日本美術刀剣保存協会の定める特別貴重刀剣とは?条件は?

最終更新日:2018年12月26日

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日本美術刀剣保存協会が発行する鑑定書は、日本刀の価値を測る一つの基準として用いられている。そのため、手持ちの日本刀をより高値で買取ってもらいたい場合などは、この鑑定書の有無と結果が値段に大きく影響を与えるのだ。

しかし、日本美術刀剣保存協会とは、そもそもどんな機関なのか、何を条件にどのように鑑定されているのか一般人はなかなか知る機会がない。この記事では、日本美術刀剣保存協会とそこで発行される鑑定書について説明していく。

日本美術刀剣保存協会とは

公益財団法人日本美術刀剣保存協会 は、昭和23年2月24日に設立された。東京都墨田区に本拠地を構え、敷地内には、日本刀文化を多くの人に伝えるための付属施設として、刀剣博物館を建設した。現在もイベントや展示会など日本刀の魅力を知ってもらうための活動を日々精力的に行っている。

また、島根県には日本刀の材料である砂鉄採掘のため「日刀保たたら事業所」を構えている。職員数は32名 (平成29年4月1日現在)である。主に三つの事業を行っている。

刀剣、刀装・刀装具の保存・公開に関する事業(刀剣博物館)

昭和43年、刀剣博物館は開設された。もともとは渋谷区に建てられていたが平成29年に閉館し、日本美術刀剣保存協会の敷地内に移転した。

一般600円、会員・学生300円、中学生以下は無料で博物館に入館できる。館内には、刀剣類の他にも刀装、刀装具、甲胃、金属加工資料などを多数所蔵している。ここを訪れれば日本刀そのものから製作の過程、関連品も見ることができる

博物館にて管理されている刀剣類は、国宝の太刀「延吉」「国行 (来)」「国行(当麻)」、重要文化財の太刀「信房」、重要美術品の太刀 「真景」などである。国の指定・認定を受けている貴重な刀が多数展示されている。公開するとともに展示品は専門家によって正しい手入れと保存が行われるためこれから先も長く刀の状態を保つことができるのだ。

日本刀の鍛刀・研磨・刀装制作技術の保存向上に関する事業(現代刀職展)

日本美術刀剣保存協会では、日本刀やその関連品を管理するだけでなく、現代作家による日本刀制作の技術向上にも力をいれている。彫金、刀身彫、刀作の技術向上のための「新作名刀展」を開催し優秀なものは表彰される。

また、刀剣研磨・外装製作技術の向上を図るため「刀剣研磨・外装技術発表会」を開催し、これもまた優秀なものは表彰される。どちらも優秀作品は刀剣博物館に展示され、他の作家達に刺激を与えている。

平成30年から「新作名刀展」と「刀剣研磨・外装技術発表会」は合同開催し「現代刀職展」となってしまったが、これからも年に一度開催され、現代の日本刀作家の技術向上と保存に貢献していくイベントである。

日本刀の制作に必要な材料の確保を図るための事業(日刀保たたら事業所)

日刀保たたら」は、日本美術刀剣保存協会が直接に運営するたたらである。「たたら」とは、砂鉄と木炭から、純度の高い鉄類を生産する製鉄法だ。生産品の中で特に優れた鋼である「玉鋼(たまはがね)」は、日本刀の材料として欠かすことができない。

日本美術刀剣保存協会では、製鉄や玉鋼製造だけでなく、その技術の伝承と各地の刀匠へ玉鋼を頒布し、日本刀の製造に貢献している。

鑑定の申請方法とその後の流れ

日本刀文化存続のため様々な事業を行っている日本美術刀剣保存協会では日本刀の鑑定も行っている。もし、手持ちの日本刀を高値で買取ってもらいたいなら鑑定を受け、鑑定書をつけるべきだ。日本美術刀剣保存協会の鑑定は「保存」「特別保存」「重要」「特別重要」の4段階にランク付けされている。どのランクの審査を受けるかは持ち主が決めるため、申請用紙も3種類ある。

ここでは、鑑定の申請やその後の流れについて説明していく。

申請方法

日本美術刀剣保存協会のホームページから申請用紙をダウンロード、もしくは電話やFAXで問い合わせすると協会から申請用紙が郵送されてくる。申請用紙は保存・特別保存用、重要刀剣用、特別重要刀剣用の3種類のため自分がどのランクに申請するのかによって記入する用紙は変わってくるので注意が必要だ。

用紙に必要事項を記入し、窓口か郵送にて申請を行う。申請用紙の他に鑑定してほしい刀、刀の登録証原本証書の原本(過去に審査で合格となっている場合)を用意し、申請を行う。

窓口にて申請する場合、受付を済ませた後は、スタッフの誘導に従えば問題なく済ませられるだろう。

注意点

郵送での申請の場合、注意点が二つある。一つ目は受付期間内に着くよう郵送しなければ返送されてしまうこと、二つ目は鑑定してほしい品を送るさいの梱包はすべて協会側で処分されること、この二つのポイントに気を付けて手続きを進める。

申請後、審査されその結果が通知される。

申請後の流れ

審査結果が届くまではこちらは特に何もする必要はない。審査結果には審査料と返却期日が書かれている。まずは、日本刀の返却を窓口でするか、郵送で行うのか選ぶ。窓口での返却を行うなら、申請者本人が受け取りに来られず代理人が受け取る場合委任状が必要になるため注意が必要だ。

