榊原紫峰 日本画・作品の価値・買取相場まとめ

榊原紫峰は、国画創作協会設立や花鳥画制作で日本美術史に名を残した日本画家である。東洋画の思想を独自に再解釈したり、西洋画の陰影技法を日本画で扱うなど、斬新かつ挑戦的な制作で知られている。また、教授職に付いて後進の育成にも尽力した。

数々の功績から日本芸術院恩賜賞を獲得しており、今日でも高い人気を誇る作家だ。この記事では、榊原紫峰作品の買取情報と日本画を買取に出す際の注意点についてまとめた。

榊原紫峰の生い立ち

榊原紫峰は1887年、京都で活動する染織家の息子として生を受けた。早い年齢で美の世界に興味を覚えた榊原紫峰は、京都市立美術工芸学校、京都市立絵画専門学校をへて確かな技術を身につけていく。作品の発表自体は専門学校時代からおこなわれており、学生時代から期待の新人として注目を浴びていた。

しかし、後に文展での評価に不満を感じ、国画創作協会を創設、以降では国画創作協会展に発表の場を移していく。途中渡米を挟み国展は中断するが、再開後も作品を作り続け花鳥画家としての人気を高めていった。1928年に国展解散からは、それまでと一変して画壇に上がらず、母校で教授の任に付きながら晩年まで水墨画などを黙々と描き続けたといわれている。

榊原紫峰の思想・精神について

榊原紫峰は幼少期、貧しい家庭で過ごした関係により階級差別などを受けたり、差別を目撃することが多かった。そのため、早い頃から人間関係に煩わしさを覚え、自然に目を向けるようになったと言われている。

最後まで自然、そしてその一部としての人間を等しく愛し、表現し続けた榊原紫峰の慈愛あふれる精神は、幼少期のつらい環境によって構築されたものなのだろう。本人が晩年語った『美は刹那であると共に、美は実に永遠であらねばならないと思う』という言葉は、まさにその精神性が表れている。

また、率先して設立を行った国画創作協会では、文展にはない自由性を主題としてのびのびとした自作品の発表をおこなったが、創立メンバーである親友や妻との死別、同会の経済悪化など悩みの種が付きまとっていた。国画創作協会が存在している最中に起きた不運な出来事は、榊原紫峰が晩年まで孤独な制作を続けたことに関係しているのだろう。

榊原紫峰の代表作を紹介

榊原紫峰の代表作を2点紹介していく。

青梅

足立美術館のコレクションでもある青梅は榊原紫峰の代表作である。ダイナミックな葉の広がりと色鮮やかに映る花々が奏でる調和が、味わい深い作品となっている。日本画でありながらも立体感溢れる木々の造形には西洋絵画からの影響が、構図に関しては中国絵画からの影響を受けた可能性があり、榊原紫峰の和洋問わず技術を盛り込む姿勢が垣間見える一作だ。

松竹梅

松竹梅は前述した青梅とは対照的に、カラーリングを最小限におさえているのがポイントである。描かれた花鳥のコントラストはもちろん、松と竹、梅といった木々の特徴をうまく差別化し、個性豊かな画面作りしている。

必要最低限の要素で迫力のある美を表現している様は、名人芸と言っても過言ではなく、洋画では味わえない落ち着きがしっかりと表現されている作品だ。

榊原紫峰の買取相場

美術品の買取相場はブランド品や貴金属とは異なり、相場が安定していない。付属品の有無や状態はもちろん、買取査定をおこなう業者によっても金額が大きく変わる。しかし、生涯数多く魅力的な作品を生み出した榊原紫峰の作品ともなれば、高額での買取が期待できるだろう。

たとえば、榊原紫峰の雪柳白鷺図は、過去に35,000円の値が付けられた。この雪柳白鷺図は作者による真作ではなく、1988年11月に大蔵省から印刷された近代名画シリーズの一品である。複製品ではあるが、平版印刷と凹版印刷によって刷られている関係で通常の印刷とは異なり作品相応の迫力が感じられる。

