ヴラマンク 絵画・作品の価値・買取相場まとめ

フォーヴィスム（野獣派）の画家として知られるヴラマンク。束縛や服従を嫌った自由主義者としての性格を体現したかのような作品は、日本でもとても人気がある。

この記事では、ヴラマンクの作品の価格や買取について紹介していく。ヴラマンク作品の買取を考えているならぜひ参考にしてほしい。

ヴラマンクについて

モーリス・ド・ヴラマンク（Maurice de Vlaminck 1876年4月4日-1958年10月11日）は、19世紀末～20世紀のフランスの画家、文筆家である。アンドレ・ドランやアンリ・マティスらとともに、フォーヴィスム（野獣派）の画家として知られている。

ヴラマンクの生い立ち

1876年、パリ・レアールで生まれる。父エドモンド・ジュリアンはヴァイオリンの教師、母ジョセフィーナ・キャロライン・グリエはピアノの教師。両親共に楽器の教師であったヴラマンクは、父からヴァイオリンを教わっており、幼少の頃にはまだ絵を描いていない。ヴラマンクが絵を描き始めたのは10代後半頃からと言われている。

16歳のときには家から飛び出してシャトゥーに移り住む。そして18歳ではやくも結婚。しばらくは自転車選手をしたり、オーケストラでヴァイオリンを弾いたりして生計を立てていた。

ヴラマンクは自分の才能以外の何ものも信じず、束縛されたり服従したりすることを嫌う徹底した自由主義者だった。こうした態度は絵画に対しても同様で、教育や伝統を拒絶し、ほとんど独学で学んだ。

ドランとの出会い、そしていよいよ画家デビュー

転機は1900年、当時23歳のヴラマンクが兵役の任務を終えてパリへ向かう電車の中で訪れた。偶然なのか運命なのか、終生の盟友となるシャトゥー出身の画家アンドレ・ドランの隣の席に乗りあわせたのである。出会ったばかりの二人は絵画の話に夢中になり、意気投合した勢いで共同のアトリエを構えるまでになった。

初期ヴラマンクの重要な作品である酒場とパイプを吸う男性は、1900年に制作された。1901年にはゴッホ展を見に行き、そこでドランを通じてアンリ・マティスの知遇を得た。

翌1902年、ドランやマティスなどと共同で展示を行った。当時のヴラマンクの作風はゴッホの影響を受け、さまざまな色を大胆に使用するものだった。

フォーヴィスム時代のヴラマンク

1905年には、マティスとドランのほか、アルベール・マルケ、キース・ヴァン・ドンゲン、ジャン・ピュイ、シャルル・カモワンらとともに、サロン・ドートンヌに参加。不自然だが鮮やかな色合いの作品群は物議を醸し、これらを見た批評家ルイス・ヴォクセルは「フォーヴ（野獣）！」と叫んだという。これがフォーヴィスムの始まりであった。

1908年ごろから、ポール・セザンヌの影響を受け、色味はひかえめになる。さらに後の作品になると、茶と白が主体の色彩に移行した。

そして1911年にロンドンを旅行し、ロンドンのシリーズ絵画を描く。1913年には再びマティスやドランらと、マルセイユにある共同のアトリエで絵を描き始める。

その後のヴラマンク

第一次世界大戦では兵役に就く。復員後はパリ郊外に拠点を移し、詩を書き始める。絵画のほうは、自身の住む村や周辺の町の風景画、静物画を多く描いた。1925年からフランス国内を旅行するものの、パリ近郊のセーヌ川の絵を描くことが多かった。

やがてフォーヴィズムが勢いを失い、かわってピカソらによるキュビスムが勃興する。これに憤慨したヴラマンクは、フランス絵画を悲惨な結末と混乱状態に陥れたとして、ピカソをはげしく非難する。

そして、1958年10月11日に死去。多くの自伝を書き残しており、亡くなる2年前には家族宛てに遺言を残している。

ヴラマンクの絵画作品の価格相場

ヴラマンク作品の買取価格はどのくらいなのだろうか。残念ながら買取価格は見つからなかったが、販売価格のデータを3つ見つけることができた。

美術品の価格データはウェブサイトではあまり見つからない。芸術性を客観的な数値に換算するのは難しいし、そのときどきで人気や需要が変動するため、価格を固定しにくいといった要因が背景にあるのだろう。少数の限られたデータではあるが、ここから買取価格を演繹的に推測してみてほしい。

