オリス(ORIS)は、スイス北西部のヘルシュタインを拠点とする時計メーカーである。創業は1904年。100年以上に渡って機械式時計にこだわり、機械式時計を造り続けているブランドだ。高価な高級腕時計ばかりではなく、常に良心的な価格と品質の良さをモットーとした製品の数々で知られている。
ここでは、オリスの腕時計の型番の読み解き方、モデル名との関係について説明していく。
なお、オリスの腕時計の型番については、オリスの公式サイト(https://www.oris.ch/jp/)に掲載の「商品番号」を参照のうえ、記載した。
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オリスの型番について
オリスの現行モデルのラインナップは、公式サイトによると497製品と非常にバラエティに富む。これらの商品は、「ダイビング」、「カルチャー」、「アヴィエイション」、「モータースポーツ」の4つのコレクションに分かれて販売されている。
まず、オリスの型番の構造を確認するために、いくつか製品をピックアップし、その型番を確認してみよう。
コレクション「ダイビング」の型番から~その1~
AQUIS スモールセコンド デイト
- ①ref.01 743 7733 4159-07 4 24 64EB
- ②ref.01 743 7733 4159-07 8 24 05PEB
- ③ref.01 743 7733 4135-07 4 24 65EB
- ④ref.01 743 7733 4135-07 4 24 64EB
「AQUIS」は、ダイビングコレクションの中にある実用性を重視したシリーズ。「スモールセコンド デイト」は、文字通り9時の位置にスモールセコンド、3時の位置に日付表示のあるモデルで、同じモデル名で4つのバリエーションがあり、それらは型番によって区別されることになる。
まず①②と③④は文字盤の種類が異なるが、型番前半部の4つ目のユニットの数字がその部分を示している。「4159」がブラックの文字盤に加え、インデックスと針にスーパールミノバのダークオレンジが使用されている。一方「4135」は濃いブルーの文字盤で、同じくインデックスと針はスーパールミノバ使用のホワイトとなっている。末尾が1つだけ大きく異なる②は、ステンレススティールのブレスレットのタイプで、他はラバーストラップとなっていて、さらに①④がブラック、③がブルーというカラーによっても型番の数字が変化していることがわかる。
コレクション「ダイビング」の型番その2
ORIS ダイバーズ 65
- ①ref.01 733 7720 4051-07 4 21 18:ブラックラバー
- ②ref.01 733 7720 4057-07 5 21 02:ダークブラウンレザー
- ③ref.01 733 7707 4035-07 8 20 18:スティールブレスレット
- ④ref.01 733 7720 4055-07 5 21 28FC:濃紺テキスタイル(サテン)
- ⑤ref.01 733 7707 4064-07 8 20 18:スティールブレスレット
- ⑥ref.01 733 7707 4065-07 5 20 28FC:薄青テキスタイル(サテン)
1960年代に販売したオリス初のダイバーズウォッチのレトロなルックスをそのまま再現したのが「ダイバーズ 65」だ。全部で28バリエーションがあり、その中から文字盤の違う6モデルをピックアップしている。文字盤が違うということは、型番の4ユニット目が異なるのは前項と同様。そしてよく見ると3ユニット目の数字が二分されているが、これはケースの大きさの違いだ。「7720」は直径42ミリ、「7707」は直径40ミリのモデルである。
型番の右側に掲載したのは、ストラップ(ブレスレット)の素材と色。ここからわかるのは、型番の後半部の2ユニット目の1ケタの数字が示しているのが、ストラップ(ブレスレット)の素材ということだ。ここまでの例からして、4=ラバー、5=レザーもしくはテキスタイル、8=ステンレススティールということになる。
そして、型番後半部の3ユニット目の数字だが、この部分はケースサイズに連動しており、ケースとストラップを接続する部分の幅が、そのまま型番に盛り込まれている。「20」なら20ミリ、「21」なら21ミリである。最後に末尾の数字とアルファベットだが、スティールブレスレットとブラックラバーが同じ数字になっているものの、基本的にはストラップやブレスレットの色などの種類を示す数字と考えられる。
コレクション「アートリエ」の型番
ORIS ARTELIER キャリバー 112
