田渕俊夫は、1968年の日本美術院展覧会(院展)初入選を皮切りにして、巨匠平山郁夫に師事しながら数多くの受賞を修めた日本画家である。過去には智積院(京都)講堂に水墨画襖絵60面を奉納したことでも注目を浴びた。植物や風景をテーマとした鮮やかな作品群が代表的で、コレクターや収集家からも高い評価を得ている。
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田渕俊夫の生い立ち
田渕俊夫は1941年に東京で生まれた。東京芸術大学美術学部絵画科日本画専攻、東京芸術大学大学院で技術を磨いた田渕俊夫は、1968年に院展で初入選を果たし、画壇にその存在を大きく印象付けた。また、大学院終了後は海外取材の影響で障壁画も手がけるようになった。1970年からは「仏教伝来」の作品で知られる平山郁夫に師事し、数々の魅力ある作品を制作している。
その後、愛知県立芸術大学美術学部絵画専攻で教授を経て、日本美術院理事や東京芸術大学名誉教授として日本美術界に貢献した。作品には自然や空間の力を感じるような、内面的な美や心象を表現したものが多く見られる。「田渕俊夫京都を描く—感動を表現する日本画の技法」といった技法書の執筆も手がけた。
田渕俊夫の代表作
田渕俊夫の代表作を2つ紹介していく。
「流」
田渕俊夫の作品は壮大なものも多く存在するが、この「流」は水面に映る木々をメインに描写した落ち着きある作品である。何気ない風景に味わい深い情緒と印象を受ける一作だ。
「木の間」
「木の間」は、杉林に差し込む光や空気感が印象的な作品である。明るさが抑えられている画面はどこかミステリアスさが感じられ、雰囲気が自然の奥深さを強調している。緑色が心地よく響く、色彩バランスはまさに名人芸だといえるだろう。
田渕俊夫の作風について
「流」や「木の間」は、田渕俊夫が画風を確立した後の作品である。田渕俊夫には他作家と同様に、日本画家としての作風の確立に悩んでいた時期もあった。若いころは海外の建物やダイナミックな構図、主張性の高いモチーフなど西洋思想や西洋技法に影響された作品が多々制作されていた。
各地の海外取材を経て製作し、脚光を浴びた出世作「青木ヶ原」のころになると現在の基調となる画風が構築され、同作は壮大さと幽玄さが和というカテゴリで鳴り響く、田渕俊夫らしい作品になった。
田渕俊夫の買取相場
美術品や日本画は店舗で販売しているような品物とは違い、相場が安定していない。田渕俊夫の日本画も、買取金額は業者の査定を受けて初めて決定されます。例えば田渕俊夫の「飛鳥川」は約2万7,000円の価格で取引された。こちらは銅版画の大型作品で、壮大な景色にどこか懐かしさを感じる一品である。本人サインも見られ、真作としての確認もできたことで、高値がついた。
また、田渕俊夫の「清水寺」は約1万4,000円の値が付けられている。「清水寺」も銅版画で、清水寺のダイナミックなフォルムが見事に表現されている作品だ。本人サインありの品物だった。
贋作と複製画について
贋作、複製画とは作者の描いた作品ではない海賊品や偽物、コピー品のことである。それぞれ真作よりも価値が大きく下がることが共通している点だ。日本画の贋作と複製画について解説していく。
日本画の贋作とは
贋作とは、真作の偽物として描かれた作品のことを指す。後述する複製画とは違って、細かな表現や筆跡を手描きで忠実に再現し、本物そっくりに制作している。本物と偽って販売される、またはパロディや作家の遊びとして発表されるかのどちらかで世に出るため、贋作作品として見かけることはほぼ無いだろう。本物かどうかの見分けは鑑定書や付属品の有無で判断されるが、現代では偽造技術が格段に上がっており、専門業者でしか見分けられないことも多くなってきた。
なお、有名画家作品の贋作を画商が取引してしまい損失を出してしまった事例は、過去に数え切れない程ある。その影響で日本画に限らず高額になりやすい美術作品の査定は、どの業者も慎重になりがちだ。真作を証明する付属品や証紙は買取側と持ち込む側の双方が取引をスムーズにおこなうためにも重要なので、付属品や証紙がある場合はなくさずに所持しておこう。