審査料の入金をしたら、簡易書留にて証書が送られてくるという流れになる。

日本刀のランクと審査料

鑑定は「保存」「特別保存」「重要」「特別重要」の4つの段階にわけて行われる。しかし、重要刀剣の審査を受ける場合には特別保存刀剣の審査に合格しなくてはいけない。同じように、特別重要刀剣の審査を受けるには重要刀剣の審査を通っている必要がある。

このことからもわかるように、協会で行われる日本刀の鑑定は上から「特別重要」「重要」「特別保存」「保存」となる。

何を条件にこのランク付けがされているのだろうか。ここでは、4段階それぞれのランクの条件について説明していく。

保存刀剣の条件

  1. 1.江戸時代までの銘(作者名)が正しいもの
  2. 2.有名な刀工による銘があるもの
  3. 3.無銘でも国や系統がわかるもの
  4. 4.刃に多少のキズがあっても鑑賞できるもの
  5.  (補修されているものは美観を損なわないもの)
  6. 5.明治以降の刀は銘があり、出来がいいものに限る

平成29年度の決算報告によれば、この年は4257振の鑑定を行い、2880振が保存刀剣として合格した。

特別保存刀剣の条件

  1. 1.保存刀剣の中でさらに出来と保存状態がいいもの

平成29年度の決算報告によれば、この年は1891振の鑑定を行い、1287振が特別保存刀剣として合格した。

重要刀剣の条件

  1. 1.特別保存刀剣のうち特に出来と保存状態がいいもの
  2. 2.国指定の特別重要美術品に準ずるもの

年に一度審査を行っている。重要刀剣の審査月までに特別保存刀剣に合格していなければ、審査は行われない。

平成29年度の決算報告によれば、この年は753振の鑑定を行い、140振が重要刀剣として合格した。

特別重要刀剣の条件

  1. 1.重要刀剣のうち特に出来と保存状態がいいもの
  2. 2.国指定の特別重要美術品・重要文化財に準ずる価値があるもの

2年に一度審査を行っている。審査月までに重要刀剣に合格していないと審査は受けられない。

平成29年度の審査を行われていないため決算報告に記載なし。平成28年の決算報告によるとこの年は326振の鑑定を行い、71振が特別重要刀剣として合格した。

特別貴重刀剣とは

特別重要刀剣と似た名前の特別貴重刀剣という認定書が付いている日本刀も存在する。しかし、特別重要刀剣と特別貴重刀剣の価値は全く異なるものである。

「特別貴重刀剣」という分類はない

現在、日本美術刀剣保存協会で行われている鑑定では「特別貴重刀剣」という分類は存在しない。

日本美術刀剣保存協会では、設立と同年に刀剣などの認定制度を開始した。このころから日本刀の価値を決める基準となる認定書が発行されるようになったのだ。その当時のランク付けが「貴重刀剣」「特別貴重刀剣」「甲種特別貴重刀剣」である。

しかし、昭和57年には、認定制度は廃止され、鑑定制度に改められたのだ。鑑定制度になってから現在の「保存」「特別保存」「重要」「特別重要」の4つの段階にランク付けされ鑑定書が発行されるようになった。

つまり、協会設立年の昭和23年から認定制度が廃止された昭和57年までの間に、刀剣の鑑定を協会に依頼した日本刀の一部にのみ特別貴重刀剣の認定書が付いている。

日本美術刀剣保存協会の鑑定を受け直した方が良い

認定制度の時代より、現在の鑑定は進化し、より正確になっている。そのため、認定書が付いた刀剣でも改めて鑑定すると鑑定書がつかないものも存在する。現在は、鑑定書でなければ高値の買取は難しいと判断する買取業者もあるほど、認定書の効力は薄いのだ。

ネット上での特別貴重刀剣の取引価格を調べると、数十万~数百万とかなり値段に差があった。しかし、取引されている日本刀の中には粟田口や三条、備前長船などといった有名な刀工達による日本刀も特別貴重刀剣の認定書が付いて取引されている。

もし、特別貴重刀剣の認定書が付いた日本刀をなるべく高値で買取ってほしい場合は日本美術刀剣保存協会の鑑定を受けなおすことをおすすめする。

日本刀の取引は良く考えて慎重に

日本刀を高値で売るには鑑定書をつけるといいという情報をネット上でよく見かけるが、申請方法や審査基準について具体的なことはよく知らない人は多いのではないだろうか。また、認定書と鑑定書を同じようなものだと思ってそのまま売却すると正しい価値で取引されないこともある

日本刀は古代の人々の武器であったが、今の世の中では美術品として扱われている。千年以上前に作られた物がこうして受け継がれていることはとても価値があることだ。

価値ある物を所持している人はその文化を次に残していく義務がある。たとえ特別重要刀剣の鑑定書がついていても正しい手入れが行われていなければその価値は朽ちてしまう

鑑定書の審査料もどのランクの審査を受けるのか、合否によっても料金は異なる。また審査の時期も年に1回だったり、2年に一回だったり、月毎であったりと様々であるためチェックする必要がある。

もし、日本刀を手放すことを考えていて日本美術刀剣保存協会の鑑定を受けようと思っているのならそれにかかる費用や歳月をよく考えて行うべきである。

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