- ①ref.01 112 7726 6351-Set 1 23 73FC
- ②ref.01 112 7726 6351-Set 1 23 72FC
- ③ref.01 112 7726 4051-Set 1 23 71FC
- ④ref.01 112 7726 4051-Set 1 23 72FC
- ⑤ref.01 112 7726 4051-Set 8 23 79
- ⑥ref.01 112 7726 4055-Set 1 23 84FC
- ⑦ref.01 112 7726 4055-Set 1 23 72FC
- ⑧ref.01 112 7726 4055-Set 8 23 79
GMTとデイ&ナイト機能を持つ自社製の自動巻キャリバーOris112を擁するモデル。全8バリエーションの型番を掲載した。2ユニット目の数字も「112」とある。すなわち型番前半部の2ユニット目には、キャリバー(ムーブメントの型番)の数字が入ることになる。前2項の「733」及び「743」もキャリバーの数字がそのまま入っている。
さらに4ユニット目、①②はケース素材がステンレススティールケース+18Kローズゴールドトップリングという組み合わせで、初めてこの部分が「6」で始まった。そして③~⑤「4051」は、前項でもこの部分で出てきた型番で、素材がステンレススティール+文字盤がシルバーダイヤルという表記だとこの型番になる。⑥~⑧も前項で出てきており、ステンレススティール+ブルーダイヤルという組み合わせだった。つまり4ユニット目の前半2ケタが素材を示す数字で、後半2ケタが文字盤の色を示す数字ということになる。
型番後半部冒頭に「Set」の文字が入る型番は他にもあまり見られないため、意味ははかりかねる。ただし、その後の数字はこれまでと同様と考えてよいだろう。ストラップの素材を示す部分の「1」は初出だが、全てクロコダイルレザーを示している。型番末尾はやはりレザーの色によって変化している。
コレクション「アヴィエイション」の型番
BIG CROWN オリジナル ポインターデイト
- ①ref.01 754 7696 4064-07 5 20 51
- ②ref.01 754 7696 4064-07 8 20 30
- ③ref.01 754 7696 4361-07 5 20 52
- ④ref.01 754 7696 4361-07 8 20 32
- ⑤ref.01 594 7695 4361-07 5 14 52
- ⑥ref.01 594 7695 4361-07 8 14 32
操縦グローブを着けたままでも時刻調整が出来るようデザインされた特大サイズのリューズが特徴の「ビッククラウン」シリーズは、オリスの定番モデルの1つ。⑤⑥の型番が異なるのは、ケースサイズが直径29ミリのレディスモデルのため。他はこれまでの型番の仕様と変わらない。型番後半部、前項の「Set」と上記の「07」との違いは、スペックや外観から見られる変化は見つけられなかった。またこの部分が「07」以外の数字も出てこない。
コレクション「モータースポーツ」の型番
WILLIAMS クロノグラフ
- ①ref.01 774 7717 4164-07 4 24 50FC
- ②ref.01 774 7717 4164-07 8 24 50
- ③ref.01 774 7717 4154-07 4 24 50FC
- ④ref.01 774 7717 4154-07 8 24 50
「WILLIAMS」とは、2002年からパートナー契約を結んでいる自動車レースのF1のコンストラクターチームのこと。型番「7717」は直径44ミリ。ちなみに、この型番の3ユニット目はケース裏に刻印されている番号と同様だ。また、ここまで見てきてわかるように冒頭の01は全モデルに共通の数字。各ショップの表記では、型番の冒頭部分は省略されており、2ユニット目のキャリバーの数字の部分から始まっている。
オリスの型番の特徴
ここまで説明してきたオリスの型番の特徴は以下のようにまとめられる。特に、ショップで記載されている型番と、公式サイトに記載の「商品番号」は少々異なっているので、注意が必要である。
型番前半部のファーストユニットは省略されている
公式サイトに記載の「商品番号」の冒頭部(ファーストユニット)の「01」は、全モデルに共通の番号のためか、ショップに記載されている型番では省略されているようだ。ネットで型番を検索する時などは、注意したほうがいいだろう。
型番前半部のセカンドユニットはキャリバーの数字
