消費者が購入するためにクレジット契約などを結んだ契約に対してクーリングオフ制度がある。この制度は、購入したものに対して消費者が購入を取り消す場合にクーリングオフ制度が適用されるようになっている。反対に店頭で何かを買い取ってもらった場合、買取を取り消す際にクーリングオフ制度は適用されるのだろうか。
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クーリングオフ制度とは?
クーリングオフ制度とは、消費者が特定商取引法などで守られている制度で、不意打ち的な取引で契約した場合やリスクの高い取引で契約した場合などに適用される。一定期間であれば消費者に考え直す時間を与えて消費者が業者と取り交わした契約を取り消すことができる制度となっている。
クーリングオフの対象
出張買取りの場合は、消費者(売主)が買い取り業者に対して商品の引き渡しを拒むことができる。ただし、金融商品や宅地宅建の契約等など商品によって、クーリングオフできる商品とできない商品があるので注意しておこう。
近年「押し買い」が問題になっている
最近では、貴金属やブランド品の押し買いが問題になり、売主が「強引に買取を提示して納得がいかない価格で売らされた」「買取り業者に騙された」などの声が多くある。2012年2月の改正特商法では、訪問買取りについて大幅な改正がおこなわれ、訪問買取(出張買取)に関しても8日間のクーリングオフ期間が定められた。
買取もクーリングオフの対象
売主は代金を返すとともに品物を取り戻すことができる。業者側は、しっかりとした査定を行い、クーリングオフの説明を売主にしなくてはいけない。中古買取業者は告知事項の説明と売買告知書の発行が義務付けられた。そして本人(売主)が納得したうえで買取をすることになったのだ。それを怠った場合は3年以下の懲役または300万円以下の罰金の対象となる。
クーリングオフ対象でない5品目
- ・家具
- ・CDやDVD
- ・自動車
- ・家電製品
- ・有価証券
これらは消費者の利益を損なう恐れがないか規制すると阻害されると認められるため、政令により対象でない品目とされている。
除外取引態様(全面適用除外とされたもの)
厨房機器やオフィス機器などBtoB取引(企業間取引)
クーリングオフの期間
- ・訪問販売・・・8日間
- 訪問販売での商品の購入、キャッチセールス、アポイントメントセールス等
- ・電話での勧誘販売・・・8日間
- ・エステ、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚紹介所等・・・8日間
- ・マルチ商法・・・20日間
- ・内職商法やモニター商法など・・・20日間
- ・訪問購入(出張買取)・・・8日間(2013年2月21日以降のもの)
通信販売にはクーリングオフ制度は適用外である。クーリングオフの期間は、申し込み書面または契約書面のいずれか早い方を受け取った日から計算する。書面に不備がある場合はクーリングオフの期間延長ができる。
クーリングオフの手続きの仕方
- 1.クーリングオフは書面で行う(ハガキでも可)
- 2.期間内に通知する
- 3.クレジット契約の場合は、販売会社と信販会社の同時に通知する
- 4.書面のコピーは残しておく
- 5.特定記録又は簡易書留で郵送し、その記録は必ず残す
訪問購入(買取り業者あて)の場合のクーリングオフの書面の書き方
- 通知書
- 次の契約を解除します。
- 契約年月日 〇年〇月〇日
- 商品名 ○○○
- 契約金額 ○○○円
- 買取り業者 株式会社○○○
- 担当者 ○○○
- 引き渡し済みの商品○○を返還してください。
- 平成○○年〇月〇日
- 消費者(売主)の住所
- 氏名
クーリングオフするとどうなるか
- ●クーリングオフすると、契約の破棄ができる。
- ●契約代金や一部の支払ったお金が戻る。振込手数料は事業者負担になる。
- ●商品を受け取っている場合、返送にかかる費用は事業者負担。
- ●受け取った商品を返送する場合、返送にかかる費用は事業者負担。
- ●エステや英会話、家庭教師などの特定継続的契約や訪問販売による浄水器、布団、リフォーム、シロアリ駆除などもクーリングオフすると、すでに受けたサービスの値段も支払う義務がない。ふとんなど使用済みでもクーリングオフできる。
- ●リフォーム工事やベランダ取り付け工事、床下喚起工事など無償でもとに戻してもらうことができる。そのままの状態を希望してもどちらでも構わない。
店頭買取のクーリングオフ制度は適用されるか?
