50万円以上の落札価格が見込める美術品は、海外オークションへの出品がおすすめだ。
世界のオークション市場においてサービスが充実する近頃では、外国語を全く話せない皆さんでも海外会社の利用が可能な時代になりつつある。
また海外オークションを利用すると、国内で売却するよりも遥かに高値が付くこともあるため、世界の富裕層が「欲しい!」と思うような美術品を所有しているなら、査定先の選択肢を広げてみても良いだろう。
今回は、海外オークション初心者の皆さんに、美術品の出品方法や相場などを徹底解説していく。
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自慢の美術品を海外オークションに出品すべき理由とは?
高額美術品の売却に海外オークションが適しているのは、日本国内と市場規模が全く違うという理由があるからだ。
世界の富裕層や画廊、美術館などが注目する有名海外オークション会社では、たったの1晩で600億円もの取引が行われることもある。
これに対して日本市場の場合は、1度のオークションで3~5億円、1年間で100億円ほどの市場となるため、確実に数十万円以上の落札額が狙える美術品を持っているなら、海外オークション会社にも問い合わせをしてみるべきだと言えるだろう。
海外オークションに美術品出品!5つの方法とは?
海外オークションへの美術品を出品時には、下記5つのいずれかの方法を選択するのが一般的だ。
海外オークションへ美術品を出品する方法
- ・日本事務所を置く海外オークション会社の利用
- ・海外オークション会社の代理店の利用
- ・オークション代行業者の利用
- ・イーベイ(eBay)の利用
- ・翻訳ツールの利用
どうしてこれだけ多くの方法が存在するの?
海外オークション市場にこれだけ多くの方法が存在するのは、オークションハウス各社のサービス内容と、出品者のニーズが多様化しているからだ。
資金力が高くできるだけ多くの顧客を集めたいと考える有名オークション会社では、外国語を全く話せない日本人をターゲットにした日本事務所開設や、画廊、美術品買取業者などとの提携を行っている。
また近頃では、オークション取引の部分的なサポートを行う業者も増えているため、出品作品の価額や予算、内容に合わせて自分に合ったサービスを選べる時代と捉えて良いだろう。
日本事務所を置く海外オークション会社の利用
数百万円~数億円もの落札額が期待できる美術品を所有しているなら、サザビーズやクリスティーズといった世界最大級のオークション会社が開設する、日本事務所の利用がおすすめだ。
問い合わせがしやすい
東京のオフィスビルに入った日本事務所では、日本人スタッフが窓口となって受付や顧客対応を行っている。
また出品者や入札者へのフォローについても日本事務所が行ってくれるため、外国の企業であるサザビーズやクリスティーズに敷居の高さを感じている人でも、気軽に問い合わせや査定依頼ができると言えるだろう。
鑑定は本社のスペシャリストによって行われる
日本事務所に持ち込まれた美術品の写真や作品情報は、本社のスペシャリストによって世界の基準で鑑定が行われる。
こういったシステムを導入する海外オークション会社では、日本事務所だからといって査定が下がるとか、真贋の判定が正しくできないといった問題はない。
また日本人スタッフが橋渡し役を行うことで鑑定士の話も理解しやすくなるため、コミュニケーションに不安のある人こそ、海外オークション会社の日本事務所を利用した方が良いかもしれない。
日本語で契約できる
日本事務所で取り扱うパンフレットや契約書は、その多くが日本語で書かれている。
またその内容がわからない場合は、日本人スタッフに説明してもらうこともできるため、自力で規約を翻訳した時に生じやすい誤認識によるトラブルも起こりにくいと捉えて良いだろう。
安全かつスムーズな運送手続き
海外オークション利用に関する口コミなどを見ていると、入札方式で生じるトラブルの多くが輸送に関する内容であることに気付かされる。
特にインターネットオークション出品で初めて美術品を発送した場合は、「何日かけて到着するかわからない」とか「美術品の輸送がどこまで進んでいるか確認できない」といった部分で不安要素も大きくなる。
こうした不安解消や発送手続きを含めてサポートしてくれる日本事務所は、海外オークショントラブルを回避するためにも、活用すべき存在だと言えるだろう。
大きなオークション会社は日本事務所を持つ
日本事務所を持っているオークション会社は、資金力・規模ともに大きいと判断できる。
またバブル期に収集した美術品を所有する日本人コレクターをターゲットにしているとも考えられるため、こういった会社に高額作品を持ち込めば、大歓迎される確率も高まると言えるだろう。
これに対して日本語サイトや日本事務所を持たないオークション会社は、欧米や中国といった自国のお客様を大事にしていると捉えて良いかもしれない。
海外オークション会社の代理店の利用
ここ5年ぐらいで活況を迎えている中国美術品市場では、日本のオークション会社や画廊と提携している中国企業が多く見受けられる。
日本事務所と代理店は何が違うの?
