江戸時代~昭和初期に作られていた戦前絵葉書は、捨てる前に古書店に持ち込むことで高額査定に繋がる可能性も高い紙資料だ。
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意外な価値もつく戦前絵葉書
幅広いニーズのある戦前絵葉書は、そこに描かれている風景やデザインがどんなものであっても、意外な価値によって高値がつくケースが多く見受けられる。
また近頃では、戦前絵葉書コレクターの店主が営む古書店も増加傾向にあるため、査定士とのコミュニケーションを通して自分の所有物の価値をしっかり把握してみても良いだろう。
今回は、戦前絵葉書という少し聞き慣れない商品について、これから売却する皆さんに知っていただきたい基礎知識や査定情報を徹底解説していく。
戦前絵葉書とは?
戦前絵葉書というのは、その名のとおり「戦前までに作られた絵葉書の総称」だ。
戦前絵葉書における「戦前」の定義
この市場における戦前の定義は、昭和15~16年頃までが一般的となる。
しかしそこに描かれている風景やデザインから「歴史的資料になる」と判断されれば、昭和20年代の絵葉書であっても高額査定対象に含まれることもあるようだ。
また、絵葉書によっては制作年代が全くわからないものも多く存在するため、場合によっては「戦前絵葉書=古い絵葉書全般」と捉えられることもある。
戦前絵葉書には製造年・制作年が書かれていない
小さなスペースに描かれる戦前絵葉書の多くは、作品自体に制作年代が書かれていない傾向がある。
しかし戦前絵葉書の収集を得意するコレクターや査定士の多くは、デザインとは全く関係のない郵便はがき面を使って時代を推測することができるのだ。
中には、描かれた風景から季節や時代を特定できるケースも多く見受けられるため、戦前絵葉書には意外とたくさんの情報が詰まっていると考えて良いだろう。
戦前絵葉書の価値や年代を調べる方法
戦前絵葉書の買取が得意な専門店の中には、査定基準のひとつとも言える制作年代を推定する方法を紹介しているところもいくつか存在する。
こうした情報がわかれば、処分予定の戦前絵葉書にユーザが自分で意外な価値を見出すこともできる。
絵葉書の希少性や歴史的価値を知ることで、そこからコレクションを始める人たちも多く見受けられるため、年代の推定方法を含めた知識に詳しくなることにはさまざまなメリットがあると考えて良いだろう。
通信面の仕切り線を使って年代を調べる
通信面の仕切り線は、初心者でも簡単に判断できる戦前絵葉書の年代調査方法だ。
通信欄の罫線のないハガキは、明治6年~明治40年の3月までに発行されたものだと推測できる。
これに対して、通信欄の罫線が3分の1のものは昭和40年4月~大正7年3月、2分の1のものは大正7年4月以降という推測に繋がるようだ。
印刷や色で年代を判断する
戦前絵葉書の上級コレクターになると、モノクロ写真の濃淡から年代の推測を行なえる。
網点の全くないコロタイプ印刷は、1888年~1915年ぐらいの間に流行った手法だ。
1894年~1910年代に入ると、網目によってモノクロ画像が作られる銅板もしくは鉛版の写真印刷が主流となる。戦前絵葉書市場では数少ないカラー印刷については、大正中期~昭和初期に流行ったようだ。
絵葉書に貼られた切手から年代を判断する
国内のハガキ料金に注目すると、戦前絵葉書の時代を推測しやすくなる。
明治6年12月~明治32年3月までの間は、全国が1銭、市内は半銭でハガキ配達ができる仕組みとなっていた。
明治32年4月以降になると全国共通料金で配達される形となるため、絵葉書に貼られた切手をチェックすることで価値判断もしやすくなると言えるだろう。
郵便はがきの字体から年代を判断する
宛名面の上に記載された「郵便はがき」の文字も、戦前絵葉書の年代を確認する際に大変有効な判断材料だ。
左から右へ「きかは便郵」と書かれた絵葉書は、戦前のものだと特定できる。
これに対して昭和8年2月以降は「か」に濁点が付いて「きがは便郵」というスタイルでハガキが発行されている。
現行の「郵便はがき」は戦後のものとなるため、現代人にとって違和感のない方向でこの文字が書かれた戦前絵葉書は、比較的新しいという理由で高価買取が難しくなる可能性が高いだろう。
上記の方法で価値判断をする場合の注意点
今回紹介した4つのポイントから年代の推測をする際には、1つの要素だけでなはなく総合的に確認・判断を行なうことが必要不可欠となる。
特に製造会社や作家が印刷用のハガキを大量購入していた場合は、「ハガキの発行年」と「制作年」に大きな差異が生まれることもある。
また切手を使った判断法についても、「制作された年代」と「ポストに投函された年代」が同じとは限らないため、今回紹介したポイントはあくまでも推測するために用いる方法であることを忘れないようにしてほしい。
戦前絵葉書が高く買い取られる理由とは?
