小杉放庵は1903年以降から日本の芸術界で活躍し、日本画や洋画、歌集を制作した芸術家である。名前には未醒、放菴という別号がある。再興日本美術院の創立や東京大学安田講堂の壁画制作をおこなうなど数々の功績から、日本の美術史に名を連ねており今も根強いファンが多い。今回は小杉放庵の買取情報と、日本画の査定に出す際の注意点を解説していく。
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小杉放庵の生い立ち
小杉放庵は、1881年栃木県で平田派の国学者と神官業を務めていた父の子として生を受けた。放庵はペンネームで、本名は小杉国太郎という。別号に未醒、放菴と名乗ることもあった。
幼少期に洋画家である五百城文哉の下で水彩画や油彩を学んだり、上京して白馬会洋画研究所で学ぶなどしたが、本格的に世に出たのは1904年に太平洋画会に入会して未醒という号で作品を発表するようになってからである。以降は近時画報社に勤務し、日露戦争の開始とともに従軍記者として戦闘画や漫画絵で評価を受けた。
1908年にもなると文展に出品するようになり、フランス留学において東洋作品を見たことがきっかけで日本画にも携わるようになる。小杉放庵は日本画と洋画で著名な作家だが、雑誌編集や歌人としての活動をおこなうなど多彩な活躍も果した。親友である横山大観の誘いで、美術院の洋画部設立に尽力したエピソードもあり、日本美術史を語る際には欠かせない人物である。
小杉放庵の作風について
小杉放庵の場合、池大雅の作品による影響で晩年までの作風で制作するようになった関係から、池大雅の得意とする南画(江戸時代中期に流行した作風)の技術が作品内に多く見られる。また、洋画の技術や西洋文化にも目を向けていた小杉放庵は、日本画でサンタクロースを描写したり、洋画の伝統的モチーフである裸婦や構図、ポージングの妙を盛り込んだユニークな作品も制作していた。生涯を見ると幅広い作風で活動をした作家とも言え、収集家のみならず一般層からも人気が高い。
小杉放庵の代表作
小杉放庵の代表作品と本格的に日本画制作をおこなうきっかけになった南画について詳しく解説していく。
「梅花小禽」
「梅花小禽」は、猫やコノハズク、アオゲラなどの動物が繊細に描写されつつも、愛らしく描かれている作品である。不要なこと柄を省いて表された空気感や色彩には、花鳥画家としての小杉放庵によるこだわりが随所に見られる。日本画でありながらも、国外作品の影響を感じる大胆な構図など、小杉放庵が会得してきた技術を感じる一品だと言えるだろう。現在は出光美術館で所蔵されている。
南画について
南画は中国より伝来した南宗画のことで、江戸時代中期に流行ったスタイルの日本画、及び水墨画である。日本の水墨画は気品や風格、運気の響きなど内面から滲み出る力強さや迫力が主だが、南画は去俗、逸品、逸格が重視されており方向性が異なる。小杉放庵が海外留学中に複製を見て、「帰るべき道を示された」と語った「十便十宜」を制作した池大雅は南画制作を手がける宗派の祖でもあった。
小杉放庵の作品の買取相場
日本画の場合、貴金属や通常販売されている商品とは違い相場が定まっていないので、業者によって買取価格が数万単位から数千万単位と金額に幅が出る。本人が手がけた作品である真作かどうかや保存状態、付属品の有無でも買取金額は大きく異なるので、注意しなければいけない。
過去に小杉放庵の作品を買い取ったケースは、「芭蕉翁」が約30万円であった。この作品は晩年に描かれた掛け軸もので、小杉放庵の画風もすでに確立しており、その技術の集大成が随所に見られる。真作を証明する落款と付属品も備わっていて、作品状態に難はなかった。
小杉放庵の作品を買い取る際に注意するポイント
日本画の購入や買取依頼をおこなう際に注意しておかなければいけないのは、贋作と複製画の存在である。どちらもほとんどの場合、本人が手がけたものではなく、真作と価値が違う。それぞれ存在が異なるので、詳細をまとめた。