中国オークション企業の代理店と前述の日本事務所における最も大きな違いは、前者の場合、受付をした日本法人のスタッフが代理でオークションに参加することだ。
例えば、壊れにくく小さな中国骨董などの場合は、代理店のスタッフが手持ちで中国のオークション会社の持ち込むこともある。
またオークション当日もスタッフが競り合いをする形となるため、本社側でさまざまな手続きを行う海外オークション会社の日本事務所とは若干異なるシステムと言えるだろう。
オークションツアーを実施する会社もある
海外オークションの代理店を行う会社の中には、「競り合いのライブ感を体感したい!」とか「自分の作品が落札されるまでの過程を見届けたい!」といったお客様向けに、3泊4日ほどのツアーを開催しているところもある。
また下見会を兼ねたオークションツアーに参加すれば、初めて中国美術品の入札を考えている皆さんでも、自分の目で作品の質や価値、コンディションを確かめられると言えるだろう。
少し高めの手数料
代理店が仲介業者のような役割を担うこの形態には、手数料の合計が若干高いという難点がある。
利用する代理店によっては落札価格の10~15%ほどの高い手数料がかかることもあるため、作品の査定額だけでなく各社の出品時にかかるコストに着目するのも賢い売り方に繋がると言えるだろう。
直接買取を行う会社もある
中国美術品や中国骨董オークションの代理店を営む会社では、その多くで美術品買取が行われている。
こうした代理店に美術品を持ち込めば、「オークションと買取、どちらがお得か?」といった疑問も比較的スムーズに解消できる。
また美術品オークションには不向きな作品であっても現金化に繋げられるため、その場で買取可能なメリットは意外と大きいと言えるだろう。
オークション代行業者の利用
近頃多く見受けられるオークション代行業者には、非常に多くの注意点がある。
ちなみに前述の代理店の中にも、代行業者と名乗っている会社も存在する。しかしここでは代理店のようにトータル的なサービスを行う会社ではなく、部分的なサポートを目的とする業者を中心に説明していきたい。
インターネットオークションのサポートが中心
オークション代行業者の多くは、eBayやモバオク、ヤフオクといった入札方式オークションのサポートを行っている。
中にはサザビーズやクリスティーズの代行もできる業者も存在するようだが、直接本社とやり取りをしてくれる日本事務所と比べれば、そのサービス内容には疑問や不安要素が多いと言えそうだ。
業者によって大きく異なる対応範囲
オークション代行業者のサービスは、企業によって大きな開きがある。
例えば幅広いサポート内容で知られる業者では、インターネットオークション出品に欠かせない商品説明の入力、海外コレクター向けの英訳文章作成、画像加工・画像アップロードなどを行っている。
また中には入札者向けに出品情報の翻訳を行う会社も存在するため、その内容は多岐に渡ると捉えた方が良いだろう。
美術品や骨董品に特化したサービスではない
オークション代行業者利用で注意すべきなのは、こうした会社が対応をしているインターネットオークションが美術品に特化したものではないことだ。
画廊や買取業者が行っている代行サービスなら、美術品や骨董品に合った商品説明などを作ってくれると捉えて良いだろう。
これに対してオールラウンダーとも言える代行業者の場合は、作品の真贋すら調べずに一般的な情報だけで商品説明文を作成するため、落札後に贋作であることが発覚する可能性を考えると、注意して利用すべきだと言えるだろう。
数千万~億単位の高額オークションには適さない
入札方式のインターネットオークションに対して部分的なサポートを行う代行業者は、小売価格が300万円を超える高額美術品の出品には適さない存在と考えられる。
またこうした業者の大半は出品者と落札者の間に生じるトラブルにノータッチとなるため、入金や発送、相手方とのコミュニケーションに少しでも不安要素があるなら、なるべく利用しない方が良いと言えるだろう。
イーベイ(eBay)の利用
世界最多の利用者を持つインターネットオークション・eBayにも少し触れておこう。
世界の人に美術品を売却できる
全世界で1.6億人のユーザが利用するeBayには、出品した美術品をさまざまな国の人に見てもらえるというメリットがある。