店頭買取の店は全国各地に広がっている。リサイクルマーケット、セカンドストリート、良品買館、TUTAYA(スマホ、タブレット、CD、DVD等)BOOK OFF(書籍)、BRLLE MAIZON(宝石類)など、多数の商品が全国で買い取られている。
店頭買取してもらう場合は、買取り希望をする商品と本人確認書類を持って店に行く。次に店側で商品の鑑定や査定を行い、鑑定や査定結果の説明がある。説明を聞いたうえで納得した買取金額の場合は、取引成立となり現金が店側から支払われる。
その時に本人確認書類の提示が必要となる。買取金額に納得できない場合は売る必要ない。その金額で不満な場合は店頭買取を断ることができる。
では、クーリングオフは店頭買取りでも適用されるのだろうか。特定商取引法では適応除外として次の点が規定されている。
特定商取引法 適応除外(法第26条)
- ・店頭への持ち込みによる買取り(質店やリサイクルショップで増加している形態)
- ・業者間取引の場合(同業者間やその他の事業者間取引)
- ・海外にいる人に対する契約
- ・国、地方公共団体が行う販売または役務の提供
- ・特別法に基づく組合、公務員の職員団体、労働組合がそれぞれの組合員に対して行う販売または役務の提供の場合
- ・事業者がその従業員に対して行った販売・購入または役務の提供の場合(政令第16条3)
- ・御用聞き取引の場合(業者が定期的に住居を巡回訪問し、勧誘はせずに申し込みを受けて行う取引のこと。購入事前に電話などで査定依頼の確認をしていても御用聞き取引にはならない)
- ・いわゆる常連取引の場合(店舗業者では1年間に取引が1回以上あった場合、無店舗業者では取引が2回以上あった相手からの訪問買取り)
クーリングオフの対象にならない取引
それ以外にもクーリングオフの対象にならない場合の取引は次のようなものがある。
- ●書面を受け取ってからクーリングオフ期間が過ぎたもの(訪問販売は8日、マルチ商法や内職商法は20日)
- ●通信販売やインターネット取引でクーリングオフ規定がないと記載されている場合
- ●3,000円に満たない取引
店頭買取の場合クーリングオフはできない
特定商取引法第26条により、店頭買取りの場合はクーリングオフが適用されない。その金額に不満がある場合は査定の時点で断るか、後から不満だと思って買取りを解除したい場合は直接店側と任意で交渉するしかない。
高額な車や貴金属の店頭買取の場合、クーリングオフはできるのか
買取りのクーリングオフは適用外だが、買取り業者との契約を破棄したい場合、買取り業者と交渉して業者の了承が得らえた場合は任意の契約解消ができる。
但し、契約の解消の場合は違約金の請求があるかもしれない。請求書を見ると、解消する場合は違約金が発生すると書かれていることがある。
契約書に取り消しに関しての記載がある
ただ、ディーラーの場合は地域での悪評が立つことを恐れるため、契約の解消に応じることがある。
一般に高額な取引の場合、契約書が交わされる。契約書の内容により、買取りを取り消しできるかどうか、その場合違約金が発生するのかどうかが書いてある。
店頭買取されたものは返品できない
また、スーパーで購入したものや家電品などはレシートを持っていけば、1週間以内なら返品して交換してくれる。それは店が消費者のためにサービスで行っていることなのだ。衣類のリサイクルマーケットの場合、あらかじめ購入したときに「返品はできない」と店の人が言うところもあるだろう。実際に法的には、一度店頭購入したものは返品することはできない。
違約金・損害賠償を請求されることも
買取の場合も同じで、一度店頭買取りした物を返品することはできないのだ。しかも、その品を購入するという人がいる場合、解約しようとすると違約金だけでなく店側に与えた損害賠償を請求されても仕方がないことなのだ。
以前、中古業者と車の売買契約をした人が、4日後に身内で買い取ってもらえる人ができたため解約を申し出たら10万円の解除損害金を請求された。車の購入者がまだいない場合、売買契約書等の手間経費や違約金、数万円くらいは取られても仕方のないことなのだ。
解約できなければ警察に通報する?
「消費者が解約できないなんておかしい」「解約して違約金や損害賠償などおかしい」と警察に通報する人もいるかもしれない。しかし、法律で店頭買取りの場合、クーリングオフはできないことになっているので、警察に通報したとしても無駄になってしまうのだ。
強引に解約を迫るのはNG
その時に、店側に解約を無理に迫ったとしたら、それは脅迫となってしまい、売主側が悪くなるのだ。そもそもクーリングオフは個人の消費者を守るためにある。
2012年に出張買取(訪問買取)にクーリングオフができたのは、個人の家にアポを取って、または直接訪問し、貴金属やブランド品を売るつもりもないものまで「しつこく粘られて売らされた」とか「騙されて買い取られた」という苦情が多く寄せられたためである。
店頭買取で金額に不満があるならその場で取引をやめるべき
店頭買取りにクーリングオフがないのは、店頭買取りは個人の意思で店に持って行って売るもので、その時に査定した金額に不満がある場合は買取をやめてもいいのだ。出張買取のように不意打ちであまり考えられず売ってしまったということとは違う。なので、警察に通報しても無駄になってしまうのだ。
まとめ
中古のリサイクルショップが増え、店頭買取りをする店が増えてきた。その中には高額な貴金属やブランド品、車などを扱う店もあり、自宅への出張買取も増えてきた現状がある。出張買取に対してはクーリングオフができるが、店頭買取に対してはクーリングオフができない。
そのため一度買取りをすると任意の交渉でOKがでないと解約はできないのだ。店頭買取してもらう時は、鑑定や査定金額の説明をしっかり聞いた後で買い取ってもらうようにしよう。