鮮やかなピンク色の輝きを放つ、パパラチアサファイア。希少価値が高いと言われるサファイアのなかでも、とりわけレアな宝石だと言われている。
今回は、このパパラチアサファイアの買取相場などについてまとめよう。買取業者5社を並べて、査定価格の比較もおこなう。パパラチアサファイアの買取を希望する人には、検討の目安として役立ててほしい。
CONTENTS
このコラムには、合法的な広告・宣伝が含まれている可能性があります。また、当社のサービスである「ヒカカク!」と「magi」の紹介も含まれています。
パパラチアサファイアとはどんな宝石か
サファイアといえば青色のものが有名だ。しかし、実は色味には大変幅がある。青色だけでも薄い色のものから深いものまであるし、実はルビーも同じ系統の石に当たる。サファイアは、コランダムと呼ばれる鉱物の総称なのだ。コランダムは酸化アルミニウムの結晶でできあがっている。
結晶内に含まれるイオン化不純物(半導体のなかでイオン化した物質)によって色が決まり、純度が高いほど無色透明に近い。そうしたコランダムのうち、赤いものをルビーとして区別。その他で色味のあるものをサファイアとして識別している。パパラチアサファイアの色味自体はルビーに近いが別物だ。
パパラチアサファイアの定義
単に色がピンクがかっているだけでは、パパラチアサファイアとして認められることはない。ピンクとオレンジのちょうど中間程度の色味を持っていることが条件だ。どちらの色が薄すぎても、また濃すぎてもいけない。極めて繊細で狭い定義のなかで価値を決められる宝石だと言える。
ちなみにパパラチアという言葉の語源は、スリランカの言語であるシンハラ語に由来したものだ。その意味はハスの花のつぼみ。薄く赤味がかったピンク色の花のつぼみになぞらえて名付けられと推察できる。
パパラチアサファイアの産地と希少性
パパラチアサファイアの産地は、2019年5月現在、全世界においてわずかに2カ国しか確認されていない。
スリランカ
そのひとつがスリランカだ。スリランカというと紅茶のイメージが強いが、実は宝石の産地としても有名である。特にサファイアには強く、良質なものを数多く産出することで名高い。2012年には手付かずの新しい鉱山が発見されたこともあり、注目を集めた。
マダガスカル
もうひとつのパパラチアサファイア産出国はマダガスカル。インド洋の西側に位置する島国だ。世界最大規模と言われるチタン鉱山や宝石鉱山など、多くの天然資源を有している。世界の数多くの鉱山を合わせても、この2つの国以外ではパパラチアサファイアは見つかっていない。
そう考えると、いかに産出量の少ないジュエリーであるかお分かりいただけるだろう。希少性の高さから、パパラチアサファイアは幻の宝石、キングオブサファイアなどとも呼ばれている。そのように貴重な存在である宝石だが、近年マダガスカル産のものについては疑義が噴出している。
マダガスカル産パパラチアサファイアに起きたトラブル
2000年ごろのことだ。マダガスカルの東北に存在するザハメナ国立公園内の土地に大規模な宝石の埋蔵が確認された。さらに首都アンタナナリボから東に向かった港町ワトマンドリ、次いで北部方向のアンディラメアでも良質なルビーが採掘。これらを契機にマダガスカルは宝石ラッシュと呼ばれる好景気に湧く。
マダガスカル産パパラチアサファイアの疑惑
マダガスカル産パパラチアサファイアもまた、こうした新鉱山のひとつで見つかったものだ。透明感に優れ、柔和な輝きを持った特有の美しさと希少性から瞬く間に他の国々へ輸出されて行った。日本国内でも、2000年ごろから頻繁にマダガスカル産パパラチアサファイアが出回っている。
特に宝石鑑定業界のトップである全国宝石学協会の鑑別書があるものは最高峰であるとされた。しかし2001年の冬季、アメリカの米国宝石学会(GIA)がある発表をおこなう。マダガスカル産パパラチアサファイアに表面拡散がおこなわれているというものだ。表面拡散は、科学的な処理で宝石表面の色を変えてしまう技術を指す。
表面から見ればオレンジがかったピンク色に見える宝石だが、割ってみると中身はまったく違う色ということが有り得たということになる。こうなってしまえば、マダガスカル産の宝石に対する信頼は薄くなってしまう。
マダガスカル産パパラチアサファイアの暴落
