ボール ウォッチは、アメリカの鉄道の発展とともに大きくなった時計メーカーとして知られる。
元々宝石商だったウェブ・C・ボールは、1891年にオハイオ州クリーブランドの湖岸鉄道の監督検査官に任命され、後に全米の75%をカバーする鉄道の時計検査システムを作り上げる。そして自身も厳格な基準による精度の高さや鉄道員のハードな使用環境に耐えうる堅牢性、いつどんな時でも瞬時で確認可能な視認性を誇る時計を作り出した。
この、多くの鉄道員によって認められた時計作りが、現在のボール ウォッチにも脈々と受け継がれ、アメリカを筆頭に世界各地で人気をとなっている。一方、ボール ウォッチの本社自体は現在スイスに置かれており、様々な時計技術の開発にも余念がない。
ここでは、そんなボール ウォッチの型番とそのモデル名との関係性について調べてみたので、詳しく説明していきたい。
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ボール ウォッチの型番について
まずは、ボール ウォッチの型番=リファレンスナンバーについて、確認できることを説明していく。ボール ウォッチの製品の型番については、公式サイトに各モデルのスペックなどとともに掲載されている。
ボール ウォッチの型番の例
ボール ウォッチの型番は、以下のような英数字で記載されている。
- エンジニア ハイドロカーボン エアボーン:DM2076C-S1CAJ-BK
- エンジニアⅡ ヴォルケーノ:NM3060C-PCJ-GY
- エンジニアⅢ ブロンズスター:NM2186C-L1J-BK
- エンジニアマスターⅡ ダイバーIII:DM3020A-SAJ-BK
- トレインマスター スタンダードタイム:NM3888D-L1CJ-WH
- ストークマン エンタープライズ:NM2188C-S5J-BK
公式サイトより、全モデルシリーズから1機種ずつ抜粋し、そのリファレンスナンバーを記した。なお全12~14ケタの英数字のうち、冒頭の7ケタの部分は各製品のケース裏側に刻印されているナンバーでもある。
つまり、各ケースの特定は冒頭7ケタの英数字であり、以下の英数字は、おそらくはストラップや文字盤等のバリエーションを示していると考えることができる。
末尾アルファベット2文字は文字盤の色を表す
こうしてリファレンスナンバーを並べてみてすぐに気が付いたのが、末尾2ケタの文字の意味するところ。そのほとんどの製品が黒、もしくは白の文字盤を使用するボール ウォッチだけに、その共通性はすぐに判明した。すなわち、末尾2ケタのアルファベットは文字盤の色を示している。とはいえ、現行モデルの文字盤の色は公式サイトで確認する限り、4種類しかなかった。
文字盤の色を示すコード
- BK:ブラック
- GY:グレー
- WH:ホワイト
- BE:ブルー
文字盤のカラーバリエーションがブラックとホワイトの2種類でラインナップされている製品であれば、そのリファレンスナンバーは10ケタまで共通で、末尾2文字がWHからBKに変化することになる。
各モデルシリーズの型番
ここでは、ボール ウォッチの各モデルシリーズの型番を見ていこう。シリーズモデルごとの型番の特徴はなく、基本的には冒頭7ケタのモデルナンバーで各モデルを判別するしかない。
エンジニア・ハイドロカーボン
「エンジニア・ハイドロカーボン」は、ボール ウォッチ独自のテクノロジーを搭載したハイエンドクラスのコレクションだ。「タフ&ディペンダブル」を具現化したモデルをラインアップしている。
- シルバーフォックス:DM2036A-S8CJ-BK(限定1000本)
- エアロGMT:DG2016A-SCJ-BK
- ハンレー:PM2096B-S1J-BK(限定500本)
- スペースマスター クロノGMT II:DC3036C-SAJ-BK
- NEDU:DC3026A-SCJ-BK
- ブラック:DM2176A-P1CAJ-BK
- ディープクエスト:DM3000A-SCJ-BK
- エアボーン:DM2076C-S1CAJ-BK
- セラミック XV:DM2136A-SCJ-BK
- スペースマスター:DM2036A-SCAJ-BK
「スペースマスター クロノGMT II」、「NEDU」、「ブラック」、「ディープクエスト」の4モデルのケース素材はチタン製で、それ以外のモデルがステンレススチールを使用する。
ケース以外の部分では「ブラック」のみラバーストラップで、それ以外基本的にはステンレススチールかスチール+チタンのブレスレットを使用している。一部モデルにラバーストラップが付属してくるものもある。
こうしてリファレンスナンバーを並べてみると、ある程度の法則性が感じられる並び方となっているが、カタログ記載のスペックからわかるのは8ケタ目がP=ラバーストラップのみ。Sもステンレススチールを使用するブレスレットで間違いないだろうが、合わせてチタンも使用しているモデルもあるので、その違いはこのナンバーからはわからなかった。
エンジニアⅡ
「エンジニアII」は、耐衝撃性と耐磁性を備えつつ、エレガントカジュアルをキーワードにデザインされたコレクション。レディースモデルもラインナップされる。
- ヴォルケーノ:NM3060C-PCJ-GY
- マグニートー S:NM3022C-N1CJ-BK
- グリーンベレー:NM2028C-L4CJ-BK
- マーベライト:NM2026C-S6J-BK
- オハイオ40mm:NM2026C-S5J-BK
- オハイオ レディス:NL1026C-SJ-BK
