引き伸ばし機の中古買取相場・査定情報まとめ

デジタルカメラが主流の現代では、引き伸ばし機はほとんど見られなくなった。それだけに、新品の製品が入手しづらく、逆に中古品の価値が高まる現象も一部で見られる。

引き伸ばし機の買取相場や、高値での買取が期待できる業者を知った上で売りに出せば、想像以上の高額で売れることもあり得るだろう。この記事ではそのような高値で引き伸ばし機を売却することにつながる情報をまとめていく。

引き伸ばし機とは

引き伸ばし機は、写真フィルムの像を拡大して現像するための機械である。写真フィルムは子どもの手の平にも納まるサイズだが、そこから現像される写真は圧倒的に大きい。これは引き伸ばし機を使っているからだ。

古い時代のカメラは、フィルムと写真のサイズが一致していた。しかし、これではフィルムを大きくするか、写真を小さくするしかない。いずれにしても不便なため、小さなフィルムを大きな写真に引き伸ばす機械が必要になった。そうした経緯で生まれたのが引き伸ばし機である。

現代のカメラはデジタルが主流になっており、引き伸ばし機が必要とされる場面は少ない。しかし、今でもフィルムからの現像にこだわる愛好家の間では需要がある。

Yahooオークションでの落札相場

愛好家向けのアイテムである引き伸ばし機は、年代にも状態にもバラつきが多い。このため大体いくらで売れるという相場は決まっていないのが現状だ。そのため、ネットオークションなどで実際に取引された価格を参考にするのがいいだろう。

ここでは、そのネットオークションの中でも代表格といえるヤフオク! で、実際に落札された引き伸ばし機の価格を紹介していく。データはすべて2019年7月31日時点のものである。

ベセラー（アメリカ製）

即決価格は 250,000円で、出品から5日後にその価格で落札された。出品者の希望どおりの価格で売れた理由は、下記の点にあると想像できる。

• ・新品価格がわかる（83.5万円）
• ・その価格もメーカーのカタログで確かめられる
• ・バイテンヘッドがある引き伸ばし機は希少である
• ・商品説明にマイナスの内容が書かれていない
• ・出品者がこの引き伸ばし機でプリントした作品を、ニコンサロンに展示した実績がある

マイナスの内容がないという点については、現実に悪い点があるなら書かなくてはならない。おそらく、実際に悪い部分がないため書かなかったのだと推測できる。そのような状態の良さに加え、新品価格が明瞭であること、希少なアイテムであることなどが高く評価された理由だろう。出品者自身が写真の展示実績を持っている点も、情報の信頼性につながったと考えられる。

ライカ フォコマート 2c

ドイツ語表記では LEITZ WETZLAR FOCOMAT 2c となる。即決価格は242,000円だったが、実際に売れた価格はその半分程度の 129,777円である。それでも、2019年7月31日時点で、過去にヤフオクで落札された引き伸ばし機の中では、2番目に高い価格だ。商品説明を見る限り、即決価格に満たなかった理由は下記の点にあると思われる。

• ・実際の引き伸ばしができるかまでは確認していない
• ・ノークレーム、ノーリターン
• ・傷やサビ、汚れやレンズのくもりなどが随所にある
• ・自ら組み立てる必要がある
• ・マニュアルは英語とドイツ語しかない

説明には傷などがあると書かれているが、写真を見る限りは相当な美品である。マイナスになったのは、おそらく日本語のマニュアルがないなどの点だろう。上級者向けの商品と思われ、お金はあっても入札を躊躇する初心者・中級者がいたと想像できる。

海外出品者による販売・出品価格

現代では、引き伸ばし機も国境を超えて売買されている。こうした売買で利用される国内サイトの1つがセカイモンである。同サイトでは2019年7月31日時点で、アメリカの出品者によって、引き伸ばし機が出品されている。国境を超えた相場を知る上で、参考になるデータであろう。