宝石には人工のものと天然のものがあるが、価値が高いのは当然ながら天然ものだ。それゆえ、人工で特殊な加工をほどこしてしまったマダガスカル産のパパラチアサファイアは大きく価値を損ない、暴落と言えるほどの下落を見せた。表面拡散という技術は2000年ごろにはまだ珍しい技術であったことも傷を広げた原因になったと言えるだろう。
当時はプロの鑑定士でも、表面拡散をほどこしたパパラチアサファイアが人工か天然か見分けることが難しかった。そのため、市場において本物とそうでないものを区別することができなかったのだ。その後、表面拡散をほどこした宝石の検査ができるようになり、識別が可能となっている。
ただし、マダガスカル島で天然のパパラチアサファイアがまったく採れないかというと実のところそうではない。当然出回る量は極めて少ないが、それはスリランカ産にしても同様だ。マダガスカル産のパパラチアサファイアは上記の理由から非常に安価で取引されているので手軽さが好まれるという側面もある。
人工処理したパパラチアサファイアの扱い
2001年の問題を機に鑑別書の表記は見直しが検討された。2004年9月には、表面拡散をほどこした宝石かどうかの検査を基本的にはおこない、変色が明らかな場合はその旨を説明するただし書きが付くように改定されている。近年、日本の宝石市場において流通するパパラチアサファイアには、こうしたただし書き付きが付くものも一定量ある。
表面拡散、ベリリウム拡散加熱処理などの記載がそうだ。加熱処理(エンハンスメント)と書かれているものは、品質や色味の改良のためにおこなうものでこれには当たらない。人が手を加えているということには変わりがないと言ってしまえばそのとおりだ。しかし、実のところコランダム系の宝石で加熱処理をおこなっていない宝石はかなり少ない。
人が手をかけなければ、その美しさを表すことができないからだ。宝石というのは、元々の原石自体が少ない。まして、コランダム系のように希少なものとなればますます少ない。もちろん非加熱のものも多く出回っているが、加熱しなくても売り物になるほどきれいな石というのは大変貴重だ。だからこそ、表面拡散などの処理と加熱処理は分けて考えられている。
しかし、2001年に出回ったパパラチアサファイアについては話が違う。上記のとおり、現在ではおこなわれている表面拡散の検査がまったくおこなわれていない。2004年9月前の鑑別書でエンハンスメント処理のみと書かれている場合は、高確率で表面が変色させられている。そのため、買取査定も非常に安く付いてしまうことを覚えておきたい。
2004年9月以降の鑑別書のパパラチアサファイアであれば、天然により近いものほど買取価格も高額の査定となる。鑑別書に表面拡散の記載があるものは、比較的安価な査定額となることが多い。ただし、クラリティや色の濃淡、輝きなどで価値は変わる。
大手買取業者5社の買取相場価格と比較
2019年5月現在、パパラチアサファイアを取り扱う買取業者の査定価格をまとめた。今回は1カラット以下のものと考えて比較する。なお、金額は業者に共通して保障されるものではない。あくまで現時点での平均的なものとみなしてほしい。
宝石バンク・126,000円(1カラット)
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
宝石バンクの強みは、自社で運営する工房を持っていることだ。落下や経年の劣化で欠けてしまった石などでも、研磨をしなおしてリセールできる。最先端のデザインによるリカットもおこなうため、手持ちの石が古いものでも気にしなくていい。アクセサリーとして加工されていないルース(裸石)でも問題ない。
また、米国基準の高い鑑定技術を持った職員による査定を受けられるところもポイントのひとつ。鑑別書、保証書の類が付いていない、あるいはなくしてしまった場合でも買取が可能だ。あくまで石そのものを見て価格を決めてくれるので、高額査定にもつながりやすいだろう。他社で買取を断られてしまったというような場合でも詳しく鑑定してもらえるので、あきらめずに相談してほしい。
高価買取専門店MARUKA・107,000円(1.54カラット)
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
MARUKAは、全国各地で店舗を運営する買取専門店だ。宝飾品以外にもブランド製品やコイン、楽器など幅広く取り扱いをおこなう。老舗質屋を母体に持つため、鑑定自体にも強い。
