銀色をベースに白色の輝きをまとうプラチナは、その外見的特徴から白金の別名を持つ。見た目の印象はホワイトゴールドと良く似ているが、プラチナは黒ずみなど変色を起こすことがないという大きな違いがある。日常のメンテナンスの簡便さから、日本国内では特にアクセサリーとしての人気が高い。
加えて金属としての希少性が高いことから、投資としての価値もあわせ持つ。本コラムでは2019年におけるプラチナの市場相場や相場の動き方、価格の推移などをメインに据えて紹介する。
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プラチナはなぜ価値が高いのか
プラチナは世界的に価値の高い金属として認知されている。はじめにその理由について触れておきたい。理由を知っておくと市場の動きをより読みやすくなるだろう。
プラチナの原産地と産出量
プラチナの原産地は主に南アフリカ。その産出量は、全世界のおおよそ7割をしめる。次いでロシアが1割ほどの産出量を持ち、南アフリカのあとを追う形だ。残り2割はジンバブエ、カナダ、アメリカといった国々がになう。
しかしプラチナの産出は、ほぼ南アフリカとロシアの2国が握っているといっても過言ではないだろう。金属として比較されることの多いプラチナと金の総産出量を見てほしい。2017年、各国によるプラチナの総産出量は200トンとなった。対して、同年の金の総産出量は3,150トン。
プラチナは、金の16分の1程度しか採れていないことが分かる。各国に埋蔵された資源も決して無限ではないため、長期的にはどんどん枯渇へと近づくだろう。
プラチナはどのような用途で使われている?
日本では主にアクセサリーとして消費されるプラチナだが、世界的に見たシェアは別のところにある。工業方面での利用だ。プラチナは耐久性にすぐれ溶けにくいため、欧州で普及するディーゼル車の排ガス浄化触媒やハードディスクへの利用といった需要が厚い。
しかし、前述のとおり産出量が極めて低いため恒常的な不足状態が続いている。だからこそ、プラチナは投資価値が高い。需要に対して供給が追いついていないから高い水準で値打ちを保てるというわけだ。ただし、基本的に高値を維持できるとはいえ、必ずしも絶対的なものというわけではない。
プラチナ価格の不振と回復
実は、2011年ごろからプラチナの価格は下落傾向にあった。その理由と回復の可能性について述べる。
欧州の排ガス制限
プラチナ価格が下落傾向に陥った理由はさまざまであるが、ひとつにはディーゼル車の販売不振が挙げられる。欧州では自動車の排ガスを厳しく規制する傾向にあり、2030年を目安にCO2を30%カットする方針を掲げたのだ。欧州圏内の自動車メーカー各社は、排ガスの少ないクリーンディーゼル車の普及を狙った。
しかし、2015年には規制値を上回る排ガスを出す自動車の存在が明らかになり、その不信感からガソリン車へのシフトが始まった。プラチナの主要な使い道であった工業への利用が減少したことで同時に金属としての価値も下げることにつながったのである。
金融状況の変化
2017年、プラチナの主な原産国である南アフリカでは、国民、および政府の財政が悪化。労働者たちによるデモやストライキなども巻き起こった。南アフリカの通貨はランドを使用しているが、国内情勢の変化で通貨価値を著しく下げた。
つまり、ドル高ランド安の状態だ。ドルに比べてランドが安ければ、同じドルの価値でもより多くのプラチナが買える。一見すると非常に得なように見えるが、投資の観点から見ると一概にそうではない。
高く売れるうちにと南アフリカの鉱山側が売却を進めたことで、一時的に市場には潤沢なプラチナが出回った。要するに、貴重な金属であってもふんだんにあれば値段が下がるということだ。また、当時は極端にドルの値が高くなっていた。ドルやプラチナの価値が乱高下する可能性もあり、この点でも投資家たちに敬遠されたといっていいだろう。
