ワインと言えばその値段はピンキリで、安いものは数千円で購入できるが、高いものだと100万円を超えるものもある。シャトー・ル・パンもそのひとつで、初めはそれほど評価されていなかったが、1982年にパーカー・ポイントで100点満点を獲得したことによってその地位を確立した。
ガレージワインのきっかけとも言われており、その価値は非常に高い。ここではそんなシャトー・ル・パン1998年の買取相場や査定情報について紹介しよう。
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ワインの主な生産地
ワインの産地として思い浮かべる人が多いのはフランスではないだろうか。フランスではボルドー地方、ブルゴーニュ地方、シャンパーニュ地方が有名だ。
ボルドー地方
ボルドー地方はフランス南西部にあり、この地域で作られるワインはボルドーワインと呼ばれ別名ワインの女王と呼ばれている。キメが細かくしっとりとしたワインは女性的な印象だからだ。ボルドーと言えば赤ワインで、ボルドー地方のワインは複数のブドウを混ぜて作られる。
ボルドー地方で生産されるワインにはシャトーという名前がつくことが多いが、これはブドウの栽培、醸造をおこなうブドウ園を意味する。そして生産者の名前がその後に続くことが多いのが特徴だ。シャトー・ル・パンもボルドーワインであり、こちらは生産者ではなく農園の象徴的な松の木から名付けられた。
ブルゴーニュ地方
ブルゴーニュ地方はフランス中部にあり、コートドールと呼ばれる黄金の丘陵には大規模なブドウの農園が広がる。ブルゴーニュワインはボルドーと違って一つの種類のブドウから作られる。赤ワイン、白ワインどちらも作られており、赤はピノ・ノワール、白はシャルドネがメインの品種である。
また、ブルゴーニュの農園は小規模のところが多く、ワインの名前も生産者ではなく土地によって名付けられることが多い。高級ワインとして知られるロマネ・コンティもブルゴーニュワインである。
シャンパーニュ地方
そしてシャンパーニュ地方はフランス北東部、パリの近くにある地域である。ここで生産されるワインは地域の名前でもあるシャンパンで、この地域で収穫されたブドウのみを使って作られる。
瓶詰め後に二次発酵をおこない、15ヶ月以上瓶内で熟成させたものだけをシャンパン、正式にはシャンパーニュとしている。シャンパンを発明したのは修道士であり、その名前がつけられたシャンパンが有名なドン・ペリニヨンである。
フランス以外の生産地
フランス以外ではイタリア、スペインがワインの産地として有名である。特にイタリアはワインの生産量、消費量ともに世界一であり、温暖な地中海気候はワイン作りに非常に適している。そのためさまざまなワインが生産されてきたが、法律によって規制されたことから特定のワインのみ残された。
イタリアのワインは個性的なものが多いが、比較的果実感が強く甘めなのが特徴だ。スペインは世界第三位の生産量で、年々量より質を重視して作られるようになってきた。赤ワインが多く、スーパースパニッシュと呼ばれる高級ワインも出始めている。
シャトー・ル・パンとはどんなワイン?
シャトー・ル・パンは1980年代に現れたボルドー右岸、ポムロールの丘の中心部で生産されるワインで、1979年に出始めたころは安価で評価もそれほど高くなかった。だが、1982年のワインがかの有名な評論家ロバート・パーカー氏によって、ワイン誌で100点満点を獲得するとその人気と知名度は一気に上がった。
生産量が少なく市場になかなか出回らないことから商品価値も上がり、一時期は同地区で生産される高級ワインのシャトー・ペトリュスよりも高い値段がついたこともある。これがガレージワインブームのきっかけとも言われている。ちなみにガレージワインとは、小さなワイナリーだからこそできる手間と時間をかけたワインづくりのことである。
年間生産本数は6,000~8,000本と極少数で、これを全世界で分けるため手に入れるのはかなり難しい。畑の面積はわずか2haだが、オーナーのジャック・ティエンポンは高品質のワインを生産し続けている。ル・パンの名前は農園近くに生える一本の松の木に由来している。
1979年に畑を購入した当初、畑は貧弱でとてもブドウが作れる状態ではなかった。ただ、ティエンポンも畑や設備に投資できるだけの資金がなかったため、仕方なく所有していた他のワイナリーの樽で発酵と二次熟成をおこなったのだ。
これはマロラクティック発酵というもので、工程としてはセラーを18度前後に保ち、バクテリアを加えることでリンゴ酸を乳酸に変化させ発酵させる方法である。当時はほとんどおこなわれていない方法であり、ル・パンはボルドーで初めてマロラクティック発酵をしたワインとなった。そしてこの工程はその後に多くのワインで取り入れられた。
シャトー・ル・パンに使われるブドウが栽培されているのは砂利と砂が多い畑で、砂利は深いところで3mにもなる。そこに高い密度でブドウの樹を植え収穫をおこなうが、ブドウ自体肉厚である。ル・パンはマロラクティック発酵に新樽を使っていて、それゆえ樽による香りが強いが、それに加えて果実感が強く華やかなワインとなっている。
シャトー・ル・パン1998年の買取相場
シャトー・ル・パンは年間生産数が限られていて、入手するのが非常に難しい。いわゆるコネやツテがないと手に入れられないということもあり、世界中のワイン愛好家やコレクターからの絶大な人気を獲得している。なので、中古市場でも非常に人気が高く、高額買取が期待できる。
