ドラム式洗濯機。洗濯はもちろん、乾燥もかねている場合が多い。その一連の作業の中心にあるのが、名称にもなっている「ドラム」だ。このドラムが動かないと、洗濯や乾燥といった作業自体ができなくなってしまう。
今回は、ドラム式洗濯機のドラムが回らないときの対処法と、修理に出したときに発生する費用について解説していく。本当に修理が必要なのか?それとも自分の力でエラーに対応できるのか?それらのことも踏まえて説明していく。

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ドラム式洗濯機のドラムが回らない原因と対処方法と修理費用
ドラム式洗濯機のドラムが回らない原因と対処方法について解説していく。現在のドラムがどんな状態なのかということと照らし合わせて、ドラムが回らない症状の改善に役立てて頂きたい。
蓋の開閉によるエラー
ドラム式洗濯機の稼働中にドラムの回転がストップする理由の一つとして、「蓋の開閉」が挙げられる。ドラム式洗濯機はもちろんだが、縦型式洗濯機でも同様のエラーは起こる。
原因
蓋を閉めたと思っていても、洗濯物が蓋の間に挟まり、蓋ロックが不完全な状態になっていることがある。この不完全な蓋ロックの状態をドラム式洗濯機全体の動きを制御する部分が検知して、ドラムが自動的に止まってしまうのだ。
対処法
蓋をもう一度開いて、きちんと洗濯物をドラム内に入れ、蓋をしっかり閉め直すだけで解決する。
しかし、蓋を閉めていても再度ドラムが自動的にストップしてしまうのではあれば、蓋部分の開閉センサーが故障している、もしくは反応が悪くなっているケースも考えられる。そういった場合は、修理が必要で、蓋自体を交換するか、蓋の開閉センサーを交換、もしくは修理する必要がある。
修理費用
メーカーごと、型番ごとに修理費用は異なる。パナソニックのVXシリーズの場合では、16,000円~35,000円と修理内容によって大きく異なっていた。他にもシャープのES-Zシリーズでの蓋エラーは32,000円~40,000円と、高額な修理費用が発生してしまう。
また、修理費用以外にも、出張修理の場合や、配送修理(メーカーに製品を送って修理して返送してもらう)の場合でサービス料が異なっていく。自分の住んでいる地域にサービス店(代理店など)が無い場合には、距離に応じて出張料が変わることも覚えておこう。
洗濯物の偏りによるエラー
洗濯物が一方向に偏ってしまうことで、ドラムに負荷がかかって、ドラム自体が動かなくなるエラーだ。水分を含みやすい洗濯物を大量にドラム内に入れている場合などに多い。
原因
ドラム式洗濯機の洗浄と脱水、乾燥で使われる原理は「遠心分離の法則」だ。
洗浄時には、遠心力の働きによってドラム内で洗濯物を上下させて「たたき洗い」が行われる。脱水時も同様で、遠心力の効果でドラム内部に洗濯物を押し付け、その圧力によって水分を絞るのが脱水だ。乾燥も洗浄の時同様に、ドラム内で洗濯物を上下に動かし、ヒートポンプで作られた熱風などによって乾燥を行なっている。
これら一連の動きを司っているのが、「遠心力」である。
一方向に洗濯物が固まってしまうと、ドラムを回す元となる、支柱部分やモーターの軸などに負担をかけてしまうことに繋がり、故障の原因にもなってしまう。
対処法
一度ドラム内にある洗濯物を取り出して、再度洗浄や脱水などを行なうか、一方向に固まった洗濯物を広げ、遠心力を分散させることで直る場合が多い。
これらの対処を行なっても、まだエラーが直らない場合、ドラムの元である支柱や、モーターの軸が故障しているか、遠心力を制御するセンサーなどが詰まっている制御基板が故障している可能性が高い。そうなると、一度止まってしまった洗濯機は修理するまで、どんな洗濯作業も行うことができない為、すぐに修理を依頼するしかない。
修理費用
ドラムの支柱やモーターの修理は、ドラム式洗濯機の核となる部分であるため、メーカーや型式にもよるが、かなりの高額になってしまう。
パナソニックVXシリーズの場合では48,000円、日立で22,000円(修理費用の中で最も高額)となっていた。それぞれのメーカーごとに値段が違うが、修理項目の中では最も高価な修理になるということを覚えておいてほしい。
設置面の傾きによるエラー