オリスの型番のセカンドユニットは、その製品に使われているムーブメントのキャリバーの数字が入る。機械式時計にこだわるオリスらしい設定と言えるだろう。そして、ショップ等に掲載されているオリスの型番は、このセカンドユニットから始まる。
型番前半部のサードユニットはケースナンバー
型番前半部サードユニットの4ケタの数字は、ケース裏にも刻印されているケースナンバーでもあり、ケースの大きさやデザイン(形状)によって数字が割り振られている。全てを確認できてはいないが、ほとんどのモデルで「7」から始まる。
型番前半部のフォースユニットはケース素材と文字盤の組み合わせ
型番前半部の4つ目のユニットの4ケタの数字は、前半2ケタがケースの素材を示す数字で、後半2ケタが文字盤の色を示す数字だ。ケースの素材では、80番台がカーボン、30番台がブロンズ、60番台が18Kローズゴールド(スティール素材とのカップリングも含む)、70番台がチタン、そして大半を占めるステンレススティールが40番台となっている。後半2ケタ部分も各モデルで共通に使われている文字盤カラーを示している。
型番後半部はストラップの素材や種類を示す
オリスの型番後半部、ハイフンより後の部分は、ストラップの素材や種類を示したナンバーだった。後半部冒頭は「07」の数字か「Set」の文字が入る場合が見られ、その違いは不明だが、特に大きな違いはないと思われる。その次の1ケタの数字はストラップの素材を示しており、1=クロコダイル等の高級レザー、4=ラバー、5=レザーもしくはテキスタイル、8=ステンレススティールとなっていた。
型番後半部のサードユニットの2ケタの数字は、ケースとストラップを接続する部分の幅の数字だ。この部分が「20」であれば幅は20ミリであることを意味している。そして型番後半部の末尾は、ストラップの種類や色等の型番が振られている。
型番後半部はショップでは型番表示されていない
オリスの公式サイトではこれまで記載してきた型番の後半部も、「商品番号」として記載されているのだが、各ショップサイトではこの部分も省略されているので、注意をしていただきたい。おおよそどのサイトもメタルブレスレットの場合は「M」、ラバーストラップの場合は「R」、レザーもしくはテキスタイルの場合は「F」、高級レザーの場合は「D」といったように、単にストラップの素材をアルファベット1文字で表すだけ(場合によっては色名も入る)となっているようだ。
オリスの型番は11ケタの数字とアルファベットで構成される
オリス腕時計の型番は、公式サイトに掲載の「商品番号」がそのまま使われておらず、一部を省略して型番として使用されていることがわかった。ショップにおける型番は、たとえば以下のように表示されている。以下の左側が公式サイトの表示で、右側が通常使用されている型番(リファレンスナンバー)である。
AQUIS スモールセコンド デイト
- ①ref.01 743 7733 4159-07 4 24 64EB:743.7733.4159R
- ②ref.01 743 7733 4159-07 8 24 05PEB:743.7733.4159M
- ③ref.01 743 7733 4135-07 4 24 65EB:743.7733.4135RBL
- ④ref.01 743 7733 4135-07 4 24 64EB:743.7733.4135R
型番前半部の「01」を除いたセカンドユニットから表示され、後半部はアルファベットで省略される。上記のようにピリオドが入る場合と、入らずに11ケタの数字が続けて表示される場合の両方が見られた。黒以外のラバーストラップの場合は③のように色名がアルファベットで示されているようだ。この場合はブルーなので「BL」と入っている。
ムーブメントに詳しい人には分かりやすい型番
前章で説明したように、ショップで掲載されている型番の冒頭3ケタ数字はムーブメントの型番で、次がケース裏にも刻印されているケースナンバー、そして末尾4ケタ数字は素材や文字盤の種類を示している。なかでも型番の冒頭にキャリバーの数字がそのまま入るのは、機械式腕時計にこだわるオリスらしい型番の構造だ。
これまでの例でいくと、「112」は自社製の自動巻ムーブメントで、700番台のものは他社製のものを自社にてリファインしたものであろう。オリスは元となった他社製ムーブメントの型番を表記しており、ムーブメントにこだわりたいユーザーにとって、選択しやすい型番になっている。
いずれにしても、公式サイトに記載のものとショップに記載の型番の記載が少々異なるということは、ネット上で商品を検索する場合に支障が生じる場合も考えられる。ネットで検索したり、ショップ等に問い合わせる際には、11ケタの数字の型番を使用することをおすすめする。