フランスの誉れとなる芸術家、ワイズバッシュ。楽器を演奏する人物像を鋭く描き、素描の表現主義的な技法で新進気鋭の作家として名を馳せた版画家だ。作品は躍動感にあふれ、今にも楽器が奏でる音が聞こえてきそうなほどの迫力がある。
ワイズバッシュは時間の流れをキャンバスに落とし込む。それは見るものの心にメロディーを植え付けていくためだろうか。今回はそのワイズバッシュの作品の買取相場や価値についてまとめていく。
もし手元にワイズバッシュの作品があれば、これを読んでその価値を確かめてもらいたい。その結果で買取に出したり、せっかくなので大事に保管したり飾っておくのもいいだろう。
本記事のポイント
- ワイズバッシュは、クリティック賞を受賞したのをきっかけに画廊と契約
- 日本にゆかりのある作家としても知られている
- 指定の鑑定機関は存在しない
CONTENTS
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画家 ワイズバッシュの略歴・経歴とは
フランスの現代絵画における巨匠のひとりと言われている、ワイズバッシュ。彼が生まれたのは、まだ第二次世界大戦が始まる前となる1927年である。
生を受けたのはフランス北東部とモーゼル県の副県都となるティオンビルだ。この街にはワイズバッシュ以外にも数人の有名人の出身者がいる。
ワイズバッシュが歩んだ芸術家への道
学生時代のワイズバッシュはすぐに芸術家を目指し、画家としての道を歩き始めていた。ワイズバッシュが芸術を学んだのはナンシー国立美術学校だ。ナンシーと言えば、豪華絢爛な街並みが魅力的な観光地としても有名だ。
ナンシーはパリの中心部からおよそ380kmほどの場所に位置する、フランス東部のローレヌ地方の中心都市だ。人口は約11万人ほどの街は観光地として人気が高い。だが景観の良さだけが人気ではなく、美しい芸術作品が多く残されていることもある。
美術学校で才能を開花するワイズバッシュ
ワイズバッシュはナンシー国立美術大学で版画などのさまざまな技法をマスターし、その腕を磨いていった。彼の手から生み出される作品は、瞬く間に世に求められていくこととなる。
ナンシー国立美術大学での活動は多くの人から認められる。結果、卒業後はサン・エティエンヌ美術学校で教授として迎え入れられる。ワイズバッシュはこの頃まだ20代という若さだったのには驚きだ。
青年画家として歩みだすワイズバッシュ
ベルギーやフランス、西ドイツやイタリア、ルクセンブルクにオランダの6カ国からなるパリ条約が締結した1951年ごろより、ワイズバッシュは新たな道を歩み始める。世界各地の国際版画展への参加が始まりだった。
その一方では青年絵画展やエコ-ル・ド・パリ展、サロン・ドオトンヌ、時代の証人・画家展などへ精力的に描きあげた作品を出品していった。地道に積み上げられた努力は1961年に開花する。
ワイズバッシュの栄光の軌跡
アルジェリア戦争が終結する一年前となる1961年にワイズバッシュは、それまでの功績を認められることとなり、名誉あるフランスのクリティック賞をみごと受賞した。これがきっかけとなりエルベ画廊と契約を果たし、連作の個展を開いたことは有名だ。
7年後の1968年には、フランス版画家協会から専任会員にも任命され活躍の場を広げていく。1970年には日本へ来日して東京と大阪の二大都市にて個展を開催した。これ以降も繰り返し来日しているため、日本にゆかりのある作家としても知られている。
晩年のワイズバッシュと評価
現代具象画壇の中で、ヨーロッパの正統派をくんだひとりと言われるワイズバッシュ。彼は知識人としての代表的存在としても扱われてきた。サント・エティエンヌ国立美術大学にて、晩年まで教授として教壇に立つこともあった。
2014年4月にワイズバッシュは87歳にして生涯の幕を閉じた。卓越したデッサン力、瞬間的な動きを的確に捉え描くみごとな技法、構成力の素晴らしさ、豊かな表現力、類まれなる才能がまたひとりこの世を去ってしまったことが惜しまれる。
ワイズバッシュの絵画・油彩の作風
セピア色を貴重とした印象的な絵、これこそがワイズバッシュの最たるイメージではないだろうか。極めて独創的と称される、ワイズバッシュの作風について触れておく。
ワイズバッシュが初期から描き続けたテーマ
ワイズバッシュと言えば音楽、特に楽器を演奏する人物像が印象的である。画家として歩き始めた当初からずっと、音楽というテーマを描き続けた。
楽器を演奏している奏者の繊細な心の機微を的確に描き出すような、みごとな描写力に構図の妙には溜息がこぼれる。セピアに彩られる世界観へ、力強い音楽の息吹を送り込める才能とセンスには脱帽だ。
セピア色を貴重にした作品、マルチな才能
セピア色に拘って表現することで、劇的な効果を高めている。なんとも独創的で個性あふれる芸術作品をワイズバッシュは描き続けた。
ワイズバッシュは素描の物が多いが、版画も手がけている。油彩画なども手がけていたことから、画家としてのマルチな才能があったことがよくわかる。しかしその版画がまた素晴らしい。