おいだ美術「Notre Pain Quotidien」

おいだ美術で見つかった「Notre Pain Quotidien」の作品情報と価格は、以下の通りである。

価格

486,000円

技法

オフセットリトグラフ

サイズ

縦47×横36cm

ED

250

制作年

1963年

ギャラリーダッドアート「エルヴィルの町」

ギャラリーダッドアートで見つかった「エルヴィルの町」の作品情報・格安卸価格は、以下の通りである。

格安卸価格

税込199,800円

制作年

1923年

技法

銅版画（ジャックビヨン版）

額サイズ

縦48×横60cm

絵の状態

良好

額サイズ

縦77.5×横88.8cm

額の状態

新品

サイン

ヴラマンク鉛筆サイン

限定

200部

額の仕様

茶色イタリア木地装飾額縁

マット

ベージュ紙マット

ギャラリーダッドアート「ナゼの村」

同じくギャラリーダッドアートに掲載されていた「ナゼの村」の作品情報・格安卸価格は、以下の通りである。

格安卸価格

税込86,400円

制作年

1924

技法

リトグラフ

額サイズ

縦20×横26cm

絵の状態

若干シワ有

額サイズ

縦50.4×横56cm

額の状態

新品

サイン

ヴラマンク鉛筆サイン

額の仕様

黒金装飾額縁

マット

白紙マット

ヴラマンク作品のおすすめ買取店を紹介

ヴラマンクは買取市場でも人気の作家だ。ヴラマンクほどの作家を扱っていないという買取店はほぼ皆無だろう。ここでは、上で価格データを紹介した2つの買取店を含め、ヴラマンク作品の買取におすすめの買取店を4つ紹介する。

おいだ美術

おいだ美術は、画廊の聖地である銀座に店舗を構えて30年。東京公安委員会に登録された美術商であり、東京美術倶楽部全国美術商相互会会員でもある。

現代アート・日本画・洋画・版画などの絵画作品を中心に、彫刻・掛け軸・陶器など、幅広いジャンルの美術品の買取実績が多数ある。もちろん、ヴラマンク作品も取り扱っている。インターネット上での美術品取引においても買取実績が豊富で、企業・官公庁・弁護士などからの、美術資産の売却や相続案件なども多い。

買取の流れとしては、まずは査定。電話やFax、査定フォームやメールなどで問い合わせると、通常1～2営業日以内に、おおよその査定額を提示してもらえる。さらに買取に進むなら、おいだ美術の店舗まで持込むか、または宅配便で送る（出張買取は応相談）。

最終査定額は、実際に作品を見てからになる。宅配の送料は、おいだ美術の指定と手配による業者が配送して買取が成立した場合にのみ、無料となることに要注意だ。

ギャラリーダッドアート

上記のヴラマンク作品の価格のところでも紹介したギャラリーダッドアートは、1982年創業の画廊だ。東京都公安委員会から古物商の許可を得ている。日本や西洋の現代美術や近代美術の幅広い作品を取り扱っている。

買取方法は、まず買取価格査定のフォームに作家名、作品題名、作品の技法や色彩、サイズ、絵や額の状態などを記入する。通常1日以内にギャラリーダッドアート側から買取価格査定が返ってくる。

査定結果に満足なら、本格的な買取にすすむ。品川から片道30分程度の圏内であれば、作品を引き取りに来てくれる。それより遠方の場合は、作品を梱包して宅急便で送る。買取代金は、出張引き取りであれば現金で、宅配は振込みでの入金となる。

秋華洞

秋華洞は、銀座にある美術品の鑑定買取を得意とする専門店だ。東京公安委員会に美術商の登録をしている。

全国各地で集中鑑定会を定期開催していることで有名。東京や大阪などの都市圏にまでわざわざ出向かなくてもよいのは非常に助かるだろう。

また、弁護士や司法書士、税理士などの士業向けの相談業務や取引を行っている。高価な美術品について、相続などの際に法律や税務の面で時価などを算定したりする必要が出てくるが、士業の人たちは必ずしも美術にも明るくはないからだ。

総合美術買取センター

総合美術買取センターは、絵画や骨董品などの幅広い美術品を専門とする買取業者だ。東京都公安委員会から古物商の許可を得ている。

美術品の分野ごとに、20年以上の経験を持つ専門の鑑定人が在籍しているため、作品の価値が正確に査定されることが期待できる。少しでも高く買い取る努力をしているため、高価買取の可能性も高い。

また、査定や回答が早いため、急ぎの人にもおすすめだ。出張買取は無料で日本全国に対応しており、クーリングオフ制度も導入されている。

美術品を高価買取してもらうためのポイント

ヴラマンクの作品でもし買取を希望するものがあれば、状態が悪くならないうちに買取業者に査定依頼をするのがおすすめだ。また、査定の結果、予想外の高値で買い取ってもらえる可能性もある。以下、高値買取のための実践的なポイントをいくつか紹介していく。ぜひ参考にしてみてほしい。

