ドラム式洗濯機は基本的に洗濯から乾燥までの作業がワンセットになっているものが多い。そのため、洗濯にかかる作業の内、どれか一つでも不調を起こしてしまうと、洗濯機自体が使えないということになってしまう。特に「脱水」は、すすぎと乾燥に必要不可欠な作業だ。
今回は、ドラム式洗濯機の脱水ができない、終わらないといった不調への対処方法と、故障した場合の修理費用について解説していく。

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ドラム式洗濯機の脱水ができない原因と対処方法
ここでは、ドラム式洗濯機の脱水ができない原因と対処方法を解説していく。もしどの対処方法を試してもダメな場合は、修理が必要になる為、次の項まで飛ばしてお読み頂きたい。
洗濯物が偏ってしまっている
ドラム式も、縦型式も、脱水時に洗濯物が一部分に偏ってしまうと、遠心分離の法則により、一方向に負荷がかかってしまう。洗濯機の脱水時には1分間に1000回転以上の高速で回転するため、負荷がより大きくなりやすい。
負荷がかかると、洗濯機とドラムをつないでいるストッパーが外れる可能性が高くなる為、自動制御が働き、脱水ができないという状態になるのだ。
洗濯機の種類にもよるが、音声でエラー表示をしてくれるものと、エラー記号によって、脱水ができない原因が表示されるものなどがある。
対処方法は2通りで、「洗濯物の偏りを直す」もしくは「洗濯物の容量を減らす」方法がある。「洗濯物の偏りを直す」のは至って簡単で、洗濯槽の中にある洗濯物を広げ、一部分に負荷がかからない(負荷のかかる部分を広げて薄くする)ようにするだけだ。
バスタオルやセーターなど、水分を含みやすい洗濯物が一か所に固まってしまうことでエラーが起きているため、面積の広いものほど大きく広げて負荷を軽減させる。
「洗濯物の容量を減らす」は、偏りを直すことと原理は一緒だ。水分を含みやすい洗濯物を取り出し、容量自体を減らして負荷を軽減することだ。できれば、偏りを直しながら、容量を減らした方が確実に直すことができるだろう。
結構見逃しがちなのが「洗濯ネットに入った下着類」だ。洗濯ネットは100円ショップなどで簡単に手に入り、大きなサイズのものを使っている人も多いだろう。そこで注意してほしいのは、ブラジャーをまとめて洗濯ネットに入れて洗濯している場合だ。
ブラジャーは、乳房を守る緩衝材に、スポンジなどが使われている。このスポンジに水が多く含まれ、予想以上にずしりと重くなることがある。この重さが脱水時の負荷をかけている原因にもなっているのだ。
洗濯ものを減らしても脱水不良が起きるというときには、洗濯ネットに入ったブラジャーを小さな洗濯ネットに分けて脱水することをおすすめする。
排水不良が起こっている
脱水機能の特徴として、洗濯槽に残っている汚水(洗浄液やすすぎにつかった水のこと)を全て排出しないと、脱水機能が働かないようになっている。
排水に不備があると、脱水が行われず、故障と勘違いしてしまうことが多い。排水不良には大きく分けて2通りの対処方法がある。「排水ホース内の洗浄」と「排水口の清掃」だ。どちらに不備があるのかは、排水口を見ればわかる。
排水口に流れてくる汚水が「少なく長い」場合は、排水ホース内に汚れが詰まっていて、排水を阻害しているということになる。排水口に流れてくる汚水の量が普通程度で、排水口周辺の水が流れていかない場合は、排水口の内部に原因がある。どちらも洗濯機に備わっている排水センサーに反応するエラーだ。
排水ホース内の汚れを取る為には、一度排水ホースを洗濯機から取り外す必要がある。この時、一気に外してしまうと、排水ホースから洗濯槽内に残っている汚水が一気に流れ出してくるため、ホースを外す際には、洗面器やバケツなどを置いて、水が流れても汚れないようにしておくことをおすすめする。
ホースを外したら、ホースを直線に置き、内部をのぞき込んでみよう。汚れが詰まっているのであれば、目視で確認できるはずだ。汚れのほとんどは洗濯洗剤のため、お湯を流すことで溶けて流れていく。
どうしても流れていかないのであれば、熱湯を通して洗剤カスを溶かしてから流水で一気に汚れを流してしまおう。汚れが取れたら、再度排水ホースを洗濯機に取り付け、脱水を再開すればいいだけだ。