米欧、米中貿易摩擦
アメリカ大統領がトランプ氏に決定した2017年以降、熾烈な貿易摩擦が欧州連合(EU)との間で発生した。トランプ大統領が掲げるアメリカファーストの一環で、簡単にいってしまうと他国から輸入する製品に現行よりも高い税金を課すという政策だ。この政策を実行することで、長年かさみつづけてきたアメリカの貿易赤字を解消する狙いがある。
しかし、当然ながら課税率を上げると名指しされた国々は強く反発した。この急先鋒となったのがEUだ。まず、トランプ政権はアメリカがEUに自動車を輸出する際の関税を槍玉に挙げた。EUがアメリカ側に課している10%の税率を下げるかもしくは撤廃しなければ、アメリカの税関を20%まで引き上げると発言したのだ。
しかし、上記で触れたように自動車はEUが得意とする製品のひとつである。アメリカ側の要求を、そう簡単に丸のみにするわけにはいかない。そこで、両者の対立が深まってしまったというわけだ。
同様に中国に対しても関税を盾に取った交渉がなされた。こうしたトランプ政権の動向は世界的な経済不安の一端を担う形になり、金属類の価値を不安定にする要因となった。金属類の投資は基本的にドル立てでおこなわれるため、アメリカの動きは特に注視される。
このように、数年のうちに複雑な事情が重なったことが長期的なプラチナ価値下落の原因だと考えられるだろう。従来は金よりも貴重だとみなされていたにもかかわらず、2015年、プラチナの価値はついに金を下回った。主にアクセサリーなど装飾品として消費される金と比較して、工業への使い道が主であるプラチナは資産としての有益性に薄いと考えられたからだ。
今後プラチナ価格の上昇はあるのか
アメリカ対欧州、アメリカ対中国の貿易摩擦の影響はこのあとも尾を引くと考えられる。プラチナ需要の不安定さも続くだろう。しかし、この先もずっとプラチナの価値は沈んだままなのだろうか。まずは2018年~2019年初頭までのプラチナ価格の推移を円を基準に紹介する。
2018年のプラチナ価格推移は?
2018年においてのプラチナ価格の推移は、浮き沈みが激しい印象だ。1月にはgあたり3,526.29円を付けているのに、翌2月から9月までの7ヶ月間は右肩下がりとなってしまった。特に7月、8月、9月の3ヶ月間は、年間を通して最も沈んだ。
7月の2,980.38円を皮切りに、8月の2,980.38円、9月の2,896.57円と2000円台をマークしている。これは、ここ3年間の推移を見ても1番の低い値だった。下がってもg3000円台を維持できていたプラチナの価格が、2000円台まで落ち込んだことは特筆すべき出来事だといえる。
しかし、10月には3,008.94円、11月には3,393.28円とやや持ち直し、3000円台の手堅い数字を記録し、やや回復する傾向を見せた。
プラチナ価格上昇のきざし
長きに渡ったプラチナ不遇の時代に光明が射したのは、2018年の6月である。カナダを本拠点に据えるトムソン・ロイターGFMS社が、プラチナの価格について見解を示した。この見解によるとプラチナの需要は改善傾向に向かい、それにともなって供給が不足するという。
供給不足がプラチナの価格を押し上げると考えられ、下半期に向けてゆるやかな回復が見込まれた。現に2018年の下半期には3000円台に回復する動きが見られている。2000円台に下がったプラチナを底値と踏んで、買いに転じた投資家の存在も大きかった。
しかし、その翌月の12月には再び2863.44円を記録。2018年はプラチナにとって波乱の年であったといえるだろう。
プラチナの相場はどうなる?