美術品専門の買取店に査定依頼

絵画などの美術品を買い取ってもらうなら、やはり美術専門の買取業者に頼むのがよい。美術専門の業者なら、美術品の鑑定や査定に関して知識や経験が豊富なプロがいることが期待できるからだ。

また、その買取店についての利用者からの評価などもチェックした上で査定依頼するようにするとよいだろう。さらに、もしその買取店のウェブサイトに何らかの査定実績などが掲載されていれば、こちらも確認しておくようにしたい。

絵画に関する情報を再確認

査定を依頼するときは、その作品に関する正確な情報を伝える必要がある。作家名や作品名をはじめ、制作時期、使用されている画材や技法、サイズや額についての情報などだ。

このような情報があれば、買取店側としても査定がやりやすくなるだけでなく、その作品の価値をより正確に査定してもらうことにつながる。もし不明な点があれば、買取査定の依頼前に、その作品を購入した店舗などに問い合わせて再確認するなどの対応が必要になるだろう。

複数の買取店に一括査定を

ひとつだけの買取店で査定してもらうのではなく、複数の買取店で査定してもらうほうがよい。これは美術作品に限らず、何かの買取をしてもらう際の鉄則といえる。

理由としてはまず、一番高い査定金額を提示してもらえる買取店を見つけるというのがある。それ以外にも、その作品の買取相場が把握できること、多くの買取店の比較検討ができることなどが挙げられる。

ただ、買取店のウェブサイトの査定申込フォームに入力したり電話したりと、査定依頼はなかなか手間がかかる。これをそれぞれの買取店ですべて行うのは大変だ。

そんなときは複数の買取店で一括で査定できるサービスをぜひ利用したい。これを利用すれば入力は一度だけですむ。一度使ってみればその便利さがおわかりいただけるはずだ。

可能な限り出張査定を

美術品の買取では、できるだけ出張査定や宅配買取を利用するほうがよい。店頭に持ち込むと、運搬中に美術品を傷つけてしまうリスクがあるためだ。

美術作品の中にはサイズの大きなものがある。キャンバスや額縁などは非常にデリケートだ。これらの美術品を適切に梱包したり持ち運んだりするのは素人には難しい。

梱包に不備があれば中の作品を傷つけてしまうし、運搬中にぶつけてしまったりすることがありうる。当然、買取価格の低下につながる。

そのような移動に関するリスクを最小限にできるのが、出張査定だ。もし宅配買取であれば、美術品運搬の専門業者に任せたほうが安全だ。なお、出張査定や宅配買取は無料のところがほとんどだ。

買取強化のキャンペーンに注目

買取店には買取強化リストがあることが多い。ここに掲載されている作家の作品はやや高めに買い取ってもらえる可能性があるので、査定依頼前にチェックしておくのがおすすめだ。

また、作品1点だけでなく、複数点を同時にまとめて買い取ってもらうと、買取価格がアップすることがある。多くの作品を持ち込める人に優良顧客になってもらいたいという思惑があるのだろう。

ネットオークションやフリマアプリの利用について

ここで、ネットオークションやフリマアプリのような個人間取引の方法はどうだろうか。スマートフォンの普及に伴って、これらの個人間取引の利用も急速に拡大している。

まず、個人間取引を利用する場合のメリットとデメリットを考えてみよう。それぞれを端的に列挙してみる。

ネットオークションやフリマアプリを利用するメリット

メリットとしては、

• ・自分で販売価格を決められる。（オークションの場合は開始価格と即決価格など）
• ・買取店に買い取ってもらうよりも高値で売れることがある
• ・買取店では買い取ってもらえなかったものでも売れることがある

などがある。

ネットオークションやフリマアプリを利用するデメリット

逆にデメリットとしては、

• ・出品の際、写真を撮影したり商品紹介文を書いたりする手間がかかる
• ・適切な価格設定をしなければならない
• ・購入者希望者が現れるかどうかわからない
• ・値下げを要求されることが多い
• ・いつ注文がくるかわからない
• ・購入されたらすばやく対応しないといけない
• ・梱包や発送に手間がかかる
• ・購入後に何らかのトラブルになるリスクがある
• ・以上すべてに対し、基本的に自身が責任を持たなければならない
• ・システム利用料や販売手数料などの手数料を引かれる

などがある。価格決定権があるメリットと、手間や不確定性やリスクがあるデメリットのバランスをどう考えるか、というところだろう。

ただ、美術品に関しては、これらの個人間取引ではあまり取引されていないのが現状だ。実際にヴラマンクについて見てみると、メルカリでは絵葉書と図録のみで作品はなし、ヤフオクでは古物商の許可がある出品者による出品で7万円弱の落札が1件あるだけだった。