版画技法でも卓越した能力を発揮し、高い評価を得ていた。逆にできないことはなんなのか問いかけたくなる、まさに天才画家だった。
ワイズバッシュの代表作品
初期の頃から描き続けた音楽をテーマにした作品だけがワイズバッシュの真髄ではない。他にも曲馬やタンゴ、人物画など代表作品は多岐にわたる。ここではワイズバッシュの代表作と呼ばれる作品の中から3点ほど紹介する。
ワイズバッシュの代表作 騎手
中心に据えられているあらくれる馬を操る騎手のような人物。驚くほどの量の線描は躍動感に溢れ、鋭い仕上がりになっている。素描とセピアの色調は、色彩をいかして巧みに描かれている。迫りくる馬と騎手の鬼気迫る鼓動や息遣いが聞こえてくるようだ。
ワイズバッシュの代表作 バイオリニスト
15号キャンバスに描かれたのは、バイオリンを演奏する男性で作品名はそのままのバイオリニスト。ワイズバッシュが描き続けた音楽をテーマにした作品だ。
この作品はバイオリンを弾いているが、ワイズバッシュは多くの楽器の奏者を描いている。どの作品も見ていると演奏している音色が聞こえてきそうなほどの迫力だ。
ワイズバッシュの代表作 タンゴ
二人の男女が熱く情熱的に踊るさまが美しい。躍動感あふれる素描は今にも踊りだしそうに見える上に、その背景で流れる音楽まで聞こえてきそうである。味のある独特の世界観は、見るものを魅了することが作品からも良く分かるだろう。
ワイズバッシュの買取価格相場や値段
ここからはワイズバッシュの作品の買取相場やその価値について紹介する。ワイズバッシュの絵は、味のあるセピアを基調とした躍動感あふれるものが多い。音楽をテーマにしたものが多いが、実際は馬や踊る人などさまざまな人物を描写したものが多いため、ものによってかなり価格の変動がある。
ヤフオクなどオークションの落札事例
オークションなどの取引額を見ても、平均すると10,000円~30,000円台後半といった価格がつけられている。売り急ぐことはやめて大事に保管しておき、売りどきを見定めてもいいかもしれない。
そこでネット上での取引の価格について調査したので紹介する。
フリマアプリのメルカリや、Yahooが運営しているヤフオクなどで取引されている情報を集めてみた。ワイズバッシュの取引価格がいかほどのものなのか、確認してみよう。
メルカリ
老若男女問わず、飛ぶ鳥落とす勢いで認知度を高めているメルカリ。フリマアプリの革新者とも呼べるその利用者数は、国内最大手と言っても過言ではなさそうだ。
利用した経験がなくても、誰しも1度はメルカリを見たことがあるのではないだろうか。そのメルカリにも、ワイズバッシュの作品があった。ワイズバッシュの名前で検索してみた中からいくつかを紹介する。
- ・「海辺のドンキホーテ」:43,000円
- ・「ドンキホーテの出発」:18,000円
メルカリの検索結果1ページ目に表示された物の中から、安価な物・平均的な物・最高額の物を並べてみた。ちなみに最も安価な物は、作品名不詳のポストカードで1,500円となっていた。
メルカリ内の取引価格を見てみると、予想より高価な販売価格という印象があった。やはり作品のサイズや人気作品かどうかで大きく価格は変動しているのだろう。
ヤフオク
日本最大級と言われている、ネットオークションのヤフオク。メルカリが登場するまでは、ネット上のシェアの殆どを締めていたというほどで、その名残は今も健在だ。ヤフオクでもメルカリと同じ条件でワイズバッシュというキーワードだけで検索をしてみたところ、一例として以下のような内容が取引に出されていたため紹介する。
- ・「馬と騎士」(24cm×19cm):500,000円
- ・「チェロ奏者」(55㎝×73㎝):18,000円
- ・「休憩する指揮者」(29.5cm×23.5cm):12,166円
- ・「ディエゴ」(40cm×49cm):4,528円
ヤフオクではかなりの高額売買されている物もあった。安価なものは1,000円程度なことにも驚きだ。
買取業者や美術オークションの買取相場・買取実績例
絵画の場合、多くの買取業者のサイトでは買取価格を公開していない。そのためこれまでのワイズバッシュの買取に関する価格の情報を入手することは難しい。そこで、各買取業者が提示している買取相場や美術オークションでの落札事例を収集した。まずは、買取業者の取引事例である。
- ・「道化師」油彩:180,000円(獏)
- ・「嬉遊曲」パステル:40,000円(獏)
続いて、美術オークションの取引事例である。美術オークションは買取業者やコレクターなど、美術に関心のある人が入札する、美術専門のオークションのこと。真作(本物)の売買が行われる。エスティメイト(落札予想)よりもはるかに高額になることもあれば、相場よりも低い落札になることもあるため、落札価格はあくまでも参考程度となる。
- ・「ソロ」(39cm×49.5cm)エッチング:60,000円(アンシャンテ)
- ・「ソロ」(29cm×23.5cm)エッチング:50,000円(アンシャンテ)
- ・「チェリスト」(75.5cm×57cm)リトグラフ:40,000円(アンシャンテ)
- ・「馬」(21cm×26.5cm)銅版画、エッチング:26,000円(アンシャンテ)
