日本を代表する現代の版画家である秋山巌。2014年に亡くなってしまったばかりだが、多くの作品を残してきており、その作品はイギリスの大英博物館やアメリカのケンタッキー州立美術館など外国の美術館に所蔵されている。
ふくろうや猫などの動物を描いたり、種田山頭火の俳句を題材とした作品を作っており、シンプルで可愛らしい絵柄から非常に人気が高い。
今回は秋山巌の経歴を紹介した上で、作品の価値や買取相場について記載していく。秋山巌の作品をすでに所有していてこれから売りたい方や、新たにコレクションしていきたいと思っている方は、この記事を参考にしてほしい。
本記事のポイント
- 秋山巌は版画だけでなく、俳詩や彫刻、水墨画、陶芸などを学んだ人物
- 経験を生かした作品が多く、世界的に注目されている
- より高く売るために必要な知識とは?
CONTENTS
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画家・秋山巌とは
大正10年(1921年)3月21日に大分県竹田市で生まれた秋山は、昭和28年(1953年)に太平洋美術学校を卒業後、坂本繁二郎、棟方志功、布施悌次郎に師事した。その後、独学で水墨画、彫刻、陶芸などの技術的なことに加えて、仏教学や民俗学など学問についても学び、版画だけでなく、俳詩や彫刻、水墨画、陶芸などを学んだ。日本の土俗的な文化に関心を持っており、猫やふくろうなどの動物や、鬼など民話、仏教説話を元に作品のほか、種田山頭火の俳句をテーマにした作品を多く制作した。
また、生前より画集や技術本の制作に携わっており、「木版画入門」や「拝啓 山頭火さま」、「ねこごころ」など多くの本を残している。
昭和41年(1966年)に駐日アメリカ合衆国大使館が開いた「CWAJ現代版画展」に招待され、作品を出品した。当時からアメリカの主催する展覧会に招待されていることから、世界から注目されていたことがわかる。その後も日本のみならず世界で展覧会を開き人気を博した。2014年9月15日、千葉県松戸市の自宅にて死去。享年94歳である。
歌秋山巌作品
秋山巌の作品は猫やふくろうなどの動物を描いたものを始め、女体を描いたもの、敬愛する種田山頭火の俳句を題材とした木版画や肉筆画がある。独学で学んだ民俗学、仏教学、水墨画、彫刻、俳詩、陶芸といったもの全てが秋山巌の作品の糧となり独特な作風が生まれた。
秋山はふくろうをモチーフとして作品を作ることが多く、その描かれているふくろうたちはそれぞれ表情の違いや色など多様に描かれている。例えば「まどうなかれ」と題された作品は、色味も黒とグレーを基調に描かれていて、ふくろうの目が垂れ下がっており、切なそうな、寂しそうな表情をしている。
また「トランペットの音」というタイトルの作品は大小2羽のふくろうが並んで立っており、1羽は目を閉じ穏やかな表情、もう1羽は目がゆがんだ形をしていて、トランペットの音色を聴いているふくろうのそれぞれの感情が垣間見えてくるようだ。
その他に猫をモチーフに描いている作品も多くある。黒猫の作品がたくさん残っており、真っ黒な色味でのっぺりと描いているが、グレーで四肢の境界線を示すことで体を表し、また猫の目にビビットな赤色を使うことでシックな絵面に変化を与えている。
秋山巌の作品や版画の買取価格相場
秋山巌の作品は日本のみならずアメリカなどのギャラリーでも取り扱われており、世界でも認知度が高く、イギリスにある大英博物館やオーストラリアにあるヴィクトリア国立美術館、アメリカにあるケンタッキー州立美術館などに所蔵されている。
秋山巌の作品はふくろうや猫などの動物を描いているものも多く、数万円から数十万円で取引されており価格の幅が広い。また、版画作品においてはエディション数も作品の価値や価格に影響してくる。
ここでは秋山巌作品の販売店などで売られているものを参考に買取相場を見ていく。
山田書店 online store
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
美術作品を多く取り扱っている山田書店のオンラインストアで秋山巌の作品が販売されていた。
