プレミアム日本酒として人気が高い十四代 純米吟醸は、口あたりの良いワインのような味わいで知られている。幅広い料理と相性が良く、和食だけでなく洋食にも合うため若い世代からも評価が高い。
このコラムでは、十四代 純米吟醸が持つストーリーや特徴に加えて、買取相場や査定情報を紹介しながら、日本酒の上手な売り方などについてまとめる。
Sake-ya / Bambang Suryobroto
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高額買取になりやすい日本酒”十四代”とは
1615年の創業以来、質の高い日本酒を生産し続けている高木酒造は山形県を代表する酒造メーカーである。日本酒”十四代”は、高木酒造の代表的な銘柄で高い人気があり、入手困難な状態が続いている酒の1つだ。フルーティーな甘さと柔らかな味わいが大きな特徴で、山形県に降る雪や原材料となる良質な米によって口あたりの良さが生まれているとされる。
十四代にはさまざまな銘柄が存在し、その多くがプレミアム日本酒と呼ばれる最高級品だ。地酒ファンが抽選で入手するケースも多い銘柄で、中古買取では例えばボトルに汚れがあっても査定を拒否されないなど、積極的に買取される傾向がある。オークションサイトなどでも定価を上回る金額で取引されている場合も少なくはない。
十四代 純米吟醸の種類
十四代には多くの種類があるが、十四代 純米吟醸の中取には原材料が異なる4つの銘柄が存在する。
六甲山北の一部で生産される酒造好適米の山田錦を原材料にする播州山田錦や、山田錦などの親株となった酒造好適米元祖の品種を使った備前雄町のほか、山田錦の子株から開発された酒米を使った播州愛山、昭和初期に品評会で高く評価された酒米と栽培が極めて難しい赤磐雄町米を原材料にした赤磐雄町の4種類だ。
十四代 純米吟醸中取は生詰と呼ばれる処理を採用している。日本酒では米麹を発酵させ日本酒になる前段階の醪をつくり出してから絞るのが一般的な製造過程だが、絞る過程で火入れと呼ばれる加熱処理を1回加えるのが生詰だ。
火入れをおこなわない生酒はフレッシュな味わいのある日本酒に仕上がる一方で、時の経過と共に熟成した酒の香りを感じる場合も多い。
生詰をした日本酒は味わいにフレッシュさがやや欠けるものの、フレーバーや味わいに関して変化しにくいメリットがある。このため、十四代 純米吟醸は保存しやすく、状態が良い酒を生酒より長く楽しめるのだ。
十四代 純米吟醸の特徴
果実の風味があるためワインに似ていると評価される十四代 純米吟醸は、ただ甘いだけでなく、日本酒の特徴でもあるまろやかさやキレのある飲み口がしっかり感じられる。
繊細な口あたりとフルーティーな甘みを感じた後に、シナモンやバニラなどのフレーバーが余韻となるが、後味がスッキリと消えてなくなるためしつこさがないのが特徴だ。このため、飲み続けたくなる日本酒といわれ、日本酒ブームを起こした銘柄の1つとも評価されている。
十四代 純米吟醸が果実感豊かな風味になった理由は、酒米の精米歩合だ。精米歩合とは、原材料の酒米を玄米から精米したときに、酒の生産のために米を残した割合を指す。吟醸酒の基準である精米歩合よりも十四代 純米吟醸は10％程度少なく残している。雑味の出る部分を多く削っているため、酒米の香りや旨みが強く出る心白部分の割合が多くなるのだ。
米の半透明な中心部分である心白はデンプンが柔らかく粗い状態のため麹菌の繁殖が活発になり、麹が良い状態でつくられる。このため、酒米が持つ良さが強く感じられる甘い日本酒に仕上がるのだ。
十四代 純米吟醸の買取相場
十四代 純米吟醸の中からまずは中取、そしてそのほかの買取相場を見てみよう。
十四代 純米吟醸 中取 備前雄町
十四代 純米吟醸 中取 備前雄町は十四代 純米吟醸の中でもスタンダードグレードといえる種類だ。
大手質屋で知られる大黒屋では、備前雄町を18,000円で買取していた。また、酒類専門買取の株式会社ライフバケーションでは、24,000円前後の高額買取を相場にしている。買取額に業者の違いで差が出たものの、両方の業者で備前雄町はほかの中取よりもやや安値で取引されていた。とはいえ、十四代 純米吟醸 中取は3,500円から4,200円程度の定価であるため、かなりの高額買取になるといって良い。
インターネットオークションのヤフオクでは、12,000円～30,000円で出品されていた。瓶詰めされた期日が新しい程高値で売れる傾向がある。フリマアプリのメルカリでは19,000円～30,000円で取引されていたが、2本セットでは50,000円で出品されていた。空きボトルのみも取引されていて1,200円で売れている。