ドラム式洗濯機も縦型式洗濯機も、設置する面が傾いている場所や、不安定な場所になるとドラムや洗濯槽が回転しなくなるエラーだ。屋内外の平地ではない場所で使用している場合に起こりやすい。
原因
ドラム式洗濯機も縦型式洗濯機も、基本的には遠心力で洗濯を行なうのは先ほども述べた通りだ。この遠心力は、水平と垂直というバランスの上で最大限の効果を発揮する。
ドラム式洗濯機の遠心力は、円を縦に描くようにしてかかっている。縦型式洗濯機は、円を横に(平地に描くように)描くようにかかっている。この時、設置面が水平を保たれていないと、本来かかっている遠心力のパワーの向きが、予期しない方向にかかってしまう。
バラエティ番組などでもたまに見られるが、洗濯機の稼働中に洗濯機本体を倒してしまうと、ドラムの遠心力に合わせて、洗濯機が大暴れしてしまう。ドラム式洗濯機は、制御基板が水平のバランスを管理しているため、水平が保たれていないとドラム自体にロックがかかってしまうこともある。
対処法
基本的に平地面に置くか、水平になるように、洗濯機の足部分などの設置面に木材などを噛ませたりする方法で直るが、水平が保たれているのに、ドラムが回転しない場合は、制御基板のバランサーが故障していることが考えられる。
制御基板が故障すると、ドラムが回らなくなるだけでなく、給水が止まらなくなってしまったり、排水ボタンを押しても、洗濯に使った水が排水されなかったりなど、多くの不具合を同時多発的に起こしてしまうのが特徴だ。
制御基板を自力で修理するのは専門業者でもない限りは不可能なので、すぐに修理依頼をしなくてはいけない。
修理費用
制御基板の交換や修理にかかる費用は、パナソニックで46,000円、日立で13,000円~15,000円などメーカーによって異なる。交換の場合はそれ以上になることがほとんどだ。
しかも家電製品の交換用パーツの保管期限は、発売してから7年間としている企業が多いため、2010年より前のドラム式洗濯機は、修理費用が高くなってしまったり、修理自体ができなかったりする場合もある。
そうなると、メーカーでは対応できないため、民間の修理専門業者に頼るしかない。民間の修理業者は、基板交換になると、同じメーカーの同じようなタイプで互換性のある基盤と交換するという方法で修理を行う。
ただし、修理業者がその基盤を持っていればの話だ。持っていなければ、洗濯機自体を交換しなくてはならなくなってしまうことを覚えておこう。
ドラム内への異物混入によるエラー
洗濯物のポケットの中にある小銭や、ねじなどの細かい金属欠片が、ドラムの隙間を通って駆動部に異常を与えるエラーだ。
原因
細かい金属片などは、ドラムに空いている小さな孔を通りやすい。そしてその小さな孔から、ドラムの駆動部であるモーター(パルセーター)などに異常を与えてしまうことが原因だ。細かい物ほど影響を与えやすく、どこに異常があるのかがわかりづらいのも異物混入エラーの特徴の一つだろう。
対処法
異物混入によるエラーの対処は、洗濯機を分解して異物を撤去するしか方法がない。構造が複雑なドラ式洗濯機は、自分で分解することはできても、改めて組み立てるとなると、かなり特殊な技術が必要となる場合が多い。
すぐ取り出せる位置に異物がある場合は、100円ショップなどに売っている、マグネットキャッチャーや、先端が細くなっているトングなどを使うことをおすすめする。できれば分解しないで異物を取り出せた方がいいが、取り出している最中に、異物が違う場所に落下してしまい、違う箇所が不調になってしまう場合もある。
修理費用
メーカーが発表している修理費用概算には、異物混入に伴う分解作業は含まれていなかった。
パナソニックの代理店でもある町の電気屋さんに聞いてみると、分解しての異物除去は、ドラム式洗濯機の場合、分解作業にかかった時間に応じて作業費用が変わるようだ。地域によって、技術者の最低作業費用が異なる為、概算はまちまちだが、大体5,000円~10,000円程度が相場のようだ。
給排水エラー
洗濯を行なう際に必ず使うのが「水」だ。水が入っていない状態でドラムを回すことは基本的にできない。この水に関するエラーも、ドラム式洗濯機のドラム部分が動かない原因の一つになっている場合がある。
原因
給水不良と排水不良の2種類があるが、どちらのエラーも不良部分は共通していることが多い。不良部分で共通している代表として「給水弁、排水弁の不良」が挙げられる。
