹介した買取のポイントや経験豊富な買取業者をぜひ参考にしてみてほしい。