近年、ドローンや電動ガンのバッテリーとして、リポバッテリーが使用されることが増えている。たくさんのデジタル製品が販売され、ほかのバッテリーと比べて安価で高出力なリポバッテリーを使用する機会が増えているのだ。
当コラムでは、今では身近になったリポバッテリーの処分方法から廃液の手順まで詳しくまとめていく。リポバッテリーの処分に困っている人は、ぜひ参考にしていただきたい。
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リポバッテリーとは
リポバッテリーは、主にロボットやラジコン、ドローンや電動ガンといった製品に使われているバッテリーだ。正式にはリチウムポリマー・バッテリーといい、バッテリーの中では安く、大電力を取り出せるバッテリーとして数多くの製品に使用されている。
意外と寿命が短い
リポバッテリーは高出力として知られているが、バッテリー自体の寿命はそこまで長くはない。スマホなどのバッテリーも2年前後使えばパフォーマンスが低下するように、リポバッテリーの寿命は長くても3年前後だといえるだろう。ほかにもリチウムイオンやLi-feなどのバッテリーがあるが、寿命の観点からみればそこまで大きな差はない。
充電して何度も使用できる電池のことを二次電池というが、二次電池は過充電によっても寿命の長さが大きく変わる。リポバッテリーの寿命をできるだけ伸ばしたいのであれば、過充電をおこなわず適切な充電を意識しておく必要がある。
取り扱いには注意が必要
リポバッテリーは、長く使用していれば電圧が低下したり充電ができなくなったりする。また、外部からの衝撃や暑さにも弱いという弱点もあり、使用方法や保管方法によってはバッテリーが膨張してしまう。
膨張したまま使い続ければ、発火する可能性もあるので大変危険だ。使用していて、膨張したり柔らかくなったと感じた場合には、すぐに廃棄しよう。基本的には、充電してもすぐにバッテリーが切れるのであれば、廃棄を検討した方がいいだろう。
無理に充電しながら使い続ければ少しずつ膨張していき、最終的には発火につながる。もったいないからと無理に使い続けるのはやめておこう。普段、何気なく使用しているバッテリーであっても、取り扱いにはきちんと注意してほしい。
処分するときは適切な方法で
多くの人はリポバッテリーを処分したことがないと思うが、そのまま燃えないゴミなどに出すと発火の原因となり、危険なのでNGだ。リポバッテリーを処分するには、「自分で適切な処理をしてから処分する方法」と「家電量販店やホームセンターの回収BOXに出す方法」の2つがある。
バッテリーは普通に使用していれば問題はないが、処分するときは適切な手順と方法で処分しなければ危険が伴う。めんどくさいからといって適当に処分するのではなく、しっかりと責任をもって処分するように心がけよう。
リポバッテリーを自分で処分するときの手順
リポバッテリーの処分には、自分で処分する方法と回収BOXへ出す方法の2つがあると述べた。ここからはまず、自分で処分するときの手順について詳しく説明していく。
リポバッテリーは適切な方法で処分しなければ大変危険だ。自分で処分する場合はきちんと手順を守り、安全に処理するようにしよう。
塩水につける
リポバッテリーを処分するには、まず塩水につけるなくてはならない。これはバッテリーを放電させ、発火の危険性をなくすために必要な作業となる。
やり方は、ポリバケツなどの絶縁体となっている容器に水と塩を入れ、その中にリポバッテリーを沈めておくだけだ。塩は水に対して3%~5%の濃度がベストである。水を入れる容器は絶縁体でなければ溶ける可能性があるので、必ず絶縁体となっている容器を使用しよう。
塩水につける前にバッテリーケーブルを切っておくと、多少放電しやすくなるのでやっておくといいだろう。ケーブルは同時に切ってしまうとショートして発火する危険性があるため、1本ずつ切るようにしよう。
泡が出なくなるまで待機
塩水にリポバッテリーをつけた後は、泡が出なくなるまでひたすら放置しておこう。目安としては、小型のリポバッテリーであれば大体2日前後で放電が完了する。大きなバッテリーや膨張したものなどは放電に時間がかかるため、1週間前後の期間つけておくのがいいだろう。