排水口周辺の汚れは、場合によっては水道業者を呼ぶ必要がある。自分でできなくはないが、ホームセンターなどで排水パイプ洗浄用のブラシなどを購入しなくてはならない。
排水パイプ洗浄用のブラシは、ワイヤー式で先端にブラシが付いているものや、キッチンで使う泡立て器のような加工がしてあるものなどがある。ブラシのものは、パイプ内部の汚れの除去に適しているが、髪の毛などの固形化しているものを取り除くのにはあまり向いていない。
固形化しているゴミを取り除くのであれば、泡立て器のような加工をしてあるものを使おう。昔は、別々になっているものがほとんどだったが、現在は、先端だけを取り換えられるようになっているものもある。
使い方は簡単で、排水パイプからワイヤーを通して汚れ部分に行きつくまで伸ばしていく。汚れに突き当たったら(進みが悪くなったら)、ワイヤーを回転させて汚れを除去するだけだ。汚れが取れた確認は、排水口に直接バケツなどで水を流して、つまりが無いかチェックすれば完了だ。
ちなみにホースにも排水口にも問題がないが、排水不良が原因になっている場合は、業者を呼んで修理依頼することをおすすめする。
洗濯機自体を分解しないと、排水ホースが繋がっている洗濯機側の排水口に付着した汚れが除去できないからだ。縦型式洗濯機と違い、ドラム式洗濯機は多くの機能が含まれている。そのため、素人が簡単に分解してしまうと、元に戻せなくなってしまうことがあるからだ。
メーカー保証や、購入した量販店の保険などを使えば、無料で修理をすることができるが、保証などが無い場合には、専門の業者で、大体20,000円~30,000円の修理費用が発生することを覚えておこう。
洗濯機の設置面がずれている
排水の場所などの問題で、かさ上げをしている場合に起こりやすい現象だ。排水パンがある家庭ではあまり見られないが、排水パイプを浴室まで伸ばさないと使えない家庭(特に賃貸住宅に多い)は、かさ上げしている土台の傾斜を確認しよう。
遠心力で脱水を行なうため、設置面にずれがあると、水平センサーが反応して、脱水ができないというケースがある。他にも、洗濯機に付着する水滴が床に落ちて、フローリング材などが陥没などをしている場合にも注意が必要だ。
ホームセンターなどで販売されているコンクリートブロックなどを敷き、水平器を使って水平になっているかをチェックしよう。洗濯機の種類によっては、水平器が洗濯機に付いている場合もある。
給水不良
排水だけでなく、給水不良も脱水ができなくなる原因の一つだ。ちなみに給水不良の場合は、洗濯機全体の機能が停止する。
脱水中に給水不良が起こっている場合は、洗濯機に繋がっている給水ホースの外れや、水道の蛇口が止まっていないか、外部で水道工事による断水などが起こっていないかを確認しよう。
給水ホースは外れるだけでなく、経年劣化により破損している場合もある。メーカーの純正品ではなくとも、全機種対応の給水ホースが2,000円前後で売られているため、そちらを使ったほうが経済的だ。
給水が滞りなくできるようになれば、自然に脱水作業も再開される。
洗濯機の制御装置に負荷がかかっている
スマホやパソコンでも動きが鈍くなると、一度電源を落として再起動させることがある。その理由は、システムが過剰な負荷によってオーバーヒートしている状態だからだ。昔の洗濯機と違い、ドラム式洗濯機は内蔵されているコンピューターが制御を管理している。
そのため、先ほど挙げた「偏り」や、「排水不良」、「給水不良」、「設置面の水平」などの問題を検知したら、自動で洗濯機自体を止めているのだ。
洗濯機の偏りを何度も直していると、システムに負荷がかかり、脱水どころか洗濯機自体がストップしてしまうことがある。それを直すためには、スマホやパソコンと同じように再起動させなくてはならない。
再起動させる方法は、一度電源プラグを抜いてから、5分以上電気を通さない状態を作り、その後でまた電源プラグを入れて、電気を通すだけでいい。洗濯機以外の家電製品でも起こり得る現象のため、この「再起動」は覚えておくといいだろう。

ドラム式洗濯機の修理費用
メーカーの取り扱い説明書に記載してある対処方法「故障かな?と思ったら」を試しても、脱水不良が治らない場合は、部品交換や、専門技術が必要な修理が必要になる。ここでは、ドラム式洗濯機の脱水不良に伴う修理例とその費用について解説していく。