贋作と複製画について

美術品や貴金属にはコピー品や偽物、いわゆる作者ではない第三者が手がけた作品が存在する。日本画や絵画ジャンルの場合、コピー品や偽物、いわゆる作者ではない第三者が手がけた作品を贋作や複製画と呼称する。

日本画の贋作とは

贋作とは、作者が手がけた本物である作品で、真作とは違って第三者が写しや切り貼りなどの技術を用いて本物同様の形に仕上げたものである。贋作は本物であるかのように高額で販売されているケースが多く、過去には多数の画商が有名作品の買取で贋作を取り扱ってしまい膨大な損害を受けている。

贋作を見抜く方法は銘やサインの描き方、技法、鑑定書の有無をチェックするのが一般的だが、近年ではそれすらも的確にコピーがおこなわれており、専門家知識がないと見分けるのは困難になりつつある。作品ごとにさまざまな思想や技法を取り入れている榊原紫峰の作品なら制作時期を証明する付属品などがあれば真作と判断されやすい。

日本画の複製画とは

複製画とは真作のコピー品のことである。贋作同様、真作と偽って販売される悪質なケースが見られるが、基本は安価な大衆用として作られているため、存在自体に問題がある訳ではない。

買取相場の項目で名前を挙げた『雪柳白鷺図』は印刷された複製画だが、印刷の技術が作品の風格を再現していることや現存する点数が少ないことにより、複製画の中でも価値のあるものと判断される。

買取価格を上げるテクニック

ブランド品や骨董品なども同様だが、日本画には、買取価格に影響する査定ポイントが何点か存在する。どのようなポイントが買取に影響するのか、その詳細を以下にまとめた。

買取依頼側が紹介するポイントを把握しておけば、高値買取を狙いやすくなるのはもちろん、業者の査定が正しいのかどうかも判別しやすくなる。これから買取をしようか考えている場合は、覚えておこう。

査定金額が下がってしまうポイント

買取価格が下がるポイントは次の3つである。現在所持している作品が、以下の状態にならないように保存状態を今一度見直してみてほしい。

• ・色やけ、色落ち
• ・作品の破損
• ・作品の劣化

日本画は色彩の調和が評価につながると言っても過言ではないほど、発色が重要視される。そのため、買取金額を下げたくないのならば保管・収納した際の色やけ・色落ちに気をつけないといけない。日光や電灯による光に混じる紫外線が、作品に当たっていると簡単に色変わりしてしまうため、保存形態には十分に注意しよう。

保管の仕方に不安がある場合は、専門家に指示を仰いだり相談することも大切だ。近年ではUVカットできる額縁など、長期保管に適したアイテムが販売されているので活用するのも良いだろう。作品が壊れてしまったりやぶれたりすると、価値を失ってしまう可能性が高い。

日本画ならば鑑賞して楽しむ物である以上、ほんの一部の欠けもマイナス評価や買取額の低下につながる。もし所有している作品が古く品質が悪い場合は、修復専門家にケアを依頼しても良いだろう。歴史的資料として価値がある作品ならば、修復済みでも高値が付くことがある。

価値を保つには品質を保つことが大切

日本画は非常にデリケートなアイテムであるため、何も考えずに収納しておくと価値が下がる可能性がある。使われている顔料や材料、紙質は作品ごとにそれぞれ異なるので、専門家の意見や指示に従って適切な保管をおこなうのが基本だ。保管するときは下記のことに注意するのが望ましい。

• ・日光や蛍光灯から発する紫外線が作品に当たらないように心がける
• ・カビや腐食、過度の乾燥状態が起こらないように気温や温度を調節する
• ・風化に注意しつつ、空気が入れ替わりやすい場所を用意する
• ・上に物を置いたりして作品に負担を掛けない
• ・ケアアイテムの必要性を把握しておく、必要な場合は随時手入れをおこなう

日本画の手入れについて

日本画作品には、素人が安易に手を入れてはいけない。なぜなら修正を不適切な方法でおこなうと、その時点で価値が大きく失われてしまうからである。また、日本画は顔料や漆を扱うことが多いので薬品と反応を起こしてしまうリスクも十分に考えられる。