経験豊かな鑑定士による査定を迅速に受けられるので、すぐに結果を知りたい方などにおすすめだ。トークアプリLINEを使用して、写真に撮って送ると最短30秒でおおよその買取価格の返答を得られるサービスもある。宅配買取も実施しているので近場に店舗がない場合などは利用してみるのも手段のひとつだ。
リファスタ(Refasta)・46,000~68,000円(1.262カラット)
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
リファスタ(Refasta)は、貴金属やブランド製品を専門的に取り扱う業者だ。パパラチアの鑑定に強いGIA資格など、専門的な知識を有した職員が査定をおこなうので、鑑別書や保証書がなくても持ち込める。片方なくしてしまったイヤリングやピアス、石の一部が取れてしまったリングなどでも買取可能だ。
また、宅配買取もサービスが充実している。申し込むと箱や送り状など送付に必要な一式が同梱されたキットが送られてくる。キットに必要なものを入れ、あとは送るだけの手軽さだ。契約不成立の場合でも、キャンセル料が発生しないのも魅力のひとつと言えるだろう。
福岡宝石市場・45,000円(1カラット)
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
福岡宝石市場は、店名が冠するとおり宝飾品の買取専門店だ。店舗自体は福岡県の一店舗のみだが、宅配買取など遠方から利用できる査定サービスが充実している。先に紹介したMARUKAやリファスタ(Refasta)同様、宅配買取キット、LINE査定が利用できるのでまずは相談してみるとよいだろう。
店舗に訪問する場合は完全予約制となっている。事前に電話か、ホームページ上の問い合わせフォームから連絡を入れておこう。また、希望する場合は委託販売の案内などもしてもらえる。手持ちのパパラチアを少しでも高額で売りたいというときには相談してみることをおすすめする。
買取キング・40,000円~(1カラット)
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
北海道札幌を本拠地に据え、関東、関西地方などに支店を持つ。ブランド製品や宝飾品、切手、家電など取り扱いに幅の広いリサイクル店だ。査定にはX線による検査装置を用いるので正確さに定評がある。
台座やチェーンの地金に対する刻印が、経年劣化で消えてしまっても確認可能。取り急ぎ大体の買取額を知りたい場合は、LINE査定も受け付けているので検討してみよう。
5社の比較
大手5社の買取額を見比べてみたとき、最高の値となったのは宝石バンクだった。鑑定人に、特に専門的な知識がある業者では比較的高価格になりやすいようだ。ただし、加熱、非加熱など持ち込むパパラチアサファイアの各種条件によって値段は上下する。
宝石バンク以外の4社、または他の業者でも場合によってはより高額になる場合もあるので、少なくとも2~3社で見積もりを受けておきたい。
高額で売るにはどうするべきか
買取査定を少しでも有利に進めたいなら残っているものはすべて持ち込むことをおすすめする。特に鑑別書がある場合は忘れずに用意しておこう。業者によっては、鑑別書がないと査定自体を断られてしまうこともある。
もし鑑別書がない場合は、別途専門機関で取り直しも可能だ。中央宝石研究所(CGL)の場合3,600円~と金銭負担が発生するが、カラットの大きい石をお持ちの場合など、損はないだろう。また、購入した際の箱などもあると場合によってはプラス査定となる可能性がある。一見不要に見えてもメリットを生む場合があることを覚えておくと便利だ。
まとめ
今回は、キングオブサファイアと呼ばれる美しい宝石、パパラチアサファイアについて紹介した。買取業者5店の比較により、1カラット前後のものだと40,000円~120,000円程度で買い取られていることが分かった。
最も値段を低く付けた業者と最高額の業者では8万円ほどの開きがある。しかし宝石の査定は石の状態や付属品の有無などによってケースバイケースといったところも大きい。特にパパラチアサファイアは、色の出方などで大きく価値が異なるため、いくつかの業者で見積もりを取っておく方がよいだろう。少しでも高額に満足の行く取引になるよう、ぜひ参考にしてほしい。