日本画の贋作とは
海賊版やコピー品といった存在がブランドアイテムの買取では不安視されるが、日本画にも真作ではない偽物、贋作が存在する。贋作の作成方法は多岐に渡り、筆跡やサインを写しとったもの、切り貼りしたものなどさまざまで、専門知識が無いと見抜けないケースが多い。
贋作かどうかを見分ける方法は、鑑定証や銘、付属品の確認するのが一般的である。ただし、素人では気付けない確認ポイントが存在するので、小杉放庵の作品を所持していて本物かどうか分からない場合は、専門業者に鑑定してもらおう。
日本画の複製画とは
印刷やコピーで作品を複製したものを複製画という。贋作と違うのは、複製画は複製である旨を表記して安価で販売されているところである。掛け軸や日本画作品は、大衆向けに複製されていることが多く、有名作家であれば複製画が何年にも渡って作られていることが多い。ただし、真作が現存していない場合や複製点数が少ない場合は、巧妙に作成されて歴史的な価値を持つと判断された複製画は、特別なものとして価値が付加されることがある。
買取価格が落ちる要因になるポイント
日本画には買取金額に影響する査定ポイントが6つある。前述したように査定時の金額幅が広いジャンルであるため、そういった点を把握しておくだけでも金額の期待値は大きく異なる。どうすれば高く買取をしてもらえるのか、買取金額を上げるテクニック、及び査定で判断されるポイントについてまとめた。
色の劣化・色落ち
日本画は、色彩による鮮やかさや調和が生み出す情景の複雑さがなによりも特徴だ。しかし、日光による紫外線や蛍光灯の光によって色が変わってしまうと、その魅力も薄れてしまい価値が失われる。加えて、使われている画材によっては、過度な乾燥や特定の状況も作品に影響を与えかねない。日本画を購入したり、手にしたら適切な保存方法も合わせて調べておくがことが大切だ。
作品の破れや傷つき
多くの場合、作品に破れが見られたり傷ついていたりすると、価値が大きく下がる。絵画は鑑賞する目的で制作されているので、些細な傷でも作品の雰囲気を壊していれば、本来の目的から逸脱していると評価されてもおかしくはない。作品の破損を直す技術を持つ修繕業者も存在するので、作品の状態に不安がある場合はそういった業者にケアを頼むと良いだろう。
適切な保管で品質を保つ
作品の適切な保管方法は、お伝えした通り使用画材によって異なる。日本画ならば顔料、漆など日本画特有の画材も使われているため、特性を把握することが作品の価値を守ることに繋がる。もし適切な保管方法が分からなければ専門家に意見を聞いたり、調べたりするのが望ましい。
光があたらない場所や位置に保管する
作品を守るためには、蛍光灯の光による色やけや日光による紫外線を避けることが重要だ。入れ物がある場合はその中に収納しておくなど、保管場所や保管形態に注意を払おう。自宅に飾らない場合は、湿度が保たれた倉庫や部屋など、適切の管理することをおすすめする。
カビや腐食に気をつける
保管場所の湿度が高いと、カビや腐食が蔓延し、作品が損なう危険性がある。ときには買取不能レベルになってしまうことがあるため、気をつけないといけない。風が適度に通り、湿度が40%〜50%、気温が20度程度の場所に収納するのが一般的だと言われているが、作品や品物によって適切な状態は異なる。
ちなみに過度な乾燥も、作品を傷める原因になりやすいので気をつけよう。カビや腐食がみられたときは、すぐにカビや腐食部分を取ろうとしてはいけない。自分で手入れはせずに、業者に依頼しよう。
作品に負担をかけない置き方をする
作品は専用の額や入れ物に納め、積み重ねたりせずに保管しておこう。長期的に作品の上に物を置いていると、破損や傷みに繋がってしまう可能性があるので注意しよう。
査定前におこなう日本画の手入れとは?