また近頃では、アメリカのeBayを通してイタリアやドイツ、フランスといったヨーロッパのユーザも多く売買しているため、欧米向けの絵画やブロンズ像などを所有しているユーザにとっては、高い落札率も期待できると言えるかもしれない。
eBayはインターネットオークション
世界的に注目されるeBayは、ヤフオクと同じ入札方式のインターネットオークションだ。
比較的敷居の低いネットオークションは、多くのコストのかかる競売方式の美術品オークションと比べて幅広いユーザが集まる傾向がある。
しかしその代わりに美術品知識のない素人が入札することもあるため、安全性・信頼性ともに高い競売方式と比べると低価格での落札やトラブルに見舞われるリスクも考えられると言えるだろう。
翻訳ツールなどを使って自分で美術品を出品する
海外在住経験によって語学力に自信がある人や、翻訳ツールを使い慣れている人の中には、海外オークションの本社に直接問い合わせをしようと考える方々も僅かに存在する。
幅広い海外オークション会社から選べる
査定依頼から契約、出品まできちんとできる語学力のある人は、英語や中国語のサイトを見て自分で手続きや問い合わせを進められる。
また欧米には日本事務所や代理店を持たないオークションハウスもたくさん存在するため、さまざまな業者の鑑定士とコミュニケーションを図りながら比較検討することも可能と言えるだろう。
代行業者を通さない直接出品は滅多に行われない
ここで注意をしたいのは、サザビーズなどの有名オークションハウスの大半が、日本事務所や画廊を窓口に受付を行っている実態だ。
260年以上の歴史あるサザビーズでは、画廊を通さず直接出品された初の事例が2008年だったとされている。
代理店を通さなければ、それだけ出品コストを下げることができる。しかし老舗オークションハウス・サザビーズでも2008年まで直接出品がなかった実態を考えると、日本事務所の担当者を介して本社とコミュニケーションを図るのが最も安全かつ確実な方法と言えそうだ。
海外オークションへの美術品出品でおすすめの方法と相場とは?
最後に、当ページのまとめとして、海外オークション利用に適した方法と、「どのぐらいの相場で落札されているのか?」という皆さんの疑問を解消していこう。
市場価格50~200万円が美術品オークションの手品下限
日本事務所を持つサザビーズでは、作品の輸送費や手数料を差し引くと50~200万円の市場価格が出品における下限としている。
この価額を下回る美術品については、競売方式でオークションを行う世界的な有名会社を通した出品は厳しいと捉えた方が良いかもしれない。
競売方式オークションの落札相場は50万円~数億円
落札相場については、ピカソやウィレム・デ・クーニングといった国際的に市場性のある有名作家の場合は、100億円前後の落札額に達することもある。
また「どうしてもこの作品が欲しい!」という強い想いで参加した富裕層が複数いれば、その価額は更に高まることも考えられるため、美術品オークションにおける相場には未知なる可能性が隠れていると捉えて良いかもしれない。
入札方式オークションの落札相場はかなり安い
これに対してeBayなどの入札方式の海外オークションは、落札相場がかなり低い実情がある。
また世界の誰もが参加できる入札方式の場合は、熱狂的なコレクターの集う競売方式とは全く違う空気感となるため、数十万円以上の高額落札が狙える作品には適さない存在と捉えた方が良いかもしれない。
迷った場合は海外オークション各社に問い合わせをしてみよう
自分の所有している美術品に対して価値判断が全くできない場合は、日本事務所を有するサザビーズやクリスティーズ、日本代理店のある中国嘉徳国際オークションや朶雲軒オークションといった海外オークション会社に写真と商品情報を送信して、査定をお願いしてみよう。
また手数料や輸送費がたくさんかかる海外オークション出品が難しい場合は、国内の会場で開催される毎日オークションやエストウエストオークションズ、シンワアートオークションといった日本の会社に相談をしてみても良いだろう。
まとめ
美術品は国内だけでなく海外からの需要が高いケースもあるため、より高額での売却を目指すなら海外オークションへ目を向けるのがおすすめだ。ぜひ今回紹介した情報をもとに、満足できる売却方法を見つけていただきたい。なお、興味があれば以下コラムも参考にしてみると良いだろう。