出品されているのはベセラー・ユニバーサル45（Beseler Universal 45）である。商品価格は37,371円で、米国内の配送料と国際送料、セカイモンの手数料などで合計56,878円となる。アメリカで直接買うとしたら37,371円になるわけだが、そこから持ち帰るにも送料がかかる。

また、日本国内で同じものが売られていたらレア物として、37,371円より高い価格になるだろう。そのため、このユニバーサル45とまったく同じ商品が日本で売られていた場合、上記のセカイモンの価格に近づく可能性が高いといえる。これが販売価格の目安となるため、そこから業者の利益を引いた金額が買取価格になると考えるといい。

リサイクルショップによる買取価格の実例

愛知県一宮市で営業するリサイクルショップ アッパー・一宮店は、過去にモノクロ引き伸ばし機を買い取った事例を公開している。その情報を見ると、下記の条件で買い取られたことがわかる。

• ・買取価格…10,000円
• ・商品内容…モノクロ引き伸ばし機
• ・メーカー…LPL
• ・商品状態…C（難あり）

10,000円と少々安い価格になっているのは、商品状態が悪かったためだろう。また、カラーでなくモノクロ限定という点でも、不利になった可能性が考えられる。

引き伸ばし機を高値で売るためのポイント

下記の点を押さえて査定に臨むと、引き伸ばし機をより高い値段で売りやすくなるだろう。

• ・引き伸ばし機の買取に積極的な業者を事前に選別する
• ・それらの業者の中から、できるだけ多くの査定を受ける
• ・査定に役立つ情報はすべて伝える
• ・付属品はすべてそろえておく
• ・商品をよく磨いておく
• ・店舗買取や訪問買取の場合は、身だしなみにも気を使う
• ・ネットオークションで自ら売ることも考える
• ・メルカリやラクマなどのフリマアプリも試してみる

引き伸ばし機の買取に積極的な業者や、査定で伝えるべき情報については、当記事の別段楽を参考にしてほしい。

引き伸ばし機の査定時に業者に伝える情報

多くの買取業者が、電話・メール・LINEなどでの簡易査定に対応している。このときは写真と情報で査定をするわけだが、どんな情報を業者がほしがるかを知っているとスムーズだ。ここでは、引き伸ばし機の査定で業者が求める情報をまとめる。

引き伸ばし機特有のチェックポイント

まず、引き伸ばし機の査定で特有のチェックポイントの一部を書き出すと、下記のとおりだ。

• ・適応フィルムサイズ
• ・レンズの状態（曇り・キズがないか）
• ・ハロゲンランプの状態（割れ・切れがないか）
• ・付属品があるか（引伸電球・ダストカバーなど）

他にも商品や状態によって確認するべきポイントが変わるが、上記の4点は多くの商品でチェックされると考えていい。

暗室用品全般でチェックされるポイント

引き伸ばし機は暗室用品である。このジャンルの商品全般でチェックされるポイントは下のとおりだ。

• ・ケーブルの断線などがないか
• ・ファンやフィルターが劣化していないか
• ・シリンダ・スパナなどのパーツがそろっているか
• ・パッドのサイズはどれくらいか

これらの内容は、引き伸ばし機の商品によって当てはまるものもあれば、当てはまらないものもある。自ら写真の現像をするほどの人なら、自身が持つ商品で該当するかどうかがわかるだろう。

買った本人でない家族などではわからないことが多いと考えられる。その場合は説明書などを見ながらチェックしてほしい。ゼロからすべて業者に問い合わせると、業者から引き伸ばし機の価値がわかっていない素人と思われてしまう恐れがあるためだ。

その他、どんな商品でも共通するチェックポイントとして、購入時期や使用期間、これまでの使用状況などがある。役立ちそうな状況はすべて整理してから、査定に臨むといいだろう。

