コンポーネントとは、人力を自転車に伝え、推進力に変換し、人が自転車を操作する手助けをするパーツの総称である。かつてはそれぞれのパーツを別々のメーカーが製造していたが、1990年ごろから、一つのメーカーがコンポーネント一式をセットで提供することが主流になっている。この一式をコンポーネントグループセットという。パーツ間の互換性の心配をする必要がないことが、ユーザーにとっての大きなメリットの一つである。以下、メーカーとコンポーネントセットの各グレードを紹介する。
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シマノ(SHIMANO)
創設は1921年、本社は大阪府堺市。フリーホイールという自転車のパーツを作ることから始まった会社である。フリーホイールというパーツは、後ろ側ホイールの中に入っているパーツの一つである。例えばママチャリを手で押すことを考えて欲しい。自転車を前方向に押してもペダルは動かないが、一方で、後ろ方向に転がすと、ペダルは回る。ある一定方向についてのみ、クランクにかかったパワーが自転車に伝わる仕組みをつかさどっているのがフリーホイールというパーツである。1970年以降は釣り具業界にも参入した。また、一時期はウィンタースポーツ事業に携わった時期もあったが、現在では撤退している。シマノが提供するロードバイクコンポーネントのグレードは、以下の5つである。
シマノのコンポーネントグループセット
・デュラエース(Dura-Ace)[セット定価約30万円~45万円]
・アルテグラ(Ultegra)[セット定価約15万円~30万円]
・105[セット定価約8万円]
・ティアグラ(Tiagra)[セット定価約7万円]
・ソラ(Sora)[セット定価約5万円]
上位二つのグレードの価格幅が大きいのは、電動変速モデルがあるためである。
また、パーツごとの別売りもしていて、品番が振られている。たとえば「FC-9000」は「デュラエースのクランク」、「BR-6800」だったら「アルテグラのブレーキ」になる。この品番の読み方を紹介しよう。
品番の読み方
品番は「○○-△△△△」の形で表される。
○○には、「パーツの種類」を表す2文字のアルファベットが入る。対応は以下の通りである。
・FC=クランクセット
・RD=リアディレイラー
・FD=フロントディレイラー
・BR=ブレーキ
・CS=カセットスプロケット
・PD=ペダル
・CN=チェーン
・ST=STIレバー
・BB=ボトムブラケット
・WH=ホイール
△△△△には「グレード」と「年式」「マイナーチェンジ」を表す数字が入る。
左から1桁目が「グレード」を、2桁目は年式を表す。各モデル、約4年に一回フルモデルチェンジがあり、これに伴って4桁の番号が更新される。
例えば、1997年式アルテグラに割り当てられた番号は「6500」であった。その後、フルモデルチェンジを果たした2004年モデルには「6600」、2009年モデルには「6700」、2013年モデルには「6800」がそれぞれ割り振られた。
基本的に年式・グレードごとに割り振られた番号が△△△△と一致する(=下二桁には0が並ぶ)が、以下の2つの場合には下二桁にも0位外の番号が入る。
一つは、電動式パーツである場合である。この場合、3桁目に「7」が入る。たとえば、「2012年式デュラエース(9000)」の「電動」「リアディレイラー(RD)」なら「RD-9070」と表される。
また、4ケタ目は、マイナーチェンジが行われる度に増えていく。例えば、「2012年式デュラエース(9000)」の「STIレバー(ST)」は一度マイナーチェンジが行われているので「ST-9001」と表される。
他2社と比較すると、良心的な価格設定となっている。更に性能面・耐久面でも非常に高い水準を実現している。一方で、他2社の製品と比較するとデザイン性に欠けるという批判もある。また世代間の互換性が考慮されていないことも懸念すべき要素である。例えば、7800系デュラエースと7900系デュラエースはともに10段変速のコンポーネントであるが、パーツ間の互換性はないに等しい(ただし、世代内での互換性は高い。7900系デュラエースと、6700系アルテグラには高い互換性がある)。