塩水に沈めているときは、水でバッテリーがすべて沈んでいることを確認し、容器などから水が漏れていないかも常にチェックしておこう。水の量が少なければしっかり放電できていない可能性もあるため、めんどくさがらずこまめな確認をおこなうのが大事だ。
電圧を確認
泡が出なくなり放電が完了したとわかったら、バッテリーを取り出して電圧の確認をしよう。電圧はテスターなどを使用すれば測れるので、電圧がしっかり0Vになっていることを確認し、それから各自治体の処分方法に従って処分すれば完了だ。
基本的に放電が完了したバッテリーは燃えないゴミで処分できるが、処分方法は自治体によって異なるため、自身で確認してから出してほしい。また、放電の際に使用した塩水の廃液は、塩水として処分しても問題ないとされている。しかし、最低限のマナーを守った捨て方をしよう。
リポバッテリーを回収へ出すときの手順
リポバッテリーはわざわざ自分で処理しなくても、家電量販店やホームセンターに設置されている小型電池回収BOXへ入れるだけで処分できる。
回収BOXを利用する際は、放電のために塩水につける必要はなく、バッテリーの電源端子をビニールテープで絶縁するだけでOKだ。後は、業者が回収した後に処理をおこなってくれる。
また、回収BOXがないところでも、店員に聞けばリサイクルショップなどでも意外と回収してくれる。そのため、自分で処分するのがめんどうな人は店舗で回収してもらおう。
リポバッテリーおすすめの処分方法
リポバッテリーを自分で処理する方法を紹介してきたが、塩水で処理する方法は決して推奨しない。おすすめしたい方法は、回収BOXがある家電量販店やバッテリー購入先の店員に直接確認する方法だ。
環境省や消防庁では、一般社団法人 JBRC協力店に設置されている「回収BOX」の利用を推奨しているが、一般社団法人 JBRCでは膨張しているリポバッテリーの回収はおこなっていない(※1)。しかし、一部の大型家電量販店では、膨張しているバッテリーを回収してくれることがあるのだ。
塩水で処理する方法は危険性や準備と処理の手間を伴うが、廃棄しやすくなる方法でもある。そのため、一般的に常とう手段として認識されているが、あくまでも膨張や変形による発火防止のための緊急対処法として参考にしてほしい。
(※1)参考:一般社団法人 JBRC 安全回収ハンドブック
リポバッテリーの処分を考えるタイミング
上記では、リポバッテリーの処分方法について解説してきた。リポバッテリーは取り扱いが大事であり、寿命がきたバッテリーをそのまま使い続けると発火などの危険性がある。そのため、適切なタイミングで処分しなければならない。
以下では、リポバッテリーの処分を考えるタイミングについて述べていく。気になる人は要チェックだ。
パフォーマンスが落ちたとき
リポバッテリーの処分を考えるタイミングとしては、バッテリーのパフォーマンスが著しく低下したときがベストだ。バッテリーのパフォーマンスの低下というのは、電池を満タンまで充電したのにすぐになくなってしまう状況を指す。
スマホなどでも、充電が満タンなのに1日持たずに電池がなくなってしまうことがあるだろう。これはバッテリー寿命のサインだ。こうした寿命のサインを放置したまま使い続けると、どんどんバッテリーが劣化していき、次のサインである膨張などが見られる。
ドローンなどで使用されている大きめのバッテリーの場合は、電圧の低下などもパフォーマンス低下のサインになるので、メンテナンスも兼ねてこまめに電圧をチェックしておくのもいいだろう。
膨張や変形が見られるとき
バッテリーの持ちが短くなったにも関わらず、何度も充電して使い続けるとバッテリーに膨張や変形といった状態が見られるようになる。
この状態は危険な状態であり、さらに使い続けると場合によって破裂したりすることがある。寿命がきたバッテリーを使うのは絶対に避けるべきだ。また、そのようなバッテリーを使い続けるのは、使用している機器にも影響を及ぼすことがある。
