廃刀令以降、現代の日本で刀をさして歩く人の姿はまるで見かけなくなり、時代劇くらいでしかお目にかかる機会はなくなった。むしろ今の日本で刀を持って歩いていたりしたら、銃刀法違反で逮捕されてしまうような世の中だ。しかし今も一部の愛好家たちにとっては、美術品として愛されているのが日本刀だ。
日本刀を身近に感じることはなくなってしまったものの、我々日本人にとって歴史的にも重要な文化財であることには変わりがない。先祖代々受け継がれてきた日本刀を、今も愛してやまない日本人が数多く存在しているのも事実である。
Japanese sword 01 / mstkeast
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真剣と模造刀の違いについて
さて、ひとえに日本刀といっても真剣と模造刀の2種類があることをご存知だろうか。簡単に言うと、真剣は刀鍛冶が日本古来の製法で鉄を鍛えて作ったもので、言わずもがなこちらの方が価値は高い。模造刀は鉄以外の材料で日本刀に似せて作ったものであり、素材や製法が全く異なる。
真剣は本物の日本刀であり、模造刀は偽物という扱いになるため、その価値にも雲泥の差が出る。
余談だが、刀鍛冶は真剣しか扱わないため、「真剣」「模造刀」という言葉さえ使用しない。
しかし現代の日本人は日本刀を間近で見る機会がほとんどないため、この2種類の違いが分からない人が大半だ。もしも一般の人に真剣と模造刀の違いは何かと質問した場合、刃がついているのが真剣で、刃がついていないのが模造刀だと答える人が多いだろう。
ここで真剣と模造刀の違いをよく理解して、ぜひ一度本物の日本刀に触れてみる機会を持ってほしい。
真剣の買取相場について
日本刀の買取業者は、いつ、どこで、どのようにその買取価格を決めているのか。真剣を売ろうと思った際、ふと疑問が湧いてくることもあるのではないだろうか。
真剣の買取価格はピンキリ
真剣の買取価格はピンからキリまである。日本の文化財としてそれ相応の高値がつけられているものもあれば、気軽に購入できるくらいの価格のものまで存在する。
例えば一般の人でも名前を知っているような国宝級の有名な刀は、数千万円から数億円という値段がつけられているものも少なくない。しかし重要刀剣指定書のついた白鞘拵付の刀であっても、3,000,000円もあれば購入できる刀も多く存在している。真剣の買取価格には大幅な開きがあり、ひとえに買取相場といっても平均価格をつけられないのが現状だ。
ランクや作者
それではどのように刀剣の価格が決められているのか。これについては一定の基準がある。切れ味の良さを基準とした「最上大業物」「大業物」「良業物」「業物」というランクと、出来の良さを基準にした「最上作」「上々作」「上作」「中上作」のランクがあり、これらのランクに基づいて鑑定書が発行されている。
当然ランクが上がればそれに付随して価格も上がっていく。これに加えて有名な作者のものであれば多くの需要があり、さらに価格も上昇する。また無名の作者のものであっても、「最上大業物」「最上作」などのランクがつけば、手の届かないような価格がつけられることもありうる。
しかし最近では、鑑定書のランクに関わらず、購入者の好みや世間の経済状況によってもその買取価格は変動している。
模造刀の買取相場について
そもそも模造刀の買取相場はいくらか考えた時に、真剣に比べるとその価格は数百円から数十万円とだいぶお買い得となっている。
鑑賞用
最近では歴女という言葉もあるように、戦国武将人気と相まって、名高い戦国武将の模造刀がより高く売れている。有名な武将の模造刀であれば、50,000円以上の高値をつけているものもあり、骨董品としての価値も非常に高い。
ちなみに、よく観光地などのお土産品として売られているプラスチック製の模造刀は、およそ300円くらいで取引されている。戦国武将のコスプレなどにも使えるので、昨今の若者たちにも人気がある。
また合金、天然木、本鮫地などを使用した、よく床の間などに飾られている高級な観賞用の模造刀は、刃身に天然木が使われ、表面にはメッキが塗られており、模造刀としての再現性が非常に高く、観賞用として遜色ない仕上がりになっている。
ただし強度や重量が考慮されていないため、実際の刀のように振り回すことはできず、あくまでも観賞用のみの仕様となっている。こちらはおよそ2,000円くらいの買取価格がつけられている。
居合刀
さらに素振りや居合いの練習用として使われているのが「居合刀」と呼ばれているものだ。使用されている素材は観賞用の模造刀と変わりないが、実際の日本刀に近い強度・重量バランスが再現されており、剣道などの素振りや居合練習にも使用されている。こちらはおよそ5,000円くらいで取引されているものが多い。
真剣に最も近い模造刀
そして真剣に最も近い素材や部品を使用した模造刀が存在する。この模造刀は、素材や部品選び、仕上がりまで職人の手によって行われ、模造刀とは言え、かなり高値をつけている。特に刀身部分は職人が実際に刀に焼きを付けて仕上げており、刃紋に至るまで職人の手によって描かれている。