シマノのコンポーネントグループセットの買取状況
Dura-Ace、Ultegra、105に関しては現行モデルの買取価格が確認された。以下に列挙する。いずれも、定価の1/5程度の価格で取引されている。特に駆動部に関しては消耗が激しいので、買取に出す際には注意が必要だ。
Dura-Ace 9000 6点セット
6.83万円(マクサス)Ultegra 6800 6点セット
3.23万円(マクサス)105 6点セット
2.21万円(マクサス)余談
2008年式デュラエースに割り当てられた4桁の番号は、「7900」。2012年式デュラエースは「9000」。2008年以前の年式モデルでは、フルモデルチェンジする度に2桁目の数字が1つずつ増えていった(7700→7800→7900)。この法則に従えば、2012年式デュラエースには「8000」が割り振られそうなのであるが、実際には「9000」が割り振られた。この経緯にはこんな噂がある。
製品開発部が完成させた2012年式デュラエースには、そもそも「8400」が割り振られていた。その理由は、全モデルからの大幅な改良が実現し、「デュラエースは常にベストであらねばならない」という製品思想を体現したと確信していたからであった(ただし、この思想は2008年式を開発する際に掲げられたものである)。
この「8400」系デュラエースを役員会議で経営陣に発表し、試乗を行った。新製品の完成度に感激した役員から「今回のデュラエースは8400どころではない、9000だ」と絶賛され、2012年式デュラエースには「9000」が割り振られたということだ。
カンパニョーロ(Campagnolo)
1933年、ヴィチェンツァの自転車選手であったトゥーリオ・カンパニョーロが家業の金物工作の技術を活かして創業。(競技面に限らず)自転車界全体に残した大きな功績としては、「クイックリリース」の発明が挙げられる。「クイックリリース」とはホイールとフレームを固定するパーツで、このパーツを素手で操作するだけで、ホイールの着脱が可能になる。それ以前、ホイールとフレームはナットで固定されており、着脱には工具が必要だった。クイックリリースの発明により、レース中のホイール交換や、手先の感覚が麻痺する寒冷時のホイール着脱が格段に簡単になった。現在でも、この仕組みは広く使われている。
シマノ、スラムがロードバイク以外にもトライアスロン、マウンテンバイクと幅広く展開している一方、カンパニョーロは自転車界一本に絞っている。マウンテンバイク用のコンポーネントは現在製造していない。また、トライアスロン界でのシェアも低いと言わざるを得ない状況にある。トライアスロン界で最も権威ある大会の一つである、アイアンマン世界選手権においての使用者は僅かに38名であった(シマノは1860名、スラムは402名)。その分、他の二社と比べるとホイールを幅広く取り揃えている。
カンパニョーロのコンポーネントグループセット
各グレードと定価は以下のとおりだ。日本代理店の変更に伴って価格が改定された。
・SuperRecord(スーパーレコード)[セット定価約40万円-55万円]・Record(レコード)[セット定価約32万円-45万円]
・Chorus(コーラス)[セット定価約22万円-35万円]
・Athena(アテナ)[セット定価約17万円]
・Potenza(ポテンサ)[セット定価約10万円]
カンパニョーロのコンポーネントグループセットの特徴
カンパニョーロのコンポーネントグループセットの特徴として頻繁に挙げられる言葉は「造形美」「伝統」だ。
主要3メーカーの中で最も古い歴史を持ち、イタリアンブランドの名に相応しい美しい製品を作っているとの評価がなされている。イタリアンメーカーのフレームをカンパニョーロのコンポーネントセットで組み上げることにこだわりを持つ中年層ライダーは少なくない。また、上位3グレードは、電動式モデルが存在するが、他メーカーに比べると電動変速の普及率は低いと言える。従来のワイヤー式変速にこだわりを持つユーザーが多いのだ。
カンパニョーロのコンポーネントグループセットの取引状況