- ・「サーカスの馬」(20.5cm×59.5cm)リトグラフ:17,000円(アンシャンテ)
- ・「決断を下すとき」(56cm×74cm)版画:5,000円(CBAアートオークション)
- ・「四重奏」(42cm×64cm)版画:5,000円(CBAアートオークション)
リサーチできるものでは、版画の売買が多い。版画は、数千円〜6万円程度の買取相場と考えられた。
出張買取に対応している買取業者
絵画の取引はオークションスタイルが有利かもしれないが、やはりヤフオクやメルカリなどは素人同士の取引となるため、不安要素も大きい。そこで、ワイズバッシュなどの絵画を専門に取り扱う業者を4つ紹介する。
【ヒカカクおすすめ店】総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
絵画をはじめとした様々な美術品の買取をおこなっている総合美術買取センターは、それぞれのジャンルに合わせ、専門の鑑定人が在籍している買取業者。専門的な知見から査定額を提示しているという。
LINEをはじめとした無料査定を実施。大まかな査定額に納得すれば、買取に移行となる。方法は宅配、出張のいずれか。出張買取は、出張は東京、名古屋、大阪、福岡の都市圏をはじめ日本全国を対象としている。
サイトには、「しつこい営業電話、メールは一切いたしません」とよくあるトラブル事例について明記。契約内容に納得できない場合に、契約日から8日以内であれば無条件でキャンセルが可能な、クーリングオフ制度を導入している旨も記載されている。
アート買取協会
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
骨董品の取扱に関しての口コミ評判が良いと有名なのはアート買取協会だ。アート買取協会でもワイズバッシュの作品が取り扱われている。絵画だけに限らずさまざまな美術品に対し精通した鑑定士が査定をおこなう。
遺品整理や相続、管財人などにも精通しているので家族の遺品整理のときなどにも利用しやすいと評判だ。買取実績も年間3万件を超える人気ぶりを見せている。個人だけではなく法人や企業、公官庁、同業他社にいたるまで幅広い相手と取引をしている。
無料査定をおこなっておりメールや電話、専用フォームから選べる。まずはメールなどで査定をおこない、金額に折り合いが付けば買取へ移る。出張買取、店舗へ持ち込み、宅外買取の3種類の買取方法が用意されているため、自分に合った方法を選ぶといいだろう。
LINE査定に対応している買取業者
おいだ美術
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
ワイズバッシュの作品の取扱では業界実績トップクラスという宣伝文句で自信を見せつけるのは、おいだ美術だ。2019年6月28日現在、8点の作品が公式サイトに掲載されている。
おいだ美術は無料査定をおこなっているため、ぜひ利用してもらいたい。査定の方法は、メール・電話・LINEの3パターンである。原則スピード査定を約束しているため、急いで査定額を出してもらいたい場合におすすめだ。
翠波画廊(すいはがろう)
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
20世紀の巨匠と呼ばれる芸術家から現代フランス人気作家、現代美術と幅広い作家の作品を取りそろえている翠波画廊。口コミでの評判の良さはお墨付きで、ネットを介してだけではなく人から人への紹介で翠波画廊選ぶ人もいるらしい。
査定を依頼したい場合は、公式サイトにある専用フォームより査定依頼を送ればいい。最終的には現品を見ての判断になるようだが、最初は自分で撮った写真をメールに添付してもOKだ。メールで確認ができれば即日、査定額を出してもらえる。
翠波画廊では自社店舗での取引と、全国各地の百貨店への強い販売ルートを確立している。そのため高額買取が可能なシステムが整備されている。また査定をおこなうのは経験豊富な専門家だ。市場調査などに余念のない絵画マニアのようなスタッフが査定をおこなう。
まとめ
ワイズバッシュは作品によってはかなりの高額取引ができることがわかった。1円でも高額で買取してもらうためには、多くの業者から査定を取り比較検討することをおすすめする。手間を惜しんではならない。
査定に出す際は、絵の部分に直接触れることは極力避けてほしい。汚れがあっても絵の部分は触らないのが懸命だ。額縁などは見栄えの印象を左右するため、ほこりなどは柔らかい布などで拭き取っておこう。
絵画は経年劣化が激しいため、保管する際も直射日光があたらないようにすることや、湿気などからくるカビにも注意したい。同じ作品でも保存状態が良いほうが確実に高く売れる。飾っておく場合は環境には十分配慮してほしい。
ワイズバッシュの絵画の買取を検討している、持っているワイズバッシュの絵画の価値が知りたいなら、ぜひ今回の記事を参考にして専門の買取業者に査定を依頼してもらいたい。価値を知ることは売買だけではなく、大切に扱うきっかけをくれることにもなるだろう。