日本画の複製画とは
複製画は、真作のコピー品にあたる存在である。贋作と同様の偽物という見方もできるが、点数の少ない作品を複製して安価で販売したり、複製することを前提で原画を制作したりなどは現代では珍しくないため、複製画の存在自体に別段問題があるわけではない。
ポストカードのようなアイテムは原画から複製、印刷されて流通されており、買取相場の項で紹介した田渕俊夫の銅版画も、銅版に細工をして刷った作品なので一種の複製画だと言える。また、複製画は安価なのが一般的だが、作者の意向であえて点数を絞っていたり、原画が消失してしまったりすると希少価値が付くので覚えておこう。
買取価格を上げるテクニック
日本画を買取してもらうときは、買取価格が上がるポイントを把握しておくだけで価値の維持や査定額アップが狙える。買取価格を上げるポイントを紹介するので、これから買取を考えている人は参考にしてほしい。
注意!買取査定価格が下がるポイント
まず最初に作品の価値が下がる点を紹介する。価値を維持すること、価値を下げないことは作品を所持する上で非常に大切なので、次の事柄を頭に入れておいてほしい。
- ・色落ち、色の劣化
- ・作品のシミ、破損や傷み
- ・光による紫外線を避ける
- ・カビや腐食に気をつける
- ・作品に負担をかけない置き方をする
色落ち、色の劣化
日本画に限らず絵画作品はなんといっても色彩が命だ。色落ちや劣化が発生すると作品の意味合いが大きく変わってしまうことがあり、価値が変動する。特に日本画はデリケートな画材が使われているケースが多く、作品によっては色の変化が起こりやすいこともある。価値を下げないためにも、作品を手にしたら適切な保管方法をすぐ確認しておくのが望ましい。
作品のシミ、破損や傷み
作品に見られるシミや傷み、破損も価値を下げる一要素だ。専門の修復業者に依頼すれば、状態は回復する可能性が高いが、手直しをしたという言う時点で価値が下げられてしまうケースもあるので注意が必要だ。作品が傷まないように、気温や風通しを考えた場所に保管することを忘れてはいけない。
光による紫外線を避ける
作品に光があたっている状態が長期間続くことはNGである。日光でも蛍光灯の光でも紫外線が含まれており、光があたっている箇所や期間によっては作品に影響を及す危険がある。最近はUVカット機能が付随された額縁や保管用アイテムが数多く流通しているので、紫外線対策としてそれらを用いると良いだろう。
カビや腐食に気をつける
湿度が高い場所に作品を保管しておくときに気をつけたいのは、カビや腐食の存在だ。腐食が起きると作品の表面だけでなく、内部にも影響を及ぼしている可能性が高くなるため、作品自体がダメになっていく。梅雨の季節は特に湿度が高くなりやすいので、適切な場所に作品を保管してほしい。
だからといって、乾燥しきった場所に作品を置いておくのも状態に負担が掛かる。風通しがよく、湿度を30%〜40%に保った状態で作品を保存しておくのが一番良いが、できる限り作品の性質を把握して上で適した保管するよう心がけよう。
作品に負担をかけない置き方をする
作品を保管するときは環境だけでなく、置き方にも気を遣うことが大切だ。絵画作品は積み重ねるような雑な置き方はしてはいけない。また、物を上に置いたり作品に負担を掛けるような収納の仕方は極力避けるべきだ。箱や専用の入れ物がある場合は、その中に収納しよう。
査定前におこなう日本画の手入れについて
日本画や絵画作品は、自らで手入れをしてはいけない。知識や専門的技術がない方が、作品に手を入れると大きく価値が下がる可能性があるので注意してほしい。箱や付属品に対しても、水拭きや薬品による汚れ取りは控えるべきだ。特に水分を用いるものは拭き跡が残ってしまったり、腐食の原因になる。ただし軽くゴミやホコリを落とす程度の手入れなら有効だ。ゴミやホコリをとる場合は作品を傷つけたり、触った部分に指紋が残らないように気を付けよう。
買取業者を選ぶポイント