カンパニョーロのコンポーネントグループセットの取引状況は以下のとおりだ。旧モデルの人気が高く、数世代前のパーツが単品で出回っていることが多いのがこのメーカーの特徴である。限定モデルも、コレクターに根強い人気がある。
スーパーレコード11s 6点セット
14.15万円(マクサス)レコード11s 5点セット
10.3万円(ヤフオク実績)スラム(SRAM)
もともとはマウンテンバイク市場を主戦場とするアメリカのメーカーであり、シマノの製品と互換性のあるパーツを作っていた。2005年に独自規格の製品を発表し、シマノ、カンパニョーロに次ぐ第三のコンポーネントメーカーにまで成長し、現在に至る。2015年には電動無線変速コンポーネント「Red eTap」を発表し、自転車界を牽引している。グレードと定価は以下の通りである。
スラムのコンポーネントセット
各グレードのセット定価は以下のとおりだ。
・Red(レッド)[セット定価約30万円]
・Force(フォース)[セット定価約20万円]
・Rival(ライバル)[セット定価約13万円]
・Apex(アペックス)[セット定価約10万円]
スラムのコンポーネントグループセットの特徴
スラム製のコンポーネントグループセットの特徴は、2社に比べて軽量であることにある。例えば最高級グレード同士のコンポーネントセットのシフトレバー同士で比較すると、シマノのDura-Aceが左右セットで365g、カンパニョーロのスーパーレコードは330gのところ、スラムのレッドは280gである。自転車の軽量化にこだわるヒルクライムの選手からの支持は厚い。一方、耐久性にはやや難がある。また、特にフロントディレイラーの変速精度ではシマノに劣っていると言わざるを得ないであろう。
スラムのコンポーネントグループセットの取引状況
最上級のレッド22と、セミグレードのフォース22についてマクサスによる買取価格が確認された。
RED22 7点セット
9.4万円FORCE22 7点セット
4.92万円レッドのコンポーネントセット中では、クランクの評価が非常に高い。そのため、クランク単品の買取価格が高額になることもあるようだ。
コンポーネント売却におすすめの業者
コンポーネントセットの人気ブランドについて紹介してきたが、最後におすすめの買取業者を紹介しよう。
Valley Works
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
Valley Worksは、ロードバイク専門の買取業者。コンポーネントセットなどのパーツ買取もおこなっており、今回紹介したシマノ・カンパニョーロ・スラムにも対応している。また、同社では高価買取だけでなく「誠実」「柔軟」「迅速」なサービスを心がけているので、初めて買取業者を利用する人にもおすすめだ。
買取の依頼方法は店頭・宅配・出張買取の3種類がある。店舗のある兵庫県神戸市を中心に、大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀・和歌山の近畿圏一帯なら、出張買取が便利だ。そのほかの地域でも、内容によっては出張してくれることがあるので、相談してみるのも良いだろう。なお、宅配買取なら全国どこからでもOKなので、出張が難しいケースでも安心してほしい。
まとめ
コンポーネントセット市場は事実上、上記3社による寡占状態にある。第4のメーカーとして様々なメーカーが名乗りを上げることがあるが、数年で姿を消してしまうことがほとんどである(ただし、単品パーツでは上記3社以外も市場でシェアを確保している)。コンポーネントセットはパーツの種類が多く、一つ一つの売上額は小さいので、大量生産しないと採算が合わない性質を持ち合わせており、新規参入が難しい。
そんな中、スペインのメーカー「Rotor」が油圧変速を特徴としたコンポーネントセット「Uno」を発表し、一部のプロチームが採用した。一方、一般販売の目処は立っていない。メーカーは、広告目的でプロチームに自社製品を供給し、一般販売から収益を確保するというビジネスモデルを採ることが多い。第4のコンポーネントセットメーカーとしての立場を確立できるか、今後に注目したい。
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