続いて、このアイテムが高く売れる理由から、「どんな戦前絵葉書がショップで歓迎してもらえるか?」ということを考察していきたい。
昔の地理や風景を思い出す・懐かしむ
戦前絵葉書コレクターの中には、自分の故郷や居住地における昔の風景を懐かしむために購入をしている人たちも多く見受けられる。
現在は大きなビルが立ち並び近代的な風景になってしまった都市部でも、戦前絵葉書を通して古き良き時代に触れることで更に親しみが湧くというコレクターもたくさんいるようだ。
こうした形で各地域のノスタルジーが詰まった戦前絵葉書には、一般の美術品とは少し違った価値があると考えて良いだろう。
地域文化や風俗研究の資料
戦前絵葉書の描かれた昔の風景は、その地域の地理や文化における発展を知る上でも欠かせない研究資料となる。
当時の人たちによる戦前絵葉書の中には、現代までの研究で解明されていない新事実が隠されていることもある。
そのため、歴史、地理、地域文化などの研究者や大学教授の中にも戦前絵葉書の魅力に注目する人は非常に多い傾向があるのだ。
出版物
コレクターや出版社によって収集された戦前絵葉書の中には、書籍の中にまとめられるものも多く見受けられる。
また歴史的価値の高い絵葉書の場合は、研究者の書き綴る論文の中で参考資料として紹介されることもあるようだ。
イベントの増加
戦前絵葉書に描かれた昔の風景と現代の地域文化を比較するイベントも、全国各地で行われている。
イベント会場で展示される絵葉書は、その地域ならではとも言える風景さえ判断できれば、多少の破れや汚れがあっても全く問題はない。
こうしたイベントの主催者はなるべく多くの戦前絵葉書を収集・公開したいと考えるため、多くの地域や施設で催し物が行われることで、戦前絵葉書の買取相場にも好循環が生まれると考えて良いだろう。
博物館や資料館への収蔵
イベントで使われた戦前絵葉書の中には、その地域にある博物館などに収蔵されるものも多く見受けられる。
歴史的価値の高い戦前絵葉書の場合は、損傷や臭いなどの減額項目以上に希少性を含めた需要が重視されるため、長きに渡る保管によってボロボロになったものであっても堂々と古書店に持ち込めるだろう。
戦前絵葉書の買取実績と買取相場
古書や他の紙資料と一緒に査定依頼にかけられることの多い戦前絵葉書には、一般の古本と違って「1枚あたりの買取相場」の算定ができない難点がある。
直接査定士とやり取りをして相場情報を得よう
コレクターによっては数十~数百枚もの戦前絵葉書を一気に持ち込む人も多い。
一般商品のようにネットを使って買取相場の調査をするよりは、複数ショップの査定士とコミュニケーションを図りながら「この店は自分の絵葉書に興味を持ってくれそうか?」という判断をした方が良い。
メールやオンライン査定で写真を送ってみる
自分が所有している戦前絵葉書の写真をショップに送信すると、「査定可能な紙資料か?」といった部分の返答をもらいやすくなる。
また問合せに送った写真によって査定士の方でも「どんな紙資料を持っているユーザなのか?」というイメージを掴みやすくなるため、口頭で商品の情報を伝えられない場合はなるべく多くの写真を撮って送信してみると良いだろう。
戦前絵葉書の買取に積極的な業者の特徴とは?
戦前絵葉書の買取ができるのは、紙物や紙資料の査定に積極的な「古書店」が中心となる。
幅広い商品を取り扱う専門店が増えた今の時代は、骨董品店や古美術店の中にも戦前絵葉書に興味を示すショップが多く見受けられるようになった。
またこのカテゴリに積極的な姿勢を見せる専門店では、サイトの中で必ず戦前絵葉書に関するコラム記事や買取実績を公開している。
各社のホームページをしっかり確認した上で、複数者に問合せをするのが理想的なアプローチ法になると言えるだろう。