酒類では人気銘柄の場合だと空き瓶にも価値があるのが一般的だ。観賞用などに利用される場合があり、自宅に飲み終えたボトルがあるなら捨てずに売却すると得をする。
十四代 純米吟醸 中取 播州山田錦
播州山田錦は十四代 純米吟醸 中取では中間のグレードに位置する日本酒だ。定価が手頃でありながら十四代 純米吟醸のフルーティーな風味が感じられコストパフォーマンスが良いと評価されている。
播州山田錦は大黒屋で20,000円で買取され、酒類専門のお酒買取TOWNでは買取上限価格を40,000円に設定していた。酒の状態などによって査定額が上下する傾向にあるが、基本的に高額買取になる種類である。
ヤフオクでは、30,000円前後で出品されるのが一般的な相場だ。メルカリでも単体では30,000円前後で取引されているが、2本セットやほかの銘柄とセットで出品されている場合は、56,000円や62,000円などの値段で売れていた。
十四代 純米吟醸 中取 赤磐雄町
岡山県が発祥の酒米で日本最古といわれる品種を使った赤磐雄町も十四代 純米吟醸で人気の種類だ。日本国内だけでなく海外の日本酒ファンにも人気が高いと知られている。
大黒屋では20,000円の買取実績があり、細かな買取額を発表してはいないが酒類専門買取業者の多くで高額買取した実績がホームページに掲載されていた。また、酒類の中古買取では、一般的に高値で売れない傾向にあるといわれるリサイクルショップでも、十四代 純米吟醸や赤磐雄町は積極的な買取がおこなわれている。
リサイクルショップである買取のアレイズでは、赤磐雄町を17,000円前後を買取相場にしていた。ヤフオクでは、28,000円後半～32,000円を超す価格で取引され、メルカリでは32,000円で売却されている。赤磐雄町はヤフオクやメルカリに出品するほうが高値で売れる傾向があるといえるが、出品数が少ない。
このため、中古で赤磐雄町を手軽に入手するのはやや困難で、中古買取の査定でも場合によっては評価がアップする可能性がある銘柄だ。
十四代 純米吟醸 中取 播州愛山
十四代 純米吟醸 中取の中で代表的な種類が播州愛山である。十四代 純米吟醸 中取で特に上品な飲み口で知られ、深みがある風味とキレの良さが大きな特徴で人気が高い。季節によっても味わいが変化し、春から秋頃にかけて熟成し香味が良くなる魅力がある。
中取の中でもプレミア感が強い銘柄でアイテムの状態にもよるが、大黒屋と酒類専門買取業者のSPANAでは播州愛山を20,000円で買取していた。ヤフオクでは、多くが30,000円台で出品されているが、製造年月日によっては21,010円で落札されているケースも見られる。
2本セットで63,000円で取引されていたり、播州愛山を含むほかの十四代を5本セットにしたもので119,000円で落札されていたりするため、ヤフオクではセット売りが特に売却できる可能性が高い。メルカリでは、20,000円台～30,000円台で取引されているケースが多く、空きボトルやラベルのみで出品されているものもあった。
十四代 純米吟醸 角新 出羽燦々
中取で採用されている火入れをおこなう生詰ではなく火入れを全くおこなわない生酒である。加熱処理を施さないため冷蔵保存しても2カ月以内に飲まなければ風味が劣化してしまう。酸味や渋みが少ないフルーティーな味わいが大きな特徴だ。
大黒屋では出羽燦々を15,000円で買取するが、中古買取業者では9,000円程度で買い取られる場合もある。ヤフオクでは26,000円前後で落札されるのが平均的で、メルカリでは20,000円前後や30,000円近くの価格で売却されているものもあった。
十四代 純米吟醸 白鶴錦
花の香りと上白糖に似た柔らかい甘味が特徴の銘柄で、旨みとスイートな風味のバランスが良いと評価されている。
大黒屋では13,000円と買取価格が安い傾向にあるが、酒類専門買取業者のネオプライスでは26,000円前後が買取参考価格になっていた。メルカリでは、19,000円～30,000円で取引される傾向があり、ヤフオクでは16,020円～30,000円程度で落札されている。
まとめ
十四代 純米吟醸は日本酒ブームの火付け役になったプレミアム日本酒だ。定価を大きく上回る価格で査定されるケースも多いほか、流通量が少なく中古市場の需要が高いため積極的に買取がおこなわれるのが一般的といえる。
しかし、日本酒は経年によって熟成し風味が劣化する傾向があるため、製造からときが経過したアイテムは安価で買い取られてしまう。なるべく良い状態で売るために開栓せずに早めに売るのがベストだ。