シャトー・ル・パンの平均的な買取価格はおよそ90,000円~150,000円だが、当たり年と言われる年代のワインはかなり高額で取引される。当たり年とはワインのできが優れていること、つまり原料であるブドウの品質が優れていることなのだ。そしてシャトー・ル・パンの当たり年は1982年、1989年、1990年、2000年、2010年と言われ、この年のル・パンは特に買取価格が高騰している。
シャトー・ル・パンの各年代の買取相場は以下のようになっている。
- ・1979年:573,000円
- ・1982年:435,000円
- ・1995年:498,000円
- ・1996年:346,000円
- ・1997年:288,000円
- ・2002年:298,000円
- ・2004年:343,000円
- ・2005年:482,000円
- ・2007年:308,000円
- ・2008年:416,000円
- ・2011年:320,000円
- ・2012年:420,000円
- ・2014年:430,000円
そして、1998年のシャトー・ル・パンの買取相場はおよそ155,000円となっている。上の年代よりも安い相場となっているが、あくまで相場なので市場での人気や業者の持つ在庫数、状態によっても価格に変動はある。業者に在庫がない年代のものであれば、相場よりも高い値段で買い取られることも多々あるのだ。
上で挙げた年代は当たり年と呼ばれるため、買取相場はおよそ200,000円~430,000円と高額である。だがその他の年代のル・パンもおおむね150,000円前後のことが多く、高額であるといって良いだろう。
元々年間生産数6,000~7,000本と限られていて希少価値が高いので、買取価格も高額になりやすいのだ。もし売りたいシャトー・ル・パンがあるなら、その年代の在庫状況や需要について調べてみるのが良いだろう。
ワインは業者以外ではどこで売れる?
ワインは専門業者に買取ってもらう以外にも、オークションやフリマアプリで売ることも可能である。オークション大手のヤフオクでは最低落札額を決めることができるので、もし安い値段で落札されるのが不安な場合は相場程度の値段をあらかじめ設定しておくのがおすすめである。
フリマアプリは複数あるが、大体手数料が設定されている。手数料はまちまちで送料も自己負担となる場合が多いため、希望価格は多少上乗せしておくべきだろう。
希望買取(落札)金額を自分で設定できるため、高く出品することも可能だが、売れるかどうかは分からない。もちろんシャトー・ル・パンほどの価値の高いワインであれば買い手はつくだろうが、その人がワインの価値を分かっている人とは限らない。
もしかすると転売される可能性もあるだろう。また、基本的に個人同士のやり取りとなるので、後々トラブルにもなりかねない。いずれにせよ、個人に対して売るのに抵抗があったり不安がある場合は、専門業者へ買取を依頼した方が確実に売れる上、トラブルもないので安心だ。
ワインの買取査定で気を付けるポイント
ワインの買取ではいくつか気を付けるポイントがあり、それを踏まえておけば相場よりも高く売れたり希望よりも高い値段がつくこともある。まずワインの保存状態に気を付けることだ。ワインはデリケートなので、ちょっとした温度の変化や光によってすぐに劣化してしまう。そのため、ワインは基本的にワインセラーでの保管がおすすめだ。
もちろん家庭ではワインセラーなど持っていない人もいるだろう。そうした場合はなるべく光のあたらない、日陰に保管しておく。床下収納があればそこで保管するのが良いだろう。
また、ラベルやボトルの汚れもよく確認する。誇りや手垢など、拭き取れるものはきれいな布で拭き取っておこう。気を付けたいのはラベルの汚れで、取れるものは落とした方が良いが、無理に落としてはいけない。
ラベルを剥がしてしまうのもタブーである。ラベルがないものは買取不可となってしまうことがほとんどなので、汚れがひどくても剥がさないように気を付けよう。付属品に関しても同じで、箱や栓などもきちんと保管して汚れないようにしておくのも大切である。
最後に、業者で買い取ってもらうには複数の業者で査定してもらうのがおすすめだ。買取業者にはさまざまなところがあり、酒類専門の業者でも日本酒が得意だったり洋酒が得意だったりするのだ。もちろん総合的に買取しているところならそれぞれ得意な鑑定士が在籍しているので安心だろう。
業者によって買取価格は異なるので 100,000円のところもあれば200,000円で買い取ってくれるところもある。これはその業者が持つ在庫数や需要によって差が出てくるため、見積もりだけでも複数の業者で出してもらおう。査定は無料の場合がほとんどで、断ることも可能である。希少価値の高いシャトー・ル・パンはそのままでも十分高値で買い取ってもらえるが、以上のポイントを守るとより高値で買い取ってもらえる可能性は高いだろう。
まとめ
シャトー・ル・パンは年間生産数が限られているため、希少価値の高いワインである。それだけでなく、ワインの評価であるパーカー・ポイントも満点を何回も獲得していることから、ワインとしての質も高いのだ。そのため、中古市場でも需要が高く高値で買取してもらいやすい。ワインには買取査定に関して注意点があり、それらを意識することでより高く買い取ってもらえるため、査定の際は気を付けよう。