この「弁」とは、給排水時に水が逆流しないようになっている「蓋」のことで、この弁の開閉によって、給水や排水が行われている。この弁が故障や破損をしてしまうと、弁不良となってしまい、制御盤でエラー表示が出る。
弁不良の主な原因は、「老朽化」や、「異物などによる衝撃での破損」だ。破損は洗濯機の転倒などでも起こる。しかも表に見えない部分なので、エラー表示が無ければ、何が原因のエラーなのか判別しにくいのが特徴だ。
また、弁ではないが、排水口のつまりによっても、洗濯機自体が動かなくなってしまうことがある。
対処法
弁不良に関しては、自力で直すことができないため、専門業者やメーカーでの修理依頼が必要になる。自分で弁パーツを取り寄せて交換することもできなくはないが、専門業者にやってもらった方が確実だろう。
排水口のつまりに関しては、自分で対処することができる。排水ホースを外して、排水口付近にある埃やごみを除去するだけだ。洗濯機本体の排水口に埃やごみなどが溜まっている場合には、分解作業が必要になる場合もある為、つまりが起こっている場所によって、自分でやるか、業者に任せるかの判断をすればいいだろう。
修理費用
給排水の弁交換や修理は、パナソニックの場合では、給水が15,000円前後、排水が9,000円前後で済ませられる。また専門業者の排水口清掃は、業者にもよるが、大体15,000円~20,000円前後と幅が広い。
安ければ、10,000円以内で作業をしてくれる業者もある。一番便利なのは、街の電器屋さんだろう。付き合いが長ければお得意さん価格で対応してもらえる他、定期的なメンテナンスの方法などについてもアドバイスしてもらえることが多い。
駆動ベルトの劣化よるエラー
ドラムを回している駆動ベルトの劣化によるエラーだ。このエラーの時には、ドラムを回している駆動部分の作動音は鳴っているが、肝心のドラムが回っていないという状態のときに考えられるエラーだ。
原因
駆動ベルトとは、車のファンベルト同様に、機械の心臓部からパワーを伝達するのが役割だ。車の車検で、ファンベルトに異常が見つかった場合、すぐに新しいものに交換するのが基本だ。洗濯機も同様で、駆動ベルトの劣化は、すぐに交換しないと、洗濯機自体が動かすことができなくなってしまう。
駆動ベルトが劣化する原因は、「経年劣化」がほとんどだろう。稀にあるのが、異物混入による駆動ベルトの破損だ。
対処法
先ほど挙げた原因である「経年劣化」と「異物混入が原因の破損」は、どちらにせよ、駆動ベルトを新しいものに交換しないと直すことができない。
メーカーで予備の駆動ベルトを扱っていることも多いが、基本的には出張サービスによる修理がほとんどだろう。洗濯機を分解して、問題の駆動ベルトを外し、新しい駆動ベルトに付け替えるだけの作業だ。この時、異物や、排水口の汚れなどがあれば、それらの問題も合わせて解消してもらえる。
自分でベルトを取り寄せて修理するのは、あまりおすすめしない。素人手でやったところで、装着が不十分な場合、再度同じようなエラーが起こる可能性が高いからだ。できれば、業者もしくはメーカーの修理を依頼して欲しい。
修理費用
パナソニックのメーカー修理費用概算シート上では、駆動ベルトだけの交換費用は明記されていなかった。
モーター故障と同じ括りで考えれば、48,000円+αということになる。メーカー以外の専門業者では、10,000円前後の技術料+部品代というのが相場のようだ。かかったとしても2万円前後で行なえる作業ということなので、メーカー修理よりも、専門業者に依頼することをおすすめする。

まとめ
ドラム式洗濯機のドラム部分が回らない原因と対処法、修理費用について説明してきた。今回のコラムを読んで対処法を試してもダメな場合は、修理専門業者やメーカーの修理部門に連絡することをおすすめする。
素人がドラム式洗濯機を分解して、修理をしようと思っても中々できることではない。分解はできたとしても、改めて組み立てるとなると、特殊な工具や、特殊な技術が必要になる為だ。
おすすめは、自分が住んでいる町の電器屋さんを使うことだ。
町の電器屋さんは、技術範囲が広く、自店で販売している家電製品のほとんどは自力で修理できる。修理に必要な技術と、交換に必要なパーツを入手するルートがあり、メーカーに修理依頼をするよりも格安で直すことが可能だ。ぜひ町の電器屋さんも修理業者を選定する際に検討していただきたい。

