タヌキは日本にもともと生息している馴染みの深い動物で、タヌキの毛皮は古くから日本人に重宝されてきた。毛皮の中では流通量が多く比較的安価であるため、保有しているという人は多いだろう。
しかしその一方で、ファッションの流行は以前のように毛皮を楽しむスタイルではなくなっている。そこで、家に眠っているタヌキの毛皮製品を売った場合、どのくらいの価格になるのだろうか。タヌキ毛皮の買取相場などについてまとめたので参考にしてほしい。
CONTENTS
こちらのページには広告パートナーが含まれる場合があります。掲載されている買取価格は公開日のみ有効で、その後の相場変動、各企業の在庫状況、実物の状態などにより変動する可能性があります。
タヌキ毛皮の特徴
タヌキは体長50cm~80cm程で、長い尾と長い脚を持っている。こげ茶色の体毛を持つ個体が多いが、ごくまれに真っ白な体毛の突然変異種も存在する。タヌキの毛はボリュームがあり特に冬毛は、見るからにフサフサとしていて密度が高い。刺し毛は強くて長く、黒や茶色に白っぽい色が混じる一方で、綿毛は黄褐色をしたフワフワの毛質だ。
タヌキは、毛皮になったときの保温性に非常に優れている。それが、古くからタヌキが毛皮に使われることが多かった理由であろう。また、毛皮と言うと通常はデリケートなイメージがあるが、タヌキの毛は耐久性もある。
このような優れた特徴を持つがゆえに近代に入るとタヌキは毛皮目的で乱獲されるようになってしまい、全国的に数は減少した。現在日本のタヌキは鳥獣保護法の対象となっていて、日本からタヌキの毛皮を輸出する際には原産地証明書の提出が必要である。そのような日本に代わって今、タヌキの毛皮で主流になっていてさまざまな衣料品に使われているのはロシアや韓国、中国などのものだ。
それぞれの産地国名をつけてロシアンラクーン、コリアンラクーン、チャイニーズラクーンという毛皮名で呼ばれている。また、フィンラクーンという種類もある。フィンラクーンとは、フィンランドで養殖生産されたタヌキの毛皮のことであり他の産地のタヌキ毛皮と、毛の密度や長さなどの特徴は同じだが見た目の雰囲気がだいぶ異なっている。よりフワフワとしていて柔らかく、自然な状態でもベージュよりの色味をしている。
毛皮の中でもミンクなどは、全体に使用してコートやジャケットなどに仕立てられることも多い。しかし、タヌキ毛皮だけでコートやジャケットを仕立てたものというのはあまり見かけず、どちらかというとマフラーなどの装飾品に用いられることが一般的である。また、タヌキの毛皮はカジュアルなファッションとの相性が良いため、モッズコートのフード飾りや袖口の周りにもタヌキがしばしば用いられている。
2007年以前のタヌキ毛皮には注意!
タヌキは英語ではラクーンドッグと呼ぶ。しかし以前は、毛皮名の表記はラクーンとだけされていた。これは、当時タヌキの毛皮と言えばロシアンラクーンやチャイニーズラクーンの生産量が多く、世界的にもその呼び名が浸透していたことが要因と言われている。つまり、ロシア産や中国産などの毛皮の呼び名に合わせて全て、ドッグを除いたラクーン表記にしたというわけだ。
ところがラクーンと呼ばれる毛皮には、他の動物のものもある。それはアライグマだ。アライグマは英語でラクーンと言い、こちらの方が本来のラクーンである。このような事情があるため昔の毛皮でラクーンという表記がされているものには、タヌキのものとアライグマのものと両方が混在しているということになる。
しかもアライグマの毛皮も、カジュアルコートのフード周りや袖周りに使用されていることが多い。色味も似ているため、一般の人が区別をするのは難しいだろう。
プロの鑑定士であればまず間違うということはないであろうが、個人売買サイトなどを利用して売買をするときには、種類を間違わないように十分に注意する必要がある。ちなみに現在は、日本におけるタヌキの毛皮表記には、チャイニーズラクーン/タヌキのように、必ずタヌキを併記しなければならないと決められている。
タヌキ毛皮の買取相場と高値のコツ
タヌキの毛皮を売却するときには、どのくらいの価格が相場になるのだろうか。2019年4月時点での相場と高く売るコツを見ていこう。
買取相場
オークションサイトでは襟にタヌキの毛皮が使用されている紳士物のトレンチコートが、4,000円前後で取引されているケースがある。また同じく紳士物のコートでフードと襟にタヌキ毛皮が使われているものになると、20,000円前後だ。
買取業者での買取事例はほとんど見当たらなく相場を明確にするのは難しいが、おおよそ数千円~10,000円前後ということは言えそうだ。すでに触れたようにタヌキの毛皮はコート全体に使用されているデザインはまれで、襟やフードの周囲に使用されることが多いため、毛皮そのものの価値というよりはコートの毛皮以外の部分の価値によって相場が決まってくるだろう。
