エッチングの父と呼ばれ、膨大なはがき絵を世に残したことでも知られる版画家の西田半峰。先祖が残した遺品などで、そのはがき絵が手元にある人もいるだろう。そのような西田作品の売却を考えるとき、気になるのはやはり買い取りの相場である。
ここでは、その相場の参考となるデータや、より高値で西田作品を売るためのポイントなどを紹介する。西田半峰の作品の売却を考えている人には、ぜひ参考にしてもらいたい。
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西田半峰とは
西田半峰は大正時代から昭和にかけて活躍した版画家・画商である。1894年に生まれ1961年に没した。出身地は現在の津市にあたる三重県一志郡である。
学生時代に第8回文部省美術展覧会に水彩画「倉入れ」を出展して入選した後、本郷洋画研究所でエッチングの研究と普及に励む。1932年に雑誌『エッチング』を創刊し、技法の普及を出版人としても支えたことから「エッチングの父」とも呼ばれる。本名の西田武雄名義でも知られている。
日本初の洋画商となった
西田半峰は自らが画家であると同時に、画商でもあった。1923年に画廊「室内社画堂」を東京で開き、国内初の洋画商となる。ビジネスとして絵画を扱うだけでなく、日本近代美術史の在野研究者としても活動し、アカデミックな方面からも日本の美術界に貢献した。
生涯で26,744通のはがき絵を制作
西田半峰のライフワークの1つでもあったのが、はがき絵の制作だ。1952年に開始、亡くなる1961年まで継続した。この期間に西田半峰が制作し、友人たちに送ったはがき絵は26,744通にのぼる。
その膨大なはがき絵の一部は、ネットオークションや古書店などでも販売されている。
西田半峰の版画・作品の特徴
西田の作品の大部分は、友人に宛てて送ったはがき絵である。そのため、一般の画家のようにタイトルがついた代表作があるわけではない。タイトルのあるものでは、学生時代に文展で入選した「倉入れ」がもっとも有名と言える。
それ以外では、雑誌『アサヒグラフ』に継続して提供したエッチングによる挿絵がある。また、1931年には『西田武雄デッサン集』を刊行した。
「絵は手にとって楽しむもの」という信念
「絵は壁に飾って眺めるのではなく手にとって楽しむもの」というのが、西田半峰の信念であった。友人宛ての絵葉書を大量に制作したのもそのためであろう。一つひとつの絵葉書は、友人にとって間違いなく「手にとって楽しめるもの」であったに違いない。
また、今日の我々がそれを古書店などで手にとるときも、生前の西田半峰と友人の交流を思い、壁に飾られた絵画を眺めるのとはまた別の感銘を受けるのではないだろうか。
ぎっしりと書かれた直筆のメッセージ
他の画家の作品では見られない、西田作品の決定的な特徴のひとつとして「ぎっしりと書かれた直筆のメッセージ」がある。内容は、受け取る友人に西田が伝えようとした言葉だ。すべてのはがき絵でそのようなメッセージが書かれているわけではないが、現存しWeb上で確認できるものだけでも数点、そのような作品がある。
これは現代の漫画家が、折に触れて書くイラスト入りのメッセージとよく似ている。絵がメインではないが、紙の上に描かれた文字や絵で人に何かを伝えるという点では、立派な書画と言えるだろう。文章の内容によっては「普通の絵よりも伝わるものがある」と感じる人もいるはずだ。
西田半峰の版画・作品の買取価格
2019年6月30日時点で、Web上で販売されている西田作品は1点のみである。Yahoo!オークション(ヤフオク)で販売されているもので、生前の西田半峰が知人に当てて描いた絵葉書である。長い直筆のメッセージと、筆で描いたと思われるシンプルだが美しい挿絵が添えられている。
出品価格は2,000円で、確認した時点では入札履歴がない。これが唯一のデータであるため、西田作品の買取相場はネット上ではわからないのが実情だ。直接複数の画商から査定を受けるのが、相場を知るもっとも確かな方法と言えるだろう。
西田半峰の版画・作品をより高値で売却するための5つのポイント
作品の大部分がはがき絵であるため、一般の画家と比べると西田半峰の作品は1枚あたりの価格が低めである。しかし、売り方のポイントを押さえておけば、何も考えずに売る場合と比較して、倍以上の価格がつくことも珍しくない。ここではそのように、西田半峰の作品を高値で売るためのポイントを5つ紹介する。
古書店で多数の査定を受ける
西田が残したはがき絵のような「昔の人がやり取りした手紙」は、画商だけでなく古書店でも多く取り扱われている。サイズも絵画よりは書籍に近いため、店舗の中で陳列しやすいという理由もあるだろう。古書店と画商でどちらが高く売れるかは、作品や店舗による。
特に西田半峰のはがき絵は「どんなメッセージが書かれているか」によっても、受け手の印象がまったく違う。相田みつをの作品のようなもので、そのメッセージが店主の心に響けば、それだけで相場より高めの値段がつくこともあるだろう。逆に、響かなければ「ただの古い絵ハガキ」として、一般人が書いたものと同じレベルの扱いを受ける恐れもある。
このように、価値が固定されていないことが西田作品の特徴であるため、古書店の査定もできるだけ多く受ける必要があるのだ。
多くの作品をまとめて持ち込む
西田半峰は、生前に2万通を超えるはがき絵を残している。特定の友人には特に多くの葉書を送っているはずであり、祖父母の遺品として複数枚見つかったということもあるだろう。そのように複数の西田作品がある場合は、まとめて査定に出すことをおすすめする。