メーカー修理
修理にも種類があり、特殊な技術が必要なものと、洗濯機の部品自体を交換しないといけないものがある。部品の価格によっても値段が違ってくるため、平均していくらという数字が異なる。
パナソニックを例にしてみよう。パナソニックは保証期間内の修理であれば、全て無料で修理が可能だ。部品交換や技術料なども、費用が発生しない。
しかし保証期間が過ぎている場合には、以下の料金が発生する。
- 「修理サービス料」…技術料と、部品交換があった場合の部品代だ。部品交換が無ければ、技術料のみが発生する。
- 「出張サービス料」…自宅まで修理業者が来てくれるので、便利ではあるが修理サービスを行なっている営業所からの距離によって金額が変わってくる。20Km以内であれば、2,500円だが、それ以上の距離になると加算される。
- 「往復配送サービス料」…要は発送費用のことだ。出張ではなく、自宅から専門の業者を使って故障した洗濯機をメーカーの修理専門の営業所へ送り、修理を行なってから返送される。この時の配送料が往復配送サービス料だ。住んでいる場所によっては、高額になる場合もある。
パナソニックの公式サイトでは、故障状況により、修理代金の目安を表示してくれるサービスがある。
「脱水しない」という所を選択して「診断結果」をクリックすると、大まかな修理費用が出てくる。パナソニックの人気ドラム式洗濯機「NA-VL9800-L」で仮診断をしてみると、48,000円という修理目安になった。
出張費用や、配送費用は含まれていないので、トータルで考えると60,000円弱の修理費用が発生するということになる。
民間修理業者による修理
メーカーの修理費用は基本的に高額だ。部品も純正の物を使用することもあるが、何より技術料が高い。もちろんメーカーの修理には、修理後の保証も付いているため、まったくメリットが無いというわけではないが、修理費用にそれほどお金を払えないという場合には、民間の修理業者を検討してみてはいかがだろうか。
修理業者といっても、要はメーカーの代理店的な電器屋さんのことだ。街の電器屋さんは、基本的に販売と修理の両方を行なっている場合が多い。そのため、購入したお店ではなくても、修理ができる場合もある。
パナソニックなどの有名メーカーの場合は、純正部品の取り寄せなども対応しており、メーカー修理とさほど変わらないクオリティで修理してもらえる。しかも、民間の修理業者は、メーカー修理よりも技術料が格段に安い。業者にもよるが、出張費用込み30,000円以下の値段でやってもらえることもある。
街の電器屋さんの強みは何と言っても地域密着型なことだろう。街の電器屋さんは、販売による利益よりも、修理などのアフターサービスの利益の方が高い。
そのため、お客さんに気に入ってもらえなければ、仕事がもらえないのが現状だ。メーカーよりも修理費用が安いのは、こうした長期的に修理関係で仕事をもらうために必要なサービスの一環でもある。
メーカーの修理費用概算
メーカー修理は、メーカーやタイプによっても値段は変わる。ここではメーカー修理の費用のおおよその値段をまとめていくので、修理検討の材料にして頂きたい。
- ・排水ホースの交換…10,000円前後
- ・脱水できない場合の部品交換
- 蓋センサーやロックセンサーの交換…10,000円前後
- 駆動部分の交換…20,000円前後
- 乾燥機付き洗濯機の駆動部分の交換…30,000円前後
- ・給排水できない場合の部品交換
- 給水弁、排水弁の交換…15,000円前後
- 制御基板の交換…15,000円前後
メーカーや年式によっても変わってくるため、全ての部品が上記の値段とは限らないが、おおよその値段の目安としてほしい。

まとめ
ドラム式洗濯機は利便性が高く、節水や節電という観点からも、一度ドラム式を使うと縦型式洗濯機に戻るのは難しいという人も多い。
しかし、致命的な弱点として、縦型式洗濯機に比べて「埃」が溜まりやすいということがある。日々のクリーニングはもちろん、メーカー推奨の手入れを洗濯作業のルーティンの中に組み込めば、故障が起こることなく長い期間使用できる可能性が高くなる。
値段が高いドラム式洗濯機だからこそ、大事に使って余計な出費を抑えることが重要だということだ。