また真剣と同じように鉄を使っているので、とても錆びやすいのが特徴だ。最も本物に近い仕様であるからこそ、定期的に油を塗って手入れをする必要がある。こちらの買取価格はおよそ4,000円といったところだ。
ここまでで、模造刀の種類や買取価格もピンからキリまでいろいろとあることが分かっただろう。
日本刀を高値で買い取ってもらうには
登録証
実際に真剣を売りたいと思った時、「登録証」がなければ売買を行うことも、別な場所へ移動させることもできない。そもそもこの登録証とは、美術的価値のあるものに対して各都道府県の教育委員会から発行されるものであり、本来であればこれがないと真剣を所持することさえできないものである。
日本刀の戸籍のようなものと言ったらより分かりやすいだろうか。もしも古い日本刀を受け継いだ場合、万が一登録証がなかったりしたら、一度警察署に相談し、教育委員会で登録審査を行ってもらった上で再発行してもらう必要がある。
ちなみに模造刀に関しては、基本的には登録証は必要ないとされている。しかし金属製で真剣に著しく類似しているもので、正当な理由が無い限りは所持が禁止されている。
錆ついた日本刀
また真剣を売る場合に気になるのは、錆びの具合である。日本はもともと湿気の多い気候で、ろくに手入れもせずそのまま放置しておくと、十中八九錆びついてしまう。錆びは当然その刀剣の評価を落とす。
研磨して錆びを取り除く方法もあるが、それには数万円から数十万円ほどの費用がかかるので、ひとまずそのままの状態で査定に出してみてほしい。仮に錆びだらけでも買取対象になる場合もあるので、まずは専門家の意見を聞いてみることをおすすめする。
日本刀の長さ
また刀剣の長さが買取価格に響くことがある。脇差や短刀などの短い刀の場合、通常より半額ほど減額されてしまう可能性があるので注意が必要だ。
査定アップのポイント
さてここからは、査定の際の重要なチェックポイントについて説明する。
鍛冶屋の名前
まずはその刀剣を作った鍛冶屋の名前(銘)により、価格が大きく左右されることになる。有名な鍛冶屋の銘であればあるほど、その価格は高値がつく可能性が高い。しかし銘のある刀剣であっても、その刀の保存状態によっては買取価格が変わってくる場合がある。
上記の錆びや傷がついていた場合などは評価がグッと下がり、買取価格も大幅に下がってしまう確率が高い。また逆に銘のない刀剣であっても、保存状態が著しく良ければその評価は高くなり、思ったより高値をつけてもらえる可能性がある。
作られた時期
さらに刀剣が作られた時期も、その評価に大きな影響を与える。目利きの刀剣買取業者は、刀剣に関する知識が豊富で、作られた年代に加え、作者や流派についても査定時に判断することができる。刀剣は銘だけではなく、保存状態などすべての評価が査定結果に反映されるため、諦めずに鑑定してもらう価値は十分にあると言える。
ちなみに模造刀の場合は、真剣と違って買い取ってくれる業者自体が少ないので、複数の骨董品店やリサイクルショップなどを当たってみることをおすすめする。
もし自宅に眠っている刀が1本でもあるなら、思わぬ掘り出し物である可能性も高いので、ぜひ一度鑑定に出してみてほしい。
真剣と模造刀の買取まとめ
最近では、わざわざ骨董品店やリサイクルショップに足を運ばなくても、ネットで買取を行ってくれる買取業者が数多く存在する。ネットの買取業者であれば、いちいち店舗まで刀剣を持っていく手間が省ける上に、一度に複数の買取業者に見積もり依頼することも可能だという利点がある。
便利なメール査定
メール査定やLINE査定なども使えるので、刀剣の写真を撮影し、画像添付するだけで買取業者に査定してもらえるので便利だ。簡単に買取価格の問い合わせができるので、大変ありがたいシステムにもなっている。刀剣を売りたいと思ったら、複数のネット買取業者に査定してもらい、一番高い値段をつけてくれたお店に売るのが得策だろう。
宅配買取がおすすめ
これにより売る店が決まったら、すみやかに刀剣を宅配便で送ることをおすすめする。実際に店舗まで持っていくという方法もあるが、真剣の場合、万が一往復の過程で紛失してしまったり、車上荒らしなどの被害に遭ってしまったりしたら、金銭面だけでなく、真剣を持ちだしたという理由でも大きな騒動となってしまうことが考えられる。なかには考えすぎだという人もいるだろうが、念には念を入れておくに越したことはない。
大概のお店では刀剣を発送する際、発送時に運送保険をつけてくれる。高値をつけられた刀剣でも、安心して発送することができるので非常におすすめだ。
まとめ
真剣と模造刀ではやはり真剣の方が買取相場が高いということが分かった。また日頃からきちんと手入れを行い、刀剣本来の保存状態の維持に努めていれば、査定額アップに貢献できることも学んだ。
それに加えて、日本刀にも流行の時期があるのはご存知だろうか。刀剣を売りに出した際、その時の流行に合致していれば、より高値がつく可能性がある。また人気はあるが数が少ない刀剣も、とても高く買い取ってもらえる。
これらのことを踏まえて、大切な刀剣をできるだけ高値で買い取ってもらえることを切に願いたい。