モデル名は異なるものの、ほぼ同じような型番を持つのが「マーベライト」と「オハイオ40mm」。どちらも文字盤の大きさは直径40ミリで共通しているが、前者は日付表示のみで後者は曜日表示も加わり、インデックスのデザインも異なっている。
なお、「マーベライト」の文字盤はホワイト、ブラック、シルバー、ブルーの4色から選ぶことができる。「オハイオ レディス」のケース直径は31ミリ。8ケタ目のストラップ素材を示すコードとしては、N=ファブリック、L=ヌバック(レザー)が出てきた。
エンジニアⅢ
「エンジニアⅡ」に技術的な進化を加えてバージョンアップさせたのが「エンジニアⅢ」。流線型の丸みを帯びたケースフォルムが特徴的なコレクションとなっている。
- ブロンズスター:NM2186C-L1J-BK
- シルバースター:NM2182C-S2J-BK
「ブロンズスター」はその名のとおり、ケース素材にアルミと銅の複合素材、アルミニウムブロンズを使用。その独特の色合いに合わせるストラップはカーフベルトを設定している。「シルバースター」は、その標準モデルともいうべき、ケースとブレスレットがステンレススチール製。ただし、文字盤の色をブルーとブラックから選ぶことができる。
エンジニアマスターⅡ
プロアスリートの使用を前提に開発されたスポーツウォッチが、「エンジニアマスターⅡ」。パーツひとつひとつまで、優れた操作性を追求した。
- ダイバーⅢ:DM3020A-SAJ-BK
- スキンダイバーⅡ:DM3108A-SCJ-BK
- スライドクロノグラフ:CM3888D-S1J-BK
- パイロットGMT:GM3090C-SAJ-BK
どのモデルも基本はステンレススチールブレスレットで、ラバーストラップが付属していたり選べるモデルもある。
トレインマスター
19世紀アメリカの公式レイルロードウォッチとしての歴史に範をとったシリーズ。特に「スタンダードタイム」のクラシカルなデザインは、鉄道ファンに人気が出そうだ。全モデルがステンレススチールのケースにサファイアガラスのシースルーバックを採用している。
- 125th アニバーサリー:NM3038D-LL3J-WH(世界限定125本)
- スタンダードタイム:NM3888D-L1CJ-WH
- スタンダードタイム(PGケース):NM3888D-PG-LCJ-WH
- ワールドタイムⅡ:GM2020D-S3CJ-BK
- ムーンフェイズ:NM3082D-SJ-BE
- ムーンフェイズ34:NL3082D-SJ-WH
「125th アニバーサリー」は1分単位の綿密なスケールが特徴的なスペシャルモデル。
「スタンダードタイム」はクロコダイルのストラップとステンレスのブレスレットのどちらかを選ぶことができる。PGケース仕様はその名のとおりローズゴールド製のケースで、こちらはクロコダイルのストラップのみ。
「ワールドタイム」も同じくクロコダイルのストラップかブレスレットを選べるうえに、文字盤の色もブラックとホワイトから選べる。
「ムーンフェイズ」は「スタンダードタイム」とはうってかわってバーインデックスのみのシンプルなデザイン。暗い場所ではインデックスや針のマイクロガスライトの緑に加え、ムーンフェイズの黄色が美しく光る。
「ムーンフェイズ」はブルーかシルバーの文字盤を選べるほか女性仕様直径34ミリの「ムーンフェイズ34」はブルーかホワイトのMOP仕様のダイヤルを選ぶことができる。
ストークマン
「ストークマン」は、シンプルなデザインを基調にしたうえで、ヘビーデューティな使用を想定。堅牢性を前面に押し出したシリーズだ。
- ストームチェイサー プロ MOP:CM3090C-S2J-BE(日本限定100本)
- レーサーDLC:NM3098C-L1J-BKBR
- NECC:DM3090A-P4J-BK
- エンタープライズ:NM2188C-S5J-BK
- ストームチェイサー プロ:CM3090C-L1J-BK
- レーサー:NM2088C-S2J-BKWH
- ヴィクトリー:NM2098C-S3J-BK
- ヴィクトリー レディス:NL2098C-S3J-BK
「NECC」は、新色のオールブラックの型番。ステンレススチールにチタンカーバイド加工のケースとラバーストラップの組み合わせ。さらにオールステンレスで文字盤が3色から選べるモデルも加わっている。こちらの型番はケースナンバーは同様で、8~10ケタ目が「S3J」に変化し、以降文字盤の色のコードという組み合わせになっている。
「レーサー」も、ダイヤルとインデックスの組み合わせを、ブラック×ホワイト、ブラック×レッド、ホワイト×ブラック、ホワイト×ブルーの4つのうちから選ぶことができる。
まとめ
ここまで、ボールウォッチの各モデルのリファレンスナンバーとその特徴を紹介してきた。全体としてはある程度の規則性が感じられたものの、外観や素材などからその法則性はみつけにくかった。判明したのは以下の項目だ。
- ・末尾2文字のアルファベットが文字盤の色を表す。
- ・8ケタ目のアルファベットがブレスレットやストラップの素材を示す。S=ステンレススチール、N=ファブリック、L=レザー(種類問わず)、P=ラバー。ただし、附属品としてラバーストラップが付いてくる場合もある。
- ・はっきりとレディスモデルと銘打っているモデルは冒頭アルファベット2ケタ目が「L」。
これだけではモデルを限定するには材料が少なく、ボール ウォッチの型番はモデル名とともに覚えておくのが賢明のようだ。好みのモデルがあったら、ケース裏にも刻印されている冒頭から7ケタのケースナンバーを一緒に覚えておこう。中古市場をチェックする際にも、見つけやすくなるはずだ。