- ・作品 : 黒髪に霜おく
- ・技法 : 木版
- ・制作年 : 1996年
- ・サイズ : 59.5 × 45(cm)
- ・ED : 160
- ・価格 : 17,000円
Y art gallery
秋山巌の追悼展として開催された際にY art galleryにて販売された作品の販売価格を記載する。
- ・作品 : 考える
- ・技法 : 肉筆画
- ・制作年 : 2002年
- ・サイズ : 44 × 32(cm)
- ・価格 : 864,000円
- ・作品 : 阿蘇がなつかしいりんどうの花
- ・技法 : 肉筆画
- ・制作年 : 2002年
- ・サイズ : 42 × 32.5(cm)
- ・価格 : 864,000円
- ・作品 : 水にうつり
- ・技法 : 木版
- ・制作年 : 2005年
- ・サイズ : 30.3 × 24.2(cm)
- ・ED : 11/160
- ・価格 : 37,800円
- ・作品 : 豪の者
- ・技法 : 木版
- ・制作年 : 1979年
- ・サイズ : 27.5 × 38(cm)
- ・ED : 99/100
- ・価格 : 86,400円
- ・作品 : この道しかない
- ・技法 : 木版
- ・制作年 : 2013年
- ・サイズ : 31.5 × 24(cm)
- ・ED : 1/160
- ・価格 : 54,000円
- ・作品 : グリーンのセーター
- ・技法 : 木版
- ・制作年 : 1977年
- ・サイズ : 30.5 × 18.5(cm)
- ・ED : 92/200
- ・価格 : 54,000円
- ・作品 : 廃船
- ・技法 : ドライポイント
- ・制作年 : 1964年
- ・サイズ : 38.3 × 34.2(cm)
- ・価格 :324,000円
- ・作品 : 孔門の十哲
- ・技法 : 木版
- ・制作年 : 1982年
- ・サイズ : 30 × 30(cm)
- ・価格 : 64,800円
AZUMA GALLERY
アメリカにあるAZUMA GALLARYで、オンラインショップ内に秋山巌の作品がいくつか取り扱われている。外国でも販売され売れているのを見るに、世界でも価値が認められていることがわかる。
- ・作品 : Katamuita Tsukino(かたむいた月の)
- ・技法 : 木版
- ・制作年 : 1992年
- ・サイズ : 17.8 × 11.8(cm)
- ・価格 : 約648,428円($635)
- ・作品 : Kibukure(きぶくれ)
- ・技法 : 木版
- ・制作年 : 2010年
- ・サイズ : 9.8 × 8.5(cm)
- ・価格 : 約59,269円($550)
- ・作品 : Lucky Man(ラッキーな奴)
- ・技法 : 木版
- ・制作年 : 2002年
- ・サイズ : 13 × 9.5(cm)
- ・価格 : 約40,410円($375)
- ・作品 : Play with Butterfly(てふてふあそぶ)
- ・技法 : 木版
- ・制作年 : 1994年
- ・サイズ : 12.5 × 9.3(cm)
- ・価格 : 約49,036円($455)
- ・作品 : Watashino Umareta Tokoro(私の生れたところ)
- ・技法 : 木版
- ・制作年 : 1997年
- ・サイズ : 16 × 12(cm)
- ・価格 : 約68,434円($635)
- ・作品 : Yo Mo Me Buku(夜も芽吹く)
- ・技法 : 木版
- ・制作年 : 1986年
- ・サイズ : 18 × 23.5(cm)
- ・価格 : 約63,046円($585)
- ・作品 : Yujo Goya(遊女小屋)
- ・技法 : 木版
- ・制作年 : 1979年
- ・サイズ : 18 × 11.5(cm)
- ・価格 : 約42,561円($395)
これらを見ると、買取業社や画廊の販売価格は数万〜80万円ほどになることが多いとわかる。
