趣味の定番と言われる切手収集であるが、最もブームに沸いたのが昭和30年頃から昭和50年頃である。
当時は記念切手の中でも発売部数が少ないものなどがあり、新しい切手が発売されるたびに郵便局の窓口に長蛇の列ができ、定価で購入した切手がすぐに倍の値段で売れることも珍しいことではなかった。
しかし、最近では当時と変わらず年間何百種類もの切手が発売されてはいるが、時代の流れから郵便の需要が減少してしまっている。それにより、に切手収集の趣味人口も縮小している傾向にある。
さらに、今たくさんの切手コレクションを持っていてこれから売ろうと思っている人にはかなり残念な話ではあるが、過去に発売された記念切手の価値も下落傾向にあるのが現実である。
ここでは、昨今の切手暴落の原因、さらにどんなときに暴落しやすいのかを中心に説明してこうと思う。それにより切手の今の価値を理解していただき、売り時、買い時を逃さないようにしていただきたいと思う。
CONTENTS
こちらのページには広告パートナーが含まれる場合があります。掲載されている買取価格は公開日のみ有効で、その後の相場変動、各企業の在庫状況、実物の状態などにより変動する可能性があります。
切手価格暴落の要因
まずは、切手価格が暴落している要因を探ってみよう。
「月に雁」や「見返り美人」の販売価格
記念切手に興味がない方でも、「月に雁」や「見返り美人」という名前を聞いたことがある人もいるのではないだろうか。これらの切手はプレミアム切手と言われ、かつて切手収集がブームの時代では、この「月に雁」や「見返り美人」は最も価値があるものと言われていた。当時の最盛期にはたった一枚でも数十万円の値が付けられていたこともあったそうである。
では、そこまで人気のあった「月に雁」や「見返り美人」とは一体どんな切手なのだろうか。「月に雁」は昭和24年11月1日に郵便週間に発行されたもので、「見返り美人」が大人気を集めたことで、「見返り美人」の翌年に発売された切手である。
そもそも「見返り美人」がなぜそこまでの人気を集めたかというと、発行部数が少な位だけでなく、当時はあまり見られなかった縦長の形の切手で、さらに浮世絵からきているデザインだったためである。
数が限られている希少価値の高さと、浮世絵という日本文化を取り入れたことで、日本国内にとどまらず海外からも大きな反響を得たのである。これにより、日本の切手が海外でも注目を集めるようになった。そのため、この二つは切手の歴史の中で貴重で重要な存在となっているのだ。
しかし、そんな本来希少価値の高い、珍しい切手が、現在では状態が良いものでも一枚数千円で取り引きされているものも見つけることができるほどその価値は下がっている。
その原因
このように、大幅に切手の価値が下がってしまっている主な原因としては、第一に切手ブームが去ったことが挙げられるだろう。ブームが去るということは趣味人口が減るということである。つまり、価値のある切手を欲しがる人たちもそれだけ減っているということになる。
そして、もうひとつの原因として挙げられるのが、ブーム時代の人々が、時が経つとともに年をとり、趣味人口の高齢化が起きてしまっているということが挙げられるだろう。
しかし、それだけではないのだ。さらに考えられる原因が、かつてブームを支えていた人たちが人生の終盤を迎え、生きているうちに現金化すべく売り急ぎ、需要よりも供給が上回っている状況となっていることである。その流れに歯止めがかからないことが、昨今の価値下落につながっているのではないだろうか。
便利になった反面、価値は下落傾向
そして、切手の価値が下落しているもうひとつの原因が、ネットオークションの普及だろう。
ブーム全盛期は、コインや切手を専門に扱うショップが街中にたくさんあり、取り引きの大半はこれらのショップ経由で行われていた。
しかし、最近ではインターネットの普及、スマートフォンの普及により、専門ショップは潰れてしまうことも多く、かなり少なくなってしまった。現代のほとんどの取り引きはネットオークションを始めとした個人間の取引が主流と言っても過言でないだろう。
利用者側から見ると、ショップまで行くことなく取り引きできるようになり便利になったのでさらに需要が増えて高額になるのではないか、と思う人もいるかもしれない。しかし、そうではないのだ。
世の中が便利になり、自分で色々なことができるようになったことで、その商品の価値がわからなくなってしまったのだ。
オークションなどでは個人が買いたい金額を決める。そのため、プロの鑑定士ではなく個人の裁量によるものが中心となってしまい、結果、本来の切手の価値を知らない人が値付けをしたり、個人間の競争が生じたりしてしまっているため、価格の下落が生じたものと推測することができるだろう。
これは切手に限る話ではなく、他の商品であっても、オークションやネットでの個人のやりとりが普及すればするほどどの中古の商品、アンティークの品でも同じことが起きてしまうだろう。
価値が暴落しやすい切手
切手を持っている人が一番気になるであろう点をここでは説明していこうと思う。それは、どの切手が一番暴落しやすいかである。
当時のコレクターにはかなり残念な知らせとなってしまうが、現在最も価格が下落傾向にあるのが、流通数が多いプレミアム切手であると言える。
プレミアム切手とは、たとえば一般的に屈指の知名度を誇る切手などが挙げられる。具体的には、先にご紹介した「見返り美人」と「月に雁」が挙げられるだろう。
これらは発売時期が古いものの、現在でも流通数は多い。発売された当初は希少価値が高かったが、その人気から流通数がかなり増えてしまったのである。
もしリサーチをしてみればわかるとは思うが、切手を専門に取り扱う業者であれば必ずといっていいほど見かけることができるであろう商品なのだ。さらに、プレミアム切手は知名度が高いほど収集家であれば誰でも1枚は持っている切手となってしまう。
今では収集人口自体が減少傾向にあるため、こう言った人気のある切手は需要よりも供給が上回る時期が今後も続くことが考えられる。
また、最近では、切手収集家の中で文化大革命時に中国で発売された切手の価値が上がっている。しかし、これらは当時切手を収集することが禁止されていたため現存している切手が少ないことが理由となっている。
これらの切手の価値は上がっているが、最近では国内への流通量も増えてきてしまっているため、これらの価値も減少傾向となっているのが現実である。
つまり、どの切手なら価値が下がらないのか、と言われてしまうと、今では世界中でも数枚しか存在していないような切手であれば話は別となるが、知名度が高い切手は価値が暴落しやすい切手の代表格といえるだろう。
どのくらい下落しているのか?
