”山の画家”として愛された日本画家の西山英雄。その作品の売却を考えていれば、買取価格の相場が気になるところだろう。この記事ではその相場を知るうえで役立つ、ネット上での西山作品の販売価格を紹介する。
また、代表作や特徴的な作品を通し、西山の画風や画業全体についても解説を加える。価格の相場だけでなく、西山の画業自体について知りたい人にも、ぜひ参考にしてもらいたい。
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西山英雄とは
西山英雄は、京都府出身の日本画家である。力強い山岳風景を多く描き”山の画家”として知られた。京都学芸大学の教授を務めるなど、教育者としても活躍している。日展文部大臣賞や日本芸術院賞、京都市文化功労者などの受賞・顕彰の実績も豊富である。
京都日本画家協会理事長などを歴任した後、1989年に敗血症のため死去した。日本画家の西山翠嶂は、英雄の叔父にあたる。
西山英雄の作品の特徴を解説
西山作品を適正な価格で買い取ってもらうためには、売り手が西山の画業について理解している必要がある。結論をいうと、西山作品でもっとも特徴的なのは”荒々しい山の絵”である。
しかし、それにとどまらず”穏やかな風景”、”綺麗に整った絵”、”実験的なラフスケッチ”など、多彩な作品を残している。そのような西山の特徴を見てとれる11の作品を紹介していこう。
櫻島
昭和25年の第6回日展に発表した作品である。鹿児島県の有名な火山である桜島を描いたものだ。いかにも火山という印象の真っ赤な岩肌が印象的である。色合いだけでなく、画面全体に所狭しと描かれた山の圧迫感も、桜島という自然に対する畏怖の念を覚えさせる。
実際の桜島も、噴火するとこのように真っ赤に染まることがある。2018年11月にも4,000メートルを超える爆発的な噴火をしており、その写真を見ても山が赤く染まっていることがわかる。この西山の絵の迫力は決して脚色ではないのだ。そのような恐ろしさも伴う大自然の偉大さを描いた、西山らしい作品の1つといえる。
白馬岳
”櫻島”とはうって変わって、爽やかな山の絵である。槍ヶ岳と並んで日本アルプスの観光人気を二分する白馬岳だが、その人気にふさわしく万人に好まれそうな風景だ。山という素材が見せるさまざまな表情を描き分ける点も、西山英雄の日本画の特徴といえるだろう。日本画だが、水彩画のように柔らかく透明感のあるタッチも特徴だ。
竹生島夕景
琵琶湖に浮かぶ竹生島を描いたものだ。木版画であるため、日本画の他作品と比較して、くっきりした色と面が特徴である。古くから歌われてきた”朧月夜”などの童謡の一場面のように、穏やかな叙情性を感じさせる。
朝陽
海辺の岩礁の朝焼けを描いたものだ。太陽の赤と海の青が混ざり合い、紫色の海が描かれている。岩肌はゴツゴツとして力強く、空の赤さも加わって”櫻島”に近い雰囲気がある。一般的な朝日のイメージと違い”重苦しい”タッチだが、それは西山が常人よりも自然に対する強い畏怖を抱いていたためだと思われる。
岳
夜空に浮かぶ満月と、赤い山が描かれた作品だ。”櫻島”と非常に良く似ている。1つのこんもりとした山ではなく、山脈や連峰という言葉のイメージに近い、連なった山である。モチーフとなった山や山脈がどこのものかは不明だが、この赤色は火山のイメージではなく、山の迫力を強調するための色使いと考えられる。
春の長命寺
”竹生島夕景”のように、再びのどかな版画である。長命寺は西国三十三所に数えられる有名な寺院で、小高い丘の上の境内から琵琶湖を一望できる。色画用紙の切り絵にも似た雰囲気でシンプルに描かれた森と桜の木が、のどかな春の雰囲気を醸し出している。
吐魯香交河故城
これは吐魯香(トルファン)にある史跡の”交河故城”を描いたものだ。交河故城はユネスコの世界遺産リストにも登録されている。西山英雄の作品の中で、海外の風景を描いたものは少ないため、愛好家にとっては特に希少価値のある作品の1つといえるだろう。
綿秋比叡
秋の比叡山を描いた作品だ。綿秋(わたあき)とは、秋の中でも綿の実が熟する時期である。秋という季節をこのような言葉で表現すると、当時の綿職人や綿花農家の生活に思いをはせることができ、比叡山の景色もまた違ったものに見えるだろう。
赤富士
頂上部が赤く染まった富士山である。富士山の絵や写真には爽やかなものが多いが、それらの作品とは対照的な描き方だ。おそらく富士山が秘めている恐ろしい力を描いたものではなく、朝焼けを描いたものだろう。それでも、日本画という形式のためか、現代人から見ると重厚感や富士山に対する畏怖の念を抱かせる作品といえる。
このような、他の風景画家には見られない特徴が、西山作品の魅力の1つであろう。
北京天壇
中国北京の天壇という、有名な史跡を描いたものだ。これも先に紹介した”交河故城”と同じく、ユネスコ世界遺産に登録されている。西山作品の中でも特に個性が強いもので、色鉛筆によるラフデッサンのようにも見える。”これは完成品なのか”、と思う人もいるだろう。ピカソの絵などにもいえることだが”子供でも描ける”と感じる人もいるかもしれない。
賛否両論のある作品だろうが、西山英雄のファンにとっては逆に価値の高い作品の1つとなるだろう。手法も紙に水彩絵の具とパステルという、西山作品の中では珍しいものだ。写生で使うような画材であるため、現地でスケッチしてそのまま完成させた可能性も高い。西山の生の筆使いを感じられるという点でも、愛好家にとっては魅力的な作品であろう。
瀬田石山の名照