はがき絵という小さなコンテンツは、単独になるとインパクトに欠けることが多いが、複数枚がセットになることで存在感が増すためである。また、西田半峰と故人とのやり取りで話の内容が連続しているものについては、特にまとめて出す価値が大きい。もちろん、この場合はプライバシーに配慮する必要がある。
あくまで第三者に見られても問題ないような内容であると判断したときのみ出品しよう。このような「故人のやり取りが伝わる内容」については、古葉書の世界では大きな問題はないとされている。そもそも葉書である時点で、当時の郵便配達人が中身を見ることもできたためだ。
葉書が劣化する前に早めに売る
額縁の中で保存されている絵画と違い、葉書は外の空気に常時触れている。そのため、どれだけ注意して保管していても、徐々に劣化してしまうものだ。紙魚や茶立虫など、紙を食べる小さな虫が湧くこともある。
このような状態になると、本来高い価値を持っていたはずの西田作品でも、タダ同然の値段まで価値が落ちてしまう恐れもあるだろう。そのような事態に陥る前に、早めに売却することをおすすめする。
ヤフオク・メルカリ・ラクマなどを活用する
画商や古書店の査定を受けて、その買取価格に納得がいかなかった場合には、ネットを使って自ら売るのもいいだろう。ヤフオクをはじめとするネットオークションや、ラクマ・メルカリなどのフリマアプリは特に便利なものだ。通常の絵画と違い、西田半峰の作品は小品がほとんどであるため、出品も気軽にしやすい。買う側も千円単位の作品であれば、こうしたツールで気軽に購入しやすいだろう。
葉書の文章を読み取れるように鮮明に撮影する
西田半峰のはがき絵は、書かれている文章が重要になることが多い。これは西田の葉書に限らず、昔の人がやり取りした葉書を買う人々は、文章を目当てにしていることがあるためだ。昔の人の人生を想像して楽しむこともあれば、歴史学者などが資料として収集することもあるだろう。
どちらにしても、文章の内容が作品の価値を左右するケースが多いのだ。そのため、ヤフオクやメルカリなどに出品するときは、葉書の文章が読み取れるように、鮮明な写真を撮影しよう。また、背景を説明して問題ないものについては、その説明の文章も添えるといいだろう。
西田半峰の版画・作品の売却でおすすめの買取業者4選
西田作品の大部分ははがき絵であり、どの業者に売ればいいか悩む人もいるだろう。ここでは、はがき絵と版画の両方で、西田作品の売却におすすめの業者を4社紹介していく。
総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
大きめの版画などの絵画を売るケース、あるいは絵葉書が大量にあるケースでは、総合美術買取センターをおすすめする。屋号に総合と付いている通り、同社は一般的な絵画だけでなく、あらゆるアートの買い取りを積極的に行っているためだ。このため、西田半峰の版画はもちろん、はがき絵も大量にあるなら高額での買い取りが期待できる。
逆にはがき絵が数枚程度など、それほどのボリュームがない場合には古書店で売るほうがいいだろう。
三月兎之杜
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
同社は埼玉県羽生市にある、通販専門の古書店である。全集や専門書、趣味の雑誌などあらゆるジャンルの古書を買い取っている。古葉書はメインの取り扱いジャンルではないが、それはどの古書店でも同じである。
はがき絵の内容によっては高値で買い取ってもらえる可能性も高いため、一度査定を受けてみるといいだろう。査定はメールやLINEなどで連絡した後、宅配で現物を送って受ける流れだ。古本だと発送の手間がやや大きくなるが、葉書なら簡単に送ることができる。送料は無料(着払い)であるため、送料の心配も不要だ。
美術品・絵画買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
特に西田半峰の版画を売りたい場合には、美術品・絵画買取センターがおすすめだ。同社は現代アートやインテリアアートなども含めてあらゆるジャンルの絵画を買い取っている。そのなかでも、日本画をジャンル一覧のトップにすえており、日本画の買い取りには特に力を入れていると言える。
このため、西田半峰の版画も積極的に買い取ってもらえると期待できるわけだ。逆にはがき絵については、同社のように高額の作品をメインに扱う業者では、買い取り自体が難しいこともあるだろう。大量にある場合は持ち込む意義があるが、少数の場合は古書店に売ることをおすすめしたい。
春福堂
買取価格
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手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
同社は埼玉県さいたま市に店舗をかまえる、古道具や骨董品の買取業者である。レトロな品物全般を買い取っており、公式サイトでも古い写真・絵葉書・資料の買い取り専用のページを作っている。葉書については、江戸・明治時代のものから戦後のものまで、あらゆる時代のものが買い取りの対象だ。
特に東京都・埼玉県・神奈川県・千葉県の4都県については、出張費無料で訪問買取をしてもらえる。はがき絵が大量にある場合は、このようなサービスを依頼するのもいいだろう。少数でもこちらから郵送することで無料の査定を受けられる。
まとめ
手元に西田半峰の版画やはがき絵などの作品があるなら、画商や古書店の査定を気軽に受けてみよう。査定はほとんどの店舗で無料であり、受け方も簡単であるためリスクやデメリットはまったくない。特にはがき絵は内容によって非常に高い査定価格がつく可能性もあるため、見積もりだけでも気軽にとってみよう。
記事中で紹介した高値で売るためのポイントも意識して、気軽に業者に連絡してみてほしい。