高値を期待できる買取業者

実際に引き伸ばし機を売るにあたって、特に気になるのは高く買ってくれる業者はどこかだろう。ここでは、特に引き伸ばし機を積極的に買い取っている4つの業者を紹介する。

マップカメラ

マップカメラは、デジカメ・交換レンズの通販と買取を主におこなっている業者だ。さまざまな商品について個別の買取見積ページを用意している。

引き伸ばし機については、たとえばLPL コンデンサー引伸機 6600のページがある。ここで商品コンディションを、下記の選択肢から選ぶだけで、買取金額の目安が出るようになっている。商品コンディションの選択肢は下記のとおりだ。

• ・新同品（新品同様の意味）
• ・美品
• ・良品
• ・並品
• ・難有品
• ・ジャンク品

調査時点ではこの商品についての買取は積極的におこなっていないようで、どのコンディションを選択しても目安金額が表示されなかった。しかし、このように個別の引き伸ばし機の商品名を指定し、簡易査定のページをわざわざ作っているというだけでも大きい。同業他社と比較して、引き伸ばし機の買取に積極的であると期待していいだろう。

株式会社エコランド

同社は名前どおりカメラの専門店ではない。総合型のリサイクルショップである。しかし、業務用品の買取を積極的におこなっており、そのラインナップの1つとして引き伸ばし機などの暗室用品がある。

同社の買取で評価できる点は、査定時に伝えてほしい情報を詳しく説明している点だ。引き伸ばし機を含めた暗室用品全般で、知りたい情報を詳しくまとめている。当記事で説明している査定で伝えるべき情報も、同社のページを参考にしたものだ。

このように査定に関する正確な情報を発信している業者は、簡易査定の段階でもかなり精度の高い価格が出る可能性が高い。いざ店舗に持ち込んでから価格が大きく下がったという問題が起きにくいと考えられるわけだ。

同社の無料査定は電話・メール・FAXの3通りでできる。特にFAXによる査定を受けられるのは、パソコンが苦手な世代のユーザーにとっては便利な点であろう。

株式会社スリースター商会

同社は、暗室用品・引き伸ばし機の買取で、専用のページを開設している。特に調査時点で強化買取をしている引き伸ばし機は、下記のメーカーのものだ。

• ・BESELER(ベセラー)
• ・LPL（エルピーエル）
• ・DURST（ダースト）
• ・LUCKY（ラッキー）

FUJIFILM（富士フィルム）の商品については、2017年9月以降全機種買取不可となっている。しかしページ中にFUJIの名前は出ているため、無料での引取りなら対応してもらえる可能性がある。同社は引き伸ばし機の買取の条件が多様で、ネガキャリア単品・ヘッド単品などの条件でも買い取ることが明記されている。

またライカフォコマート 2012年1月買取というように、買い取った品物と時期の情報も記載されている。情報の更新が2013年で止まってしまっているのは少々残念だが、引き伸ばし機の買取に関して、特に多くの情報を発信している業者といえるだろう。

カメラのリサマイ

同社はカメラ買取の専門店で引き伸ばし機のような現像用品も扱っており、実際の買取実績もホームページで見られる。たとえばLUCKY引伸機・90M-Dクラシックを買い取った情報などを、詳しく見ることが可能だ。同商品については、シリアルナンバーや最高全長・収納高さなどのデータが詳細に記されている。また、各部の状態を鮮明に撮影した写真もアップされている。

こうして熱心に引き伸ばし機を買い取ろうとしている業者であるため、買取の価格も期待できるだろう。同社では出張買取・店舗買取・宅配買取と、3つの方法を選択できる。このため、忙しくて引き伸ばし機を売る時間をとれない人でも、売却しやすいといえるだろう。

まとめ

ヤフオク!などを参考に引き伸ばし機の買取相場を紹介してきた。しかし、引き伸ばし機は個別性が高い製品であるため、実際の買取価格は自ら査定を受けてみなければわからないものだ。そもそもの製品のスペックや状態、製品の魅力を見抜く業者の力量などあらゆる条件で価格が変わる。まずは一括査定などで複数の業者の査定を受け、自身が持っている引き伸ばし機の価値を確認してみてはいかがだろうか。