では、具体的にどのくらい価値が下落しているのか?ここで何度もご紹介している「見返り美人」と「月に雁」を例にご説明しよう。
これらの切手は、切手収集家だけでなく一般の方にも高い知名度を誇り、価値のある記念切手の代名詞ともいえるが、全盛期は一枚でも15万円、シート単位だと75万円の値が付けられていた。
現在でも価値があることには変わりはないが、その買い取り価格は全盛期の半値以下、中には1シート15,000円程度と、全盛期と比較すると50分の1に暴落していることも珍しいことではなくなっている。
価値が暴落した切手はどうすべきか?
価値が暴落している切手については、それだけ市場に流通している証でもあり、今後切手収集人口が爆発的に増えない限りは、残念ながら当面のうちは価値の下落は止まることがないと思われるので、早いうちに売却しておくことをおすすめしたい。
近年流行の兆しを見せている中国切手を始めとした外国切手についても、現状では希少価値が高めで、買い取り価格も高価となっているものもある。しかし、流通量も徐々に増えるにしたがい希少価値が薄れ始めていることもあり、ピーク時と比較しても緩やかな下降線をたどり始めている。
価値を維持できるものもあるが、それらは希少価値が極めて高く、希少の中の希少な切手のみになると思われる。エラー切手などイレギュラーなものを除き、価値があるものは価値のあるうちに売却したほうが良いだろう。
切手ブーム再来の可能性は?
投資においては「みんなが売っているときに買い、買っているときに売る」というのが鉄則であるといわれている。
しかし、昨今の切手収集趣味業界において「みんなが買っているとき」というのは訪れるのであろうか?先に述べたとおり、趣味人口の高齢化などにより、市場は縮小の一途を辿っているが、切手ブーム再来の可能性はゼロとは言い切れないというのも事実だろう。
たとえばエラー切手は、色の抜け落ちや印刷ズレなどで起こるもので、切手本来の機能でいえば使用してはいけないもので欠陥品となる。しかし、趣味的に考えると2つとして同じものは存在しない一点物で希少価値が高く、テレビの鑑定番組などでもほとんどの場合高値が付けられている。
そして、テレビを始めとしたメディアで取り上げられることで思わぬ反響を呼びブームが到来するということも考えられる。
近年価値は下落の一途を辿っているが、あることをきっかけに再び大ブレイクを迎えるということも、過去の例から見ても決して珍しいことではない。見極めは非常に難しいところとなるが、現金化をとにかく急ぐという状況でない限りは、希少価値が高いと思われる切手はキープしておくのもひとつの手であることも事実である。
切手投資するならどのように投資するのが一番か
前述で述べたように、希少価値の高いと思われる切手をキープしておくことが一つの手である。しかし、ここで重要なのが、その希少価値が高いと思う切手が、自分基準なのか、他者基準、客観視した基準なのかどうかである。
もちろん、ここでは自分視点ではなく、客観視して希少価値の高いものを買うのが重要である。ここで、「希少価値」と述べたが、希少価値、または、客観視して将来値上がりすると思われる商品のことである。多くの人がそう思う商品であれば、価値のある商品だろう。
もし今切手投資を始めるのであれば、上記の点を頭に入れて投資に臨んでみてほしい。
まとめ
以上、これまで述べてきたとおり投資の鉄則としては「みんなが売っているときに買い、買っているときに売る」となるが、切手に関しては現在進行形で収集人口が減少していることもあり、見極めが難しいところでもある。
いつか価値が上がることを信じてキープしておくというのも決して誤りではない反面、現在価値があるものは、何かをきっかけとして価値が暴落するというのは起こりにくいので、価値を維持しているうちに売っておくというのも、1つの選択肢だろう。