日本でのスマートフォンの契約のうち、iPhoneのシェア数は半数近くにものぼる。iPhoneはどのようにして誕生したのだろうか。その制作秘話を紐解き、iPhoneの魅力に迫る。
タイトルなし / ttan_
▲人気のiPhoneは買取価格もずば抜けて高い
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初代iPhone誕生は2007年
Steve Jobs @ WWDC 2007 / acaben
iPhone誕生に関わる最も重要な人物といえば、Appleの元CEOであるApple製品の代名詞ともいえる故スティーブ・ジョブズである。ジョブズは、2005年に「タブレット端末のようにマルチタッチパネルを用い、ディスプレイに直接入力するデバイス」の着想をはじめた。それがiPhoneである。その後、モトローラ社とのコラボなどを経て、2007年1月のエキスポで「革命的な携帯電話」として発表。全世界が熱狂する中、同年6月29日にアメリカ合衆国で発売された。
SONY製品のデザインを参考にプロトタイプ製作
引用:iPhoneのデザイン、Sonyから着想か。─対Samsung裁判資料から明らかに
そのデザイン性はSONYを参考にしてつくられたものだと言われている。Samsung社とApple社の裁判の過程で明らかとなった設計初期段階の資料から、プロトタイプがSONY製品を模して造られていることがわかる。実際、スティーブジョブズがSONYのウォークマン、VAIOといった製品のデザイン性について絶賛していたことも周知の事実だ。
iPhoneの成功を支えた米アップル社の「秘密主義」
Apple Logo with Steve Jobs silhouette / ju5ti
iPhoneの標準ブラウザであるsafariを作成したTolmasky氏は、のちほどその作成秘話を語っている。いわく、iPhoneチームは他の開発チームと隔離されていて、情報が漏れないよう徹底されていたのだそうだ。
ソフトウェア側とハードウェア側のチームが更に細分化されており、ソフトウェア側が標準ブラウザ組とアプリ開発組に分けられた。それら製作チームに、ジョブズは週に二回のペースで激励に訪れたとのこと。ジョブズはあらゆる試作品や試作機能のレビューを行い、「iPhoneは魔法である必要がある。しかし、これは魔法と呼ぶには不十分だ!」と厳しく叱咤激励したと言う。
初代iPhoneの画面内キーボードはジョブズが試作品を気に入らず、1週間チーム全員にアイデアを練らせた結果のものだったという。それが出来上がるまで、ひたすら永遠にチームはキーボードのことだけを考え続けた。
米アップルの秘密主義は徹底されている。ジョブズは制作チームに、「スクリーン上のボタン、または画像の開発については、社外の人間を決して使うことのないように」と厳命していたそうだ。これは2012年にはじまった韓国サムスンとの特許訴訟で明かされたものだ。SamsungのGalaxyとAppleのiPhoneとの間で訴訟沙汰となったのも周知の事実だろう。いかに米アップル社、またはジョブズがiPhoneプロジェクトを大切に扱ってきたのかを垣間見ることができよう。
ジョブズの地図アプリへのこだわり
iPhoneがこれほどまでに成功を収めたのは、アプリの力も大きい。ジョブズはiPhoneを発表する数週間前に機能的な地図アプリを搭載することを希望し、制作チームはノンストップで開発にいそしんだ。知らない地へ行くとき、かつては重たい紙の地図を持ち歩いたものだ。目的地を探し出すまでに時間を要すだけではなく、地図がブラッシュアップされていない場合は実際の道や建物と地図の記載内容が異なることも多かった。
現在は、iPhoneさえあれば目的地へ間違いなく行くことが出来る。しかもより短時間で行けるルートを選ぶことも出来るし、道を逸れたら誘導をもしてくれる。いまや地図アプリはiPhoneユーザーにとってなくてはならないものの一つとなっている。あまり知られていないが、これもジョブズのひらめきのおかげなのだ。
天才・ジョブズのひらめきと開発者の奮闘
1977_wozniak_and_jobs / jamesjoel
よく世間で言われているように、ジョブズはいわゆる天才肌である。そのためか、Tolmasky氏に対しても、よく奇想天外で突拍子もない、まるで夢のような提案をしたのだという。ソフトウェア開発は数値をもとに現実に即して作成しなければならないから、現場は大変困惑したことだろう。
その最たるものが、タッチ操作のみで完結させることだというのは想像がつく。従来のコンピュータは、キーボードやマウスで操作をする。これをパネル操作のみで成し遂げられるよう開発するのは並大抵のことではなかったと実際開発チームの一人が語っている。
iPhoneの代名詞「ダブルタップ」制作秘話
iPhone 6 "one-handed mode" / Janitors
iPhoneを操作するうえで欠かせないのが「ダブルタップ」だ。iPhoneでサイトを閲覧した際、パソコン用に作成されたサイトはテキストの文字が小さくて読みにくい場合がある。そんなときダブルタップでズームすることで、ストレスなく快適に閲覧し、無理なく情報を入手することができる。
これは2013年に米アップル社を離れたもと副社長のフォーストール氏が開発チームに命じ、実現させたものだ。強力で他に類を見ない端末であるiPhoneにおいて、程いいサイズ感を割り出すため、ウェブサイトをダブルタップするとソフトにおいて自動的にスクリーンの中央に表示するように改良されたのだった。本日快適にiPhoneでウェブクルーズができているのは、この「ダブルタップ」の力が大きいといえるだろう。
おわりに
The new Apple iPhone / Victor Svensson
最も新しいiPhoneはiOS 8を搭載したiPhone 6 Plusだ。iPhoneシリーズ第8世代目のこの機種は画面が従来のiPhoneと比べてワイドになっている。表示する情報量も多く、コントラスト比が向上しているためはっきりと黒を表示できるようになった。2005年のジョブズの着想から10年、ますますiPhoneは進化しつづけている。