日本画家・池上秀畝の掛け軸は、買取市場において比較的高く売れる存在だ。買取専門店の増える今の時代は、各社の競争によって人気画家の作品も高価買取に繋げやすい世の中となっている。また査定ポイントをしっかり抑えた上で売却に向けた行動を起こせば、池上秀畝の掛け軸を想像以上の高値で売却することも夢ではないと捉えて良いだろう。
今回は、掛け軸の買取実績が多い池上秀畝のプロフィールや特徴を皆さんと一緒に確認しながら、売却する上で必要不可欠とも言える査定ポイントや買取相場をご紹介していきたい。
KAKEJIKU (Shikishigake) / Hyougushi
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池上秀畝とは?
池上秀畝は、明治時代~昭和にかけて活躍した日本画家だ。花鳥画と山水画を得意とした彼は、多くの掛け軸や絵画作品を世に残している。
祖父や父の影響
池上秀畝が絵画の道に入った背景には、画論を刊行するほどの実績を持つ祖父と、趣味三昧の生活をしていた父の影響が大きかったと言われている。祖父については、日本絵画史上最大の画派となる狩野派の絵師から技法などを学んでいた。これに対して父の方は、日本画家・岡本豊彦から四条派を学んでいたため、幼少期の池上秀畝のまわりには時代をリードする絵画を習得する環境が整っていたと捉えて良いだろう。
荒木寛畝の門人として
小学校を卒業した池上秀畝は、当時無名だった荒木寛畝の内弟子となる。繊細かつ濃密な描写で花鳥画を描く荒木の作風は、まだ若い池上にさまざまな刺激を与えたようだ。また練馬区立美術館に所蔵されている「牡丹に孔雀図」については荒木寛畝との合作となるため、池上秀畝の日本画家としての歴史を語る上で師匠・荒木は欠かすことのできない存在だったと捉えて良いだろう。
作風
池上秀畝の描く花鳥画や山水画には、師匠の荒木寛畝や同門の荒木土畝と比較して、かなり写実的という特徴が備わっている。特に同門の荒木土畝の作品と比較してみると、池上の絵画作品が洋画のように丹念に描きこまれていることに気付かされる。またその実力の高さに対して肖像画のレベルと捉える評論家もいるため、スケッチのように精巧に描かれた彼の作品に魅了されるコレクターが多いことも納得できると言えるだろう。
寛畝塾
池上秀畝は、自身の設立する画塾「寛畝塾」にて後進の育成や指導にもあたっていた。明治時代の記録によると、寛畝塾の新年会には100人ほどの参加者があったと言われている。こうした形で内弟子だけでなくさまざまな人との繋がりを重視する池上秀畝は、明治時代の元勲・三条実美の「聴香読画」に由来する詩画会の運営も行っていたようだ。
豊富な受賞実績と文展改革への強い想い
30代になった池上秀畝は、正派同志会の第1回展で二等銀碑、翌年の文展で初入選を果たすようになる。またその9年後以降は3年連続で文展特選に入るものの、1918年には文展審査に対する不満を呈し、同志とともに文展改革に向けて新結社を結んでいたようだ。こうした形で美術の発展に尽力する池上秀畝の作品は、発足したばかりの帝展で無鑑査の扱いになったと言われている。
代表作品と所蔵美術館
池上秀畝の絵画作品は、東京国立近代美術館をはじめとする国内外の施設に所蔵されている。価値の高い作品が美術館所蔵となっている作家は、買取業者などのセカンダリーマーケットにおける現存数が少ないといった意味で高く売れる存在となる。また彼の描いた「吐綬鶏」については韓国国立中央博物館の所蔵となっているため、池上秀畝は外国人にも注目される日本画家と位置づけて良さそうだ。
池上秀畝の掛け軸における買取相場
明治~昭和にかけての日本画界に大きな影響をもたらした池上秀畝には、掛け軸や絵画、屏風といったカテゴリでたくさんの高価買取が存在している。また買取相場を把握していると買取店スタッフとのコミュニケーションも図りやすくなるため、納得の査定に繋げるという意味でもこれから紹介する情報を参考にしてみて欲しい。
松下双鶴図・白サギ図
インターネットオークション・ヤフオクでは、29,000円~45,000円ほどの相場で池上秀畝の掛け軸が落札されている。例えば、2羽の鶴がリアルに描かれた「松下双鶴図」については、象牙軸に金襴三段表装風帯付きという条件で29,500円もの高額落札に繋がった実績があるようだ。このオークションでは31件もの入札が入っているため、絵画や美術品出品に適さないと言われるヤフオクであっても池上秀畝の注目度は高いと捉えて良いだろう。
王妃相歓之図・雪松霊鷹
美術品のライブオークションでは、「王妃相歓之図」や「雪松霊鷹」といった絹本彩色の作品が500,000円~1,000,000円の価格帯で落札された実績がある。有料会員のみが詳細情報を確認できるこのサイトでは、落札額の詳細まではチェックできない。しかし最も安い価格であっても500,000円の値がついたことを考えると、池上秀畝はかなりセカンダリーマーケットにおける人気の高い日本画家と位置づけて良いだろう。
池上秀畝の屏風
人気テレビ番組・開運なんでも鑑定団には、池上秀畝によって描かれたダイナミックな掛け軸が出品された実績がある。昭和15年以降、池上秀畝の晩年に描かれたこの作品は、静と動が上手く対称に配置されている。また背景色を集約するような雄のオシドリには、最高傑作とも言える要素が詰まっているため、番組内であっても15,000,000円もの鑑定額が付くことも十分に納得できると言えるだろう。こうした形で掛け軸以外でも高い価値のある池上秀畝の作品は、売却によるメリットがかなり高いと断言できる。
池上秀畝の掛け軸を高価買取に繋げる査定ポイント
最後に、これから池上秀畝の掛け軸を売却する際の注意点とも言える、3つの査定ポイントをご紹介しておきたい。
付属品とコンディションは非常に重要
掛け軸を高値で売るためには、メインとなる紙本だけでなく共箱や軸装といった付属品とコンディションの維持に注意をする必要がある。特に一般的な買取相場は、付属品が全て揃っていることを前提としている。また掛け軸作品は額縁に入った絵画と比べて早く経年劣化が進む傾向があるため、保管を含めた扱いについては大きな注意が必要だと言えるだろう。
池上秀畝はヤフオクと買取業者のどちらで売るべき?
買取相場のところで紹介したとおり、誰もが簡単に利用できるヤフオクは、プロが作品を扱う買取業者や美術品オークション市場と比べて若干買値が低い傾向がある。また初めて掛け軸を売る人にとって美術品オークションは少し敷居の高い存在となるため、まずは各社のサイトから簡単に問い合わせのできる買取店に商品情報を送信することが初心者向けの良策だと言えるだろう。
買取業者選びのポイント
池上秀畝の掛け軸を売却する時には、まずオンライン査定やLINE査定から作品情報を送信して「自分の所有作品に興味を持ってくれているか?」を確認すると良い。池上秀畝を含めた日本画家を強化買取対象とする専門店では、高い仮査定額を含めた積極的な買取姿勢を見せてくれる。またいくつかの業者の問い合わせをしてみると、査定額だけでも業者の比較検討ができるため、優柔不断な人は相見積もりを行うのがおすすめと言えるだろう。また近頃では、宅配料、査定料、出張料、キャンセル料などを無料とする専門店も増えているため、なるべく多くの無料対応サービスを行う業者というもの比較検討時の良き判断材料になると言えそうだ。