ここで紹介したものは販売価格であるため、実際の買取価格は買取業者の利益を差し引いた価格になるだろう。美術オークションを利用すれば、こちらも手数料などが発生するが、販売価格に近い価格で落札されることが多いはずだ。
秋山巌作品の売り方
秋山巌作品の買取相場を紹介してきたが、既に秋山の作品を所有していて売りに出したい方もいるだろう。ここでは秋山の作品を売る際のポイントを紹介する。
作品の状態を気にかける
秋山の作品のどの年代の作品なのか、人気がある作品なのかといったことも重要だが、同等に大事になってくるのが作品の状態だ。
秋山の作品は古いもので数十年前の作品もあるため、作品の劣化が激しい場合があるだろう。少しの擦り傷や日焼けなどによって作品の価値が大きく変わってくるため、注意して取り扱っていただきたい。
温度や湿度など保管環境は適切に
環境によっては作品にカビが生えてしまうこともあり、簡単に除去できなくなるため、温度と湿度の管理にも注意を払いたい。素人にはなかなか劣化させずに保管するのが難しいと言われており、技法によっても若干適切な温度・湿度は異なるが、大まかに温度20℃前後、室温50〜60%が推奨されている。
また、絵画を汚さないように、ガスや油など汚れやすい環境は避けよう。具体的には、通気口の周辺やキッチンの周辺などでの保管は控えたい。
日光やLEDライトも作品の日焼けや退色の原因になるため、暗所での保管が理想的だ。
木箱などへ保管
版画作品など髪に擦られているものは、少しの衝撃で破れたり傷がついたりと簡単に損傷してしまうため、保管する際には木箱にしまうなど工夫が必要だ。
所有している作品を自宅に飾っておきたい人もいると思う。そうした場合は日が差す場所に作品を長時間置くのは避けるようにしてほしい。すぐには変化はしないが、徐々に日焼けによって色が茶色く変色していき、元の作品の状態には戻らなくなってしまう。版画作品だけでなく、日本画や油絵も同様に保存状態に気をつけなければ、簡単に変色、ホコリ、カビなどに汚染されてしまうため、これから作品を売却したい人も、これから新たに作品を購入したい人も注意して作品の保護にあたってほしい。
作品の保護に努める
どの美術作品にも言えることだが、作品の保管状態は非常に重要で、擦り傷や穴、時間経過による日焼け、ホコリをかぶるなどしてしまうと作品の価値が大きく下がってしまう。プロの修復師による作品の復元も可能な場合があるが、別途費用がかかってしまうため、前もって作品の保護をするようにしよう。
下取りに出した上で比較・検討
また、作品を売る際には自宅近くの骨董屋などだけでなく、オークションや画廊、専門の買取業者に下取りを出すことをおすすめする。売却する場所によっては数万円単位で価格が変動することも珍しくないため、比較し見極めることが重要だ。
口コミなどで数社に絞った上で複数で査定する
買取業者として従事する上で必要な古物商許可は、年間1万人ほど申請がされているという。そのため、買取業者の数は極めて多い。数ある中で絞るのは困難かもしれないが、口コミなどを参考に、良さそうな買取業者を複数ピップアップしてみよう。
サイトやテレビ、広告でのイメージと実際が異なることは残念ながらある。また、特定の作家は高額で買い取れても、自分の売りたい作家のものは安価な買取になってしまうケースや、出張買取でトラブルが多いなど経験してみないと見えにくい部分がわかることがある。大手等のイメージに惑わされず、堅実に見積もり先を選択していこう。3〜5社で比較すると、作品の買取相場や買取価格の良し悪しが見えてくるはずだ。
知識や他社の見積もりを交渉素材に
秋山巌の版画などの作品を持っているため買取相場を調べた人は、買取業社でどれくらい売れるか知りたいだけでなく、損をしないよう知識を持ちたいと思ったのではなかろうか。実際、絵画は相場がわかりにくいために、足元を見た査定がされてしまうことがある。損をしないためにも、最低限の知識をつけて置くのが望ましいだろう。