日本画は極めて繊細なものなので、素人による手直しや修正はおこなうべきではない。多少のケアでも相応の技術を持つ専門業者に依頼すべきである。たとえ日本画を納める額や箱といった入れ物だとしても、水拭きなどは基本的に厳禁だ。状況によっては、ホコリやゴミを落とすために軽くふき取ることも必要である。
買取業者を選ぶポイント
芸術品は買取査定金額が業者によって異なるが、特に値段のバラつきがあるのが日本画だ。買取価格に幅が出る理由は、次の事柄が関係している。
- ・日本画は日本の文化に基づく作品であるため相応の知識が無いと評価できない
- ・画材、作風、流派によって評価が異なる可能性がある
- ・制作時期も評価に繋がる可能性がある
つまり日本画の場合、制作方法や日本文化、業界事情に詳しくないと正しい評価できないのだ。また、世界的な画家であるピカソを例に出すと、キュビズムに至る前の作品とその後で作風や評価が大きく異なるので、作家の制作時期と制作背景の関連性についても詳しい買取業者を選ぶのが良い。
美術品の専門業者に買取を依頼する
美術品の買取自体は、リサイクルショップやギャラリーなどさまざまな場所でおこなわれています。小杉放庵の真作なのに贋作や複製品という間違った鑑定をして、安く買い取ろうとする業者や適切な価格をつけない業者が存在するため、損をしないためにも業者選びは慎重におこなおう。必ず日本画や日本美術品に精通している専門業者に買取してもらおう。
相見積もりで買取価格を比較する
日本画を高額で買取してもらうときに大切なことは、相見積もりをおこなうことである。相見積もりとは複数の業者にまとめて査定してもらい、それぞれの金額を比較した上で買取業者を選ぶ方法のことだ。お伝えしてきたように日本画は、買取業者によって値段に幅が出る。買取価格の幅は広いので、多くの業者に査定をしてもらうのが良い。
小杉放庵のおすすめ買取業者
ここまで日本画を買取依頼するときに気をつける事柄や業者の選び方についてお伝えしてきた。日本画専門買取業者に査定をお願いしたいけど、どの業者に頼んでいいのか分からない、という方は多いだろう。日本画や日本美術を扱った実績を持つ買取業者2社を紹介していく。
こたろう
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
絵画や骨董品、茶器や古美術品をメインに取り扱っている買取業者である。他の業者が対応してくれなくても、こたろうだけは買取意欲を見せてくれたというクチコミが多数見られるほど、専門的な知識と観察眼には期待ができる。買取成功の場合、その場で現金支払い可能というのも扱いやすい魅力だと言える。利用しやすいため、買取をこれまで依頼したことがない初心者にもおすすめできる業者だ。
ワールドギャラリー
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
ワールドギャラリーは、20年以上も買取を続けている美術品買取業者の老舗である。査定ではプロの目を持って鑑定するので、信頼感のある取引が期待できる。出張買取や宅配買取は、査定依頼をしたあとにキャンセルすることも可能だ。和洋問わず対応している点や丁寧な対応で口コミでの人気も多く獲得している。即日現金買取や宅配買取、委託販売、オークション代行などお客様の立場になって親身に対応してもらえる。
まとめ
小杉放庵は日本美術界に貢献した数々の功績を持つ花鳥画家である。現代でもその作品は評価対象にあり、根強いファンが存在している。もし小杉放庵の作品を持っているのなら、一度査定を依頼してその価値を確認してみてはどうだろうか。査定のみの作品の持ち込みを歓迎する業者は、現在では数多くあります。
また、買取を考える際は、複数の業者に依頼する相見積もりをおこなうのも忘れてはいけない。査定金額にバラつきがでやすい日本画でも、複数の業者に依頼することで相場金額を確かめることができる。いくつかの買取業者に見積もりを出してもらい、一番条件が良い業者に決定しよう。小杉放庵の作品は高価なものが多数あるので、所持している場合は価値を確認してみるだけで思わぬ発見が期待できる。