瀬田と石山は、いずれも滋賀県の地名である。瀬田には日本三大橋の1つに数えられる"瀬田唐橋"があり、近江八景では”瀬田の夕照”として知られている。おそらく、絵のタイトルもこの瀬田の夕照をイメージしたものだろう。絵としてはとにかく"綺麗"な作品である。まるでクオリティーの高いアニメ映画の背景のように小綺麗に描かれている。
”赤富士”のように荒々しい作品、”北京天壇”のようにラフで実験的な作品と合わせて見ると、あらためて西山が"何でも描ける"技術を持っていたことを実感できる。
西山英雄の作品の買取価格
西山作品の売却を考えるとき、一番気になるのは価格であろう。ここでは、業者による買取価格の参考となるデータとして、Web上での西山作品の価格を紹介する。データは2019年7月1日時点のものであることに留意されたい。
Yahoo!オークションにおける西山作品の落札価格
ヤフオクでも西山英雄の作品が多数出品され、落札されている。その中で価格が高いものを並べると下記のとおりだ。
- ・夕陽櫻島…121,000円
- ・阿蘇…82,000円
- ・八ヶ岳…47,945円
- ・緑映 深山頬白…46,000円
- ・早春の山…40,000円
上位20件はすべて13,000円以上で、そのうち半分程度は30,000円以上である。いずれも確定した落札価格だ。西山英雄は没後30年以上経過しているため、これらの金額は今後もしばらく継続する可能性が高い価値といえるだろう。
みぞえ画廊における西山作品の販売価格
福岡と東京にギャラリーをかまえるみぞえ画廊も、公式サイトで西山英雄の作品を販売している。鹿児島の有名な火山である桜島を描いた”櫻島”である。100万円という高額で、落款と印章に加え西山の直筆サインもある。通常価格は120万円の作品であるため、ほかの業者が売ったらさらに高くなる可能性もあるだろう。
西山英雄の日本画をより高く売るポイント
作品によっては100万円を超えるなど、中古市場でも高額でやり取りされている西山作品。何も考えずにそのまま売っても高く売れることが期待できるが、より高く売るためのポイントもある。ここではそのようなポイントを3つ解説していく。
多数の買取業者・画廊・古書店から査定を受ける
西山作品に限らず、絵画を高く売りたいのであれば、多くの業者の査定を受けることが必須である。業者を競争させることによって、より高い査定価格を提示してもらえるようになる。
”古書店”という候補が気になる人もいるかもしれない。画家によっては古書店での扱いがないこともあるが、西山英雄の場合は別である。2019年7月時点で、Web上でもっとも西山作品を販売している実績があるのは、山田書店という有名な古書店だ。
ほかにも古書店で西山英雄の作品を取り扱っているところは多い。このため、古書店も含めて多くの画廊や画商、絵画買取業者の査定を受けるべきなのである。
ネットオークションでの出品も検討してみる
もし業者の査定に納得できなければ、ヤフオクなどのネットオークションを使って、自ら販売するのも良いだろう。実際にヤフオクでは多くの西山作品が落札されている。買い手とのトラブルなどに注意が必要だが、そうした問題をクリアできれば良い選択肢である。
メルカリ・ラクマなどのフリマアプリも試してみる
西山英雄の絵を好む人々は、比較的年齢層が高い。そのためスマートフォン用のフリマアプリは、売却に役立たないと感じる人もいるだろう。しかし、西山と同世代の画家の作品も、これらのフリマアプリで出品されるようになっている。
まだ発展途上ではあるが、今後売り手も買い手も増えていく可能性が高いだろう。早い段階で競合となる出品者がいないうちに試してみるのも一興だ。
作品を売却するときのおすすめ買取業者
西山作品を高く売るためには、ここまで説明したポイントに加えて、良い業者を選ぶことが不可欠だ。ここでは、特に西山作品を高値で買い取ってくれると期待できる業者を3社紹介する。
総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
あらゆる絵画やアート作品を買い取る総合美術買取センターは、西山作品の売却でもおすすめできる。取り扱い作家一覧に西山英雄の名前はないが、名前がない画家でも同社は積極的に買取をしている。西山のジャンルである日本画は、同社が特に買取に力を入れている分野。西山ほどの知名度があれば、高額の査定をしてもらえる可能性もあるだろう。
山田書店
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
記事中でも紹介してきた、西山作品の販売実績が特に豊富な古書店である山田書店。少なくともネット上で確認できる情報の中では、同社の販売実績がトップといえる。同書店は店頭・宅配便・出張とさまざまな方法で買取に対応しているため、忙しい人でも査定を受けやすいだろう。
みぞえ画廊
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
西島の代表作の1つである”櫻島”が100万円で売られているみぞえ画廊。この記事の執筆時点で販売されている西山作品はこれだけだ。しかし、高額の作品でも買い手がつきやすい業者と考えられる。その点で、特に”櫻島”のような大作を売るときにおすすめしたい。
まとめ
Web上の販売価格などで西山作品の相場を紹介してきたが、やはり一番良いのは”業者の査定を受けること”だ。業者は実際にその価格で買い取るわけであり、ビジネスの成否や成功がかかった”もっとも率直な価格情報”といえる。
査定はメールやLINEなどあらゆる方法で受けられるため、手間もかからない。どの業者でも費用は無料であるため、一度気軽に試してみてはいかがだろうか。