日本画は、画材や作風、作者の経歴はもちろん日本文化との関係性も価値に影響するジャンルだ。そのため、日本画に詳しくなければ適切な値段は付けられない。業者ごとの買取価格にバラつきがあるのも、査定するための専門知識がある業者と知識がない業者で査定金額が異なるからだ。
田渕俊夫の作品の買取を希望する方は専門知識があって、作品に見合った金額を提示してくれる業者を選ぶことが大切だ。買取実績がわかる業者ならば、取引データを加味した上で査定依頼する業者を決められる。買取業者を選ぶときのポイントを紹介するので、これから買取に出そうとしている人は参考にしてほしい。
リサイクルショップでの買取には要注意
近年ではリサイクルショップのような専門的なジャンルを持たずに、幅広い中古品買取をおこなう店舗が数多くあるが、日本画買取の場合は、何でも取り扱うリサイクルショップに品物を持ち込むのは避けた方が良い。専門知識を持たない業者は、適切な査定がおこなわれない可能性が高く、間違った買取相場をネットから引用してくるケースが多い。作品によっては真作なのにコピー品と勘違いされて、釣り合わない金額で買取される可能性も考えられる。
相見積もりで買取価格を比較する
相見積もりは、複数の買取業者に査定依頼し、金額条件の良い所と取引をする方法だ。相見積もりをおこなうことにより、相場価格を大きく下回った取引や鑑定知識の無い業者を一気に除外できる。また、提示金額に至った理由を業者から聞くことで、プロがどのような部分を見て査定しているのかも把握できる。査定金額が業者によっては大きく異なる日本画作品は、相見積もりで複数の買取業者を比較し、一番高い金額を提示してくれた会社を選択しよう。
田渕俊夫作品のおすすめ買取業者
田渕俊夫の作品を買取しようと考えているけど、どの業者を選択すれば良いのかがわからない方は、これから紹介する業者を参考にしてみてほしい。日本画作品の専門的知識があり、評判の良い業者を紹介していく。
こたろう
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
古美術永澤
買取価格
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ポリシー
ウイルス
対策
古美術永澤は、1年の内に50万点近くの美術品を取り扱う実績豊富な買取業者である。多くの取引実績は、依頼の際の安心感にも繋がっている。公開鑑定会も定期的に開催されているので、そちらでどのように鑑定がおこなわれているかチェックしてから買取の申込を決めると良いだろう。
美術品・絵画買取センター
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ポリシー
ウイルス
対策
美術品・絵画買取センターは、LINE査定やメールでの買取申し込みが気軽におこなえる業者である。公式サイトでは取引の流れが分かりやすく説明されており、初めて買取依頼をする方でも安心だ。査定後の金額変更がなく、依頼者の困りごとが起きにくいシステムなのも美術品・絵画買取センターの魅力だといえる。
まとめ
田渕俊夫は植物や風景を主題とした作品を多く手がけた日本画家である。日本美術院理事や東京芸術大学名誉教授を務め、後進の育成にも大きく貢献している。田渕俊夫の作品は美術ファンの間でも人気が高い傾向にあるため、買取では高値取引が期待できる。
ただし、日本画という取引幅の大きいジャンルの場合、専門知識を持ち正しい鑑定がおこなえる業者を選ぶ必要がある。知識や鑑定結果に責任が持てない業者へ買取依頼すると、安く見積もられる可能性があるので気をつけよう。田渕俊夫の作品を所持している方は今回紹介した業者で一度査定を依頼してみてほしい。
なお、日本画や絵画の価値を保つためには、保管の仕方に十分気をつけないといけない。日光や蛍光灯の光は、作品の鮮やかな色を損なう可能性があり、湿気によるカビや腐食は作品自体をダメにしてしまう。過度な乾燥も作品に負担をかける要素になるので、できる限り注意してほしい。