一時、大きく価値を下げたプラチナではあるが2019年はどうだろう。2018年からの推移を見て考える。2019年初頭は、2018年末の底値感を継続してのスタートとなった。記録は2,825.22円。翌2月になると、やや持ち直し2,902.60円をつけている。3月は3,013.35、4月は3,185.44だ。V字とまではいかないが、ゆっくりと回復傾向にあるといっていい。
回復傾向の理由
金など、他の金属の価格上昇にともなって引き上げられたのが原因のひとつだ。2019年4月、近年高騰していたパラジウムにバブル傾向との見方が湧いたことも大きかった。売りに転じられていたプラチナを買い戻し、パラジウムを売る動きが盛んになったからだ。
また、米中貿易協議が良い方向へ舵を切りつつあり、そうした期待感もプラスに転じる一端となった。中国の通貨である人民元が高値に振れ、それにともなってドルが値下がりしたことも手ごろ感につながったのだろう。
楽観視はまだ早い
このまま価格が上昇すれば、全値戻し(下げた相場の価格分だけ値上がりすること)への期待ができる。そうなれば、ある程度安定した価格を維持することができるだろう。しかし、一方、相変わらずプラチナを取り巻く環境はプラスの要因ばかりではない。
今後パラジウムが大幅に値を戻す可能性は否定できないし、そうなった場合買い戻されていたプラチナが再び売りに転じることは想像に難くない。また、特にアメリカを中心とする世界の政治的な動向にも引き続き注視が必要である。プラチナを買いたい場合は底値のときに、売りたい場合はプラスに転じているときにおこないたいものだ。
プラチナを売りたいときのおすすめ業者
今回は、特に貴金属に強い業者を2つ紹介する。手持ちのプラチナを売却したいというときには、ぜひ参考にしてほしい。
リファスタ(Refasta)
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
リファスタ(Refasta)は、宝飾品の買取に詳しい業者のひとつだ。相場から見たプラチナ価格を割り出し、高額買取を保障してくれる。手持ちのプラチナでできた宝飾品が、古いデザインでもかまわない。
落下などで壊れてしまっていたり、イニシャルやメッセージ、日付といった刻印が施されていても大丈夫だ。あくまでプラチナの金としての価値を見て査定してくれるので依頼しやすい。店頭での査定申し込みは予約不要。
また、全国対応で宅配買取もおこなっているので検討をおすすめする。宅配買取が不成立の場合は、送料やキャンセル料はかからない。リファスタ(Refasta)のHPには、当日のプラチナ相場価格(日曜日以外)の記載があるので参考にすると良いだろう。
大黒屋
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
大黒屋は、貴金属類だけでなくブランド物など各種の買取をおこなう業者だ。インゴットだけでなく、アクセサリーになっていても無料で査定してもらえる。大黒屋の買取もまた、古い物でも、壊れた部分があっても問題ない。
全国に180店舗ほどを運営しているが(2019年5月現在)、遠方の場合や在宅で査定を申し込みたい場合は宅配買取にも対応する。送料、キャンセル料はかからない。送付に必要な道具一式がセットになった宅配買取キットを配布してもらえるのでダンボール箱などの準備も不要だ。
また、公式ホームページには当日の相場ほかおおむねの金額が分かる計算ツールが用意されている。参考として、ぜひ使ってみてほしい。
プラチナを少しでも高く売るには
日本国内でのプラチナ買取は、基本的にその日の相場中心だ。相場をベースにして、プラチナの重さと金属の純度から最終的な買取価格が決められる。つまり、チャートの値動きをしっかりチェックしておくことが何よりも重要だということだ。
毎日細かくプラチナを取り巻く環境をチェックしなくてもかまわない。簡単に当日の金額を把握するだけで十分だ。手持ちのプラチナを売ろうと決めたら国内公表価格を見てみよう。最低限、直近1週間分のデータを比較してみることをおすすめする。
ざっと見て、マイナスに転じている日には売らない方が得だろう。逆に、プラスを記録している日は売りどきだといっていい。プラチナ相場は生き物のようなものだから、今日がプラスでも明日にはマイナスに変わってしまうこともある。
価値が上がったあとは必ず下がり値に近付くので、できるだけ高額なうちに売りぬいてしまう方がいい。より高く売れる日を待つのも手だが、最高値を記録する日を待ちすぎると売りどきを逃す可能性もあることを覚えておきたい。
まとめ
本記事では、2018年から2019年にかけてのプラチナ価格の相場と推移、動向などを紹介した。プラチナの値動きを知るには、チャートを見ることがとても重要だ。状況を把握して、少しでも損のない売買をしてほしい。
プラチナを手放そうと考える人はオークションなどを使う道もあるが、簡単に済ませたいなら業者に依頼するのがベストだ。手数料を引かれてしまうという面はあるが、個人間でのトラブルの心配がない。今回紹介した業者は、手数料が少なくメリットも大きい。引き出しに眠っているプラチナがある人は、まず査定を依頼してみることをおすすめする。