また、値段がわかりにくく大まかな相場しか存在しない絵画は、価格交渉ができる可能性がある。その買取業社が強く求めている作品であれば、他社の買取価格を引き合いに出すことで、より高く買い取ってもらえる場合もあるだろう。本来あってはならないが、談合などを避けるため、この際、できるだけ具体的な社名は言わないことをお勧めしたい。
秋山巌作品をどこで売るか
版画作品や水彩画、日本画などの作品を売却する際はどこで売れば良いか初めはわからないかと思う。ここでは、代表的な作品の売り方について紹介するので参考にしてほしい。
オークション
オークションに所有する作品を出品することで、その作品をほしい人がいるほど価格が釣りあがっていくため、自分の想定する金額より大幅に上回ることもある。作家が有名で、作品に歴史的価値があるほど作品をほしがる人がいるだろう。また、その反対に作品を求める人がいなければ落札されない場合もあるため、注意していただきたい。
個人で簡単に取引がおこなえるヤフオクなどのネットオークションやメルカリなどのフリマアプリを利用する他に、オークション会社が運営するスペースで出品する際には、事前にオークションに参加するギャラリーなどに一度連絡を取った上で参加する場合があるため気をつけてほしい。
買取業者
専門の買取業者に売却依頼することで熟練査定員が、作品の歴史的価値や作品の状態の良さなど、全てを含めた上で価格を決めてくれるため安心感がある。世界で売買されている美術作品の最新情報を熟知しているため、適切な価格で取引できるだろう。芸術について詳しく知らなくても、専門家に任せられるのが買取業者を選ぶメリットだ。
LINE査定に対応している買取業者
【ヒカカクおすすめ店】総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
総合美術買取センターはLINE査定はもちろん、さまざまな買取方法で日本全国対応している。営業拠点は東京に1点集中させ運営コストを抑えることで高価買取を実現している。もちろん版画の買取実績も多く、秋山巌の作品も高価買取が期待できる。
愛研美術
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
LINE査定を実施している愛研美術では、版画家の秋山巌の作品を高価買取りするとの記載がある。作品写真付きで作家紹介ページを用意し、略歴などを紹介している。
出張買取に対応している買取業者
アオイ商会
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
アオイ商会はメール簡易査定やLINE査定はもちろん出張買取も実施している。ホームページではさまざまな絵画や版画の買取りを行うと記載がある。秋山巌は取扱作家に名を連ねており、高価買取される可能性がある。
古美術ますけん
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
無料出張買取を実施している古美術ますけんは、木版画の買取に力を入れている。様々な作家がいる中で取り扱い作家として秋山巌の記載があるため、特に力をいれている可能性がある。
まとめ
秋山巌は種田山頭火の俳句を題材にした版画作品や、ふくろうや猫、馬などの動物をモチーフとした作品を作ってきた。比較的最近の画家だが、作品の価値はすでに認められており、イギリスの大英博物館をはじめ、オーストラリアやアメリカ、イスラエルなどの美術館に作品が所蔵されている。シンプルで可愛らしく、小作品が多いため、コレクションしやすい。自宅に飾る場合にも愛らしい作風から現在も非常に人気が高く、国内外で活発に取引されている。価格は数万円から数十万円と幅が広い。これから秋山の作品の購入を考えている人はすぐに購入せず、美術館で所蔵されている作品を一度見てみるのをおすすめする。
芸術作品は日々作品の価値が変動しているため価格が一定ではなく、作品を購入したい場合は、そのときにオークションや販売店などで価格を確認し、ほしいときに購入するのが良いだろう。
すでに持っている作品を売却したい場合でも、その作品を心からほしい人に売ることで、作品がこれから先も長く残っていく。文化の保存という観点からも重要であるため、売る相手やタイミングを見て売ってほしい。