スマホやドローンにしても、バッテリーを交換してもうまく充電されなくなったりなど不備が出ることがあるので、めんどくさがらずに適切なタイミングで古いバッテリーを処分し、新品と交換するようにしよう。
異臭がするとき
明らかに今までしたことのない異臭がするときも、バッテリーとしての寿命を迎えていると判断できる。異臭は膨張などと同じく危険な状態で、こちらも使い続けると破裂などの原因となることがある。
特に充電しているときに変な匂いがしたときは、すぐに充電をやめて使用しない方がいい。そう簡単には破裂や発火は起こらないが、可能性がゼロではない限りは異臭がした場合はすぐに使用を中断して破棄するのがおすすめだ。
リポバッテリーを処分するときの注意点
リポバッテリーの処分は、間違った方法でおこなうと危険である。適当に処分すると発火することがあり、場合によっては大事故につながってしまう。回収BOXに出すときは簡単な処理ですむが、自分で処分するなら意識しておくべきポイントがある。
以下では、リポバッテリーを処分するときの注意点についてまとめていく。
しっかり放電してから処分する
リポバッテリーを処分するときは、必ず放電されたかどうかを確認しよう。放電が完了したかどうかは、テスターで電圧を確認するのが一般的で、テスターをつないで電圧がしっかり0Vになっているかをチェックしておこう。
放電せずにゴミ箱に捨てると火災が発生する可能性もあるため、完璧に放電されたことを確認してから処分するようにしよう。
膨張したバッテリーには注意する
通常のバッテリーよりも膨張したものは、放電に通常より時間がかかることが多い。膨張したバッテリーは、寿命がきたのにも関わらず使用を続けた場合に起こる状態であり、ある意味限界を超えたバッテリーともいえる。その状態のバッテリーが危険なのは言うまでもないだろう。
膨張や変形したバッテリーを処分するときは、1週間前後は確実に塩水につけておくようにし、大きいバッテリーであれば2週間前後沈めておくのがおすすめだ。また、この場合も完全に放電しきったかどうか確認し、テスターで電圧が0Vなのをチェックしておこう。異臭などがするバッテリーも同様、通常より長い期間塩水につけておくことをおすすめする。
廃液の扱いにも注意しておく
リポバッテリーを放電した水は、基本的には普通の塩水と変わらない扱いで構わない。ほかのバッテリー類の廃液には危険なものもあるが、リポバッテリーには有害物質が含まれていないため、廃液といってもそのまま処分して問題はないといわれている。
しかし、最低限のマナーを守った捨て方をするのも大切だ。一応、廃液となるため、そのまま排水に流してしまうのではなく、キッチンペーパーや新聞紙などに染み込ませて破棄するなど自分できちんと処理するようにしておこう。使い終わったあとは最後まで責任をもって処分してほしい。
換気のいいところで塩水につける
リポバッテリーは、塩水につけることで塩水電気分解が起こる。その際、-極からは水素が発生し、+極からは酸素が発生し、塩濃度が高い場合は塩素ガスが発生することもある。
水素ガスは滞留すると引火爆発の可能性があり、塩素ガスの毒性は中毒の危険があるため、取り扱いにはより一層注意が必要だ。
そのため、塩水につけて放電するときは、屋外や通気のいいところを選んで放電し、ガスが滞留しないように気をつけておく必要がある。決して部屋の中や密閉した場所でおこなわないようにしよう。
まとめ
当コラムでは、リポバッテリーの処分方法から廃液の手順についてまとめてきた。リポバッテリーは自分で処分する際には気をつけなければならず、適当に処分すると危険が伴う。
最近はドローンや電動ガンなどのホビー製品に使われることが多く、自分で処理しなければならない状態になることもあるだろう。しかし、あくまでも緊急対処法として活用してほしい。
リポバッテリーを手軽に処分するためには、寿命を見極めてパフォーマンスに異変を感じたら、すぐに使用をやめて「回収BOX」を利用することがおすすめだ。




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