美術品は高額なだけに、購入者としては贋作をつかまされてはかなわないから手を出しにくい。出品者としても、何らかのクレームがつく可能性が高いために消極的なのだろう。美術品を売るのに、ネットオークションやフリマアプリはあまり適していないといえそうだ。

美術品保管の注意点

現時点で買取に出す出さないに関わらず、せっかくのヴラマンク作品だけに、良好な状態を保ったままにしておきたい。作品状態が良好であれば、しばらくは保有を続けるとしても、いずれ買取に出したときに高値での買取が期待できるからだ。

美術品の買取では、状態の良し悪しが厳しく査定される。傷、シミ、ホコリ、カビ、色あせ、変色などがあった場合、マイナス査定となり、買取価格の低下は避けられない。常日頃から美術品の状態には十分注意しておきたいところだ。

以下に、美術品保管の注意点を挙げていく。

高温多湿や直射日光を避ける

高温多湿な環境や、紫外線に当たるところに絵画を置いておくと、シミや劣化、カビ、退色などのトラブルが生じることがある。高温多湿な日本では、美術品の保管にとりわけ気を遣う必要がある。

おおまかな目安として、温度は18～20度程度、湿度は50～60%程度を、年間通して保つようにしてほしい。空調設備を用いることになるだろうが、エアコンの風が直接作品に当たらないようにしよう。また、冬場に加湿器を使うとカビが生える危険性があるので気をつけよう。

外に飾っておくなら、直射日光の当たる場所は避けよう。物置や押入れの中にしまっておくなら、定期的に外気にあてて乾燥させる必要がある。

チリやホコリに注意

作品の表面にチリやホコリがついたら、丁寧に払っておこう。チリやホコリを放っておくと、定着してしまうおそれがあるからだ。表面にガラスやアクリルのカバーがないような美術品は、ホコリなどが付着しやすいので気をつけよう。また、絵画作品の近くでの喫煙は厳禁だ。

飾っていないときは、購入時に入っていたケースなどにしまっておこう。そして気温差のない、直射日光の当たらない場所に保管する。ただ、放置したままだとカビやシミが発生したりするおそれがあるので、定期的にケアする必要がある。

額縁や鑑定書などは大切に

絵画は額縁も含めた全体で評価される。絵の部分だけでなく、額縁にも傷や汚れなどがつかないように気をつけよう。額縁にはホコリがたまりやすいため、乾いた柔らかい布やブラシなどで手入れをしておくとよいだろう。

また、作品の鑑定書があれば大事に保管しておこう。鑑定書は真作であることを証明する重要書類であり、基本的に再発行は認められていない。

その他、箱やフレーム、ギャランティカードなどの付属品があれば、全てきちんと保管しておくようにする。それらを買取査定の際にそろえて提出すれば、少なくともマイナスにはならず、プラスの査定も期待できるだろう。

必要であれば修復を

日頃からケアをしていても、やはりある程度の経年劣化は避けられないし、思わぬ事故も起こりうる。そんなときは、自分でなんとかしようとすると致命傷につながってしまうおそれがあるため、美術修復専門の業者に相談するほうがよい。

物にもよるが、本格的な修復にはそれなりの費用がかかる。そのような事態になる前に買取に出すのも有力な選択肢といえる。

文化を後世につなげていくために

高温多湿な日本では、ただ絵画作品を保管しているだけでコンディションが低下するリスクがある。正しい管理には手間や費用がかかる。作品の性質によっては美術館並みの設備やノウハウが必要になったりもする。

美術作品は、人類の文化・芸術資産として後世に受け継がれていくべきものだ。もし管理に不備があれば、その文化のリレーを、あなたの手で断ち切ってしまうことになりかねない。美術作品を保有することは、そのリレーの責任を負うという側面もあるのだ。

そして、状態が悪くなると買取価格は低めになってしまう。なるべく状態の良いうちに買取に出すことをおすすめする。

なお、劣化してしまった作品でも査定に出すと思ったよりも低くはならないこともある。買い取ったお店のほうで修復できる範囲であれば、それほど買取価格は下がらないのかもしれない。

まとめ

ヴラマンクの作品の買取についてみてきた。フォーヴィスムで世界的に有名なヴラマンクの作品は日本でも大変人気があり、買取市場での取引も活発だ。

買取は、美術専門の買取店に査定してもらうとよい。査定だけなら無料のところも多い。その際、複数の買取店で一括で見積もりできるサービスを利用するといろいろなメリットがある。また、出張査定がおすすめだ。

美術品の保管には手間も費用もかかる。作品の状態が良好なうちに買取に出すのがよいだろう。この記事が、ヴラマンク作品の満足できる買取につながったなら幸いだ。