売るタイミングを考える
天然素材である毛皮は購入から長い年月が経つほど、価値が下がってきてしまう。もう着ないことが分かっているのであれば、すぐに売却することがおすすめだ。また、毛皮はシーズン衣料でもあるため秋や冬の方が夏よりも高額査定が出やすい。
複数の買取業者や個人売買サイトでの価格を比較する
少しでも高値で売るためには、買取業者一社の査定だけで満足してはいけない。複数の業者の査定、オークションやフリマアプリなどにおける価格を必ず比較して売却するところを決めよう。査定額の比較には宅配買取や出張買取サービスを利用するのが、わざわざ店舗に行く必要がなく簡単である。
タヌキ毛皮を売るときに高値をつけてくれそうな業者としては毛皮専門業者の他、ブランド品買取のおたからやなどが考えられる。オークションやフリマアプリにおいては、ヤフオクやメルカリなどが利用者が多いため高値で売買が成立する可能性があるだろう。
まとめ売りをする
衣料品の場合には、それ一着だけではなかなか高値がつかないことがある。しかし大量にまとめ売りをすることで、価格のつきにくいものにも値段がつくようになる。
綺麗な状態にクリーニングしてから売却する、付属品があれば捨てずに一緒に売るなども高額売却のためのコツである。逆に、タヌキの毛皮を購入するときには偽物に注意することが最も重要だ。信頼のできる店舗で毛皮の表記などをしっかりと確認してから購入するようにしよう。
毛皮のお手入れ・保管方法
どんなにもともとの毛皮が高価で質の良いものであったとしても、お手入れや保管方法が良くないと品質が劣化して買取価格は大幅に下がってしまう。以下で毛皮のお手入れや保管方法について紹介していく。
毛皮はデリケートな天然素材
毛皮は非常にデリケートな素材であるということを十分に認識しよう。動物の体毛と原皮からなっている毛皮は、言ってみれば人間の髪の毛のようなものだ。人間の髪の毛は綺麗な髪や健康を保つための毎日のシャンプーやブラッシングなどのケアが欠かせない。毛皮にも同じように、適切なケアを施すことが大切である。
外出後のお手入れ
最も毛皮の質を左右するのは、毛皮を着て外出した後のお手入れである。毛皮は見ての通りフワフワとして毛足が長い。少し外に出ただけでも、ホコリを驚くほど吸い込んでしまう。帰宅した際にはこのホコリをできるだけ速やかに落とすという作業が必要だ。
脱いだら毛皮を軽く振ったり叩いたりしてホコリを落とそう。さらに毛並みに沿って櫛などで梳くと、よりホコリや汚れを取り除ける。この作業の際のコツは、あくまでも軽くである。強く叩いたり目の細かすぎる櫛で力強く梳かしたりすると、毛が抜けることがある。
また毛皮にとっては汗などによる湿気も大敵だ。寒い冬であっても、衣類の中では思った以上に汗をかいているので、帰宅後には乾かさなければならない。ハンガーなどにかけて風通しの良い涼しい所に吊るしておこう。
毛皮に紫外線や熱を当てるのは厳禁だ。よく乾かすために暖房の近くに吊るしてしまうと熱のせいで原皮が硬くなったり、異臭を放ったりすることがある。また、太陽光があたると変色や毛抜けにつながりかねない。蛍光灯の光にも紫外線が含まれているので要注意である。
保管するとき
着用後のホコリや汗による湿気を取り除いたら、ハンガーにかけてクローゼットなどに収納しておこう。ハンガーは肩の厚みや幅にできるだけ合った木製のものが適している。
他の洋服に押されると毛が潰れてしまうため、間隔を十分に空けるのがコツだ。間隔を空けることで空気の通りが良くなり湿気がこもるのも防ぐことができる。
さらに天然素材である毛皮は虫食いやカビの繁殖も起こりやすい。防虫剤は必須であるが違う薬剤同士が混在すると、化学反応を起こして毛皮を変色させることがあるので、使う防虫剤は1種類だけに限ろう。
必要に応じてクリーニングも利用しよう
何度も着用して汚れが目立ってきたというときには、クリーニングに出すのもおすすめだ。毛皮のクリーニングは通常のクリーニング店でも受け付けている。また、毛皮の高級ブランド店などでもクリーニングのサービスをおこなっていることがある。料金やクリーニング期間は毛皮製品のサイズや毛皮の種類によって異なるので、あらかじめしっかりと確認しよう。
まとめ
毛皮の中でも小物類や服の袖など、あまり量が必要のない物に使われるタヌキの毛皮は、他のコートに使用される毛皮よりも高値がつきにくい実態がある。しかしタヌキの毛皮の特徴である使い勝手の良さから、需要はまだ十分にあるので売却できなくて悩むということはないだろう。
今回ご紹介したように毛皮は非常にデリケートな素材であるため、保管方法やお手入れを怠ると傷みが生じやすくなってしまうので注意しなければならない。適切な環境で保管して着用後のお手入れをしっかりとすることが大切である。傷みの少ない綺麗な毛皮は買取業者からも歓迎されるので、高価買取への近道だ。