ちなみにケアアイテムを入手しても作品に影響を与える危険性が伴うならば、専門業者におこなってもらうのが無難だ。収納箱や付属品の手入れをおこなうときは、水拭きのような水分を与えてしまう方法は傷みや腐食を招くため極力避けよう。

買取業者を選ぶポイント

買取依頼する業者の質も作品の買取金額に関係するため、複数の買取業者を比較して最も高額で買い取ってくれる業者を選択すると良い。日本画は数千円から数千万円の価値を持つ作品があふれるジャンルである。

ある業者に頼んだら数万円の評価だったのに別の業者だと数十万円の値が付いたというケースがあるほどである。買取金額で損をしないために、専門知識があって適切な評価を下せる業者に買取を依頼しよう。買取業者を選ぶときのポイントを紹介していく。

美術品や日本画の専門業者に買取を依頼する

日本画の買取自体は、街のリサイクルショップでもおこなわれている。ただし高額で買い取ってほしいと考えているなら、お手軽だからといって専門外の買取業者に依頼するのは控えよう。専門知識を持たない業者の場合、査定はネット上の販売履歴を見ただけでおこなわれる可能性があり、場合によってはその価値を理解してもらえないことがある。

また、全ての業者がそうであるとは限らないが、責任や証明のある鑑定をおこなう専門業者に比べるとわざと低く査定する悪質な手口に遭遇する可能性があるので注意しよう。

相見積りで買取査定価格を比べよう

スムーズな高値買取を目指す場合は、いくつかの業者に買取査定を依頼し、1番提示金額の高い業者と取引をする方法がおすすめだ。この相見積りの方法を用いることで、相場に見合わない査定結果や知識のない業者を効率よく弾ける。査定理由を説明してくれる業者同士のコメントを比べて、着眼点の違いを確認してみても良いだろう。

榊原紫峰作品のおすすめ買取業者

専門の買取業者といっても、榊原紫峰作品のような日本画の場合、どの業者に買取依頼を申し込むべきか悩んでしまう方は多い。そこで、日本画の買取が初めての方でも安心して利用できるようにおすすめの買取業者を3つ紹介する。気になる業者があれば、ぜひ公式サイトをチェックしてみてほしい。

ワールドギャラリー

ワールドギャラリーは、東洋・西洋の美術品をそれぞれ幅広く取り扱っている美術品専門買取業者である。長年多くの利用者に愛され続けている老舗なので、信頼に至る実績があるのはもちろん、専門家の鑑定眼にも期待できる。査定は気軽におこなえるため、所持している作品の価値が気になる方は、1度こちらの業者に見てもらうと良いだろう。

こたろう

美術品買取業者の中でも、一際取り扱い対象が多いこたろうもおすすめだ。他の業者では買取不可だったのに、こたろうだけは価値を付けてくれたという口コミが多く見られリピーターも少なくない。出張査定が可能であったり、その場で現金支払いしてくれるなど依頼者にとって嬉しい要素がそろっているのも魅力的だ。

古美術永澤

古美術永澤は、毎年50万点以上の美術品買取をおこなっているという、抜群の実績を持つ業者である。古美術永澤では定期的に公開鑑定会が開かれているので、プロの査定がどのようにしておこなわれるのかも気軽に確認できる。丁寧な買取対応や祝日に営業しているのも人気の秘密だ。

まとめ

榊原紫峰は、国画創作協会の設立や情緒豊かな花鳥画制作で美術界に名を残した日本画家である。榊原紫峰の生涯は幼少期の苦労や同士の死、画壇への不満などにより悩み多きものだったが、自然を愛する心で制作された作品群は慈愛に満ちており、今日でも多数のファンを生み出している。

榊原紫峰の作品は、買取の場では価値が付加されている可能性が高い。榊原紫峰の作品を所持している方は、この機会に買取業者を利用してその価値を確かめてみてはどうだろうか。作品の買取をしてもらう場合は、今回紹介した事柄を頭に入れて損をしないお得な取引をおこなってみてほしい。